日本畜産学会報
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62 巻, 10 号
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  • 八巻 邦次, 寒河江 洋一郎
    1991 年 62 巻 10 号 p. 925-932
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    めん羊の成長と遺伝的パラメータを明らかにするために1982年から1984年までの北海道滝川畜産試験場の4品種のめん羊,サフォーク(SF),チェビオット(CH),ポールドーセット(PD)とサウスダウン(SD)について調べた.成長にっいての分析に供しためん羊の総数は1,421頭のラムである.すべての体重の測定値は正確な月齢体重になるように線形補完法で補正された.これらの品種の成長曲線はほとんど平行に推稚しSF>PD>CH>SDの順であった.SFの体重はニユージランドのそれと同等であったが,CHとSDは小さく,特にSFにっいて遺伝的改良が顕著であった.SFの生時,離乳時体重と離乳前増体はその他の品種よりも有意に大きかった.また,三子で産まれた1子を里子に出す方法は効果的であった.母羊の年齢が4才から6才の間にその子羊の成長能力のピークがあった.SFでは生時体重,離乳前増体,14カ月齢体重の遺伝率はそれぞれ,0.130±0.060,0.340±0.113,0.660±0.223であり,成長にっれてその値は大きくなった.生時体重と離乳前増体,離乳時体重と14カ月齢体重,離乳時体重と離乳後増体の遺伝相関はそれぞれ,0.322±0.281,0.430±0.265,-0.302±0.289であった.
  • 小澤 明仁, 甫立 孝一, 宮本 進, 大谷 文博, 對馬 敏夫, 上家 哲
    1991 年 62 巻 10 号 p. 933-938
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    牛血中インシュリン様成長因子-I(IGF-1)のラジオイムノアッセイ(RIA)による測定法を検討するとともに,ホルスタイン種の育成雌牛の血中GHとIGF-Iの日周変動ならびに牛成長ホルモン(GH)投与に対する垂中IGF-Iへの影響を測定して次の成績を得た.血中におけるIGF-IはIGF結合蛋白質と固く結合しているため,酸エタノール抽出を行ない,次いで二抗体法によるRIAを測定した.血中GHはRIAで測定した.平常状態における血中GHとIGF-Iの日周変動を観察するため,乳用育成牛4頭(ホルスタイン種,雌,12カ月齢)に頚静脈カテーテルを装着し15分間隔で24時間にわたる採血を行なった.血中GHは不規則な脈波状濃度変化を示したが,給飼により分泌が抑制された.一方,血中IGF-Iの日周変動は小さかった,各個体の24時間のGHの平均値±標準偏差(ng/ml)はそれぞれ3.1±2.2,5.0±4.3,7.0±6.0,9,5±11.7となり,対応する個体のIGF-Iはそれぞれ34.3±5.5,36.5±6.7,41.2±11.0,48.6±6.1であり,平均血中GH濃度の高い個体は高い平均血中IGF-I濃度を示した.(r=0.98,P<0.05)また,遺伝子組み替え技術により製造されたGH(rbGH,500μg/kgBW)を12カ月齢育成雌牛4頭に1回皮下投与して血中GHおよびIGF-Iの濃度変化を観察した.血中GHは投与4-6時間後に最高値(4時間後:154±47ng/ml,6時間後:155±56ng/ml)を示し,その後徐々に減少,32時間以内に投与前値に回復した,一方,血中IGF-IはGH投与6時間後から上昇し始め,10時間後に投与前に比べて有意に高くなり(P<0.01),72時間後においても投与前値を上回った(P<0.01).
  • 松本 光人, 小林 剛, 板橋 久雄
    1991 年 62 巻 10 号 p. 939-946
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ルーメンプロトゾアが尿中アラントイン排泄量に及ぼす影響について検討した.結果については,尿中アラントイン排泄量が小腸で吸収される微生物体蛋白質量に比例するとの前提で考察した.試験は2回行ない,それぞれ6頭の日本ザーネン種去勢ヤギを用いた.このうち半数はルーメンプロトゾア不在ヤギ,残りの半数はプロトゾア存在ヤギとした.
    尿中アラントイン排泄量は,プロトゾア存在ヤギに比較して不在ヤギで高まる傾向が示された.プロトゾア不在ヤギにおいては,可消化有機物(DOM)摂取量がルーメン微生物体蛋白質合成の制限因子と考えられる場合には尿中アラントイン排泄量はDOM摂取量に比例して増加した.また,ルーメン微生物への窒素の供給が制限因子と考えられる場合には,尿素摂取量の増加に伴い尿中アラントイン排泄量が増加した.尿中のアラントイン/クレアチニン比も同様の結果を示した.一方,存在ヤギにおいては,尿素摂取量が増加しても尿中アラントイン排泄量は変化しなかった.このにとは,尿素が窒素源として給与される場合には,ルーメンプロトゾアの存在により小腸で消化吸収される微生物体蛋白質量が減少することを示している.
