日本畜産学会報
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39 巻, 8 号
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  • VI. 牧草放牧地の草生産性と牧養力
    林 兼六, 伊沢 健, 小田島 守
    1968 年 39 巻 8 号 p. 327-332
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 1964-1966年の3ヵ年にわたり,東北大学川渡農場の牧草地で,黒毛和種若令去勢牛を用いての全放牧試験が実施されたが,その草•植生調査結果と放牧管理記録から,放牧地の草生産性と牧養力の推定を試み,主としてその季節的変化について検討した.
    2. 放牧法は6-10牧区による輪換放牧で,各年度とも5-10月の放牧期間中に6回の輪換を行なった.各輪換ごとの草生力は,現存量と休牧日数とから1日当り産草(再生)量として示した.牧養力は1頭当り所要面積の方式で示し,別に1日1頭当り放牧面積も算出した.なお現存量と残草量とから利用率を推定し,また値生の推移については,マメ科草の混生比率をSDR2法で春秋2回ずつ調査した.
    3. 草生力は春季の約30kgから秋季の約10kgへと輪換番号のすすむにつれて漸減した.これに対応して牧養力も,春期の10-12aから秋季の約30aへと低下した。利用率は初回放牧と秋季が高く,平均65~70%であった。
    4. 10a当り現存量は,春季の約1,300kgから秋季の約400kgへと著減し,放牧管理法が合理的でなかったことを示した.また1日1頭当り放牧面積も春季の0.4-0.45aから秋季の約1.1aへと増し,現存量の変化とは必ずしも比例しなかった.
    5. 植生におけるマメ科草の混生比率は,3ヵ年を通じて35-20%の間に止まり,あまり変化なかった.また草の化学成分も各年度間および各季節間に著しい変化は認められなかった.
  • 佐々木 康之
    1968 年 39 巻 8 号 p. 333-340
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    反芻動物の唾液は,第一胃よりの発酵産物の吸収および下部消化管への内容物の流出などとあいまって,微生物発酵のために好適の第一胃内恒常性維持に重要な因子の一つである.新生子牛では第一胃も形態的に末発達で,栄養摂取過程は第四胃以下の消化機能に依存するところが大きい.本実験では,飼料摂取にともない,単胃型ともいうべき栄養摂取様式から反芻動物よ特異の様式への移行期における混合唾液分泌能の発達およびそれにともなう主要無機イオン組成の変動について検索した.
    ホルスタイン種雄子牛6頭を3頭ずつ2群に区分し,一群(MHG区)はミルクを制限給与したほか乾草および濃厚飼料を自由摂取させ,他群(M区)はミルクのみで飼育した.これらの動物に,梅津•佐々木の食道ロート法によって混合唾液採取を行なうべく,約3日令にlarge rumen fistula作製の第一次手術,約9日令に第二次手術を実施し,2週令より13週令まで,各週令における混合唾液分泌速度および唾液中のNa+, K+, HCO3-,Cl-, HPO4--各濃度ならびに飼料摂取量,第一胃内低級脂肪酸濃度を測定した。その結果,以下の知見が得られた.
    1. MHG子牛において混合唾液分泌量が著増し,特に乾物摂取量の多いほど唾液分泌能の発達にすぐれている.M子牛では唾液分泌増加がほとんどみられなかった.
    2. Cation濃度は各週令平均値153.1±6.45m-eq/l(Na+142.9±8.39, K+10.2±3.24)でほぼ変化がなく,子牛唾液は成牛に等しいtonicityをもって分泌される.M区でも同様であった.
    3. MHG子牛のanion総濃度は150.7±4.98m-eq/lでほぼ一定であった.しかるにその組成をみるに,HCO3-は71.9m-eq/l(2週),115.5m-eq/l(6週),120.2m-eq/l(13週)と増加し,いっぽう,C1-は68.8m-eq/l(2週),24.8m-eq/l(6週),24.9m-eq/l(13週)に減少した.反芻動物の唾液はHCO3-の含量が多く,C1-濃度の低いことによって特徴づけられるが,新生子牛ではCl-はanion組成のほぼ半量を占めて,HCO3-含量が成牛に比して低く,生育にともないCl-がHCO3-により置換されてbuffer actionの強い唾液になることが判った.HPO4--は約10m-eq/lでanion組成中最も低くかつ一定値を保っていた。
    4. 上記の変化はM子牛についても観察されるので,これが飼料摂取に起因する現象ではなく,唾液腺における末知の塩分泌機構の変化によるものと推慮される.
