直腸平滑筋肉腫は,自験の大腸非上皮性悪性腫瘍のうちでは最も多くて4症例を数える.年齢は36~74歳であってすべて男性であり,排便障害を主症状とし,発生部位はRbないしRb-Pであって,腫瘍径は3.3cmから超手拳大である.手術は腫瘤摘除ないし直腸切断術が3例,人工肛門造設1例であり,さらに後者を含む2例に
60Co照射をおこなった.生存期間は2年5カ月から7年9カ月にわたり,平均5年1カ月であって,腫瘍死2例,残りは併発疾患で失なった.
本邦58手術症例では,平均年齢57歳,50歳~60歳台が多くて,男女比1.5:1である.主症状は出血62%,排便障害55%であり,発生部位は88%が肛門輪より6cm以内であり,腫瘍の性状は長径6.1cm以上のものが57%を占めて,潰瘍形成は55%にみられる.手術々式は直腸切断術が71%で最も多く,再発部位は数少ない報告のうち,局所5例,肝6例,リンパ節2例などで,5生例は5症例である.
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