日本畜産学会報
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64 巻, 1 号
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  • 眞鍋 昇, 古屋 良宏, 東 泰好, 宮本 元
    1993 年 64 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    13頭のウシを用い,抗原提示細胞である皮膚表皮ランゲルハンス細胞(L細胞)の組織学および計量形態学的特性を調べた.50ヵ所の皮膚で,L細胞を亜鉛沃素オスミウム(ZIO)法で,組織化学的に特異的に検出した、細胞分布密度(VD)および細胞周囲長/細胞面積比(GAR)を,自動画像解析装置を用いて計測した.その結果,(1) われわれは,0.05Mのベロナール塩酸緩衝液(pH 7,6)で緩衝したZIO溶液で,4°C 18時間染色することによって,ウシL細胞を選択的に染色できることを明らかにした.(2) L細胞を,細胞突起の数(1-3,4-6,7-9および10以上)に対応して,各々をI,II,IIIおよびIV型に分類した.手掌,足底部等の表皮肥厚部においては,大部分の細胞体は,有棘層中央部に局在し,長くて高度に細分岐してしばしば淡明層に達する細胞突起を持っていた(II,IIIおよびIV型).逆に,腋窩,そ径部のような薄い部位では,細胞体は,有棘層底部に局在し,短くて顆粒層細胞底部で終了する細胞突起を持っていた(IおよびII型),一般に,高度にケラチン化した部位のL細胞は,低ケラチン化部位の細胞と比較して,より多数の細胞突起を持つことが判明した.(3) 表皮肥厚部および粘膜の近傍部位においては,VD(1,100細胞/mm3以上)およびGAR(6.00以上)ともに高かった.逆に,耳介,外耳道部等のわずかの例外はあるが,表皮の薄い部位では,VD(500細胞/mm3以下)およびGAR(4.00以上)ともに低かった.加齢に伴ってVDは増加する傾向があったが,GARには変動が認められなかった.細胞の組織学および計量形態学的特性は,皮膚における抗原提示機能に適応していると考えられた.
  • 堀河 博, 増村 忠広, 渡辺 恵美子, 石橋 晃
    1993 年 64 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ジゼロシン(2-アミノ-9-(4-イミダゾリル)-7-アザノナノ酸)は雛の筋胃潰瘍原因物質で,ヒスタミンのH2-受容体に作用し,胃酸分泌を刺激する.このジゼロシンを少量給与すると雛の大腿骨中の灰分とカルシウム量が有意に増加することが明らかにされている.この効果が哺乳動物においても認められれば豚の骨弱や閉経後の女性の骨粗しょう症に対しても有効であることが考えられる.その可能性を確かめるため,成長期および卵巣摘出マウスを用いて2つの試験を実施した.試験1では成長中のマウスにジゼロシンを0,2および10ppm添加した飼料を給与した.10ppm飼料では体重,大腿骨重に差はみられなかったが,大腿骨中の灰分量およびカルシウムが有意に増加した。試験2では骨粗しょう症のモデル動物としての卵巣摘出したマウスにジゼロシンを0,10,30,100ppm添加した飼料を給与した対照として卵巣を摘出しなかったマウスにジゼロシン無添加の飼料を給与した.ジゼロシン無添加飼料を給与した卵巣摘出マウスでは未摘出区に比べ体重は有意に重かったが,大腿骨中カルシウムおよび灰分量は有意に低かった.卵巣摘出区のマウスではジゼロシンの含量の増加に伴って,体重,大腿骨灰分およびカルシウム量は増加し,30ppmを越すとやや減少する傾向がみられた.しかし,ジゼロシンを給与しても十二指腸の内容物中のpHに有意差は認められなかった.これらの結果から,卵巣摘出マウスでも雛同様ジゼロシンによる骨石灰化促進効果が認められた.しかし,雛ではジゼロシンにより,胃内容物中のpHが下がり,そのため,Caの可溶化と吸収を促進し,その結果,骨石灰化が促進されると解釈されるのに対し,マウスでは十二指腸内容物のpHは変わらないことから,マウスでは雛とは別の機構によって骨の石灰化が促進されると考えられた.
