日本畜産学会報
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67 巻, 2 号
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  • Lellah RAHIM, 原田 宏, 福原 利一
    1996 年 67 巻 2 号 p. 115-119
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛和種去勢肥育牛の生体重(BW)の予測およびいくつかの体尺測定値を用いた簡易推定式を新たに作成するため,宮崎県および鹿児島県畜産試験場における1986年から1993年の黒毛和種産肉能力検定間接法調査牛801頭の体測定値のデータを用いて,Stepwiseの重回帰分析法を行なった.また,得られた推定式の精度について検討を行なった.検討されたすべての体重推定式に取り込まれた体尺測定値は胸囲(CG),体長(BL),十字部高(HH)および寛幅(TW)であった.肥育期間中2ヵ月ごとの単独のステージ,あるいは2ないし3ステージをプールして作成された推定式の寄与率は78.2~92.1%であった.全肥育期間をプールしたときの体重の簡易推定式は96.1%と最も高い寄与率を示し,その推定式はBW(kg)=3.7CG+2.4BL+2.3HH-862.2(すべてcm)であった.なお,全肥育期間をプールしたときの推定式を供試牛の各ステージごとに適用して求めた推定体重と対応する供試牛の体重実測値の差の平均値は,14.6~18.7kgであり,それぞれのステージごとに作成した推定式を用いた場合の15.1~18.0kgと比較してほぼ同様か若干小さくなることが認められた.
  • 沖 博憲, 佐々木 義之
    1996 年 67 巻 2 号 p. 120-124
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    サラブレッド種の走行タイムを競走能力の指標として取り上げ,個体モデルのBLUP法によって育種価を推定した後,遺伝的趨勢の検討を行なった.1975年から1993年の日本中央競馬会(JRA)の競走成績から1600mの芝馬場(芝)とダート馬場(ダート)のデータを用いた.各馬の育種価は,レース,性,年齢,騎手および負担重量を母数効果として取り込んだ個体モデルのBLUP法により,MTDFREMLプログラム(1993)を用いて予測し,遺伝的趨勢は当該年に生まれた個体の予測育種価の平均値から推定した.また,父馬と母馬の内•外国産地別による4組の組み合わせ別に遺伝的趨勢を推定した.その結果,芝•ダートとも走行タイムは,負の(速くなる)遺伝的趨勢が認められ,生年に対する回帰係数はそれぞれ-0.0170秒,-0.0084秒であった.その差は高度に有意であった(P<0.001).また,父馬母馬の産地別の遺伝的趨勢は,芝において父外国産と母外国産の産駒の遺伝的趨勢が最もい傾向が認められた.このことから近年優秀な種雄馬や繁殖母馬が輸入され,日本のサラブレッド種の改良に寄与していることが示唆される.
  • 石田 孝史, 福原 利一, 向井 文雄
    1996 年 67 巻 2 号 p. 125-134
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    現在までに肉用牛や乳用牛について集団構造や血統分析が数多くなされてきているが,血縁関係に関する研究では相加的な血縁に関してのみ行なわれてきた.しかしながら,近年発展しつつある受精卵移植やクローニングといった繁殖技術による種畜の造成が進むと高い血縁関係,特に優性血縁関係にある個体が増加すると考えられる.そういった集団において,より正確に遺伝的評価をするには相加的効果に加え優性効果をも考慮する必要性がある.そこで本研究では,現時点で黒毛和種集団においてどの程度の相加的血縁および優性血縁が生じているかを検討し,あわせて集団構造の変遷を明らかにするため世代間隔についても検討を加えた.用いた材料は,宮崎県,広島県および兵庫県の黒毛和種集団それぞれ3,392頭,1,421頭および1,876頭とした.