  • 藤田 裕, 松岡 栄, 高橋 潤一, 熊瀬 登
    1991 年 62 巻 10 号 p. 947-954
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    オーチャードグラス主体1番草から調製した14組の乾草とサイレージにっいて第一胃内における蛋白質分解率を測定し,一般化学組成との関係を根関および重回帰分析により解析するとともに,化学組成による蛋白質分解率の予測が可能かどうかにっいて検討した.
    メン羊を用いたin situナイロンバッグ法によるdg価(可消化乾物の90%が消失する時点の粗蛋白質消失率から推計)は,乾草,サイレ一ジともに繊維性成分含量との相関が高く,dg倒に対して最も高く有意な単純相関をもっ化学成分は,乾草では糧繊維(r=0.927),サイレージではNDF(r=-0.939)であった.
    重回帰分析の結果,dg価の化学組成による線形予測の精度は,繊維成分単独よりも,乾草では粗脂肪,サイレージではNPNを独立変数として加えることにより改善された.上記の各2成分(乾草:粗繊維と粗脂肪,サイレージ:NDFとNPN)を独立変数とするdg価の線形予測式の決定係数は乾草では0.908,サイレージでは0.928であり,これらの化学成分含量からdg価の予測が可能なことが示唆された.
  • 田中 博, 黒田 和孝, 長田 隆, 代永 道裕, 鈴木 睦美, 稲葉 満
    1991 年 62 巻 10 号 p. 955-962
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    畜産の悪臭の主要成分のーつである低級脂肪酸(VFA)の畜産業からの発生状況を把握し,悪臭対策を確立するために現地調査を実施した.
    VFAの分析は環境庁制定のアルカリ•ビーズ法を一部改変して行なった.現地調査は畜試の畜舎,家畜排泄物処理施設および周辺の養豚場2個所を主とし,適宜一般の畜舎施設の調査を加えた.管理がよく,スノコ,ニップル飲水器等を備えた採卵鶏舎内のVFAはプロピオン酸(C3)でも2.4ppb以下と低く,環境も良好であった.ブロイラー鶏舎(新聞故紙敷料)では糞の堆積,湿潤化に伴い20.3ppmのアンモニアと共存して多量のVFA(n-酪酸,C4で97.4ppb)がみられた.搾乳牛舎ではサイレージ給飼時にC3やC4が増加したが糞尿由来は少なかった.これに対し,肉豚舎では管理がよくてもVFAはやや高めであった.さらに周辺の豚舎の仔豚舎,肥育舎などではC3,C4は数十ppb,ときには各々170,131ppbに達し夏期ばかりでなく冬期でも高濃度であった.これらの豚舎構造は部分スノコ床構造でスクレーパ,オーガー搬送又は糞尿混合処理であった.一方床の管理のよいオガ屑豚舎では夏冬期ともVFAはC3,C4で5.9,2.2ppb以下と比較的低濃度であった.処理施設では豚糞発酵乾燥施設入口で高い例がみられたが,豚糞急速堆肥化物置場,堆肥化排気,堆肥盤,鶏糞発酵機室,同堆積場,岡発酵乾燥施設,汚水処理施設等では処理物を含めてVFAは僅かでC3,C4で2.9,1.5ppb以下であった.
    以上,VFA等の臭気の発生には舎内管理だけでなく畜舎構造および施設が特に関連が深いという結果がえられた,同時に,生物学的処理過程で容易に除去されることも示唆された.
  • 白山 琢持, 上原 孝吉, 岡村 浩
    1991 年 62 巻 10 号 p. 963-971
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    原料皮の脱毛石灰漬排液に硫化物を添加し循環利用を行なう場合,排液中の毛がスラリー状となり排液のろ過が著しく困難である.そこで,原料皮を水酸化カルシウム溶液で前処理し,毛に硫化物に対する抵抗性(免疫)を付与した後,脱毛石灰漬排液の循環利用による脱毛石灰漬を行なった.脱毛石灰漬排液の循環利用で調製した裸皮からウエットホワイトを経て,クロム鞣しによリナッパ革を製造し,脱毛石灰漬排液の循環利用が製品革の性状に及ぼす影響を検討した.
