ミネラル組成の異なる飼料をめん羊に給与した場合の第一胃内液中のマクロミネラル(Na,K, Mg, Ca, P, Cl)濃度の経時的変化を測定した.基礎飼料として,A
1:とうもろこし
(1)と大麦
(1),B:米糠とふすま,C
1:オーチャード乾草(1),D:アルファルファミール,A
2:とうもろこし(2)と大麦(2),C2:オーチャード乾草
(2),以上6種類を用いた.さらに各基礎飼料についてNa対K,およびCa対Pの比率をそれぞれ1対1になるようにNaHCO
3,およびCaCO
3を添加して給与した場合についても同様の測定を行った.飼料は朝8時と夜8時の2回に分けて与え,朝の飼料給与直前および給与後2,4,8,12時間目に第一胃内容物を採取した.飼料の種類によって摂取量の変動の幅が比較的大きかった元素はK, Mg, Ca, Clであった.いずれの飼料もNa含量は低かった.飼料摂取後,第一胃内発酵が盛んになるにつれて第一胃内液のNa濃度は減少したが,その後上昇して12時間後には元の濃度にもどった.K, Mg, CaおよびClの濃度はNaの濃度にほぼ反比例して変化したが,Pの濃度の経時的変動はいずれの飼料の場合も比較的小さかった.第一胃内液の濃度の変動はMg, Caでは主に摂取量の影響をうけ,Naでは唾液の影響を大きくうけ,K, Clでは両方の影響をうけていることがそれぞれ推察されたが,第一胃内のP濃度については,摂取量と唾液の両者のみでは説明がつかなかった.NaHCO
3の添加により第一胃内液のK, Mg, Ca, PおよびClの濃度が低下したが,VFAおよびアンモニア濃度は対照区と添加区の間で著しい差はみられなかった.
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