日本畜産学会報
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51 巻, 1 号
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  • 阿部 又信
    1980 年 51 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 一色 泰
    1980 年 51 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    絶食時にも盲腸糞の排泄がかなりあることから,盲腸内容物の成分,とくに窒素成分が給食時とどのように異なるかを,60日齢の単冠白色レグホーン種雄を用いて検討し,盲腸内容物の由来を明らかにする手掛りを得ようとした.1) 24時間絶食し,盲腸内容物中の全窒素を調査した結果,その含量は給食時よりも高い傾向を示した.2) 給食時および絶食時における盲腸内容物と小腸遠位端内容物中の各窒素成分(アンモア態窒素,尿酸態窒素,尿素態窒素)を経時的に調査した結果,盲腸内容物は各窒素成分ともに給食時の小腸遠位端内容物よりも数倍高い値を示した.なお絶食時の小腸遠位端には測定できる量の内容物が存在しなかった.3) 盲腸内容物中の窒素成分は給食時および絶食時ともに日内変動がみられたが,絶食あるいは盲腸糞排泄による特異的な差異はなく,また人工肛門設着鶏と通常鶏の盲腸内容物中の窒素成分量にも差がみられなかった.以上の結果から,盲腸内容物中の窒素成分は内因的な分泌物に由来する部分が大きいものと推論される.
  • 大谷 元, 鴇田 文三郎
    1980 年 51 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    β-ラクトグロブリンの天然抗原構造(β-Lgの抗原構造)についての知見を得る目的から,β-Lgの尿素処理およびβ-Lg分子内の含硫アミノ酸の修飾を目的とした各種化学修理を行ない,得られたβ-Lgの抗原性を未処理βC-Lgの抗原性と比較した.その結果は以下のように要約される.1.8M尿素溶液中(pH6.6,30°,72hr)およびL-システィンを添加した8M尿素溶液中(pH6.6,30°C,72hr)でβ-Lgは高分子化したが,その高分子化はN-エチルマレイミドの添加により阻害された.一方,それら尿素処理によるβ-Lgの抗原性の低下は認められなかった.2.β-Lg1分子(分子量18000)当り,1.08個のチオール(SH)基がP-クロロ水銀安息香酸で修飾されたが,修飾による抗原性の低下は認められなかった.3.2-メルカプトエタノールを作用させた後,ヨード酢酸で処理すると,β-Lgの抗原性は未処理の抗原性の25%に低下した.4.2-メルカプトエタノールを作用させないで直接,ヨード酢酸または過酸化水素で処理すると,β-Lgの抗原性は未処理の抗原性の87.5%に低下した.以上の結果から,β-Lgの分子内結合に関与していないSH基は,その抗原決定基に直接関係していないものと思われる.
  • 一色 泰
    1980 年 51 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    単冠白色レグホーン種雄に盲腸遊離手術を行い,慣用配合飼料に魚粉を添加した粗蛋白質35.2%の飼料を給与し,内因性盲腸糞の排泄回数,排泄量および窒素含量について調査した.1) 盲腸分岐部直前の小腸を切断して人工肛門を設着し,総排泄腔からは内因性の盲腸糞と尿のみが排泄されるように手術した.1日間における盲腸糞の排泄回数は約3回で,対照区とほとんどかわらなかった.盲腸糞の排泄量は新鮮物で盲腸手術区は対照区の74%であったが,乾物量では40%となった.2) 直腸と小腸遠位端を縫合して,総排泄腔からは腸糞と尿が排泄され,遊離した盲腸は人工肛門を設直して内因性盲腸糞のみが採取できるように手術した.内因性盲腸糞の排泄量は乾物量で対照区の約40%であった。内因性の盲腸糞および盲腸内容物中の全窒素と非蛋白態窒素の含量は対照区よりも高く,盲腸内容物で全窒素が1.21倍,非蛋白態窒素は1.24倍となった.なお盲腸糞中に排泄される窒素成分の約50%が盲腸内に排出された内因性のものであった.
  • 枡田 博司, 塩谷 康生, 福原 利一
    1980 年 51 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛和種の雌牛50頭および雄牛5頭の計55頭について,白血球培養法により染色体を検査した.その結果,55頭中の20頭に常染色体のロバートソン型転座が認められた.これらの転座染色体をG-バンド染色により分染同定した結果,2n=59, t (1q, 29q)を示したものが20頭中の5頭,2n=59, t(5q, 21q)を示したものが13頭,2n=58, t (1q, 29q), t (5q, 21q)を示したものが2頭であった.C-バンドによりヘテロクロマチンを調べた結果,1/29転座染色体はモノセントリックな融合により,5/21転座染色体はダイセントリックな融合により形成されたものであることが証明された.1/29転座ヘテロの雌牛2頭および5/21転座ヘテロの雌牛2頭の5年間における繁殖成績は,同一牛群内で正常染色体を保有する16頭の平均と比べて,顕著な差は認めなかった.
