黒毛和種(1~9産)68組,無角和種(1~3産)10組の母•子牛を用いて,吸乳行動に及ぼす品種,子牛日齢,性,産次,季節とそれらの間の交互作用の影響を調べた.出生後10,30,60,90,180日における1日当たりの吸乳回数(NSD),1日当たりの吸乳時間(DSD),1回当たりの平均吸乳時間(DSB)を,両品種の3産までの202記録(Model I)と黒毛和種の314記録(Model II)に分けて分散分析を行なった.
Model Iにおける黒毛和種のNSDの最小自乗平均値は7.4回,無角和種は8.7回であった.品種と子牛日齢の交互作用が有意で,黒毛和種は30日の8.9回,無角和種は10日の11.2回が最高であったが,180日では両品種とも約5回まで減少した.Model IIにおいて4産のNSDは6.7回で1,8~9産の7.9回より少なかった.また,冬期のNSDは春•夏期より多い傾向にあった.
DSDには品種間差が認められず,Model IIにおける全平均は79.2分であった.10日におけるDSDは66.5分で,30日に最高値の102.7分に達し,以後180日の56.9分まで減少した.10,30日では雄子牛がそれぞれ7.9,6.5分長く,60日以後は雌子牛が3.5~14.2分長い傾向にあった.また,子牛日齢と産次の交互作用が認あられた.
Model Iにおける黒毛和種のDSBは10.4分,無角和種は9.3分であった.Model IIにおいて10日のDSBは7.8分で,他の日齢の11.2~11.7分より短かったが,ほとんどの吸乳は日齢にかかわらず21分未満で終了した.また,DSBを19~7時までと7~19時で分類すると,それぞれ11.0分と10.3分で,夜間が長い傾向にあった.
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