日本畜産学会報
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54 巻, 2 号
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  • 高橋 潤一, 鷹津 秋生, 今井 豊, 鈴木 義晴, 藤田 裕
    1983 年 54 巻 2 号 p. 67-73
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    硝酸塩摂取に伴う第一胃内亜硝酸塩蓄積とメトヘモグロビン形成に及ぼす蛋白質給与水準と尿素添加の影響について低エネルギー給与条件下で検討した.ルーメンフィステル装着去勢羊3頭を用い,NRC飼養標準に対し,TDN50%給与条件下で,DCPについて50%(N-1),100%(N-2)及び200%(N-3)の3種の飼料給与区分を設定した.さらに,各々の給与区分の全DCP給源の50%相当量を尿素で代替した尿素添加区(U-1,U-2及びU-3)を設け,通算6期,6処理の硝酸塩投与試験を実施した.硝酸塩は,NaNO3 24gを30%(w/v)水溶液としてフィステルより第一胃内に投与した.1) 第一胃内pHはNH3-Nの濃度と密接な関連性がみられ,DCP給与水準の増加と尿素添加によって高くなる傾向を認めたが,どの給与区も6.38以上の比較的高い範囲で推移した,2) 第一胃内NO2-N及び血漿NO2-の濃度もDCP給与量の高い区程高い値を示し,尿素添加によってさらに,濃度の上昇がみられた.3) メトヘモグロビンの生成はDCP給与量に応じて増加する傾向を示したが,DCP50%及び100%の給与区では,尿素の添加によってメトヘモグロビン形成割合の最高値がそれぞれ22%及び5%程度増大した.
  • 玉手 六朗, 大高 文男
    1983 年 54 巻 2 号 p. 74-79
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    豚肉中に常在する無機成分のうち鉄(Fe)についてその含量を明らかにし,また2,3の要因一測定年度,季節(春および秋),品種(ランドレース種および中ヨークシャー種),筋肉(半膜様筋,胸最長筋,頭半棘筋および咬筋)および性(雌および去勢)-による差異を検討した.すなわち履歴が明らかで,飼育条件および屠殺方法などが規定されている65頭のブタの枝肉から筋肉試料を採取し,原子吸光法によりそのFe含量を測定して,つぎの結果を得た.豚肉のFe含量の全試料(219個)についての平均値(95%信頼限界)および変動係数は,新鮮物100g中で2.10±0.10mgおよび35.5%,灰分lg中で1.94±0.10mgおよび38.7%であった.また前記の要因別による豚肉のFe含量の差異をみると,主効果では筋肉要因の場合が最大で,年度要因がこれにつぎ,季節要因もいく分影響したが,品種要因および性要因の影響は認められなかった.交互作用では,年度×季節のみが有意の大きな影響を示した.
  • 大武 由之
    1983 年 54 巻 2 号 p. 80-89
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    宇都宮屠畜場に出荷された豚枝肉から,無作為抽出によって選んだ枝肉と,枝肉格付員によって軟脂豚と判定された枝肉から,腹腔部の腎臓脂肪を採り試験に供した.軟脂豚の腎臓脂肪は,無作為抽出試料に比べてC16:0, C18:0および全飽和脂肪酸含量が少なく,C18:1とC18:2含量が多かった.また,軟脂豚の脂肪は融点が低く,屈折率が高かった.屠畜場から無作為に抽出した豚枝肉の腎臓脂肪は,性別の区分で,去勢豚は雌や雄に比べて,C18:2と全不飽和脂肪酸含量が少なく,屈折率が小さかった.枝肉重量での分類では,C16:0と全飽和脂肪酸含量は,枝肉重量の増加にともなって減少し,C18:2含量と屈折率は枝肉重量の増すにつれて増大していた.市場から得た試料では,背脂肪の厚い枝肉の脂肪は,C18:1が多くC16:0とC18:0が少なかった.背脂肪の厚さが1.5~2.4cmの範囲の枝肉の脂肪は,C18:2含量と屈折率とが最も少なく,これに対して背脂肪の厚さが1.5~1.9cmの枝肉の脂肪は,飽和脂肪酸含量が最も多く,屈折率は最も小さかった.試験した腎臓脂肪の各脂肪酸含量相互間に相関関係が認められ,C16:0とC18:0,C16:0とC18:2,C18:0とC18:2との間の相関はかなり高かった.また,脂肪の融点と屈折率との相関も高かった.さらに飽和脂肪酸の含量と融点との相関,またC18:1は除いて各脂肪酸含量と屈折率との相関はかなり高かった.これらの結果から,豚腎臓脂肪の理化学的性質相互の相関は,軟脂豚肉の判定に有効な根拠を与えるものと考えられる.なお,軟脂豚の生産に関与する大きな要因は,飼料ならびに飼養の条件にあるものと推測された.