    分析に供した全個体間の相加的血縁の平均は宮崎県,広島県および兵庫県でそれぞれ,0.018,0.044および0.063であり,近交係数はそれぞれ0.017,0.028および0.039であった.また,全個体間の優性血縁の平均は宮崎県,広島県および兵庫県でそれぞれ,0.0004,0.0017および0.0031であり,相加的血縁と比べ非常に低いレベルを示した.各県とも優性血縁のレベルは年を追って上昇し1991年に誕生した個体間の平均はそれぞれ0.006,0.017および0.049という値を示した.種雄牛から息牛および娘牛への世代間隔は3県とも年を追うごとに顕著に長くなった.また繁殖雌牛から息牛への世代間隔も宮崎,広島の両県では長くなったが,兵庫県では短くなっていた.以上の結果より,兵庫県の黒毛和種集団においては比較的高い近交および複雑な血縁関係が認められた.これは兵庫県の1990年代はじめから閉鎖集団として維持されてきた歴史的経緯を反映したものと考えられる.宮崎県ではあまり複雑な血縁関係は認められなかった.広島県における血縁関係の程度は宮崎,兵庫両県の中間的な値を示した.これは広島県では育種組合単位で育種が進められ,あまり他県との交流が広く行なわれてこなかったためと思われる.しかしながら,宮崎,広島両県においても現在の繁殖交配システムを継続すると近い将来,より複雑な血縁関係が生じる可能性があると思われる.
  • 加藤 ゆうこ, 工藤 季之, 佐藤 靜治, 須藤 鎮世
    1996 年 67 巻 2 号 p. 135-141
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    白血病抑制因子(LIF)は多くの機能をもつサイトカインで,これまでにヒト,マウス,ヒツジおよびブタのLIF遺伝子がクローニングされている.われわれはこれらのLIFとウシLIFの作用の種間差を解析する目的で,LIF遺伝子のウシのホモログのクローニングを行なった.すでに報告されているヒツジLIFの塩基配列をもとに1組のプライマーを合成し,RT-PCRによりウシ胎子肺由来の線維芽細胞からウシLIFのcDNAの一部を得た.これをプローブとしてウシゲノムDNAに対するサザンプロットを行なったところ,約3.8kbのBamHI断片に特異的な反応が認められた.また,同細胞のmRNAに対するノーザンプロットでは,約4.8kbのLIFのmRNAが確認され,それは12-O-tetradecanoyl-phorbol-13-acetate (TPA,50nM)の刺激により強く発現が誘導された.さらにこの断片をプローブとしてウシゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより,8つのクローンを得,それらの1つから3.8kbのBamHI断片に相当するDNA断片をサブクローニングした.その塩基配列を決定したところ,全長が3,680bpで,全アミノ酸コード領域に相当する3つのエクソンを含んでいた.さらに,その配列から推定されるアミノ酸配列は他の種のそれと77~89%のホモロジーを持っていた.また,5'RACEにより転写開始点を調べたところ,マウスで確認されているのとほぼ同じ場所であることがわかった.
  • 古瀬 充宏, Remedios T MABAYO, 奥村 純市
    1996 年 67 巻 2 号 p. 142-145
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ニワトリに中鎖脂肪を与えるとそ嚢からの飼料の通過が遅延することが知られている.そこで中鎖脂肪の効果は,投与経路により異なるのかどうかを最初に調査した.生理的食塩水,中鎖脂肪あるいは長鎖脂肪を経口または腹腔に投与した後にそ嚢からの飼料の通過がどう影響を受けるかについて検討したところ,中鎖脂肪を経口で投与するとその他の処理に比して有意に遅延することが判明した.次にこの遅延が中鎖脂肪から産生された脂肪酸の影響かどうかを明らかにするために,アルカリ(NaHCO3)による緩和効果を調べた.中鎖脂肪による飼料通過の遅延はアルカリ処理により緩和されることなく,むしろ最も高いアルカリ処理によりさらに遅れることが判明した.
  • 成瀬 満佐子, 森田 宏, 橋端 堅次郎, 梶川 博, 甘利 雅拡, 柾木 茂彦, 小堤 恭平, 阿部 亮, 丸山 新, 森本 久, 三浦 ...