  • 高橋 和昭, 小梨 茂, 秋葉 征夫, 堀口 雅昭
    1993 年 64 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    メチオニン(Met)による飼料中含硫アミノ酸(SAA)レベルが,ブロトラーにおける羊赤血球(SRBC)とブルセラ•アボルタス死菌(Ba)の一次抗体価に与える影響を検討した.試験1では,粗蛋白質含量(CP)19,6%でSAA 0.56%の低蛋白質飼料のコーンスターチをDL-Metで0,0.37,0.59または0.74%代替した飼料とNRC飼養標準に準拠したCP 23%でSAA 0.93%の飼料を調製し,7日齢の雄ブロイラーに21日間給与した.試験2では,CP 23%でSAA 0.49%の飼料のグリシンを0,0.22,0.44または0.66%のDL-Metと置換してSAA含量を0.72,0.93そして1.15%に設定した飼料を調製し,10日齢の雄ブロイラーに17日間給与した.また,SAA 0.49%の飼料摂取量と同量となるように飼料を給与する等量給与試験も行った.いずれの飼料とも代謝エネルギー含量は3.2kcal/gに調製した.試験1において,低蛋白質飼料給与条件下のSRBC抗体価は,Met添加により低下する傾向にあったが,Met添加の影響は統計的に有意ではなかった.また,NRC飼養標準に合致した飼料を給与した鶏のSRBC抗体価は,低蛋白質飼料にMetを添加した鶏のそれよりも高い値を示した.試験2において,同一CP含量の飼料を自由摂取させた条件下では,Metによる飼料中SAAレベルの増加にともなってSRBC抗体価は増加する傾向にあったが,統計的に有意ではなかった.また,等量給与条件下では,SRBC抗体価に対して飼料中SAAレベルは影響を及ぼさなかった.Ba抗体価は,試験1,2とも,Metによる飼料SAAレベルの影響を受けなかった.以上の結果は飼料中Metの欠乏及び過剰とも抗体産生に大きく影響しないことを示している.
  • 上田 博史, 福見 良平, 熊井 清雄
    1993 年 64 巻 1 号 p. 20-27
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    飼料中のアルギニン含量がニワトリヒナの血漿コレステロール濃度に及ぼす影響を検討した.いずれも7日齢の単冠白色レグホーン種オスヒナを用い,粗タンパク質含量18%の飼料を10日間給与した.試験1をのぞいて,飼料には1%のコレステロールを添加した.試験1および2では,カゼインとダイズタンパク質をタンパク質源として,アルギニン,メチオニンおよびグリシン欠乏の影響を調べた.アルギニン欠乏で発育は阻害され,さらに飼料にコレステロールを添加した場合には血漿総コレステロール濃度はアルギニン適量区に比較して高かった.一方,メチオニンおよびグリシン欠乏では成長阻害は観察されたが,コレステロール濃度は影響を受けなかった.試験3では,アルギニン欠乏および適量飼料をカゼインを用いて調整し,これに過剰のリジンを添加して,アルギニン•リジンの拮抗が血漿コレステロール濃度に及ぼす影響を調べた.リジン過剰は発育を阻害し,血漿総コレステロール濃度を増加させたが,その影響はアルギニン欠乏時に大きかった.試験4でアルギニンをカゼイン飼料に段階的に添加すると,要求量を越えた場合でも,血漿総コレステロールおよび高密度リポタンパク質コレステロール濃度は添加量に比例して減少した.この場合,アルギニン欠乏時とは異なり,成長はアルギエン添加によって影響を受けなかった.
