日本畜産学会報
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62 巻, 4 号
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  • 高橋 弘, Lauren L. CHRISTIAN, Max F. ROTHSCHILD, David A. HARVILLE, 杉本 隆重
    1991 年 62 巻 4 号 p. 323-329
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では大量のフィ-ルド•データを用いて,デュロック種の105kg体重到達日齢および背脂肪厚に関する近交退化を推定した.分析に用いたフィールド•データは,群馬県の種豚生産農家である赤地養豚(株)において,1985年7月から1987年6月までに29頭の雄豚より生産された497腹からの去勢豚を除く3,403頭の検定記録である.
    これら2形質の近交退化の推定には,近交係数に対する回帰係数を用いた.それらの推定に用いた個体モデル(animal model)においては,各豚の生年月,性,母豚の産次(初産と経産)および近交係数に対する回帰係数を母数効果とし,分娩腹および腰内の個体の枝分かれ効果をそれぞれ変量効果とした.各個体間の血縁をより正確に評価するために,検定記録を持たない270頭の親豚を加え,3,673頭の分子血縁係数行列を用いて分析した.
    得られた近交退化は,近交係数の10%上昇に対して105kg体重到達日齢においては1.47日の増加で,片側t検定の結果5%水準で有意であった.背脂肪厚では,0,17mmの減少であったが,有意性は認められなかった.
  • 倉垣 郁子, 山本 義雄, 水谷 誠, 岡田 育穂
    1991 年 62 巻 4 号 p. 330-335
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏の主要組織適合複合体,すなわちB複合体のB-G領域について,制限酵素断片長多型(RFLP)を用いて分析した.16系統の鶏から得られた核DNAを12種の制限酵素を用いて切断し,B-G領域に対するプローブを用いて,サザンプロットハイブリダイゼーションを行なった.GVHR-HGおよびLG系統のB9とIgG-HおよびL系統のB31を除いて,同一のBハプロタイプ内ではRFLPの型も同じであった.GVHR-HGおよびLG系統とIgG-HおよびL系統は,それぞれ同一の基礎集団から2方向選抜により確立された系統であるにもかかわらず,同じハプロタイプ間でRFLP型が異なっていた.一方,Bハプロタイプが異なっている場合には,RFLPの型も異なっていた.しかし,岡田の分類によるB11,とBRILESの分類によるB15は,用いた12種の制限酵素のすべてにおいて同じRFLP型を示した.この両者は血清学的特異性も類似しているので,同一のハプロタイプと推測された.以上の結果より,RFLPによる分析はB血液型を同定するための補完的手段として有用であると思われる.
  • 野村 こう, 天野 卓, 田中 一栄, 印牧 美佐生, 宝達 勉
    1991 年 62 巻 4 号 p. 336-342
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ウシ血液型判定用モノクローナル抗体は必要量を無制限に生産でき,多数の研究室で共通な標準試薬として使用可能である.さらにこれらの抗体はヨーロッパ系牛,ゼブー系牛,バリ牛といった起源の異なる種々のウシに対する血液型判定用試薬として吸着せずに使用することができる可能性もある.これらの観点から我々の研究室ではウシ血液型判定用モノクローナル抗体の作製を試みた.
    モノクローナル抗体の作製は細胞融合法の常法により実施した.即ちウシ赤血球を抗原とし,これをBALE/c系マウスに免疫した.またミエローマ細胞はSP2,653,あるいはNS-1を用いた.作製した抗体の特異性はホルスタイン種,黒毛和種,褐毛和種および韓牛の合計2,000頭以上の血球を用いて分析したほか,1989年国際比較同定試験に参加して同定した.