  • 飼料摂取量と腸管内通過時間の関係について
    古谷 修, 高橋 正也
    1980 年 51 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 寺島 福秋, 鳥巣 功, 伊藤 宏
    1980 年 51 巻 1 号 p. 40-47
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    稲わら(RS),もみ殼(RH)およびオーチャードグラス乾草(OH)の飼料価値を改善するため,これらの粗飼料を酸化剤(亜塩素酸ナトリウム,NaGlO2)またはアンモニアおよび両者を併用する方法で処理した.風乾物量が20%になるように水を加えた基質に酸化剤を添加(湿重量あたり1および5%)し,室温で3日間反応させた.アンモニア処理(風乾物重量あたり5%)は45°Cで3日間行った.両者の併用処理は酸化剤,アンモニアの順に行った.
    NaClO2処理した基質に対するアンモニア処理は粗蛋白質(N×6.25)含量を著しく高め,5% NaClO2およびアンモニア処理後の粗蛋白質含量は,RS,RHおよびOHでそれぞれ15.4,20.1および23.6%であった.また,アンモニア処理はヘミセルロース含量を低下させ,酸化剤処理はヘミセルロース,リグニンおよびセルロース含量を低下させた.細胞内容物含量はいずれの処理によっても増加し,併用処理による細胞内容物増加量はそれぞれの単一処理による増加量の和にほぼ等しいかまたはそれより高かった.無処理のRS, RHおよびOHのinvitro有機物消化率はそれぞれ44.8,7.1および44.5%であったが,5% NaClO2およびアンモニア処理の併用でそれぞれ73.0,61.4および77.8%に著しく高まった.これらのことから,低質粗飼料に対するNaClO2よびアンモニア処理によるin vitro消化率改善機序はそれぞれ異り,両者を併用することは単一の処理よりも有効であることが明らかにされた.
  • 水野 利雄, 平野 徹雄, 長谷川 信, 氷上 雄三
    1980 年 51 巻 1 号 p. 48-57
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏ヒナを用いて,肝臓の脂肪酸合成能(in vivo及びin vitro)に及ぼす飼料の蛋白質含量の影響,並びに高炭水化物飼料又は高蛋白質飼料を給与後絶食したヒナの脂肪酸合成能(in vivo及びin vitro)に及ぼすグルコース及びアミノ酸混合物投与の影響を調べた.アミノ酸混合物は大豆蛋白質のアミノ酸組成に準じて調製した.グルコース又はアミノ酸混合物2gを水5mlに溶解又は懸濁した後,ゾンデを用いて経口的に投与し,1時間後に脂肪酸合成能を測定した.50%及び67%蛋白質飼料を給与したヒナのin vivoの脂肪酸合成能は,17%蛋白質飼料を給与した場合の合成能のそれぞれ50%及び52%であった.これに対し,in vitroの脂肪酸合成能は飼料蛋白質含量の増加とともに著しく減少し,67%蛋白質飼料の給与では,17%蛋白質飼料給与の場合の僅か0.7%の合成能を示すにすぎなかった.このようなin vivoとinvitroの実験結果の相違について考察した.17%蛋白質飼料を給与したヒナを15時間絶食すると,in vivoの脂肪酸合成能は著しく減少するが,グルコースの投与により合成能はほぼ完全に回復した.然し,アミノ酸混合物の投与では合成能は全く回復しなかった.これに対し,67%蛋白質飼料を給与後絶食したヒナのin vivoの脂肪酸合成能は,アミノ酸混合物の投与により,絶食前の合成能の約36%に迄回復したが,グルコース投与では全く回復しなかった.絶食後のグルコース投与により,両飼料区のヒナは共に高血糖を示した.これらの結果について検討した結果から,高蛋白質飼料を給与したヒナの肝臓では,蛋白質はグルコースを経ることなく直接脂肪酸に転換される可能性の高いことが推測された.
  • 宮重 俊一, 八幡 林芳
    1980 年 51 巻 1 号 p. 58-68
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1. 哺乳期における子牛の腸粘膜disaccharidase活性の発達を調べた.黒毛和種哺乳子牛13頭を用い,出生後24時間以内,4,6~10,12および26週齢時にそれぞれ2~3頭ずつ屠殺して,小腸7部位,盲腸,結腸から酵素活性測定のための組織切片と内容物を採取した.各切片は付着内容物を除いた後スライドグラスで粘膜を剥離し,これをホモジナイズして分析に供した.対照に胎児3頭,成牛4頭の腸粘膜dnsaccharidase活性も調べた.胎児は妊娠5~6および7か月の成牛から得た.2. 哺乳子牛では小腸粘膜のlactase活性は高く,cellobiase, trehalase, maltaseおよびisomaltaseの活性は極めて低かった.lactase活性は出生時に最も高く,その後4週齢にかけて急減し,以降漸減した.胎児期にはこの活性は急速に増加し,また成牛ではほとんど認められなかった.cellobiaseとtrehalaseの活性もlactaseと同様な変化を示した.一方maltaseとisomaltaseの活性は胎児期,哺乳期を通して明瞭な傾向を示さず,成牛でも低かった.lactase, cellobzase, trehalaseの活性は主に小腸上部で観察された.maltaseとisomaltaseの活性は小腸全体に一様に観察され,盲腸および結腸にも認められた.そして26週齢ではむしろ小腸下部で活性が高くなった.小腸内容物のpHは出生時には全体的に低く(5.5~6.5)酵素の至適pHに近い値をししたが,4週齢以降は小腸下部のpHが高くなった(7.0以上).
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