草サイレージの水溶性区分における未同定窒素の性質を知るために,Amberlite IRC-50およびDowex 50を用いて,サイレージ抽出液を,酸性および非電解質区分(A区分),塩基性区分(B区分),および両性区分(C区分)に分け,おのおのについて全窒素,揮発性塩基態窒素および第1級アミノ態窒素を定量した.
供試サイレージとしては,良質のもの3点,劣質のもの2点,および低水分サイレージ2点を用いた.
その結果,良質サイレージにおいては,水溶性全窒素(WTN)の61~63%がC区分に存在し,29~34%がB区分,6~9%がA区分に認められた.未同定窒素の大部分はC区分にあった(WTNの10~19%).
劣質サイレージにおいては,WTNの41~42%がC区分に,53~54%がB区分に認められ,C区分の未同定窒素はWTNの7~10%であった.
低水分サイレージにおいては,WTNの約67%がC区分,23~24%がB区分に認められ,C区分の未同定窒素はWTNの約18%であった.
各サイレージとも,A区分(WTNの5~11%)の大部分は未同定窒素であった。
B区分の不揮発性成分として,高水分の良質および劣質サイレージには,リジン,アルギニンの他にヒスタミンおよびチラミンが認められたが,低水分サイレージではアミンはほとんど存在しなかった.
C区分のアミノ酸の種類を調べた結果から,未同定窒素化合物の大部分は,ニンヒドリン反応陰性の両性化合物であると推定された.
抄録全体を表示