  • 大谷 元, 松本 克之, 平尾 雅郎
    1993 年 64 巻 1 号 p. 28-31
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 安部 茂樹, 塩谷 康生
    1993 年 64 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    食肉処理場からの卵巣輸送温度が,完全体外培養系による体外受精での卵割率および胚盤胞への発生率に及ぼす影響について調べた.卵巣の輸送温度は,4°C区,10°C区および20°C区の3区とし,それぞれの区に38°Cの対照区を設定し,生理食塩水を満たした容器で輸送した.輸送した卵巣から卵胞卵子を採取し,緊密に卵丘細胞が付着した卵子のみを選抜し,20~22時間の成熟培養の後,ヘパリン処理精子で媒精した.卵巣採取から卵胞卵子の吸引採取までに要した時間は,2~4時間であった.卵割検査は媒精72時間後に行ない,2~16細胞に分割した初期胚は以後3~7日間発生培養した.2細胞以上への卵割率は,20°C区(74.3%,409/550)と対照区(68.7%,368/536)との間に差はなかったが,4°C区(12.1%,103/851)および10°C区(16.3%,69/423)では対照区(66.1%,530/802および74.5%,266/357)に比較し有意に低下した(P<0.01).同様に,媒精後7~11日目の胚盤胞への発生率においても,20°C区(16.2%,89/550)と対照区(14.5%,78/536)との間には差はなかったが,4°C区(0.9%,8/851)および10°C区(2.0%,8/423)とそれぞれの対照区(15.7%,126/802および21.6%,77/357)の間には有意な差(P<0.01)が認められた.以上のことから,20°Cでの卵巣輸送は,少なくとも4時間までは胚発生に悪影響を与えないが,10°Cおよび4°Cでの輸送は,胚発生率を明らかに低下させることが判った.
  • 穴田 勝人, 佐々木 義之, 中西 直人, 山崎 敏雄
    1993 年 64 巻 1 号 p. 38-44
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    枝肉横断面ロース芯周辺の画像解析情報から黒毛和種去勢肥育牛の技肉構成を予測することの可能性について検討した.材料牛としては農林水産省草地試験場で肥育された14~30ヵ月齢の黒毛和種去勢肥育牛38頭を用いた.画像解析に取り上げた画像解析情報は,第5~6肋骨間枝肉横断面胸椎側1/3領域すなわちロース芯周辺の全体面積,全筋肉面積,全脂肪面積および全骨面積,筋肉については僧帽筋と胸最長筋の面積,周囲長,長径,短径および両筋肉重心間の距離であった.画像解析には,富士通画像情報システムFIVISを利用した.一方,枝肉構成としては,赤肉重量,脂肪重量,骨重量の絶対量とそれらの左半丸枝肉重量に占める割合を取り.とげた.枝肉構成の画像解析情報に対する変数増減型の重回帰分析を行なった.さらに取り上げられた変数の安定性をみるために38頭の中から無作為に選んだ34頭のデータを使って重回帰分析を行ない,この操作を20回繰り返すことにより,20個の重回帰式を得た.それらの重回帰式に取り込まれた変数を比較することにより,変数の安定性を調べた.この結果,赤肉割合については,全体面積あるいは全脂肪面積が最もよくその変動を説明すると推察された.しかし,全脂肪面積割合や皮下脂肪面積割合だけでもよくその変動を説明した.脂肪割合と骨割合に対しては全脂肪面積割合が最もよくその変動を説明した.それらの重回帰式の自由度調整済寄与率R2はそれぞれ0.727, 0.864および0.905であった.重量については,全体面積が最もよくそれらの変動を説明し,重心間の距離もいくつかの重回帰式に取り込また.いずれの重回帰式もR2は0.9前後であった.全体的にみて,周囲長,長径,短径については面積のもつ情報の中にその情報が含まれてしまっていると考えられ,枝肉構成を説明するという点で面積よりも劣るものと推察される.
