日本畜産学会報
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45 巻, 7 号
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  • 三上 仁志, 甲斐 勝利, 佐藤 勲, 阿部 猛夫
    1974 年 45 巻 7 号 p. 381-386
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ランドレース種25頭を用い,超音波を利用した背脂肪層の厚さの測定法の正確性を確かめるとともに,同品種の父親13頭,母親49頭とそれらの子供285頭を用い,本方法の選抜における有効性について検討した.超音波による測定はブタの生体重が90kgになり次第行い,背から腰にかけて10cm間隔で5部位を測定した.と体での測定は,と殺直後に同じ部位を切開し,物差しにより測定し,また,24時間放冷後産肉能力検定の方法により肩,背,腰の3部位を測定した.超音波で2回反復測定した結果,反復率は各部位とも0.9以上と高く,超音波による測定値が再現性に富むことが認められた.超音波による5部位の平均値とと殺直後の5部位の平均値との相関は0.96ときわめて高く,また,産肉能力検定の方法による測定値とも0.88と比較的高い値が得られた.両親の平均値により背脂肪層の厚い組と薄い組とに分けて行った紙上選抜の結果,超音波法で測定した子供の値にも,また,と体で調べた子供の値にも組間で明確な差が認められ,超音波法での選抜の有効性が確かめられた.超音波で測定した背脂肪層の厚さの遺伝率は,父内子供の母親に対する回帰分析から,0.50と推定された.
  • 澤 明, 千秋 達道, 松本 達郎
    1974 年 45 巻 7 号 p. 387-395
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ミネラル組成の異なる飼料をめん羊に給与した場合の第一胃内液中のマクロミネラル(Na,K, Mg, Ca, P, Cl)濃度の経時的変化を測定した.基礎飼料として,A1:とうもろこし(1)と大麦(1),B:米糠とふすま,C1:オーチャード乾草(1),D:アルファルファミール,A2:とうもろこし(2)と大麦(2),C2:オーチャード乾草(2),以上6種類を用いた.さらに各基礎飼料についてNa対K,およびCa対Pの比率をそれぞれ1対1になるようにNaHCO3,およびCaCO3を添加して給与した場合についても同様の測定を行った.飼料は朝8時と夜8時の2回に分けて与え,朝の飼料給与直前および給与後2,4,8,12時間目に第一胃内容物を採取した.飼料の種類によって摂取量の変動の幅が比較的大きかった元素はK, Mg, Ca, Clであった.いずれの飼料もNa含量は低かった.飼料摂取後,第一胃内発酵が盛んになるにつれて第一胃内液のNa濃度は減少したが,その後上昇して12時間後には元の濃度にもどった.K, Mg, CaおよびClの濃度はNaの濃度にほぼ反比例して変化したが,Pの濃度の経時的変動はいずれの飼料の場合も比較的小さかった.第一胃内液の濃度の変動はMg, Caでは主に摂取量の影響をうけ,Naでは唾液の影響を大きくうけ,K, Clでは両方の影響をうけていることがそれぞれ推察されたが,第一胃内のP濃度については,摂取量と唾液の両者のみでは説明がつかなかった.NaHCO3の添加により第一胃内液のK, Mg, Ca, PおよびClの濃度が低下したが,VFAおよびアンモニア濃度は対照区と添加区の間で著しい差はみられなかった.
  • 角田 幸生, 入谷 明, 西川 義正
    1974 年 45 巻 7 号 p. 396-400
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ラット2細胞卵を家兎生殖器管内に移植し,卵の発育におよぼす2,3の条件につき検討した.卵子の浮遊液としてRinger液および10%不動化ラット血清加Ringer液を用いたが,Ringer液では全く発育卵が得られなかった.血清の添加により50%以上の発育卵が得られた.ラット2細胞卵は卵管•子宮接合部結さつ家兎の卵管内で移植1日後大部分4細胞は,3日後大部分8細胞~胚盤胞に発育した.しかし子宮内ではほとんど発育しなかった.卵管•子宮接合部結さつ家兎の卵管から回収したラヅト卵においては,性周期の同期化の程度が移植卵の発育に著しく影響し,両種の動物の排卵期を一致させた場合は一致させない場合に比べて明らかに高い発育率が得られた.
  • 鈴木 惇
    1974 年 45 巻 7 号 p. 401-407
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    めん寒の骨格筋線維のβ-hydroxybutyrate dehydrogenase (β-HBD)活性と飢餓における筋線維の脂肪化との関係を組織化学的方法により調べた.正常なめん羊における筋線維のβ-HBD活性は,SUZUKIの分類による5種の筋線維型で著しく異なっていた.β-HBD反応は,A型筋線維で陰性か微弱,B型筋線維では陰性,そしてC型筋線維では弱陽性であった.D型筋線維は中等度のβ-HBD反応があり,E型筋線維は非常に強いβ-HBD反応を示した.ミオシンATPアーゼ活性が低い筋線維ないし中等度の活性を有する筋線維は,弱陽性ないし強陽性のβ-HBD反応を示すが,高いミオシンATPアーゼ活性を有する筋線維の多くは,β-HBD反応が陰性であった.飢餓における各筋線型のβ-HBD活性の変化は,ほとんど認められなかった.脂肪化を示す筋線維のβ-HBD反応は陽性であった.これらの結果から,飢餓における筋線維の脂肪化は,筋線維の脂肪酸もしくは脂質の利用性と深い関係があるものと考えられる.
