日本畜産学会報
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45 巻, 8 号
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  • 中広 義雄, 一色 泰, 田先 威和夫
    1974 年 45 巻 8 号 p. 427-432
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏盲腸における粗繊維消化機能の有無を知るために,4ヵ月齢の単冠白色レグホン種を用いて4回の実験を行い,次のごとき結果を得た.1) 盲腸糞排泄の時刻別瀕度は,早朝において高く,午前中にその大部分が排泄された.実験終了後全供試鶏を時刻別に屠殺して盲腸内容物の量を測定した結果,夕刻以後深夜まで経時的に増加した.2) 時刻別による腸管内容物の粗繊維含量は,回腸下部および直腸の内容物では一定の傾向を認めなかったのに対し,盲腸内容物では16~20時に高く,それ以後は経時的に低下した.また,各腸管内容物の粗繊維に対する酸化クロムの含量比も粗繊維含量の場合と同様に,盲腸以外の腸管内容物では一定の傾向がみられなかったが,盲腸内容物では16時に最高を示し,それ以後は経時的に低下した.しかも他の腸管内容物に比し常に著しく低かった.3) 粗繊維含量の異なる2種類の配合飼料を給与した場合の腸管内容物の粗繊維含量を測定した結果,盲腸内容物では回腸下部および直腸の内容物に比しおよそ半量の値を示した.このことは,腸管内容物が盲腸内に移動する際に,低繊維部分が選択的に流入することを示している.4) 粗繊維,セルロースおよびペントザンの消化率は,いずれも盲腸の結紮により変化しなかった.以上の結果より,鶏の粗繊維消化において盲腸の果す役割はきわめて小さいことが示唆された.
  • 村田 富夫
    1974 年 45 巻 8 号 p. 433-439
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    肥育豚経営の生産構造は,肥育豚を能率的に生産するために,労働力,飼料,素豚,豚舎施設などの技術的生産要素が一定の規則の下に結合されたものであり,それらが一定の組織的な構造関係のもとに統一されたときに生産構造となる.これは,経営の物的生産力を湧出するものであり,これを経済的に把握すると費用構造を形成する.したがって,経営の費用構造を把握することにより,経営の物的生産構造を推定し,その合理化のための経営技術を解明することが可能になる.このため,本稿においては肥育豚経営の費用構造を飼養規模との関連で分析し,肥育豚経営の規模拡大を阻害する経営的および技術的諸要因を究明しょうとするものである.ここでは,昭和47年度農林省「肥育豚生産費」を素材として分析を行った.肥育豚生産の短期平均費用を販売頭数規模別に二次関数で求めた結果によれば,販売頭数規模が大きくなるほど,二次曲線の勾配は小さくなり,U字型曲線から円滑な凹型曲線に移行する傾向にある.このことは,頭数規模の大きい階層では一定の生産設備下での操業度すなわち販売頭数の大小による1頭当たり生産費用の変動は小さくなり,養豚設備の拡大により,一定限度内での飼養頭数の変動に対する経営の弾力性が高まることを意味する.長期平均費用曲線より,最低生産費をもたらす販売頭数規模を求めると,それは318になる.また,肥育豚経営全体として最大の利潤をもたらす頭数規模すなわち,限界利潤の零となる販売頭数は579頭である.したがって,前述のように販売頭数規模の大きい階層では操業度によるコストの変化は小さくなるので,養豚の平均的な費用構造を前提とすれば,販売頭数で600頭前後の階層に適正規模が存在することになろう.つぎに,上述の考察は生産費用を一括して検討したものであったが,これを個々の費用勘定科目ごとに販売頭数との関連で分析してみると,生産費用は下記のように4つの科目に分類することができる.すなわち,生産費用は(1) 漸減•逓増費用,(2) 逓減費用,(3) 漸増•逓減費用,(4) 不定費用に区分される.このため,経営技術的には漸減,逓増費用である子豚費,建物費,水道光熱費,獣医師•医薬品費などについて規模拡大によるコスト増加をおさえることが必要である.とくに,もと畜費のコスト低減を図ることが肥育豚経営規模拡大のための最も効果的な経営技術である.
  • II. 固形分16%の脱脂粉乳溶液について
    小此木 成夫
    1974 年 45 巻 8 号 p. 440-445
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    前報2)において,8.33%脱脂粉乳溶液の脱塩による理化学的性状変化を報告した.本報においては,濃度の変化による影響をみる目的で16.14%の個形分濃度の脱脂粉乳溶液を前報2)と同様の方法で脱塩してその性状変化を分析し,その結果を前報2)の結果と比較検討した.1) 前報2)と同じく固形分濃度16.14%で脱塩した場合でも比電気伝導度(κ)が初期の値の1/20,および灰分含量が初期の値の1/6.2となるまでは,何ら不都合を生じることなく脱塩できた.2) 脱脂粉乳溶液の濃度が8.3~16%の間で変化しても,各塩類は一定の減少傾向を示すことが明らかになった.3) 固形分量でみた処理能力は,前報2)に比べて本報の場合1.65倍となったが,これはスタート時に使用した電流に比例しており,能力面での最適条件をスタート時の限界電流密度で比較して決定しうることが明らかになった.