  • 李 景廣, 鈴木 裕之, 鈴木 裕之, 堤 義雄
    1983 年 54 巻 2 号 p. 90-96
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    妊娠家兎に排卵を再誘起し得ることを予備実験で確認できたので,その排卵誘起が妊娠及び分娩に及ぼす影響を調べた.すなわち妊娠1日目から30日目までの各日にhCG50IUを投与して排卵を誘起し,そのまま分娩時まで放置した.その間,母兎の行動を観察するかたわら,妊娠8日目より連日腹部触診を実施した.
    この結果,部分または完全流産,正常又は遅延分娩,胎児の正常産,死産あるいはミイラ化などが複合した複雑な現象が見られた.しかしこれらの現象を総括し,誘起排卵に対する反応より妊娠期を次の5期に区別することが可能であった.I期(妊娠1日目より7日目)では約70%の母兎が正常分娩し,その割合はII期(8~14日)で50%,III期(15~20日)で24%,IV期(21~27日)で4%と減少したが,V期(28~30日)ではほとんどのものが正常に分娩した.胎児の級収はII期で最も多く約27%の母兎に見られ,I期で4%,III期で8%であった.III期とIV期では流産が多く,特にIV期では部分流産が増加し,その残存胎児は遅延分娩するか,又は長期存胎した.
    正常産を示したものの産子数は,当研究室での通常の産子数と差のないものであった.しかし流産胎児数及び遅延分娩したものを含めた数の平均では,II期とIII期が有意に少なく,これは妊娠中に胎児吸収がおきたことによるものと考えられた.流産は排卵処理後2~3日で起きるものが最も多く,また遅延分娩は処理後15日頃起きるものが多かった.
  • 吉村 豊信, 並河 澄
    1983 年 54 巻 2 号 p. 97-105
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    と殺時体重を一定にした場合の,牛の皮下脂肪組織中脂質および脂肪酸組成に対する品種,性および部位の影響を明らかにする目的で,以下のように分析を実施した.材料は,黒毛和種(♂:9頭),ホルスタイン種(♂:8頭,♀;2頭)および黒毛和種×ホルスタイン種(F1)(♂:6頭,♀:6頭)計31頭の肥育牛の枝肉から,解体時に得た5部位の皮下脂肪(肩,腰,臀,胸,〓)を用い,総脂質含量,脂質組成およびトリグリセリド(TG),遊離脂肪酸(FFA),リン脂質(PL)の各画分の脂肪酸組成を求めた.総脂質含量は,黒毛和種で高い傾向が認められたが,品種を含むいずれの原因に関しても有意性は認められなかった.脂質組成に関しては,TG%とPL%において,性および部位の効果が有意であった.性間では,未経産牛が去勢牛よりもTG%が高く,PL%が低く,一方部位間では,下〓部皮下脂肪が最もTGに富み,PLが少ない傾向にあった.各画分の脂肪酸組成に対する各要因の効果は,いくつかの例外を除いて有意であり,しかも,品種,性,部位の各要因ごとにみた脂肪酸組成の差異は,いずれの画分においても類似した傾向を示した.その主要な特徴は以下の通りであった.(1) 品種間では,黒毛和種がホルスタイン種よりもC18:1, TUSF(総不飽和脂肪酸割合)に富み,C18/C16比が高く,これに対して,C14:0, C16:0, C18:0などの飽和脂肪酸が少なかった.一方,F1は両品種の中間値をとる傾向にあった.(2)未経産牛は去勢牛よりも,TG, PL画分において不飽和脂肪酸に富んでいた.(3) 部位間では,下〓部で不飽和脂肪酸が最も少なかった.以上の結果,一定と殺時体重ベースでは,脂質画分中の脂肪酸組成が各要因の影響を受けやすく,とくに品種の効果が顕著であることが示唆された.
