日本畜産学会報
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56 巻, 4 号
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  • 阿部 亮, 箭原 信男, 篠田 満, 岩崎 薫
    1985 年 56 巻 4 号 p. 281-287
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    15点の市販配合飼料と7点の配合飼料原料についてめん羊による消化試験を実施した.供試した配合飼料原料は大豆粕,綿実粕,アマニ粕,フスマ,コーングルテンフィード,大麦ジスチラーズグレインソリュブルおよびトウモロコシ-大麦ジスチラーズグレインソリュブルの7点である.配合飼料の消化試験の結果,めん羊の個体間に5%以上のTDN含量の差が見られるものが6点あり,そのTDNの変動は,おもに可消化炭水化物の含量に起因する事が分かった.これを更に詳細に検討するために行なった油粕類,製造粕類の消化試験においても同様にTDN含量のめん羊個体間差が大きかったが,これはおもに繊維性構造炭水化物の可消化量の変動に由来する事が分かった.
  • 佐野 宏明, 高橋 潔, 安保 佳一, 津田 恒之
    1985 年 56 巻 4 号 p. 288-294
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    暑熱暴露開始直後における血液グルコースの代謝動態を知るために,めん羊を20,30および35°Cに10時間暴露した.その間,一般生理反応,血液成分および血液グルコース代謝のパラメーターを測定した.血液グルコース代謝の測定には[U-14C]グルコースの同位元素希釈法を用いた.暑熱暴露により呼吸数の著増,直腸温の上昇などめん羊の一般生理反応に暑熱の影響が明らかに発現した.血漿グルコース濃度はいずれの環境においても大きな変動は観察されなかった.20°C環境において血漿遊離脂肪酸濃度は徐々に増加し,血漿サイロキシン濃度は変化しなかった.30°Cおよび35°C暴露時には血漿遊離脂肪酸濃度の経時的な上昇は抑制される傾向を示し,血漿サイロキシン濃度は暴露後半に低下した.20°Cおよび35°C暴露時における血液グルコースの供給速度および利用速度はほぼ一定に保たれた.30°C暴露時には暴露開始2時間目まで若干増加し,その後徐々に暴露前の値にもどる傾向を示した.暴露後半における血液グルコースのプール•サイズは35°C暴露時に若干低い傾向を示した.以上の結果から,暑熱暴露開始直後には血液グルコース代謝はほとんど変化しないことが明らかにになった.
  • 冨田 守, 福渡 康夫, 田村 吉隆, 溝田 輝彦, 荒木 一晴, 清澤 功, 小此木 成夫, 荒井 珪
    1985 年 56 巻 4 号 p. 295-305
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 平板型UFP-10限外〓過装置を用いて,加熱処理条件,〓過温度,pH,脂肪含量および〓過膜種(IRIS3038および3072)の限外〓過処理条件が,牛乳の透過液流束ならびに分画液の理化学的性状に及ぼす影響について検討した.2. 平均透過液流束は,殺菌条件,〓過温度および膜種の影響を受けた.濃縮倍率1.1倍時の透過液流束と濃縮倍率2および3倍までの平均透過液流束は高い相関を示した.3. 濃縮液のpHは,いずれの源過処理条件においても,濃縮によりほとんど変化しなかった.酸度の透過性画分比率は,殺菌温度および〓過温度の昇温ならびに供試牛乳のpH低下に伴ってやや上昇した.4. 膜透過性溶質の平均分子量は,〓過温度の上昇により増加したが,供試牛乳のpH低下により減少した.透過性非乳糖溶質の平均分子量はいずれの場合とも増加した.5. 濃縮液の粘度[η(cp)]は,濃縮倍率をNとしてη=A•exp (B•N1.4)で表現された.濃縮に伴う増加率を表わすB値は,検討した全ての〓過処理条件の影響を受けて変化した.6. 濃縮液のレンネット凝固時間は,濃縮に伴って,未殺菌牛乳•10°C〓過では変化しなかったが,殺菌牛乳•15°C〓過で短縮し,逆にpH 5.8の牛乳で延長した.〓過温度50°Cでは一度短縮した後延長した.7. 濃縮液のカードテンション[CT(g)]は,濃縮倍率をNとして,CT=A•NBで表現された.濃縮に伴う増加率を表わすB値は,殺菌および脱脂により上昇し,膜種の変更(IRIS 3038→3072)により低下した.8. 濃縮液の130°Cにおける熱安定性は,濃縮倍率の上昇に伴って低下したが,〓過処理条件を変更しても,pH-熱安定性曲線のパターンは大きく変化しなかった.9. 乳清蛋白質の阻止係数は,85°C10分間殺菌牛乳およびIRIS 3072膜分画において低値となった,非蛋白質態窒素の透過性画分比率は,IRIS 3072で高率であった.