    1996 年 67 巻 2 号 p. 146-152
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛和種去勢牛の肉質に対する飼料およびルーメン発酵の相関関係を,平均484日間肥育した134頭の牛群を用いて検討した.ロース芯(背最長筋)の脂肪含量,皮下脂肪厚及びロース芯面積は,乾物摂取量と有意な正の相関がみられた.乾物摂取量は,飼料中のNDF含量が31%以下の時は,NDF含量の減少に伴い減少した.いっぽう,飼料効率(増体/乾物摂取量)は,飼料中の非構造性炭水化物およびTDN含量,およびルーメン内のプロピオン酸/酢酸比と正の相関がみられた.ルーメン内特性(VFA組成,プロトゾア数)と肉質(ロース芯脂肪含量,脂肪交雑,ロース芯面積,皮下脂肪厚)との間には,なんら相関がみられなかった.これらの結果から,和牛肥育における濃厚飼料多給は,飼料効率は改善されるものの,乾物摂取量を減少させ,ロース芯の脂肪含量を低下させることが示された.
  • 古川 徳, 高橋 強, 山中 良忠
    1996 年 67 巻 2 号 p. 153-159
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    パイェル板細胞と胸腺細胞および脾臓細胞との相互関係を明らかにするため,ケフィール粒から分離した菌体区分(KGM),多糖区分(KGP)およびタンパク質区分(KGPP)を添加してin vitroで培養したパイエル板細胞の培養上澄液(PPS)が胸腺細胞ならびに脾臓細胞のマイドジェン応答性に及ぼす影響を検討した.
    正常C3H/HeJマウスから得た胸腺細胞の増殖は,KGMおよびKGPPを添加して培養した正常C57BL/6マウスならびにLewis担癌C57BL/6マウスのPPSの添加によっても影響されなかった.KGPを添加して培養したバイエル板細胞から得たPPSの添加は,胸腺細胞に対するフィトヘマグルチニンーP(PHA-P)のマイトジェン活性を高めた.この傾向は,正常C57BL/6マウスのPPSに比べてLewis担癌C57BL/6マウスのPPSで高い傾向を認めた.また,胸腺細胞に対するPHA-Pのマイトジェン活性は,KGPPを添加して培養したLewis担癌C57BL/6マウスのPPSの添加によっても促進された.しかしながら,これらのPPSの添加は,胸腺細胞に対するコンカナバリンA(Con A)およびリポポリサッカライド(LPS)のマイトジェン活性に影響しなかった.
    正常C57BL/6マウスから得た脾臓細胞の増殖ならびにCon A, LPSおよびPHA-Pに対するマイトジェン応答は,KGM, KGPおよびKGPPを添加して培養した正常C57BL/6マウスPPSの添加によって影響されなかった.いっぽう,Lewis担癌C57BL/6マウスのパイェル板細胞にKGPおよびKGPPを添加して培養し,分離したPPSは,正常C57BL/6マウスから得た脾臓細胞の増殖と脾臓細胞に対するCon Aのマイトジェン活性を高めた.さらに,KGPを添加して培養したLewis担C57BL/6マウスのPPSは,脾臓細胞に対するLPSおよびPHA-Pのマイトジェン活性をも高めた.
  • 高橋 和昭, 秋葉 征夫
    1996 年 67 巻 2 号 p. 160-164
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Proliferative responses of mononuclear cell (MNC) in spleen and thymus to concanavalin A were investigated in chicks fed diets supplemented with 0 or 10ppm corticosterone ad libitum for 10 days. When autologous serum was added to the culture medium at 5% of final volume, dietary corticosterone reduced the proliferative response of MNC in thymus, but not in spleen. The mitogenic response of splenocyte MNC obtained from the control-chicks was reduced by the addition of the serum obtained from chicks fed corticosterone, but the response of splenocyte MNC from chicks fed corticosterone did not differ from that of the control, regardless of serum sources. The results suggest that dietary corticosterone efficiently reduces the proliferative response of MNC in thymus to Con A rather than those in spleen, and may not impair, at least, capacity of Con A induced proliferative response of splenocyte in male broilers.