    26回の細胞融合実験の結果,A, B, C, F, SおよびZシステムに属する合計60株,33種のモノクローナル抗体を確立した.マウスハイブリドーマ手法によって作製されたこれらの抗体は,これまでに異種免疫から得ることができると報告されている全ての抗体を綱羅するものであった,なかでもAおよびFシステムに属する抗原に対する抗体は高頻度で得られ,これらの認識する抗原はウサギ,マウスにとって最も認識しやすいウシの赤血球抗原であることが示唆された.抗-A2,FcおよびZ1モノクローナル抗体の中には量的反応を示す抗体も認められた.抗-Fcと命名した抗体は抗-F1と同一の反応を示したが,高力価ではV型血球をも溶血させ,さらにこのFc抗原はすべてのウシ個体に共通に存在する赤血球抗原であることが判明した,またSシステムの2つの因子の共通エピトープをとらえる抗体も作出された.
    得られたハイブリドーマは現在なお安定して抗体を産生しており,これらのモノクローナル抗体はウシの血液型判定並びに同一システム内の亜型抗原の解析に有用であると判断した.
  • 橋爪 力, 兼松 重任
    1991 年 62 巻 4 号 p. 343-350
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    コレシストキニンオクタペプチド(CCK-8)が雌山羊の成長ホルモン(GH)の放出に及ぼす影響について検討した.ザーネン種雌山羊から得た視床下部-下垂体組織をin vitro潅流系に置き,10-610-9MのCCK-8を潅流し,潅流液中のGH濃度をラジオイムノアッセイで測定した.潅流は,第一室に視床下部の内側底部組織を入れ,そこを流れた液が下垂体前葉組織を入れた第二室に流れるようにした連続潅流と,下垂体組織のみを潅流する単独潅流を行った.潅流液には38°に保持した修正クレブス液を用いた,GHの分泌は連続潅流時にはCCK-8(10-6-10-9M)の影響を受けなかったが,単独潅流時には10-6,10-7および10-8M濃度で潅流期間中の平均GH濃度がそれぞれ76%(P<0.05),60%(P<0.01)および25%(P<0.05)有意に増加した.また単独潅流時のGHの放出は連続潅流に比べ,10-6-10-8 M濃度および対照区においてそれぞれ有意に(P<0.05,P<0.01)高かった.
    これらの結果は,CCK-8はGHの放出に対して下垂体に直接作用すること,また山羊の視床下部はin vitroの潅流系においてソマトスタチンのようなGH放出抑制因子を放出していることを示唆している.
  • 江口 幸典, 中嶋 安嗣, 大城 稔, 菅又 昌雄, 武居 洋, 柳田 宏一, 橋口 勉
    1991 年 62 巻 4 号 p. 351-353
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • Kei-ichi SHIMAZAKI, Tamaki HOSOKAWA
    1991 年 62 巻 4 号 p. 354-356
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • 守屋 和幸, 福原 利一, 押川 陽一郎, 原田 泰孝, 原田 宏
    1991 年 62 巻 4 号 p. 357-361
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    生産現場で記録された黒毛和種雌牛の成績を用いて,肉用種雌牛の繁殖能力に影響を与える要因について検討した,分析には,宮崎県東臼杵郡椎葉村和牛改良組合に属する黒毛和種繁殖雌牛の1980年から1988年までの繁殖記録を用いた.分析対象形質として,妊娠期間,分娩後初回種付までの日数(初回種付日数),受胎までに要した種付回数(種付回数),分娩後最終種付までの日数(空胎日数)および分娩間隔を取り上げた,各形質について,支部,支部内母牛および母牛の年齢を要因として,最小自乗分散分析を行ない,反復率推定値を求めた,分散分析の結果,妊娠期間と種付回数については母牛の効果のみ有意性が認められたが,他の3形質についてはすべての要因に有意性が認められた.各形質の全平均および反復率推定値とそれらの標準誤差はそれぞれ,妊娠期間:287.8±0.23日,0.05±0.02;初回種付日数:93.5±2,04日,027±0.02;種付回数:1,59±0.04,0.09±0.02;空胎日数:118.8±2.66日,0.23±0.01および分娩間隔:400.9±2.51日,0.24±0.03であった.さらに,初回種付日数,空胎日数および分娩間隔は雌牛の加齢に伴って長くなる傾向が認められた.以上の結果から,生産現場における繁殖効率の改善には分娩間隔の短縮,特に分娩後の初回発情の発見率を高め,初回種付日数の短縮を図ることが重要であると考えられた.
