日本畜産学会報
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39 巻, 10 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 特にその主体をなす北米原皮について
    川村 亮
    1968 年 39 巻 10 号 p. 393-401
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 大島 光昭, 小山 郁夫
    1968 年 39 巻 10 号 p. 402-409
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    サイレージ熟成中にかなりの量の蛋白質が低次の窒素化合物に分解されることが知られているが,かかる変化が熟成過程中にいかなる様相をもってあらわれるかはまだ解明されていない.本実験は試験管サイレージ(TTS)および牧草圧搾液を嫌気状態で発酵させたもの(FGJ)の2種類を用い,以上の点を究明した.
    1. 本実験に供したFGJおよびTTSは,そのpHおよび有機酸組成から推して,かなり良好な発酵過程をたどったものと思われた.
    2. FGJおよびTTSとも,詰込後2~5日の間に蛋白質の大きな分解が起り,この分解はとくにTTSにおいて著しかった.その後は10日目まで安定し,以後ふたたび蛋白質の分解が起ることがわかった.
    3. FGJについて遊離の中性および酸性アミノ酸の定量をおこなった結果,グルタミン酸は熟成が進むにつれて減少し,アスパラギン酸は大きな変化なく,定量できなかったセリン,スレオニンを除く他のアミノ酸は詰込初期に増加し2日目から7日目にかけては変化なく,それ以後21日目までの間にかなり増加することがわかった.
    4. FGJおよびTTSの両者について遊離の塩基性アミノ酸の側定をおこなった結果,各アミノ酸とも,まったく異なる経過をたどった.ヒスチジンは,FGJでは日とともに減少したのに対し,TTSでは増加を示した.FGJ中の遊離アルギニンは,生草中に18μMあったものが詰込後1日目には痕跡程度になり,以後痕跡しか認められなかった.
    一方TTSについては詰込後10日目までは減少したが,以後増加の傾向を示した.リジンとオルニチンは分離できず合量で示した.この合量値は,TTSにおいて日と共に急激な増加を示したのに対し,FGJにおいては詰込後1日目に急激な増加を示し2日目に至って激減し以後7日目まで変化なく,それ以後ふたたび増加した.
    5. TTSにおいては詰込初期にいちじるしいアンモニアの増加を示したのに対し,FGJではごくわずかだった.
  • II. 錯綜筋(M. complexus)の萎縮退化に伴う酵素組織化学的変化,特に酸化酵素(Succinic dehydrogenase)と解糖酵素(phosphorylase)活性についての検討
    菊池 建機
    1968 年 39 巻 10 号 p. 410-414
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    前報に続いて孵化直後の錯綜筋の混合筋相に反映される各筋線維の1次的,代謝的分化と,その後の筋萎縮退化に伴う各筋線維の2次的,生理的分化とを検討するため,孵卵20日,孵化後2日,5日,14日の錯綜筋を用い,筋の萎縮退化に伴う各筋線維の酵素組織化学的変化を酸化酵素(Succinic dehydrogenase),解糖酵素(Phosphorylase)活性に着目して調べた。その結果次の諸点が明らかとなった.
    1) 孵卵20日の錯綜筋では筋束の外周辺に位置する白色筋線維(Type I筋線維)はPhosphorylase活性が高く,肥大している.中間調筋線維(Type III筋線維)も肥大しており白色筋線維への移行を示す.
    2) 孵化後2日の錯綜筋は混合筋で,Succinic-DHG活性とPhosphorylase活性の間に相反関係を認める.
    3) 孵化後5日の錯綜筋では萎縮退化の過程で赤色筋線維(Type II筋線維)が肥大し,白色筋線維(Type I筋線維)は萎縮する.中間調筋線維も大型で萎縮を認めない.また白色筋線維のミトコンドリア依存性Succinic-DHG活性は筋線維の中心部から周辺部へ向って消失する.
    4) 孵化後14日の錯綜筋では赤色筋線維(Type II筋線維)の出現率が増し,中間調筋線維は赤色筋線維へ移行する.
  • V. 卵黄蜂蜜稀釈液が豚精子生存性に与える影響
    番場 公雄, 小島 義夫, 飯田 勲
    1968 年 39 巻 10 号 p. 415-421
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牛精子の凍結保護物質として一般に使われているグリセリンが,豚精子の生存性や受精能に悪影響があるとうことは,POLGEやKING and MACPHERSONによって報告されている.一方NAGASEらは,牛精液の凍結保存の際,糖類を用いて,グリセリン濃度を低くしても良い結果を得たことを報告している.特に豚精子の凍結保護物質としては,グリセリンは好ましいとは思われないので他の保護物質を用いるか,またはそれとの組合わせによリグリセリンの濃度を低くして用いる必要がある.本研究では,糖類を主成分とする蜂蜜で稀釈液を作り豚精子の生存性に与える影響を調べてみた.
    第1稀釈液としては日本薬局方蜂蜜を再蒸留水に溶解し,この蜂蜜水溶液3容に対し,新鮮卵黄1容を加えてよく攪拌した後,7,000r. p. m.で20分間遠心分離し沈殿および浮游物を除去したものを用いた.第2稀釈液としては,第1稀釈液にグリセリンを添加したものを用いた.