  • 菅野 茂, 広瀬 昶, 竹村 勇司, 松本 英人, 古川 良平, 仮屋 喜弘
    1985 年 56 巻 4 号 p. 306-311
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    育成牛に対する山地放牧の影響を調べるために,5~8ヵ月齢のホルスタイン種ならびに黒毛和種去勢牛各20頭を2群に分け,1群は華地試験場(標高330m)内,他の1群は八郎ケ原放牧場(標高950m)で夏期の5~6ヵ月間放牧育成し,その前後における心拍数および右心室内圧の自律神経作動薬に対する反応を比較した.被検牛は終牧後ただちに肥育試験に供用されたが,その各段階における屠殺解体時に入手した心臓の形態計測を実施し,群間,品種間の比較を行なった.自律神経作動薬負荷時の反応は総じて,加齢にともなって減少し,山地放牧によって増大するが,反応のパターンには品種による相違がみとめられた,体重に対する心重量の割合には,山地放牧経験の有無あるいは品種によっても差異がみとめられなかったが,終牧直後における山地放牧群の右心室壁厚は相対的に増大しており,平地飼養期間の延長によって,この変化は消失することが明らかにされた.
  • 大城 政一
    1985 年 56 巻 4 号 p. 312-317
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    反芻家畜への強制給餌により引き起こされる反芻行動とその他の生理諸元の変動に及ぼす影響を検討する目的で,雄ヤギ2頭を供試し,正常採食強制給餌および絶食の3種の実験を5回繰返して行なった.12~18時の採食と強制給餌実験において,前者の採食時間295分は後者にみられた再咀嚼時間168分の1.8倍であった.この両者の呼吸数と心拍数の増加に対する効果は,前者が後者より高かった.第一胃内温と直腸温の間には高い相関係数(r=0.93,P<0.01)が示された.強制給餌実験の再咀嚼時間(436分/日)は,正常採食実験値(431分/日)とほぼ同じであったが,再咀嚼回数(52,633回/日)は正常採食実験値(34421回/日)より多かった(P<0.01).反芻時間と反芻回数において,強制給餌実験でそれぞれ707分/日,1443回/日で,正常採食実験の510分/日,487回/日より高い値であった(P<0.01).一反芻当りに要した時間は,正常採食実験で63秒,強制給餌実験で29秒,絶食実験で29秒であった.強制給餌実験の反芻運動は反芻当りの再咀嚼(顎運動)回数,再咀嚼速度およびその他の反芻運動要素からして,絶食実験に近い反芻運動を示した.
  • 清水 弘, 山舘 忠徳, 粟田 崇, 上田 純治, 八戸 芳夫
    1985 年 56 巻 4 号 p. 318-332
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    6週齢体重選抜系統群と無選抜対照系統群について,前肢,後肢,脊柱,肩甲骨,寛骨を含む主要骨格の11部位の体重あるいは上腕骨長に対する3~9週齢の相対発育係数を系統群間で比較し,体重選抜がマウス骨格の発育と体形に及ぼす影響を検討した.選抜群マウスはすべての骨部位で対照群より大きかった.雄の相対発育係数は群間に有意な差は認められず,発育に伴って,両群の各部位は同様の発育様相を示した.しかし,雌マウスでは,寛骨長と胸椎長に群間の有意な差が認められ,いずれの相対発育係数とも体重選抜系統群が小さかった.9週齢の発育値では,選抜群は対照群に比較して,骨格の体重に対する比率が小さく,また上腕骨長に対する比率が大きかった.体重選抜は体高(前肢の長さ)よりは体長と後躯を大きくする傾向を示した.
  • 小島 洋一, 岡野 寛治
    1985 年 56 巻 4 号 p. 333-340
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    バイパス蛋白質を増加させる手段として,蛋白質飼料に加熱処理またはホルマリン処理を行なった場合の,反すう胃内発酵および細菌態蛋由質量の変化について予備的な知見を得るために2回のin vitro発酵試験を行なった.試験1では通風乾燥器内で150°C 2時間の加熱処理をした大豆粕およびカゼインを,また,試験2ではCPの1%に相当するホルマリンで72時間処理をした大豆粕およびカゼインを,牛第一胃液を1に対してMCDOUGALL人工唾液を1混合した培養液にて24時間培養し,それぞれ無処理の場合と比較した.
    VFA濃度は大豆粕,カゼインともに無処理で高くなった.ホルマリン処理カゼインでは時間の経過にともなうVFA濃度の増加が認められなかった.アンモニア態窒素濃度は無処理区で高く,とくに24時間後の無処理カゼインが著しく高かったが,ホルマリン処理カゼインでは時間の経過による変化はほとんどみられず,ホルマリン処理大豆粕では時間の経過とともに低くなった.
    ジアミノピメリン酸を指標物質として用い,細菌態N量を算出し,その値とNH3-N量から24時間培養後の蛋白態Nの分解率(%)を求めた結果,試験1では加熱処理大豆粕,無処理大豆粕,加熱処理カゼインおよび無処理カゼインでは,それぞれ6.7,34.3,13.3および42.3であった.また,試験2ではホルマリン処理大豆粕,無処理大豆粕,ホルマリン処理カゼインおよび無処理カゼインの分解率は,それぞれ,0.6,32.6,0.0および58.0であった.
