日本畜産学会報
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45 巻, 1 号
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  • IV. ガス産生に対する重炭酸塩緩衝液の役割について
    小原 正哉, 保泉 思郎, 大木 加津子
    1974 年 45 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1974/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    人工第一胃培養液中の重炭酸塩緩衝液の作用が,その基質のVFAs産生速度とガス産生速度との密接な相関関係にどの程度関与しているかを明らかにするため,人工第一胃産生ガス測定実験を行ない,重炭酸塩緩衝培養液へのVFAs添加によるガス産生状況を明らかにするとともに,リン酸塩緩衝培養液でのガス産生像との違いについて検討した.結果を要約すると以下のごとくである.(1) 混合VFAs,酢酸,プロピオン酸およびn-酪酸の各添加により酸の種類にかかわりなく,添加モル濃度に応じてガス産生が行なわれた.その反応は即時的であった.(2) 添加量(YμM/50ml/20min)とガス産生速度(Xml/20min)との間にY=75.18X-56.13,γ=0.998,P<0.001,の回帰式がえられた.(3) リン酸塩緩衝培養液におけるガス産生速度は,重炭酸塩緩衝培養液におけるよりも,供試基質および測定時点に関係なく低く,ガス産生曲線の基質特異性も顕著でなかった.(4) 両培養液における培養10時間内にえられたガス産生速度(ml/hr)の累積値の差は,各基質においてそのTDN値の順位と一致する傾向がみられ,その飼料価値とガス産生曲線の基質特異性との結びつきが示唆された.
  • 佐々木 康之, 渡辺 亨, 佐藤 良樹, 加藤 清雄, 津田 恒之
    1974 年 45 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 1974/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1) 体重約40kgの雌メン羊3頭を供試し,オーチャードグラス乾草を給与して,採食前,中および後に経時に採血,採尿し,動脈血および尿のpH, Pco2, HCO3-濃度を測定して採食にともなう体液酸塩基平衡の変動を検討した.2) 採食前に7.502±0.010であった血液pHは,採食開始とともに急速に低下し,採食開始1時間後に7.400±0.021に達した.血液pH低下の状態は採食中持続し,以後徐々に復元する傾向にあったが,採食停止後もそのpHは採食前値より低い値を示した.短時間内における血液pHの0.10単位の低下は,通常の飼育条件下ではきわめて大きい変化であると思われる.3) 採食によってpHと同様に血漿HCO3-濃度が低下した.また,Pco2の変化も僅かだが減少の傾向を示した.このことから,採食行為によって惹起されたアシドーシス的傾向は呼吸性のものではなく代謝性のものであると考えられた.4) 血液に現われた酸塩基平衡の変動を反映して,採食開始とともに尿pHは7.30±0.11から5.31±0.04に低下し,同時にHCO3-濃度およびPco2が著しく減少した.5) また,採食開始後に血液ヘマトクリット値が上昇し,尿量が減少するなど,採食行為によって体液区分間の水分移動にかなりの変動が生ずるものと推定された.6) メン羊の採食時に唾液分泌量が増加する.この唾液は第一胃内で産生された低級脂肪酸を中和することによって生体内へのH+獲得を抑制するとともに,胃内pHの低下をおさえて第一胃内醗酵の進行を助ける.しかし,このとき血液から唾液に分泌されるHCO3-が増加するために血液HCO3-濃度が減少し,その結果血液pHが低下する.このような酸塩基平衡調節系がメン羊の採食中に成立するものと考察した.
  • 村田 富夫
    1974 年 45 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 1974/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    肥育豚経営の発展は,投入諸要因の増加量と生産性の伸び率に依存しており,個別経営の視点からみれば,投入諸要因は頭数規模の関数で表わされ,生産性は労働の物的生産性すなわち技術進歩率で表わすことができる.肥育豚経営における労働の物的生産性を農林省「肥育豚生産費調査」の結果を利用して,昭和35年から46年までの12ヵ年にわたり計測すれば,年率15.2%の伸長率を示している.ただし,この物的生産性の伸長率は,肥育豚経営の頭数規模の拡大による要因と技術構造の変化による要因との2つの生産性向上要因を含んだものである.したがって,省力化手段の面からみると,両者は区別して考えなければならないが,技術構造の変化による生産性の向上効果は頭数規模段階によって異なるものである.このため,ここでは頭数規模による労働節減効果が大きく低下する頭数規模,すなわち販売頭数で100頭段階以上の規模を前提として,物的生産性の上昇率を計測すれば,年率7%の値になる.このほか,規模拡大による生産性の向上割合,すなわち規模を1単位増加した場合の限界生産性は,年度別にみれば上昇傾向を示しており,この頭数規模拡大による限界生産性を年度別にみると,年率14.0%の上昇率を示している.また,労働の物的生産性を構成する諸要因として,投下労働量,増体重,販売頭数,投下資本量,購入飼料費率(飼料費中に占める購入飼料費の割合)を恣意的に抽出して,労働生産性との関連をみれば次のようになる.労働の物的生産性を時系列的にみて上昇せしめてきた主要因は,購入飼料費率の上昇と販売頭数の増大である.しかしながら,購入飼料費率は昭和46年では93.2%となり,これ以上の上昇は困難である.また,販売頭数においても昭和46年では平均46.2頭となり,頭数規模拡大のみによる生産性の向上効果は今後急速に低下して行くことになる.したがって,労働の物的生産性に関する多元回帰分析の結果が示すように投下資本量の物的生産性に対する限界生産性がマイナスであることから,今後は労働に対する代替的経営手段としての資本投下を高め,その効率化を図ることにより物的生産性の向上を期待すべきであろう.