    精液は人工腟法により分離採取した精子濃厚部を供試した.採精後精液は約30°Cの室温のもとで第1稀釈液により1.5倍に稀釈し,5分間に1°Cの割合で10°Cまで冷却した.10°Cで稀釈精液と等量の第2稀釈液でさらに稀釈した.従って終末稀釈倍率は3倍となった.その後再び5°Cまで冷却し,30分間のグリセリン平衡を行なってから0.2mlずつドライアイス上で錠剤化凍結した.凍結精液は-79°Cで24時間保存してから38°Cに加温した金属板上で融解し,顕微鏡下で活力検査をした.活力(%)は角変換してから推計分析に供した.
    実験1 では蜂蜜水溶液の蜂蜜濃度を変えて,蜂蜜の至適濃度を調べてみた.終末グリセリン濃度は3%に一定した,その結果蜂蜜の濃度は8~12%がよく,10%で最もよい結果が得られた.
    実験2 では蜂蜜とグリセリン濃度の関係をみるため,蜂蜜8,10,12%の稀釈液で終末グリセリン濃度は0,1.5,3.0,6%にして実験を行なった.その結果グリセリンは1.5~3%で良い活力を示し,6および0%のものは劣った成績だった.グリセリンを含まない区では,蜂蜜濃度が高い方で良い活力が得られた.
    実験3 では8,10,12%蜂蜜水溶液のglucose,fructose, sucrose含量と等しい人工糖液で稀釈を作り天然蜂蜜との比較を行なった.終末グリセリン濃度は3%に一定した.その結果いずれの濃度においても蜂蜜区の方で良い活力が得られた.
    以上の結果から蜂蜜はある程度の凍結保護効果をもち,その効果は主に糖類によるものと考えられる.蜂蜜の濃度は10%で,グリセリンは終末濃度で1.5~3%添加すれば良い結果が得られた.なお蜂蜜には凍結保護効果のみならず,精子生存性に有効な成分の存在することが推察できたので,今後研究を進める考えである.
  • 川西 悟生, 西川 勲, 斉藤 健輔
    1968 年 39 巻 10 号 p. 422-425
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 150°C UHT steam injection法で滅菌し,無菌的に充填した滅菌乳を保存したところ,遊離アミノ酸(FAA), Phosphoserine, Glycerophosphoethanolamine, Phosphoethanolamine, Urea, Taurineの増加と保存前に存在しない二つの化合物X1, X2の出現増加を見出した.
    2. 増加するFAAのパターンは全カゼイン,β-カゼインの構成アミノ酸パターンに近似していることを認めた.
    3. X1はLeucyl glutamic acid, X2はα-,またはγ-Glutamyl leucineであることを推定した.
    4. これらFAA類の保存中の増加の機作について検討を加えた.
  • 熊崎 一雄, 松尾 昭雄
    1968 年 39 巻 10 号 p. 426-431
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    肉用子牛の生時体重および離乳時体重に及ぼす子牛の性,出生季節および母牛の年令の影響をしらべるために,黒毛和種の子牛657頭の記録を最小自乗分析法によって分析した.離乳時体重は180日令体重に補正したものを用いた.その結果,これらの環境要因はいずれも生時体重と離乳時体重に対し高い有意の影響を与えた.生時体重では雄は雌より1.9kg重く,離乳時体重では雄は去勢と雌より夫々12.8kgおよび18.9kg重かった.また生時体重では秋生まれと冬生まれの子牛より春生まれと夏生まれの子牛の方が約1kg重かったが,離乳時体重で春生まれと夏生まれの子牛より秋生まれと冬生まれの子牛の方がすぐれていた.さらに子牛の生時体重と離乳時体重は母牛の年令が7-10才に達するまでは増大し,11才以降では再び減小した.子牛の性,出生季節および母牛の年令効果に対する補正係数を用いてデータを補正した後,半きょうだい相関法によって生時体重と離乳時体重の遺伝率を求め,それぞれ0.36および0.31の推定値を得た.これより環境要因に対して適切な補正を行なえば離乳時体重が選抜の対象として有効であることを認めた.
  • 吉村 喜彦, 鈴木 伸一, 砂川 泰夫
    1968 年 39 巻 10 号 p. 432-434
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚の肥育試験データーを基礎とする生産原価計算の一試案としての理論的研究であるが,原価計算に関する肥育試験の適用方法は,本報告で提起された三方程式によって計算することができる.肥育試験は次の方法で実施された.
    a. 試験期間:12週間(1967.3.27-6.19)
    b. 供試豚:F1(♀Middle Yorkshire×♂Landrace)
    c. 試験区:正常豚20頭,開姶時平均体重22.3kg,4区各5頭
    d. 供試飼料:日本科学飼料協会の指定配合飼料この試験結果は次の事項にまとめられる.
    1) 11週令から22週令までの4区の増体重標準偏差は,6.7gから48.4gであった.
    2) この試験による増体重の変化は,5x-y=0,6x-y-1=0,6x-y=0の方程式によって示され,週令が与えられるならば,増体重を計算することができるのである.
    原価計算への適用は,
    3) 各週令の増体重と飼料給与量によって,FCRが計算できる.
    4) 増体重1kg当たりの飼料価格は,FCR×kg/feedpriceによって計算できる.
    3),4)の計算を前提として,任意の週令における豚の原価計算に関する基本的な一つの方式が設定されたのである.
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