稲わら(RS),もみ殼(RH)およびオーチャードグラス乾草(OH)の飼料価値を改善するため,これらの粗飼料を酸化剤(亜塩素酸ナトリウム,NaGlO
2)またはアンモニアおよび両者を併用する方法で処理した.風乾物量が20%になるように水を加えた基質に酸化剤を添加(湿重量あたり1および5%)し,室温で3日間反応させた.アンモニア処理(風乾物重量あたり5%)は45°Cで3日間行った.両者の併用処理は酸化剤,アンモニアの順に行った.
NaClO
2処理した基質に対するアンモニア処理は粗蛋白質(N×6.25)含量を著しく高め,5% NaClO
2およびアンモニア処理後の粗蛋白質含量は,RS,RHおよびOHでそれぞれ15.4,20.1および23.6%であった.また,アンモニア処理はヘミセルロース含量を低下させ,酸化剤処理はヘミセルロース,リグニンおよびセルロース含量を低下させた.細胞内容物含量はいずれの処理によっても増加し,併用処理による細胞内容物増加量はそれぞれの単一処理による増加量の和にほぼ等しいかまたはそれより高かった.無処理のRS, RHおよびOHのinvitro有機物消化率はそれぞれ44.8,7.1および44.5%であったが,5% NaClO
2およびアンモニア処理の併用でそれぞれ73.0,61.4および77.8%に著しく高まった.これらのことから,低質粗飼料に対するNaClO
2よびアンモニア処理による
in vitro消化率改善機序はそれぞれ異り,両者を併用することは単一の処理よりも有効であることが明らかにされた.
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