一卵性双生児の姉妹双方に発症したクローン病症例を経験した.症例1は19歳,女性.右下腹部痛,発熱を主訴として当院受診,内視鏡検査で回腸末端に縦走潰瘍を認め,クローン病と診断した.症例2は症例1の双生児の姉.右下腹部痛の訴えにて当院受診,注腸造影で上行結腸の部分狭窄と全大腸にアフタの多発を認め,クローン病と診断した.両症例とも,内科的治療にて一時軽快したが,その後,症状の再燃がみられたため,回盲部切除を施行した.術後,再発はなく,経過良好である.
同様の症例は,欧米では比較的多くみられ,その検討より,クローン病の発症に遺伝的因子の関与が強く疑われる.本邦では,同様の症例報告は過去に一組のみであり,双生児双方に発症したクローン病症例は非常に稀である.
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