日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
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69 巻 , 7 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
原著
  • 金子 奉暁, 船橋 公彦, 後藤 麻祐, 吉田 公彦, 小池 淳一, 栗原 聰元, 塩川 洋之, 牛込 充則, 長嶋 康雄, 鈴木 孝之, ...
    2016 年 69 巻 7 号 p. 367-373
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/24
    ジャーナル フリー
    背景:腹会陰式直腸切断術(APR)や骨盤内臓器全摘術(TPE)における会陰創の合併症の発生率は高い.陰圧閉鎖療法(NPWT)は,閉鎖環境下に陰圧をかけて創傷治癒を促進する療法であり,難治性の創部に用いられ良好な成績が得られている.
    目的:NPWTの会陰創合併症防止に対する効果を検討する.
    対象と方法:2014年9月から2016年1月に,APR,TPE術後の会陰創管理にNPWTを使用した16例を対象に,患者背景および創部合併症の発生率をNPWT未施行で管理した111例と後向きに比較検討した.
    結果:NPWT群で,術前化学療法と腹腔鏡手術の割合が高く,出血量は少なかった.会陰創合併症は,NPWT(-)群で,11例(10%)に創離開,36例(32.4%)に創感染を認めたが,NPWT群では,創離開はなく,創感染も2例(12.5%)であった.
    結語:NPWTは会陰創の合併症防止に有効である可能性が示唆された.
症例報告
  • 土屋 剛史, 八木 貴博, 塚本 充雄, 福島 慶久, 島田 竜, 岡本 耕一, 藤井 正一, 野澤 慶次郎, 松田 圭二, 石田 剛, 斉 ...
    2016 年 69 巻 7 号 p. 374-378
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/24
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,女性.検診で上部消化管造影検査施行後7日目に,急激な腹痛が出現した.前医に緊急入院となったが,排便なく,貧血の進行も認めたため,当院へ転院となった.腹部CT検査で,S状結腸周囲に腹腔内遊離ガス像と,腸管外へのバリウムの漏出を認めた.また,骨盤底には強いアーチファクトを引く巨大なバリウム陰影を認めた.下部消化管穿孔疑いにて,同日緊急手術を施行した.術中所見では,S状結腸の腸間膜側へ穿孔を起こしており,同部では壊死性の変化を伴っていた.また,直腸内には鶏卵大の硬い異物を触知した.ハルトマン手術,腹腔ドレナージを施行した.直腸内異物を用手的に肛門から排出させると,バリウム塊であった.標本上は,34mm大の穿孔部を認めた以外,憩室や腫瘍性病変は指摘できなかった.バリウムによる上部消化管造影検査後の大腸穿孔はまれであるが,重篤な転帰をとる場合もあるため,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 甲田 貴丸, 田中 荘一, 中井 勝彦, 川上 和彦, 木村 浩三, 野中 雅彦, 松田 聡, 尾田 典隆, 新井 賢一郎, 相川 佳子, ...
    2016 年 69 巻 7 号 p. 379-386
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/24
    ジャーナル フリー
    グリセリン浣腸は術前処置などの日常臨床,便秘に対する家庭での医療行為として頻繁に行われている.しかし,浣腸により直腸損傷をきたし,腹膜炎を併発して人工肛門造設術が必要となった症例や,グリセリンが血管内に迷入し溶血,急性腎不全へ移行した症例も報告されている.
    当院で経験したグリセリン浣腸による直腸損傷の4例について報告する.
    性別はすべて女性.年齢は59~91歳で,3例は85歳以上の高齢者であった.3例で便秘に対して自宅で浣腸が施行され,1例は内視鏡検査前処置として院内で施行された症例であった.CT検査では全例に直腸周囲の遊離ガス像,脂肪濃度上昇を認め,1例では広範囲に後腹膜気腫を認めた.全例,非観血的療法(絶食,輸液療法,抗生剤投与)により軽快し,観血的療法を要した症例はなかった.1例でグリセリンによる溶血を認めたが,輸液,利尿薬投与により改善し,腎不全への進展はみられなかった.
