黄色とうもろこし,大豆粕およびカゼインを主体として調製した基礎飼料にZnSO4•7H2OとCaCO3を添加して6種の飼料区を設けた.すなわちZnについて標準Zn区(36ppm Zn)と高Zn区(100ppm Zn)の2群に分け,さらにCaについてそれぞれ低Ca区(0.3% Ca),標準Ca区(1.0% Ca)および高Ca区(2.0% Ca)に分けた.供試動物には白色レグホーン種雄初生雛を用い,14日令に各区5羽ずつに
65Znと
45Caとの混合液を経口投与または筋注投与し,その後経時的に5羽分の排泄物を-緒に集め,吸収率および代謝回転の速さを求めた.
1.
65Znと
45Caの排泄:筋注投与した
65Znの排泄は,飼料中のCa含量が増すと減少した.経口投与した
65Znの排泄は,飼料中のCa含量が増加するにつれ高まった.
筋注投与した
45Caの排泄は,飼料中のCa含量が増加するに連れ増し,経口投与した
45Caの排泄は,飼料中のCa含量が増すと著しく増加した.
2.
65Znと
45Caの吸收率:
65Znの吸收率は,飼料中のCa含量の増加につれ著しく減少した.
45Caの吸収率は,飼料中のCa含量が増加すると低下し,飼料中のZn含量が高まると
45Caの吸収率は増加した.
3. 大腿骨のCa/P比率:飼料中のZn含量がN. R. C•要求量(35ppm)に近い時には,飼料中のCa含量が変化しても骨のCa/P比率は,ほぼ2:1に保たれたが飼料中のZn含量が100ppmに高まると骨のCa/P比率は低下した.
4.
65Znと
45Caの生物学的半減期(biological halflife, B. H. L.):経口投与した
65Znの蓄積曲線より第1の成分(0~48時間)および第2の成分(48時間以降)のB. H. L.を求めた結果,飼料中のCa含量の増加とともに第1の成分のB. H. L.は減じ,逆に第2の成分では増した.しかし,高Zn区は標準Zn区に比べて低い値を示した.第1の成分のB. H. L.の長短は,吸収率の大小と極めてよく対応していた.経口投与した
45Caの第1の成分のB. H. L.は,飼料中のCa含量の増加によって徐々に減じ,高Zn区は標準Zn区に比べて消化管内の通過速度が遅かった.第2の成分についても同じ傾向を示したが,高Zn区は標準Zn区に比べて代謝回転が速く飼料中のZn含量の増加によってCaの吸収率が増加することと関連しているものと考えられる.
5. 高Zn群(10Oppm Zn)の標準Ca区(1.0% Ca)および高Ca区(2.0% Ca)で死亡した雛を剖検した結果,いずれも尿酸沈着症(Gout)であることが認められた.しかし,他の区では,本症が認められなかったことから考えると,飼料中のZnとCa含量が高い場合には,本症の発生率の高まることが推測される.
抄録全体を表示