    アルカリ前処理を併用した脱毛石灰漬排液の循環利用により,硫化物添加量を50%消減することができ,しかも正常な裸皮を調製することができた.水の使用量は75%削減可能であった.
    アルカリ前処理により原料皮1kgに対するCOD負荷量は55%削減され,排液のろ別が容易になり作業の迅速化が図られた.
    脱毛石灰漬排液の循環利用で調製した裸皮からウエットホワイトを経て,クロム鞣しにより品質を損なうことなくナッパ革の製造が可能であった.
  • 小峯 健一, 大田 博昭, 鎌田 信一, 柿市 徳英, 藤井 治人, 内田 和夫
    1991 年 62 巻 10 号 p. 972-974
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 田中 智夫, 谷田 創, 吉本 正
    1991 年 62 巻 10 号 p. 975-977
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 英明
    1991 年 62 巻 10 号 p. 978-989
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 楠原 征治, 三宅 克也, 野口 剛
    1991 年 62 巻 10 号 p. 990-995
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ブタの骨軟骨症の発生時期,発生機序を明らかにするために,1カ月齢から6カ月齢に至るまでの大腿骨遠位端の関節軟骨および尺骨遠位端の骨端軟骨について軟X線学的ならびに組織学的に観察した.軟X線学的観察では,関節軟骨は3カ月齢,骨端軟骨は4カ月齢から軟骨下骨の骨梁に広範な石灰化不全領域が認められた.組織学的観察では,1カ月齢の関節軟骨および骨端軟骨に軟骨細胞の壊死をはじめとする病変がみられた.これらの病変は月齢の進行とともに拡大し,関節軟骨では3カ月齢,骨端軟骨では4カ月齢以降に軟骨細胞の広範な壊死,軟骨基質の亀裂,軟骨下骨の骨梁消失,結合組織の増生などの化骨不全を主とする骨軟骨症の特微的所見が存在した.以上のことにより,ブタにおける骨軟骨症病変は,生後早い時期に出現することが明らかであった.
  • 佐藤 博
    1991 年 62 巻 10 号 p. 996-999
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    乳脂率および乳蛋白率の変動と血液成分の関係を明らかにするため,乳牛34頭(3産次以降)から同時的に154組の牛乳,血液試料を採取した.これを泌乳初期(分娩後8~50日;n=52),泌乳中期(100~150日;n=50)および泌乳後期(200日以降;n=52)のステージ(乳期)に分けて,乳脂率および乳蛋白率の変動と血漿の遊離脂肪酸(FFA),グルコース,尿素,トリグリセリド(TG)および総コレステロール(Cho)濃度との関係を解析した.(1) 乳脂率:泌乳初期における乳脂率はFFAと高い正の相関を示し,泌乳中期においてはChoと正の相関を示した.泌乳後期には特に有意な相関を示す血漿成分は認められなかった.(2) 乳蛋白率:泌乳初期の乳蛋白率はFFAと正の,グルコースと負の相関を示した.泌乳の中および後期において乳蛋白率は尿素濃度と負の相関を示した.
  • 宮崎 孔志, 日野 常男, 板橋 久雄
    1991 年 62 巻 10 号 p. 1000-1005
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    エタノールを牛に給与するとルーメン内のカプロン酸濃度が増加する理由について検討した.混合ルーメン微生物を14C-エタノールと共に培養したところ,大部分の14Cは酢酸および酪酸に取り込まれ,カプロン酸および吉草酸へも少量取り込まれた.したがってエタノールがカプロン酸の生成に使われることは明らかであるが,特にエタノールがカプロン酸に多く転換されるとは考えられなかった.ルーメン内での主要なカプロン酸生成菌であるMegasphaera elsdeniiを用いたin vitroの実験では,エタノールにはM. elsdeniiのカプロン酸生成を増加させる直接的な作用は認められなかった.M. elsdeniiによるカプロン酸生成の増加は.pHの低下,酢酸濃度の減少,酪酸濃度の増加および希釈率の低下によってもたらされることが示された.その他の理由として,エタノール投与によりM. elsdeniiの数または割合が増加する,あるいはエタノールがルーメン微生物によるカプロン酸の再利用を抑制するなどの可能性も考えられる.しかし,エタノール給与牛のルーメン内で,実際にこれらの要因がどのように影響するかは今後に残された問題である.
  • 神崎 展, 新村 末雄, 石田 一夫
    1991 年 62 巻 10 号 p. 1006-1008
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 日野 常男, 家田 武史, 宮崎 孔志
    1991 年 62 巻 10 号 p. 1009-1011
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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