  • 後藤 信男, 山田 清行, 森 彰
    1974 年 45 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 1974/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本報告は,ブタの週あたり増体量(以下増体量)の成長にともなう変動についてその循環性の有無および変動パターンをしらべたものである.供試したブタはLandrace種3腹,Landrace種♀×中Yorkshire種♂F12腹,中Yorkshire種♀×Landrace種♂F11腹からの腹子計24頭である.うち4腹16頭は去勢,2腹8頭は雌である.供試動物は離乳後各腹別に4頭ずつを1群として実験終了時まで同一飼養条件で舎飼された.体重測定は離乳時よりと殺直前まで7日目ごとに各ブタについて21回行なった.1. 成長にともなう増体量の経時的な変動が循環的であった個体は全供試ブタ24頭のうち20頭(83.3%)であった.コレログラムの検討により,循環的な個体20頭のうち9頭が周期的な変動を示したが,有意な系列相関係数γkの出現状況は個体によって様相を異にした.2. 変動が循環的な個体の枝肉量,枝肉歩留りは非循環的な個体よりやや大であったがその差は有意ではなかった.3. 成長中の増体量の増減程度(δ2:Mean Square Successive Difference)と離乳後の成長,枝肉量および枝肉歩留りとの間にはとくに一定の関係を認めることができなかった.4. 各個体の増体量の変動パターンを比較したところ,同一腹内の個体間で比較的類似していた.これより,増体量の増減様相は遺伝的要因に負うところが大きいことが示唆されるが,マウスでの異なった結果を考慮すればさらに検討する必要があると思われる.
  • 和泉 康史, 西埜 進
    1974 年 45 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 1974/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    第一胃フィステルをつけたホルスタイン種の成雌牛4頭を用い,乾草の摂取量(1日当たり4,6,8,10kg)が第一胃内揮発性脂肪酸の産生ならびに第一胃内性状に及ぼす影響を検討した.その結果は次のとおりである.1) 摂取量により,第一胃内pH,アンモニア態窒素および揮発性脂肪酸濃度が有意に変化した.また,各揮発性脂肪酸の割合において,酢酸,酪酸およびiso-バレリアン酸に摂取量による有意な変化が認められたが,プロピオン酸およびn-バレリアン酸には変化がみられなかった.2) 摂取量の増加により,第一胃内pHは直線的に低下し,アンモニア態窒素および揮発性脂肪酸濃度は上昇した.3) 摂取量の増加により,各揮発性脂肪酸の割合において酢酸およびiso-バレリアン酸が直線的に低下し,酪酸は増加した.プロピオン酸およびn-バレリアン酸には,摂取量による特定の傾向は認められなかった.
  • 渡辺 寛, 永田 俊郎, 光本 孝次, 太田 三郎
    1974 年 45 巻 1 号 p. 36-41
    発行日: 1974/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    5品種の肉用育成めす牛延110頭を,あらかじめ設置した牧草地,野草地,野草+牧草地の植生が異なる条件の放牧地において,5ヶ年間にわたり放牧し,それぞれの放牧地での品種別の増体量を調査した.放牧は各年とも約150日間連続放牧し,濃厚飼料は一切給与しなかった.増体成績の解析は肉牛品種,放牧地を2要因とする2元配置実験として行なった.平均増体日量は,牧草放牧地ではH種,N種,D種は約0.72~0.65kgで,これら3品種間には有意な差は認められなかった.A種は0.58kg, B種は最もすくなく0.43kgであった.一方,野草地ではH種が0.43kg, A種,N種が0.30~0.32kgと牧草地にくらべかなりすくなかったのに対し,B種は牧草地と同じ0.43kgの増体を示した.また,野草+牧草地では,A種,H種,N種とも,放牧地の条件にすなおに反応し牧草地および野草地でのそれぞれの増体量の平均に近い値を示したのに対し,B種は放牧草地の変化に対する増体反応は不明りょうで,この放牧地でもさきの牧草地,野草地とほとんど変らない増体を示した.野草放牧地で明確な角つき順位が認められたので,角つき順位と増体量についても関連を調査したが,強い関連は認められなかった.さらに放牧中および舎飼期に入っいからの季節的な体重変動について品種間比較を試みたが,明確な結果は得られなかった.次に増体量の分散分析の結果から,全分散の中で品種の影響を推測したところ,牧草地では66.1%,牧草+野草地49.2%,野草地23.4%で,増体量については品種の影響力の大きいことがわかった.以上の結果から放牧によってより多くの増体を期待するには,増体の多い品種を選定するとともに,品種に適した放牧地を設定する必要がある.
  • Shu FURUYA, Seiya TAKAHASHI, Shoichiro OMORI
    1974 年 45 巻 1 号 p. 42-44
    発行日: 1974/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    This paper describes a technique for establishing T-piece cannula fistulas in the pig small intestine and comparisons of growth and digestibility of fistulated pigs with those of nonfistulated pigs. Also, degree of leakage of digests around cannulae was checked by measuring the chromic oxide recovery from the feces.
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