植物学雑誌
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76 巻, 904 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 木村 和義
    1963 年 76 巻 904 号 p. 351-358
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    前報告でアサガオを低温で試験管内に培養すると連続光下でも花芽を形成することを発表した. 15°, 連続光下で30日間培養されたアサガオの花芽形成におよぼす種々の培養基の影響を調べた.
    1) ショ糖濃度4~10%, pH 4.32~5.50, 寒天濃度0.75~1%の培養基が花芽分化に好適であった.
    2) 無機塩を含まないショ糖寒天の培養基上でも花芽を分化する. しかしショ糖を含まない寒天のみ, または無機塩寒天の培養基上では花芽を分化しない. 0.05~0.1% KNO3またはCa(NO3)2を含むショ糖培地上では生長は非常に良いが花芽分化は阻害された.
    3) グルコース, フラクトース, マンノース, マルトース, ラクトース, ラフィノースはショ糖と同じく花芽分化に効果があったが, キシロース, ガラクトース, マンニトーール, デンプンは効果がなかった.
    4) ショ糖は低温処理期間に培地に与えられたときに有効であり, 低温処理後に与えても効果がなかった. また低温処理の前期に与えられた方が後期に与えたものより効果的であった.
  • 杉浦 昌弘
    1963 年 76 巻 904 号 p. 359-362
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    成熟したタバコ葉の切片を暗所で水に浮かべておくと (対照切片), その酸素吸収速度は日とともに増加する. しかしカイネチン溶液に浮かべておくと (処理切片), この増加はみられない. 同様のカイネチン効果が無機リン酸の吸収についても得られた.
    KCNは処理切片, 対照切片の酸素吸収をともにいちじるしく阻害する. NaFおよび2,4-ジニトロフェノールは処理切片の酸素吸収は促進するが, 対照切片のそれは促進しない.
    これらの結果にもとづき, カイネチンはCrabtree効果を誘発すると推察した.
  • 萩本 宏
    1963 年 76 巻 904 号 p. 363-365
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    担子菌ツクリタケ (西洋マツタケ, マツシュルーム) 子実体の柄は顕著な負の屈地性を示す. この屈地性は子実体生長ホルモンが重力の作用により柄中で不均等分布することに基づくものと考える.
  • 館岡 亜緒, Juan V. PANCHO
    1963 年 76 巻 904 号 p. 366-373
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    東南アジア産のイネ属植物の Oryza minuta J. S. Presl ex C.B. Presl (4倍体, 2n=48) は O. officinalis Wall. ex Watt (2倍体, 2n=24) は, 外部形態において区別できるものか否かについて不めいりょうであった. これは研究材料の不足のために, 今まで十分な比較検討ができなかったためである. 筆者らは1963年にフィリッピンに採集旅行をおこない, この2種のいずれかに属する36系統をあつめた.そのうち15系統は2倍体で, 21系統は4倍体であった. 2倍体と4倍体の外部形態を比較したところ, 小穂の巾と形および花序の特徴にはっきりした差異のあることが明らかになった. 2倍体は O. officinalis の基準標本とよく一致し, 4倍体は O. minuta の記載とよく一致する. 2倍体と4倍体の分布を今回の採集記録および前研究者によって作られた標本にもとづいて検討したところ, 多少のずれのあることが明らかになった. つまり, 4倍体 (O. minuta) はフィリッピンの北東部に限られており, 2倍体 (O. officinalis) はフィリッピンの南西部から東南アジアに広く分布している. 以上の結果から, O. minutaO. officinalisは別種として取扱われるべきものであると結論された.
  • 相見 霊三
    1963 年 76 巻 904 号 p. 374-380
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    1. 顕微鏡下で電気的に主葉枕柔細胞を刺激し, その興奮現象を明らかにした. すなわち, 刺激がある値に達すると, 瞬間的に液胞が収縮し, ときに細胞内における位置も動いた. それと同時に, 細胞自体の形や位置も変化した. この際, 細胞の容積自身も多少収縮するが, ときにはほとんど変らないこともある. このような興奮現象は, 上半部の葉枕細胞でも, 下半部のでも同様に見られた. これらのことから, 主葉枕の上半部も下半部もともに被刺激性をもっていることは明らかである.
    2. オジギソウの葉の傾震性屈曲運動において, その回復曲線上にめいりょうな減衰振動様運動が起こることを認め, これは葉枕上半部と下半部との拮抗的作用に起因するものであることを明らかにした.
    3. 葉枕上半部も下半部もともに被刺激性を有するという事実に基づき, オジギソウの葉の傾震性屈曲動の機構について一つの考え方を提案した.
  • 館脇 正和
    1963 年 76 巻 904 号 p. 381-387
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
    緑藻ヒトエグサ属の一種について, 国枝は, 天然に見られる葉体は雌雄異株の配偶体で, 胞子体は微小な厚膜の単細胞体であることを観察し, この事実に基づいて, 配偶体と胞子体が同形のアオサ科からヒトエグサ属を分離してヒトエグサ科を新設した. しかし, ヒトエグサ属の種類の生活史は必ずしも国枝の観察とは一致していない.
    本研究では, オオヒトエグサの生活史について観察したが, 胞子体も配偶体もともに葉状でまったく同形である. 配偶体は雌雄異株, 配偶子は雌雄同形で2本のべん毛を持ち, 遊走子は配偶子より大形で4本のべん毛を有する. ともに眼点があり, 正の走光性を示す. 接合子と遊走子の発生様式はまったく同じで, 両者とも静止後, 発芽して細長く伸び, はじめは横分裂のみをくり返し数個の一列細胞の発芽体となり, やがて縦分裂も起こって発芽体は中空の管状葉に発達する. 後に葉体頂部で裂開し一層の細胞層からなる膜状葉となる. 本研究では, 培養10ヵ月後に成葉を得たが, 接合子から発達した葉体には遊走子が, 遊走子からの葉体には配偶子が形成された. すなわち, オオヒトエグサの生活史はアオサおよび, アオ ノリと同様に同型の世代交代が行なわれていることが観察された.
  • 中村 輝子
    1963 年 76 巻 904 号 p. 388-389
    発行日: 1963年
    公開日: 2006/12/05
    ジャーナル フリー
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