  • 古瀬 充宏, 奥村 純市
    1996 年 67 巻 2 号 p. 165-167
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The relationship between the chicken plasma gastrin concentration and feeding behavior was investigated in chicks. Plasma gastrin levels were enhanced by the H+/K+ ATPase inhibitor, omeprazole. As plasma gastrin concentration increased, the food intake was decreased linearly. Data obtained here suggest that gastrin could be a satiety hormone in the pharmacological concentration but not in the physiological concentration range.
  • 古瀬 充宏, Remedios T MABAYO, 奥村 純市
    1996 年 67 巻 2 号 p. 168-170
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The effect of domperidone, a dopamine D2-receptor antagonist, on the forward passage of the crop contents of chicks receiving 20% medium chain or long chain triacylglycerol was studied. Medium chain triacylglycerol significantly delayed the crop emptying of chicks compared with long chain triacylglycerol, though no significant effects were obtained by domperidone treatments. The present result suggested that the involvement of dopaminergic action was negligible in the delayed crop emptying rate induced by medium chain triacylglycerol in chicks.
  • 孫 章豪, 唐澤 豊, 神 勝紀
    1996 年 67 巻 2 号 p. 171-174
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The effects of cecal ligation on nitrogen utilization and nitrogen excretion were compared between chickens fed on a 5% protein diet and a 5% protein diet plus urea. When a 5% protein diet was fed, total N excretion and N balance were significantly decreased and increased by the ligation of ceca, respectively, which were similar to the responses in chickens fed on a 5% protein diet plus urea. The ligation of ceca in both dietary groups significantly decreased uric acid excretion, but did not affect urea and ammonia excretion. None of blood uric acid, urea and ammonia concentrations were significantly changed by cecal ligation in either dietary group. It is concluded that the ligation of ceca decreases uric acid production and tends to increase N utilization, in similar manners in chickens fed on a low protein diet and a low protein diet plus urea.
  • 島田 和宏, 大島 一修, 竹之内 直樹, 高橋 政義, En-Chung LIN
    1996 年 67 巻 2 号 p. 175-180
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    肉用牛の泌乳能力の遺伝的な改良は実用段階での適切な指標がないために進んでいない.本研究は6ヵ月齢体重の母性遺伝効果の育種価と乳量の関係を明らかにし,その利用の可能性を検討することを目的とした.1938年から1994年の間に中国農業試験場畜産部で生産した黒毛和種の子牛から体重記録を有する約1,160頭を用いて,アニマルモデルにより生時から60日齢までの1日増体量(ADG60)と180日齢体重(WT 180)に対する母性遺伝効果の育種価を推定した.母牛の乳量の測定は43頭による延べ100乳期につき体重差法によって行ない,分娩後60日までと180日までの累積乳量を算出した.ADG 60とWT 180に関する母性遺伝効果の遺伝率は0.34~0.46であった.60日累積乳量の母性遺伝育種価(ADG 60)に対する回帰係数は456kg(P<0.001)であった.また,WT 180の回帰係数は6.18kg(P<0.05)であり,子牛の体重に対する母性遺伝効果の育種価は母牛の乳量の指標となることが示された.
  • 向井 文雄, 塗本 雅信
    1996 年 67 巻 2 号 p. 181-187
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    量的形質座位に連鎖したマーカー座位の情報を用いたマーカー依存型選抜(MAS)の表型選抜に対する有効性をシミュレーション法により検討した.MASでは表型価のマーカー遺伝子型に対する偏回帰係数をマーカー効果として作成した指数に基づいて選抜を行なった.基礎集団は2近交系から作出したF2集団500個体(性比は確率的に1:1)とした.選抜率は雄雌20%とし,8世代にわたる選抜を実施した.形質の遺伝率が0.1や0.25と中程度以下で,20cM以内の間隔のマーカーを用い(染色体当たりマーカー数11,6),マーカー効果を世代ごとに再評価すれば,表型選抜に対し初期世代では2倍程度の効果が得られ,世代を経るにつれ低下したが,表型選抜を下回ることはなかった.いっぽう,遺伝率が0.5と高い場合や,マーカーの間隔が20cM以上(マーカー数3)であれば,表型選抜と同程度かそれを下回る改良量しか達成できなかった.