  • 山田 未知, 杉田 昭栄
    1993 年 64 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ウズラにおける視床下部および前視床腹側部の一次網膜終止核について順行性軸索標識法(horseradish peroxidase method: HRP法)を用いて同定した.一側の眼球にHRPを注入すると,網膜からの神経線維は視神経交叉で交叉し,注入側とは反対の脳幹に入った.視床下部において標識終末は,視床下部腹側部に見られた.それらは視神経交叉の始まるレベルでは内側に,それより尾方の,外側膝状体(GL)の出現レベルでは,視床と視床下部の境界近くの視床下部外側部にみられた.しかし,それら視床下部への投射は弱いものであった.前視床腹側部ではGL,外側前視床(LA)に強い投射が,腹外側視床(VLT)には弱い投射が見られた.また,これまでのニワトリ雛,ニワトリおよびハトを用いた報告には見られない視床介在核(ICT)にも弱い投射が見られた.
  • 入来 常徳, 舟場 正幸, 井上 幸彦, 阿部 又信
    1993 年 64 巻 1 号 p. 54-59
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    十二指腸にカニューレを装着した体重約250kgのホルスタイン種去勢牛4頭をを用いて2回の試験を行ない,モネンシンNa (MN),サリノマイシンNa (SL)およびラサロシドNa (LA)がルーメン発酵とは無関係に牛の代謝に影響を及ぼす可能性について検討した.供試牛には8:30時に飼料を給与し,9:30時に試験1では各20mg,試験2では各50mgのイオノフォアをそれぞれエタノール2または3mlに溶解して投与した.対照としては同量のエタノールのみを投与し,いずれの試験も4×4ラテン方格法の要領で1日置きに4処理を反転した.投与前15分から投与後240分まで経時的に頚静脈血を採取し,グルコース,遊離脂肪酸(NEFA)およびNa, K, Ca, Mg,無機P濃度を測定した.その結果,20mg投与時は対照と比較して何らの変化も生じなかったが,50mg投与時にはMNの投与によってNEFA濃度が有意に低下し,LA投与後も同様の傾向が認められた.しかしグルコースやミネラル濃度には変化がなく,SLの投与はNEFA濃度を含めて影響を及ぼさなかった.
  • 古川 徳, 高橋 強, 山中 良忠, 横川 幸義
    1993 年 64 巻 1 号 p. 60-67
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ケフィール粒水溶性画分(KGP)のマウスヘの経口投与が,腹腔内浸出細胞(PEC)と常在性の腹腔内細胞(RPC)のグルコース消費能および腹腔内マクロファージ(Mφ)のポリスチレンビーズ貪食能に及ぼす影響を検討した.In vitroにおいて正常BDF1マウスから得たPECのグルコース消費能は,KGP1~100;μg/mlまで添加量の増加に伴って促進され,10μg/mlの添加によってリポ多糖(LPS)100μg/ml添加時に近い値を示した.正常C57BL/6マウスから得たRPCのグルコース消費能は,KGP,ケフィール粒菌体画分(KGM)およびクレスチン(PSK)の添加によって高進されたが,KGPおよびAGMでは1~100μg/mlまで添加量の増加による影響は認められなかった.In vivoにおいてLewis肺癌細胞移植前後のBDFIマウスヘのKGPの経口投与(20mg/kg×計7回,2日間隔)は,PECのグルコース消費能を約2倍高めたが,正常マウスでは投与の影響が認められなかった.一方,C57BL/6マウスヘのKGPの経口投与(20mg/kg×計6回,2日間隔)は,Lewis担癌および正常マウスのRPCのグルコース消費能をともに高進した.これに対してPSKの正常マウスヘの経口投与(500mg/kg)では,投与の影響を認めなかった.正常C57BL/6マウスの貪食マクロファージ(Mφ)数とMφ1個当りの貪食ビーズ数は,KGP,KGMおよびPSKの経口投与(100mg/kg×計7回,2日間隔)によって無投与区に比べて増加する傾向を示したが,担癌マウスでは経口投与による変化が認められなかった.
  • 佐藤 博, 渡辺 彰
    1993 年 64 巻 1 号 p. 68-70
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 口田 圭吾, 山岸 敏宏, 篠原 久, 瀧本 昌彦, 岩元 周二
    1993 年 64 巻 1 号 p. 71-73
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 牛田 一成
    1993 年 64 巻 1 号 p. 74-87
    発行日: 1993/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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