  • 伊藤 勇夫, 森 誠, 正田 陽一, 河本 馨
    1983 年 54 巻 2 号 p. 106-109
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    プロゲステロンは,マウス乳腺で20α-ヒトロキシ-4-プレグネン-3-オンに代謝されるが,乳癌では主に5α-ブレグナン-3,20-ジオンに代謝される.本研究は,乳腺の細胞分裂に対するプロゲステロンおよびその代謝産物の効果を調べるために,乳線の器官培養を用いておこなったものである.用いた乳腺は,妊娠中期の雌マウス(KA系)より得た.1mm角の乳腺組織片をインスリン(1μg/ml),プロラクチン(5μg/ml)および各種のゲスターゲン(200nM)を含むM199合成培養液中で,温度37度,95%酸素5%炭酸ガスの気相のもとで培養した.培養終了3時間前にコルヒチン(2μg)を添加し,細胞分裂を停止させ,乳腺胞細胞に分裂中期像の現われる頻度を計数した.その結果,プロゲステロンを加えて培養したものの方がインスリンとプロラクチンのみを含んだ培養液中で培養した乳線よりも,培養開始24時間後に分裂の頻度が上昇していた.5α-プレグナン-3,20-ジオンにはこのような効果は認められなかったが,20α-ヒドロキシ-4-プレグネン-3-オンは24時間後ではプロゲステロンと同程度の分裂促進効果があり,この効果は培養開始96時間まで持続していた.以上の結果は,妊娠中の乳腺の細胞分裂にはプロゲステロンおよび,20α-ヒドロキシ-4-プレグネン-3-オンが関与している可能性を示唆している.
  • 森 誠, 伊藤 勇夫, 河本 馨, 正田 陽一
    1983 年 54 巻 2 号 p. 110-114
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    プロゲステロンは,分娩に伴なう泌乳の開始を抑制しているホルモンと考えられている.本研究は,プロゲステロンおよびその生理的代謝産物である20α-ヒドロキシ-4-プレグネン-3-オンや5α-プレグナン-3,20-ジォンが,乳線の腺胞腔拡張にどのような効果をもっているかを調べるため,マウス乳線をこれらのステロイドや泌乳に必須と考えられている他のホルモンを含む合成培養液中で器官培養し,乳腺組織像の変化を観察した.乳腺をインスリンとコルチゾールを含む培養液中で培養すると腺胞腔の拡張がみられたが,その中に乳汁様分泌物が現われるためにはこれらのホルモンの他にプロラクチンが必要であった.これら3種類のホルモンにプロゲステロンを添加しても腺胞腔に乳汁様分泌物が認められる割合に変化はなかった.しかし,腺胞腔の大きさはプロゲステロンの添加量を増すにしたがって縮小した.このような効果はプロゲステロンばかりでなく,20α-ヒドロキシ-4-プレグネン-3-オンにも認められたが,5α-プレグナン-3,20-ジオンには認められなかった.これらの結果は,プロゲステロンおよび20α-ヒドロキシ-4-プレグネン-3-オンが,コルチゾールの腺胞腔拡張作用に対する拮抗作用をもつことを示しており,これがプロゲステロンによる乳汁分泌開始抑制機構の一部をなしているのかも知れない.
  • 崎元 道男
    1983 年 54 巻 2 号 p. 115-116
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • Shoshi INOOKA
    1983 年 54 巻 2 号 p. 117-120
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 今田 順次, 信国 喜八郎, 西山 久吉
    1983 年 54 巻 2 号 p. 121-123
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
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