  • 大久津 昌治, 小柳 深
    1991 年 62 巻 4 号 p. 362-367
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ddY系マウスの8細胞期胚から得た単一割球および2~8個の単一割球から作製した集合胚の発生能を検討した.培養開始後単一割球が桑実期に発生する時間は,2個集合胚よりも長かったが,胞胚腔を形成する時間は2個集合胚と差がみられなかった.一方,各集合胚では,集合に用いた割球数が多い胚ほど桑実期への発生は遅れたが,初期胚盤胞期に発生する時間は,2個集合胚を除き透明帯を除去した胚とほとんど同じであった,各集合胚の体積の増加率は,集合に用いた割球数が少ない胚ほど小さくなる傾向がみられた.胚盤胞期における集合胚の栄養芽細胞と内細胞塊の細胞数は,集合時の割球数の少ない胚ほど少なく,単一割球から発生した胞状の胚では,内細胞塊は全く認められなかった.桑実期あるいは初期胚盤胞期の胚をレシピエントに移植し,妊娠19日目に剖検した結果,単一割球由来の胚はすべて着床しなかったが,2個以上の単一割球を集合した胚からは生存胎児が得られた.これらのことから,マウス8細胞期胚の単一割球は胎児への発生能をもたないが,4細胞期胚の単一割球は胎児にまで発生する可能性のあることが示唆された.
  • 竹中 昭雄, 松本 光人, 小林 剛, 板橋 久雄
    1991 年 62 巻 4 号 p. 368-374
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    生後4~7カ月齢の子牛を用いて,ルーメン内にプロトゾアが存在しない微生物群(Unfaunated, Unf群),単一のプロトゾアとしてDasytrichaのみ(Das群),Epidiniumのみ(Epi群),Entodiniumのみ(Ent群)をもつ群,EntodiniumとDasytrichaをもつ群(Ent+Das群),および混合プロトゾア(タイプA)をもつ群(Mix群)の6種のルーメン微生物群を作出した.これらの子牛に乾草と濃厚飼料を給与し,ルーメン内細菌および発酵パターンに関しての検討を行なった.生菌数は,Unf群,Das群,Ent群,Mix群,Epi群,Ent+Das群の順に多く,Unf群とEpi群およびEnt+Das群との差は有意であった.デンプン分解菌数は生菌数とほぼ同様の傾向を示した.セルロース分解菌はUnf群,Epi群,Mix群,Ent群,Das群,Ent+Das群の順であった.ルーメン内アンモニア態窒素は採食後1時間目がピークとなり,Unf群で最も低く,Mix群がUnf群と比較して有意に高く,他の微生物群はほぼその中間の値を示した.総揮発性脂肪酸(VFA)濃度は採食後2時間目まで増加し,Unf群が最も低く,Ent+Das群ではUnf群に比べ有意に高かった,VFAのモル比率では,プロトゾアの存在で酢酸は低くなり,プロピオン酸および酪酸は高くなった.また,イソ酪酸およびイソ吉草酸の比率はEntodiniumやDasytrichaのみが存在すると特に低い値を示した.これらより,EpidiniumおよびDasytrichaはルーメン細菌や発酵パターンに対して固有の作用を及ぼすと考えられた.