  • 大谷 元, 守田 早一郎, 鴇田 文三郎
    1985 年 56 巻 4 号 p. 341-346
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    β-ラクトグロブリンとラクトースの褐変反応物(Lac-β-Lg)の調製時にβ-ラクトグロブリン自体の熱変性により形成された抗原決定部位の位置を知る目的から,BNPS-スカトール処理をしたペブチド25-107より単離したペプチド25-61および62-107と抗Lac-β-Lg血清との反応性を調べた.
    ペプチド25-107はS-カルボキシメチル化β-ラクトグロブリンと抗Lac-β-Lg血清との定量沈降反応を約60%阻害したが,ペプチド25-61と62-107の混合物はわずかに32%しか阻害しなかった.また,同じ反応系における各単独ペプチドの阻害性を調べると,ペプチド25-61は30%,ペプチド62-107は5%であった.さらに,酵素免疫測定法においてもペプチド25-61にのみLac-β-Lgに対するIgG抗体との反応性が認められたが,その反応性はペプチド25-107の場合よりも明らかに低かった.
    これらの結果より,Lac-β-Lgの調製時にβ-ラクトグロブリン自体の熱変性により形成された抗原決定部位のいくつかは,β-ラクトグロブリンの一次構造上25-61域,並びに61番目のトリプトファン残基付近,またはペプチド25-107のBNPS-スカトール処理は化学修飾を受ける残基の周辺に位置するものと考えられる.
  • 青木 孝良, 加香 芳孝
    1985 年 56 巻 4 号 p. 347-352
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    加熱によりミセルから遊離する可溶性k-カゼインとミセルに残存するミセルk-カゼインとの違いを調べた.k-カゼインは,135~140°Cで15秒間加熱した濃縮乳清蛋白質除去乳の可溶性カゼインとミセルカゼインとから,セファアクリルS-300のカラムを用いたゲル濾過により調製した.可溶性k-カゼインはミセルk-カゼインより,わずかながらαs1-カゼインに対する安定化力がすぐれていた.可溶性k-カゼインのシアル酸およびヘキソサミン含量は,ミセルk-カゼインのそれよりやや高かった.糖含量の少ないk-カゼインより糖含量の多いk-カゼインの方が,加熱によりミセルから遊離しやすいのは,k-カゼイン各成分の会合特性やミセル内の分布の違いによるものと推測された.
  • 宮本 元, 石橋 武彦, 中野 栄
    1985 年 56 巻 4 号 p. 353-360
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    イノシシ(雄)とブタ(雌)の交雑によっていわゆるイノブタが生まれるが,イノブタはブタに比べ繁殖能力や発育などに差異があるといわれいる.Δ5-3β-ステロイド水酸基•脱水素酵素(3β-HSD)はプレグネノロンからプロジェステロンの,デヒドロエピアンドロステロンからアンドロステンジオンの生成に必要である.イノブタ卵巣の機能を明らかにするため,卵巣中の3β-HSD活性について絹織化学的に検討した.成熟イノブタ13頭と春機発動期の3頭から卵巣を採取し,BlahaとLeavittの方法に準じて本酵素を検出した.卵胞腔形成前の卵胞には3β-HSDは存在しなかった.基質としてプレグネノロンを用いた場合,卵胞腔を有する胞状卵胞の卵胞膜内層に3β-HSD活性が存在し,顆粒層と卵胞膜外層には存在しなかった,胞状卵胞が発育するにつれて卵胞膜内層の酵素活性が増し,発情前期と発情期別直径5mm以上の卵胞の卵胞膜内層は中等度の酵素活性を示した.閉鎖卵胞の卵胞膜内層の酵素活性は正常卵胞に比べて低下した.プレグネノロンを基質として用いたとき,黄体の酵素活性は発情後期と発情休止期に中等度であり,その後活性は低下した.間質腺には一般に弱い酵素活性が存在し,中等の活性のみられることもあった.春機発動期のイノブタ卵巣における3β-HSDの分布は成熟イノブタのものに似ていて,胞状卵胞の卵胞膜内層と間質腺に酵素活性が存在した.使用した5種類の基質のうち,エピアンドロステロンがもっとも強い活性を示し,デヒドロエピアンドロステロンはプレグネノロンより強い活性を示した.これらの成績から,イノブタ卵巣でのプロジェステロン合成には黄体が主要な役割を果たし,直径5mm以上の胞状卵胞の卵胞膜内層もプロジェステロン合成に関与していると思われる.
  • 小山 雄生, 須藤 まどか, 米山 忠克
    1985 年 56 巻 4 号 p. 361-363
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 大森 保成, 渡辺 徹, 藤岡 俊健
    1985 年 56 巻 4 号 p. 364-366
    発行日: 1985/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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