    5. ただし,Cl--HCO3-replacementは,飼料摂取によって腺分泌を刺激することにより促進され,通常飼育の場合,子牛唾液が,無機イオン組成からみて質的に成牛レベルに達するのはおよそ5~6週令である。
  • 氷上 雄三, 水野 利雄
    1968 年 39 巻 8 号 p. 341-347
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    前報において,鶏胚の大胸筋の重量およびDNA含量はふ卵開始後16日から21日までの間,ほとんど増加しないことを認めた.また,大胸筋のDNA当りのTotalN量は,ふ化時頃に著しく変動することを認めた.
    本実験は,他の筋,臓器におけるこれらの現象を調べるために,白色レグホーンを用いて,ふ卵開始後11日からふ化後28日までの間,大胸筋,脚筋,肝臓,腸,心臓および筋胃について,それぞれ,重量,DNA含量およびDNA当りのTotal N量を測定し,これらの変動を比較検討したものである.結果は次の通りである.
    1) 大胸筋,脚筋,肝臓および腸における重量およびDNA含量の増加は,ふ化時前後に2~5日間抑制された.このような抑制は,心臓および筋胃においてはほとんど認められなかった.
    2) ふ卵開始後11日からふ化後28日までの期間において,これらの筋および臓器における重量およびDNA含量の増加のSemilogarithmic plotsは,異った増加の程度の三つの直線からなっていることが認められた.
    3) DNA当りのTotal N量は,大胸筋および脚筋では,ふ卵開始後17日以後連続的に増加した.心臓および筋胃では,ふ卵開始後21日からふ化後6日までの6日間一時的に増加したが,他の期間では変動が見られなかった.肝臓および腸では,ふ卵開始後11日からふ化後28日までの間,その値に変動が見られなかった.
  • 本間 運隆, 神野 雅宏, 佐藤 孝二, 安藤 昭弘
    1968 年 39 巻 8 号 p. 348-352
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Imperfect and perfect albino Japanese quail, originating from a commercial breeder in Toyohashi, were subjected to genetical analysis. The imperfect albinism is caused by a simple sex-linked recessive gene (sw) that appears to be homologous to the al gene assigned for albino mutants by LAUBER4) and SITTMANN et al.6)
    Growth of the imperfect albinos was not inferior to that of the wild-type when the albinos were raised in a box protected from sudden temperature decline. Bilateral eye defects (cheesy cataracts) are common in aged imperfect albinos, but this condition does not seem to affect reproductive performance.
    The perfect albino sire mated to imperfect albino dams resulted in only dark progeny indicating that perfect albinism is a genetically distinct character from imperfect albinism. The high mortality in the progeny of perfect albino is caused by certain lethal factor associated with the perfect albinism.
    Unusual retardation of growth was observed in female double mutants carrying Y1) and swgenes. After 2 weeks of age, identification of the genotype of such albino mutants was possible by examination of the pattern and intensity of the ghost barring character.
  • 川西 悟生, 阿部 宣明, 斉藤 健輔
    1968 年 39 巻 8 号 p. 353-357
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 東京と釧路で集乳された混合乳15試料の遊離アミノ酸(FAA)類について,イオン交換樹脂カラムクロマトグラフィーにより検索し,17種のFAA, P-Ser,GPEA, PEA, EA, Urea, Taurine, NT3, MethioninesulfoxideおよびCitrullineをクロマトグラフィー的に認め,その定量を行なった.全体ではUreaが多く64%,燐脂質構成体17%,ついでFAA 15%であった.FAAは60μmole/100mlで,その中ではGluが25μmole/100mlでもっとも多く,ついでGly, Lys,Ala, Proが比較的多かった.各試料は時期,地区を異にするにもかかわらず定量値に大きな変動はなく,FAA含量の変動係数は13%であった.
    2. 乳中のFAA類の加熱による変化を定量的に検討した.63°Cでは90分でも変化は少ないが,75°C15分~120°C10分の間ではFAAの減少とNH3の増加が認められ,120°C20分では蛋白質の加水分解によると考えられるFAAの減少の低下とNH3の急激な増加が認められた.これに比較して工業的な殺菌,減菌法では85°CHTST法,115°C,140°C UHT Plale法,150°C UHT Steam injection法のいずれとも,FAAの減少,NH3の増加は著しくないことを認め,種々の考察を行なった.
  • I. 尿採集装置の装着が牛体に及ぼす影響について
    川越 郁男
    1968 年 39 巻 8 号 p. 358-360
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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