  • 渡辺 裕
    1974 年 45 巻 7 号 p. 408-411
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    著者は長年競走能力の評価の方法について模索してきた.最近アメリカで所謂Performance Ratesと称される性能評価の新しい方法が開発された.著者はこれの変法として1972年,中央競馬に出走した全3歳馬について,ゴールに於ける一着馬からの馬身差を基にして,レースごと,個体ごとの平均値から補正してReformanceRatesを計算した.ヘリタビリティはかなり高く(0.64),これまでの指標に比べて性能評価に於てより有用であることがわかった.この方法は選択コースの異なる学生の評点に応用されているが,家畜の色々な性能評価にも適用される可能性が考えられる.
  • 大山 嘉信, 柾木 茂彦
    1974 年 45 巻 7 号 p. 419-423
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    サイレージの発酵に及ぼす温度の影響が埋蔵期間のどの時期に現われるかを検討し,あわせて材料の可溶性炭水化物(SC)含量との関係を知るために,実験室サイロを用いて,イタリアンライグラスおよびオーチャードグラスを材料として3回の実験を行った.いずれも,埋蔵期間10週間を前期2週間と後期8週間に分け,30°-30°,30°-15°,15°-30°および15°-15°の4区を設けてサイレージを調製し,有機酸組成を比較した.なお,このほかに前期終了後に開封して分析する区をも設けた.その結果,材料のSCが多い場合(新鮮物中1.55%)には,30°,15°のいずれも前期においてかなりの量の乳酸が生成し,後期に至ってもC3以上の揮発性脂肪酸(VFA)の生成はほとんど認められず,すべて優れた品質のサイレージが得られた.SC含量が少ない場合(0.49%)には,温度に関係なく前期にかなりの量の酪酸を生じ,最終的にはすべてC3~C6のVFAがきわめて多い極度に劣質のサイレージとなった.SC含量が中間の場合(0.70%)には,30°-30°区ではC3~C5のVFAが生成してきわめて劣質となり,15°-15°区ではC3以上のVFAはなく,かなり良質となった.また,30°-15°区および15°-30°区ではC4以上のVFAは生成しなかったが,酢酸と乳酸の比が大きく,品質は良好でなかった.
  • Hiroshi MASUDA, Yasushi WAIDE, Tatsuo HOSODA
    1974 年 45 巻 7 号 p. 424-425
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • V. 可消化養分総量および可消化粗蛋白質評価への応用
    小原 正哉, 山本 勝夫, 大木 加津子
    1974 年 45 巻 7 号 p. 477-487
    発行日: 1974/07/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    各種飼料を基質として人工第一胃によってえられるガス産生曲線上の2つの時間域における実測ガス産生速度の各平均値(V1V2:ml/hr)を用いて,それらが基質のTDNとDCPの評価に応用できるかどうかを検討した.V1時間域としては培養1時間後からの2時間を,V2の時間域としてはその後の最高ガス産生速度時点を含む2時間を用いた.とくに培養3時間以後に最高ガス産生速度のない基質においてはトウモロコシのV2時間域を用いた.結果の概要は以下のごとくである.1) トウモロコシ(C)とダイズ粕(S)の各(V1+V2)値はC<Sを示し,それらの既知TDNが示すC>Sとは逆であった.2) 基質を易醗酵性成分量(m1)と非易醗酵性成分量(m2)に分けて,TDN α (m1+m2)の開係を設定して仮説を展開したところ,最高ガス産生速度時点にいたる培養時間(t),およびV1からV2に加速されるに要する時間(t')によって定まるn=t/t'なるn値に関し,TDN α (V1+nV2)の関係があるものと考えられた.3) 1実験内でえられる各種飼料のV1,V2値は各飼料にし,TDN=1.3V1+2.2V2+26.2,R=0.980,(P<0.001),の重相関関係を示した.4) 各種飼料をそれぞれ数回以上実験してえられた平均(V1+nV2)値においてはTDN=1.1(V1+nV2)+25.5, r=0.986,(P<0.001),の関孫をえた.5) 各種飼料の粗蛋白質含量(CP%)についてえられるCPガス指標(PGI)=CP×(V1+nV2)/100とDCPとの間にはDCP=2.0(PGI)-0.5, r=0.970, (P<0.001),の関係が認められた.
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