  • 栗原 光規, 久米 新一, 高橋 繁男, 相井 孝允
    1991 年 62 巻 4 号 p. 375-382
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    高温時における乾乳牛のエネルギー代謝に及ぼす給与粗飼料の影響を検討する目的で,ほぼ維持量のイタリアンライグラス乾草(IH区)あるいはトゥモロコシサイレージ(CS区:大豆粕150g追加)を各2頭のホルスタイン種乾乳牛に給与してエネルギー出納試験を行った.環境条件は,相対湿度を60%に保ち,環境温度を18,26および32°とした.その結果,1) 体温および呼吸数は,環境温度の上昇とともに有意に上昇,増加したが,飼料間に有意な差は認められなかった.2) 総エネルギー摂取量に対する熱発生量の割合は,32°で増加する傾向にあり,その増加量はIH区の方が高い傾向にあった.3) エネルギー蓄積量は,CS区と比べてIH区の方が有意に少なく,また,環境温度の上昇とともに減少する傾向を示した.4) 摂取代謝エネルギー量に対する熱増加量の割合は,IH区では環境温度の上昇にっれて,CS区では32°で増加する傾向を示した.5) 維持に要する代謝エネルギー量は,IH区では18°と比べて26および32°でそれぞれ約6および11%,CS区では18および26°と比べて32°で約10%増加した.
  • 松井 寛二, 大久保 忠旦
    1991 年 62 巻 4 号 p. 383-389
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1分間当りの心拍数,顎運動回数および顎運動休止回数を最長22日間連続して記録できる家畜携帯用データロガシステムを試作した,採食ボードと3台の心拍メモリー装置(64Kバイト型)を用いた.このメモリー装置は32768個のデータを記憶できる.すなわち22日間連続して1分ごとにデータを記録できた.下顎部に装着した抵抗変化型変位センサー(胸囲形呼吸ピックアップ)からの信号を採食ボードに入力して,顎運動に対応したパルスと3秒以上にわたる顎運動休止に対応するパルスを発生させた.この2種類のパルス信号を2台のメモリー装置に入力して,1分間当りの顎運動回数と顎運動休止回数を記録した.心拍数はA-B誘導法により心電図を心拍メモリー装置に入力して記録した.装置の携帯方法として,腹帯法(図6)と頭絡法(図7)を試みたが,前者は腹帯ずれが目だち,長期間の携帯には後者が適していると思われた.本研究では,心拍数,食草,反芻行動に関する各種の情報を長期間にわたり連続記録できるデータロガシステムを試作し,放牧試験で良好な成績がえられた.
  • 佐藤 衆介
    1991 年 62 巻 4 号 p. 390-397
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    鹿児島県口之島に生息する野生化牛成雌8頭の行動を,同島の黒毛和種放牧牛成雌2頭の行動と比較し,その特徴を調査した.1頭ずつ追跡し,維持行動は1分ごとに,社会行動は出現する全ての行動を記録した.野生化牛を56.25時間,家畜牛を27.5時間ずつ観察した.摂食時間帯は家畜牛では早朝と夕方に集中する2峰性であったのに対し,野生化牛では日中にも摂食がみられ,3峰性であった.その違いは,野生化牛の生息地を優占する林内の熱環境の快適性および下草の豊富な林地の存在に起因すると考えられた.家畜牛と野生化牛の時間配分は有意に異なり,野生化牛では摂食や移動および哺乳時間が少なく,横臥や反すうが多くなった.それは家畜牛の高増体量への選抜の結果と考えられた.飲水はきわめて少なく全観察時間の0.03%しか占めず,生息地内の湧水池および湧水量の少なさへの適応と考えられた.野生化牛の摂食植物は林地の下草が中心で,枝葉摂食は6%に過ぎず,家畜牛の摂食習性との違いは認められなかった.しかし,短時間ではあるが腐食化した倒木や白化した骨の摂食もみられ,野生化牛では微量要素の欠乏による摂食習性の変化も示唆された.行動域は年次や季節を問わず変化なく,しかも狭く,生息地の牧養力の長期安定性が示唆された.社会行動頻度は家畜牛の23%でしかなく,出現する社会行動も大きく異なった.野生化牛では集合行動が59%を占め,次いで攻撃行動の30%という分布に対し,家畜牛では逆に,攻撃行動が67%を占め,集合行動は23%となった.社会行動頻度の違いは,野生化牛の低密度および行動域共有群の構成員の安定性に由来すると考えられた.
  • 三上 正幸, 木下 康宣, 三浦 弘之
    1991 年 62 巻 4 号 p. 398-400
    発行日: 1991/04/25
    公開日: 2008/03/10
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