日本農芸化学会誌
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50 巻, 12 号
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  • 檜作 進, 小林 真理子, 竹田 靖史
    1976 年 50 巻 12 号 p. 573-576
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    1.迅速調製法により糯トウモロコシでんぷんから調製したNT-デキストリンは, D. P.が21,分岐結合が分子当り平均1個存在し,直鎖分子と分岐分子が0.375:0.625 (モル比)の割合で混合したデキストリンであることを明らかにした.
    2. β-限界NT-デキストリンは, D. P.が10.6,分子当り平均1.6個の分岐結合をもち,そのSephadex G-10のゲル濾過の分画で最も多量得られる画分のD. P.は21.1,分子当り平均3.0個の分岐結合を有する密に分岐した分子であった.
    3. NT-デキストリンの濃水溶液(40%)から室温で老化,沈殿した画分は, NT-デキストリンと同じA型の結晶構造であり,天然でんぷんよりも良結晶性であった.この老化の回収率は58%であったが,分子の部分的な分別はほとんどみられなかった.
    4.これらの結果から,アミロペクチン中の分岐結合が,分子の結晶化に役立っていることが示唆された.
  • 富士川 龍郎, 阿武 尚彦, 和田 正太
    1976 年 50 巻 12 号 p. 577-584
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ワカメの硫酸多糖ガラクトフカン硫酸の構造研究に利用するために,アワビ肝膵臓中に含まれる分解酵素を検討した.
    得られた粗酵素からは,ガラクトフカナーゼとα-L-フコシダーゼのほか,ガラクトフカンスルファターゼ,アリルスルファターゼ, β-D-ガラクトシダーゼが検出された.この粗酵素をDEAE-セルロースとセファデックスG-200を用いて分画することにより,ガラクトフカン硫酸に作用しないα-L-フコシダーゼ画分(FS-1)と, α-L-フコシダーゼ活性をもたないで,ガラクトフカナーゼ,ガラクトフカンスルファターゼ,アリルスルファターゼ,ブコイダナーゼの4活性を示す画分(FS-2)とが得られた. FS-1は,部分分解されたガラクトフカン硫酸に対しては活性を示し,かつα-L-フコシダーゼにはガラクトフカン硫酸により阻害される酵素(至適pH 3)と阻害されない酵素(至適pH 5)の2成分が認められた.
    以上の結果より, FS-1のα-L-フコシダーゼは基質特異性を利用して,またFS-2のガラクトフカナーゼは都分分解の手段として,フコイダン様多糖の構造研究に有用であろうと考えられる.
  • 宮沢 栄次, 亀高 正夫
    1976 年 50 巻 12 号 p. 585-592
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    体重約180gの雄ラットに無蛋白食を0, 2, 7日間与え,肝臓細胞および細胞内小器官を電顕および光顕で観察し,統計的手法で解析した.その結果,無蛋白食の影響として,次のような成績が得られた.
    1.細胞,細胞質および核の体積は減少し,核の体積比はやや増加した. 2. Mtの体積比はほとんど変化しなかったが, Perでは, 2日目でやや減少の傾向を示した. LDでは,平均値で約6倍に上昇した. 3.単位細胞質体積当りのMt数は2日で減少し, 7日でほぼ回復した. Per数も,変動幅はMt数よりも少ないが,ほぼ同様な傾向を示した. 4.断面が楕円形以外の形をしたMtの割合が増加した. 5.個々のMtの体積は2日で増大し, 7日でほぼC群の値に戻った. Perの体積は7日でやや減少した. 6.単位細胞質体積当りのMtの外膜の表面積は, 2日でやや減少の傾向を示した. RER膜では, 7日で約83%に減少した.単位Mt体積当りのクリステ膜の表面積は,ほとんど変化しなかった. 7. RERは群を形成するものよりも, 1本1本ばらばらになりMtの周囲を取り囲むものが顕著に増加した.
    本研究にあたり,ご助言を賜った岩手大学農学部野口忠助教授,ならびに電子顕微鏡技術全般に関する懇切ていねいなご指導をいただいた本学部家畜解剖学教室の方々に深く感謝いたします.
    本報告の大要は,日本農芸化学会昭和50年度大会において発表した.
  • 小幡 斉, 鹿田 幸治, 徳山 泰
    1976 年 50 巻 12 号 p. 593-598
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    TRは,現在グルコースを原料として作られている.本実験において,原料が入手しやすく,低廉,調製が容易なパラホルムアルデヒドを原料に用い,酸化カルシウ〓Scheme 1. The Formation of TR from HCHO.ムを触媒としてレダクトンの生成,分離を行なった.
    1.レダクトンの生成条件について調べた結果,種々の無機塩基の存在下におけるレダクトンの生成量は, 0.2Mの酸化カルシウムが固体触媒として有効なことがわかった.反応温度は60°C,初発pHは7~10の範囲,嫌気的条件が良かった.
    2.反応液中のレダクトンをPPCによって検討した結果, TRが生成していることが示唆され,鉛塩として分離し,その鉛塩を濃硫酸で遊離し,昇華精製した.そのレダクトンをmp,元素分析, IR, massスペクトル分析によって同定した結果, TRが生成していることが確認された.
    3.反応液中にホルムアルデヒドの安定剤を添加した結果, Tween-60添加が無添加の場合よりも約2倍量近いTR増収をなし, 6gのパラホルムアルデヒドから68mgのTRが生成した.
