日本大腸肛門病学会雑誌
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34 巻, 1 号
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  • 自験5症例と本邦報告例の検討
    豊島 宏, 板東 隆文, 渡辺 昇, 喜島 健雄, 太中 弘, 武村 民子, 雨森 良彦
    1981 年 34 巻 1 号 p. 1-9,55
    発行日: 1981年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸4例,S状結腸1例,計5例の腸管子宮内膜症を報告した.3例では限局性の腫瘤形成が認められたが,他の2例は広範囲な骨盤子宮内膜症の腸管への波及であった.
    本症による消化器症状としては,月経時の排便時肛門出血が1例に認められた.X線検査を行った4例では,1例に全周性狭窄,他の3例では腸管片側に陰影欠損や辺縁不整を認めた.粘膜像の異常として,3例に網目状構造や横走隆線(transverse ridging)が認められた.これらは粘膜下層などの線維化によって生ずる変化で,本症の特徴とも言うべきX線所見である.内視鏡的にもX線像にほぼ一致する所見が認められた.臨床経過や検査所見などを総合すれば本症としての診断も可能である.
    症状や病像に応じて,腫瘍摘出術や腸切除術などの適応となるが,術中生検を併用することによって,癌として過大な術式を行うことは避けるべきである.
    併せて本邦報告例を集計し,検討した.
  • 佐藤 源, 小松原 正吉, 東 良平, 氏平 勝三, 寺本 滋, 田中 聰, 安原 正雄
    1981 年 34 巻 1 号 p. 10-17,56
    発行日: 1981年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸平滑筋肉腫は,自験の大腸非上皮性悪性腫瘍のうちでは最も多くて4症例を数える.年齢は36~74歳であってすべて男性であり,排便障害を主症状とし,発生部位はRbないしRb-Pであって,腫瘍径は3.3cmから超手拳大である.手術は腫瘤摘除ないし直腸切断術が3例,人工肛門造設1例であり,さらに後者を含む2例に60Co照射をおこなった.生存期間は2年5カ月から7年9カ月にわたり,平均5年1カ月であって,腫瘍死2例,残りは併発疾患で失なった.
    本邦58手術症例では,平均年齢57歳,50歳~60歳台が多くて,男女比1.5:1である.主症状は出血62%,排便障害55%であり,発生部位は88%が肛門輪より6cm以内であり,腫瘍の性状は長径6.1cm以上のものが57%を占めて,潰瘍形成は55%にみられる.手術々式は直腸切断術が71%で最も多く,再発部位は数少ない報告のうち,局所5例,肝6例,リンパ節2例などで,5生例は5症例である.
  • 下山 孝俊, 北里 精司, 高木 敏彦, 野川 辰彦, 福田 豊, 原田 達郎, 吉田 千里, 中山 博司, 平野 達雄, 橋本 茂廣, 藤 ...
    1981 年 34 巻 1 号 p. 18-25,56
    発行日: 1981年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    昭和40年以降に手術した大腸癌272例のうちイレウスで手術した30例(11.0%)を対象に臨床的ならびに病理組織学的に検討した.
    発生部位は右結腸26.7%,左結腸73.3%でS状結腸以下に頻度が高い。多発癌が5例(20%)にみられた.切除率63.3%.治癒切除率38.3%で低率である.
    切除標本の病理検索では,肉眼所見で潰瘍限局型73.7%,環状発育3/9周以上78.9%,輪状狭窄型42.1%で,組織像は腺癌89.5%で高分化β,中分化γ浸潤が多い.異型度は軽度ないし中等度で周囲の組織反応は比較的明瞭であり,リンパ節転移は57.9%にみられたが,局所的にはかなり進行した癌であった.
    手術々式は右結腸ではすべて一期的切除し,左結腸は一期的切除,Hartmann術式,二期的切除を症例に応じて採用した.手術による直接死亡はない.治癒切除例の5年生存率は44.4%である.
  • 杉村 公平, 橋本 俊, 加藤 文彦, 由良 二郎, 中村 隆昭, 野垣 茂吉
    1981 年 34 巻 1 号 p. 26-30,57
    発行日: 1981年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸の好酸球浸潤を伴う結合織増生を主とする限局性肉芽性病変すなわちinflammatory fibroid polypは,極めて稀である.今回我々は,下行結腸の好酸球浸潤を伴う炎症性腫瘤で,それを先端して腸重積をおこし,肛門より脱出した興味ある症例を経験した.
    症例は1歳11カ月の女子で,本人及び家族にアレルギーの既往なく,検便にて潜血陽性なるも寄生虫卵は証明しなかった.手術は腫瘤を含む結腸部分切除,端々吻合術を施行した.腫瘤の大きさは,3.5×2.7×1,2cmで,無茎で,中央部に1.5cm径の潰瘍を形成していた.
    組織診にて下行結腸のinflammatory fibroid polypと診断した.大腸に発生する本症は極めて稀であり,世界の最年少の症例であるので報告した.
  • 森本 悟一, 勝見 正治, 浦 伸三, 庄司 宗弘, 山口 敏朗, 河野 裕利, 竹井 信夫, 江川 博, 浅江 正純, 一宮 源太
    1981 年 34 巻 1 号 p. 31-34,58
    発行日: 1981年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    我々は,一卵性双生児の双方に発生した盲腸癌の症例を経験した.両者は社会的な事情から別々の家庭環境で育っているにもかかわらず,それぞれ同じ部位に,相次いで癌の発生を認め,同様な経過を辿った点において,文献的にも他に例を見ない極めて興味深い症例であるので報告する.
    症例1は,32歳時に右下腹部痛を主訴に来院,同部に成入手拳大の腫瘤を触知する.開腹するもすでに癌性腹膜炎の所見を呈し,回腸S字状結腸側々吻合を行い,約8カ月後に死亡した.組織診断は低分化型腺癌であった.
    症例2は,38歳時に右下腹部痛を主訴に来院,注腸X線検査で盲腸部腫瘤の診断のもとに開腹,すでに腹膜への癌性浸潤を認めた,回盲部切除を行うも約1年6カ月後に死亡した.組織診断は高分化型腺癌であった.
  • 1981 年 34 巻 1 号 p. 35-46
    発行日: 1981年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 34 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 1981年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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