  • 松風 和夫, 山本 興三郎, 河野 憲太郎
    1974 年 45 巻 8 号 p. 446-452
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    エストロゲン投与雛血清の電気泳動分析と血清ビテリン反応との関係を明らかにする為に,60日齢白色レグホーン種雛にエストロゲンを11日間投与し,得られた血清および超遠心分離により分離された血清試料につきディスク電気泳動を実施し,並行して血清ビテリン反応観察を行った.デイスク電気泳動は7.5%,3.75%アクリルアミドゲルを使用し,アミドブラックおよびズダンブラック染色を行い,泳動像と各分画の濃度を記録した.また泳動後のゲルを各分画ごとに切断し,8%食塩水中で溶出させ,その溶液で血清ビテリン反応を観察した.その結果は次の通である.1) 7.5%ゲル泳動アミドブラック染色:I~XIVの分画に分かれ,I,IV,VII,VIII,Xの分画で血清ビテリン反応との間に相関関係が認められた.Iの分画では0.809,Xの分画では0.524の正の相関,IV,VII,VIIIの分画ではそれぞれ-0.553,-0.525,-0.491の負の相関であった.2) 3.75%,7.5%の重層ゲル泳動:1~13の分画に分離し,血清ビテリン反応との相関は1の分画で0.917,9の分画で-0.851,10の分画で-0.884であった.これら1,9,10の分画はズダンブラックでも染色され,分画1は上記の分画Iと対応するものと考えられた.3) 各分画の溶出液による血清ビテリン反応:1の分画で微弱ではあるが反応が観察された.以上の結果および従来の種々の報告の結果から考察して,1の分画および10の分画はそれぞれβ-,α-リポ蛋白と推測された.またエストロゲン投与雛血清の血清ビテン反応の強さはβ-リポ蛋白が量的に増大し,α-リポ蛋白が減少した時に強く現われるものと考えられた.
  • 宮崎 昭, 川島 良治, 上坂 章次
    1974 年 45 巻 8 号 p. 453-457
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Three experiments were carried out to study effects of kinds and nutritional levels of rations on methemoglobin formation of wethers by dietary nitrate. In the experiments 1, 2 and 3, three, four and four animals were used respectively. Every animals in the experiment 1 were fed one kind of rations (table 1, Ration 1) for nine days. On the tenth day, 62.4mg of nitrate nitrogen per kg of body weight was administered into rumen by stomach tube just after they had ingested the morning diets. Such treatments, using the other two kinds of rations (table 1, Ration 2 and 3), were conducted at the interval of ten days. Those in the experiments 2 and 3 were fed five and four kinds of rations (table 2 and 3) and were treated equally as in the experiment 1 for 50 and 40 days. After administration of nitrate, nitrite nitrogen concentrations and pH values of rumen fluid and methemoglobin in blood under the different feeding conditions were determined periodically. From the results of these three experiments, it was showed that addition of small amounts of concentrates such as formula feed, cracked barley and soybean meal with timothy hay resulted in more methemoglobin formation than in the case of feeding hay only. It may be due to active nitrite accumulation in rumen fluid under such conditions. However, feeding excess amounts of concentrates, especially those high in energy contents, caused less nitrite accumulation in rumen fluid and methemoglobin formation in blood than those of feeding timothy hay only. Ruminal pH values seemed to decrease when the levels of concentrates in the diets increased. Especially when 30 percent of the diets consisted of concentrates high in energy contents, such as formula feed or cracked barley, pH values went down beyond 5.5. Under such feeding conditions, it was observed that nitrite nitrogen concentration of rumen fluid and methemoglobin in blood were remarkably low.
  • 斎藤 守, 高橋 正也
    1974 年 45 巻 8 号 p. 458-464
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    前回の実験1)において,低エネルギー飼料(可消化エネルギー含量:2.3Kcal/g)給与時の妊娠19日のラットの母体の肝臓が異常に白く,その表面に脂肪様の小滴の存在するのが認められた.この現象は,肝臓への脂肪の蓄積によっているものと推測されたので,本報では主として妊娠中の母体の肝臓の脂肪含量の変化および脂肪の蓄積の機作について検討した.その結果,高エネルギー区の母体の肝臓の脂肪含量は,妊娠の進むにつれ著しく減少した.一方,低エネルギー区のそれは妊娠の進行につれ逆に著しく増加し,妊娠19日目では7日目のそれの約1.6倍にも達した.しかし,この肝臓への脂肪の著しい蓄積は,リノール酸または塩化コリンの添加により有意に緩和された.コリンは,生化学的には体内で合成されることが知られているので,この主因は低エネルギー飼料中の必須脂肪酸含量の不足によるものと結論された.また,胎児の脂肪含量は,リノール酸またはコリンの添加により有意に増加した.胚胎の生存率に関しては,リノール酸の添加は,無添加の場合とほぼ同じであった.しかし,塩化コリンを添加した時には,無添加の場合に比べ有意に低下し,その損耗の約50%までが妊娠中期において生じていた.
  • 石田 一夫, 寺井 唯二, 楠原 征治, 山口 本治
    1974 年 45 巻 8 号 p. 465-466
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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