  • 鴇田 文三郎, 細野 明義, 大谷 元, 中路 洋子
    1976 年 50 巻 12 号 p. 599-605
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    1.本実試では, 3種のChurbiならびに1種のRauを用いた.供試のChurbiは,すべて水分含量と脂肪含量が低く,蛋白質含量が高いことを特徴としており,蛋白質はいずれも固形分の80%以上を占めていた.
    一方, Rauの水分含量は68.60%と非常に高く,蛋白質,脂肪がそれぞれ23.96%, 6.91%であった.
    2. Sephadex G-100カラムでチーズ蛋白質を篩別すると,チェダーチーズやカマンベールチーズでは,それぞれ4つと3つのピークが認められたのに対し,供試のChurbiならびにRauでは, void volume中に流出する高分子蛋白質のピークが主体をなしており,チーズ蛋白質の分解がほとんど進行していないことを認めた.
    3. 3種のChurbiにおける細菌数は,いずれも水分含量のきわめて低いことを反映して,その数はごくわずかである.一方, Rauには細菌,酵母が棲息していることが認められ,グラム陽性桿菌1株(B-1株)と酵母2株(Y-1, Y-2株)を主要菌叢として分離した.
    4.分離菌株のうち, B-1株にのみ,乳糖資化性が認められた.また, 3株の分離菌は脱脂乳培地に培養した場合,ペプトン化を示さず, Y-1株, Y-2株では脱脂乳は凝固性を示さなかった. 3株とも弱い蛋白質分解性を有していることも,同時に認められた.しかし,上述の諸結果を総合的に考慮すると,ネパール原産のチーズは微生物の関与をほとんど受けていない,いわば酸カゼインとアルブミン系蛋白質から成る蛋白質食品であると結論づけられる.
  • 勝又 悌三, 栗谷川 義夫, 遠藤 文子, 菅原 日出男, 早坂 讃造
    1976 年 50 巻 12 号 p. 607-612
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    アカマツ花粉の細胞分画法を検討後,とくにミトコンドリア画分について,イソクエン酸,コハク酸デヒドロゲナーゼおよびチトクロームオキシダーゼの発芽時の活性を検討し次の結果を得た.
    (1)イソクェン酸デヒドロゲナーゼはNADPに特異的であるが, NAD添加ではNADPの場合の約8%の活性を示した.
    (2) Fig. 1に従って細胞分画を行なったが, DNAリンは主として核画分に存在し,コハク酸デヒドロゲナーゼおよびチトクロームオキシダーゼ活性は,ほとんど15,000×g遠心画分に検出された.この15,000×g遠心画分は, Janus Green B染色,ブラウン運動観察,電子顕微鏡観察,酵素活性などから,ミトコンドリア画分と推定した.
    (3)ミトコンドリア画分のNADP特異性イソクエン酸デヒドロゲナーゼ,コハク酸デヒドロゲナーゼ,チトクロームオキシダーゼは,発芽時にいずれもその活性を増大した.
  • 安本 教傅, 岩見 公和, 水澤 一, 満田 久輝
    1976 年 50 巻 12 号 p. 613-617
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    DGLA-PALP複合体は,遊離のPALPに比べて光照射に安定であった. PALPおよびそのDGLAとの複合体は, Saccharomyces carlsbergensisの増殖に対して同等の効力を有し,また過剰のDGLAにも生育阻害は観察されなかった.一方,ビタミンB6欠乏ラットに投与した複合体は,トリプトファンを負荷したラットの尿中へのキサンツレン酸排泄量を急激に減少させ,また肝および赤血球のGPT活性を有意に上昇させ(p<0.001), PALPに劣らないB6としての効力を示した.
  • 山口 雄三, 小松 昭, 諸江 辰男
    1976 年 50 巻 12 号 p. 619-620
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Species differences in optical selectivities and stereospecificities of microbial ester hydrolases towards menthyl acetates were studied by fractionation with gel filtration chromatography. Highly specific enzyme (Rh. mucilaginosa) eluted in the early fraction, and the enzyme with lowest specificity (LY-32) eluted in the later fraction.
    Hydrolyses of dl-menthyl ester and their steric isomers by commercial lipase preparations were also described.
  • 片山 真之
    1976 年 50 巻 12 号 p. 621-623
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    By using a simplified apparatus for gel-slab electrophoresis, carbonic anhydrase activities were detected on the gel. (i) Polyacrylarnide gel slabs of linear gradient gel concentration were prepared for horizontal-type electrophoresis. (ii) Zymograms of carbonic anhydrase activites and of proteins from lettuce leaves were observed together with an authentic sample of bovine erythrocyte carbonic anhydrase.
  • 福島 正和, 井村 孝嗣
    1976 年 50 巻 12 号 p. 625-627
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    A new method for determination of the nucleoside phosphotransferase activity from Cl. perfringens was developed, which was consisted of simple ion exchange chromatography and fluorometric measurement by the modified method of Roberts et al.
    After the enzyme reaction, the reaction mixture was charged on a Dowex 1×8 column (5×10mm) and then the nucleotides were eluted with 0.1 N HCl. The nucleotide fraction thus prepared contains the TMP formed by the enzyme reaction and the AMP added as phosphate donor. The TMP content in the nucleotide fraction was determined fluorometrically without any interference from AMP.
    Under the optimal conditions studied, the TMP formed by the enzyme reaction could be determined up to about 2 μ moles. The result of this work suggests that this procedure is useful for kinetic research of the nucleoside phosphotransferase.
  • 池上 晋
    1976 年 50 巻 12 号 p. R233-R244
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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