  • 新小田 修一, 久木元 忠延, 松岡 尚二, 川崎 寿代
    1996 年 67 巻 2 号 p. 188-197
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    平飼いで飼育されていた白色コーニッシュ雄種鶏12羽を,市販の種鶏雄用ケージ(C区),これに止まり木を取り付けたケージ(P区),ケージの空間を1.7倍広げて止まり木を取り付けたケージ(PW区)の3処理区に4羽ずつ割り当て,22週齢から57週齢まで単飼した.処理区間および週齢間で趾底損傷の形成,止まり木利用率および行動を比較し,止まり木による趾底損傷の高進の抑制およびストレス緩和の効果について検討した.趾底損傷は全ての区で発生し,ケージ収容期間の長期化とともに悪化したが,PW区ではその程度が低かった.止まり木利用率は,PおよびPW区ともに導入直後から高かったが,止まり木に乗るとケージ天井に肉冠が接触するP区では3週後の利用率は低下し,PW区では高いまま推移した.導入当初,C区では強い葛藤に由来すると考えられる偽摂取行動が非常に多かったが,PおよびPW区では伏臥位休息行動や身繕い行動が多い傾向を示した.PおよびPW区の各個体ごとの止まり木利用率と,趾底損傷および行動との関係をみると,25週齢での止まり木利用率が高く,止まり木上での伏臥位休息行動が多い個体は,57週齢での損傷の高進が抑えられた.これらのことから,ケージ収容後の約3週間,趾底損傷が発生する前に,止まり木の利用と止まり本上の伏臥位休息行動を促進することで,その後の損傷の高進が抑制されることが示唆された.さらに,止まり木設置によって,強い葛藤行動は減少し,逆に慰安性の高い行動は助長され,ストレス緩和の効果も認められた.
  • 加世田 雄時朗, 野澤 謙
    1996 年 67 巻 2 号 p. 198-203
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    野生状態で生息する御崎馬について,1980年から1994年までの14間に血液型を応用して父子判定を行なった.判定に用いた血液型は,赤血球型が5システム,血液蛋白型が6システムであった.父子判定を行なった197例の中,55例(27.9%)は血液型だけで,60例(30.5%)は血液型および前年の繁殖シーズン中の母親と種雄馬の行動域から真の父親が判定できた.53例(26.9%)では血液型および前年の繁殖シーズン中の母親の配偶関係から父親を判定した.残りの29例(14.7%)では血液型が適合する種雄馬が2頭以上存在し,前年の繁殖シーズン中に母親の配偶関係が不安定であったので,父親は判定できなかった.母親が前年の繁殖シーズンに特定の種雄馬と安定な配偶関係を保った84例の中,真の父親と母馬が安定な配偶関係を保った種雄馬が一致しなかった例が21例(25%)観察された.この結果は,他の野生馬で報告されている「安定なハーレム群内の成雌馬であってもハーレム群外の種雄馬や独身雄と交配することがある」という観察結果を遺伝学的に立証するものである.
