本研究では, 楽器を1人で演奏するときの演奏者の耳の位置での音圧レベル, 及び曲を楽団で演奏するときの演奏位置での音圧レベルを測定し, その音が聴力へ及ぼす影響を騒音性一過性域値変化(TTS)の観点から評価した。13種類の楽器を各演奏者に演奏してもらい, 耳の位置で音を録音した。その騒音レベルは76.8〜104.0dBAであった。そのうち, 8種類を用いて1時間の暴露実験を行った結果, テスト周波数4kHzで, トランペットの音により最大約15dBのTTSが生じた。また, 楽団の演奏する曲2種類を, おのおの7ヵ所の演奏位置で録音した。各曲の騒音レベルは82.4〜92.4, 88.4〜100.5dBAであった。そのうち, 1種類を用いて1時間の暴露実験を行った結果, 生じたTTSは最大約4dBであり, 演奏位置による差はあまり見られなかった。
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