  • 森岡 豊, 野原 英夫, 荒木 美穂, 鈴木 美紀, 沼田 正寛
    1996 年 67 巻 2 号 p. 204-210
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ソフトサラミソーセージの製造に適した有用微生物を選定し,選定菌を用いた場合の発酵および乾燥期間中の諸変化について検討した.1. 7種類の有用微生物をソフトサラミソーセージに106/gの割合で接種したが,発酵および乾燥期間をとおして,いずれもその主要菌叢を維持した.最終製品のpHは使用した有用微生物によって大きく異なった.2. 官能検査の結果,Staphylococcus carnosusPediococcus pentosaceusを2:1の割合で接種した場合に最も高い評価が得られ,pHの低下も食品衛生法の規格基準を満足したことからソフトサラミソーセージに最も適した有用微生物として選定された.3. 選定菌の接種量を106~108/gの範囲で,グルコースの添加量を0.5~2.0%の範囲で変化させても,発酵および乾燥期間中のpHの低下傾向に差は認められなかった.4. 103/gの割合で接種したBacillus cereus, Clostridium perfringens, Vibrio parahaemolyticusおよびCampylobacter jejuniはすべて発酵中に死滅した.Yersinia enterocoliticaは乾燥初期に,Staphylococcus aureusは乾燥中期に,Escherichia coliSalmonella choleraesuis subsp. choleraesuisは乾燥後期にそれぞれ死滅したが,死滅速度は有用微生物の接種によって速くなった.5. 本法のように,食品衛生法の規格基準を満足すれば,有用微生物を用いる30°C発酵を行なっても,接種した病原菌はすべて死滅することが明らかとなった.
  • 小松 正憲, 大西 彰, 武田 久美子, 川上 和夫, 丸野 弘幸
    1996 年 67 巻 2 号 p. 211-217
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The authors established a simple method for DNA typing of swine major histocompatibility complex (SLA) class II genes (DQA, DQB, DRA and DRB) using RT-PCR amplification with the hot start technique and RFLP analysis. Single primer sets were used to amplify cDNAs of 534 by (or 537 bp) for DQA, 364-bp for DQB, 550 bp for DRA and 401 bp for DRB containing the entire exon 2 (the first domain), and some portions of exon 1 and exon 3. The primer sequences and RT-PCR conditions are as follows: 1) Primer sequences; DQA: forward, 5'-CGTGATGAGCGCCTGTGGAGGT-3'; reverse, 5'-CCCCAGTGCTCCACTTTGCAGT-3'; DQB: forward, 5'-CTTGACGGTGATGCTGGTGGTG- 3'; reverse, 5'- CTGCCTTGGATGGGGAGATAGT-3'; DRA: forward, 5'TGAACCTTCAGAAATCATGGGC-3'; reverse, 5'-TTGAGAAGAGGCTTGTCCAAAC-3'; DRB: forward, 5'-TAGTGGTGGTGCTGAGCCCTCCTCTGGCTTTGGCC-3'; reverse, 5'-GAACCCAGTCACAGAGCAGACCAGGAGGTTGTGGT-3'. 2) RT-PCR condition; RT: 65°C for 10min and 70°C for 15min. PCR: 1 cycle of 95°C for 2min, 35 cycles of 95°C (1min), 65°C (1min) and 72°C (1min) followed by 7-min extension at 72°C. RT-PCR was carried out using a GeneAmp Thermostable rTh Reverse Transcriptase RNA PCR kit. Total RNA (about 150ng) as the RNA template was extracted from peripheral white blood cells by AGPC. The usefulness of the present method for SLA class II genes was confirmed in a NIH miniature swine pedigree.
  • 松本 光人, 古谷 修, 新宮 博行, 甫立 孝一, 小野寺 文
    1996 年 67 巻 2 号 p. 218-221
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Two digestion trials were conducted by using five cattle to determine the ability of two lignin techniques to estimate in vivo dry matter (DM) digestibility. The lignins investigated were, 1) acid detergent fiber extraction followed by digestion with 72% sulfuric acid (ADL), and 2) ADL procedure followed by hydrolysis with 3% sulfuric acid in an autoclave (121°C) for 1 hour (ADLAC). In trial 1, each cattle received 15, 2 and 1kg/d of corn (whole crop) silage, cubed alfalfa hay and concentrate, respectively. In trial 2, they were given 15 and 3kg/d of corn silage and cubed alfalfa hay, respectively. Digestion coefficients of DM from ADL ratio were higher than in vivo coefficients, but digestion coefficients from ADLAC ratio were similar to in vivo coefficients. Fecal recoveries of ADL and ADLAC were 111 and 92%, respectively, in trial 1 and 116 and 98%, respectively, in trial 2. ADLAC was more acceptable than ADL for use as internal markers in corn silage-alfalfa hay diets.
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