  • 呉林 秀崇, 高嶋 吉浩, 宗本 義則, 斎藤 健一郎, 天谷 奨, 飯田 善郎, 須藤 嘉子, 五井 孝憲, 山口 明夫
    2016 年 69 巻 7 号 p. 387-391
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/24
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,比較的急性に経過し,大腸亜全摘術が奏効した慢性特発性大腸限局型偽性腸閉塞症の1例を経験したので報告する.症例は41歳,女性.5年前から便秘症状を認めていたが治療歴はなく,他に基礎疾患はなかった.腹痛・腹部膨満を主訴に近医を受診.大腸閉塞症と診断され,当院に救急搬送となった.腹部CT検査にて偽性腸閉塞症と診断し,保存的加療を行うも,腹部症状の増悪を認めたために第3病日に大腸亜全摘術を施行した.術後,排便障害は軽快し,良好な経過が得られている.慢性特発性大腸限局型偽性腸閉塞症は腸管に器質的閉塞・狭窄や原因となる基礎疾患がないにもかかわらず,大腸のみに腸閉塞様の症状を繰り返す疾患であるが,本症例のように急性の経過をとる場合があり,迅速な初期治療が肝要で,大腸亜全摘は有用な術式と考えられた.
  • 三宅 隆史, 鈴木 正彦, 浅羽 雄太郎
    2016 年 69 巻 7 号 p. 392-396
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/24
    ジャーナル フリー
    症例は87歳女性.2012年3月,直腸S状部癌の診断で高位前方切除,子宮部分切除を施行された.病理組織学的診断は中分化腺癌でpT4b(子宮),pN0,cM0,ly1,v1,INFc,PM0,DM0,RM1(子宮),pStageIIであった.術後に吻合部出血と縫合不全を認めたが保存的治療で軽快し退院となった.2014年8月,嘔吐を主訴に来院されイレウスの診断で手術を施行した.Treitz靭帯から200cm程の小腸に腫瘤を触知し,同部位を起点に腸管のcaliberchangeを認めイレウスの原因と考えられた.腹膜播種を思わせる漿膜面の変化はなく,小腸腫瘍の可能性を考慮して小腸部分切除を施行した.病理組織所見は中分化腺癌で,筋層を主座として粘膜面および漿膜面への露出はほぼ認めず,先行する大腸癌の孤立性小腸転移と診断した.術後経過は良好で退院され,現在まで無再発で外来通院中である.
  • 河野 眞吾, 牧野 有里香, 茂木 俊介, 本庄 薫平, 盧 尚志, 石山 隼, 小島 豊, 五藤 倫敏, 冨木 裕一, 坂本 一博, 森本 ...
    2016 年 69 巻 7 号 p. 397-403
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/24
    ジャーナル フリー
    症例は50歳代の女性で,1985年に潰瘍性大腸炎を発症し内科的治療を継続していた.2009年に直腸S状部癌を認め,大腸全摘・回腸嚢肛門管吻合術を施行された.病理診断はpT2N1M0 pStage IIIaであり,術後補助化学療法としてUFT/LVを6ヵ月間内服した.その後,再発,新規病変の発症なく経過していた.2014年10月,血便,肛門痛が出現し精査の結果,残存直腸に直腸癌を発症しており,腹会陰式直腸回腸嚢切断術を施行した.切除標本では吻合部より肛門側に30×50mm大の5型の病変を認め,muc>tub1,pT3,pN3,M1(LYM),pStage IVであった.現在,術後補助化学療法は施行せず,再発なく経過観察中である.大腸全摘・回腸嚢肛門管吻合術後に残存した直腸からの発癌はまれであるが,自験例のように癌の発生を認める症例もあり,定期的な経過観察が必要である.
  • 片山 知也, 前田 好章, 篠原 敏樹, 濱田 朋倫, 山城 勝重
    2016 年 69 巻 7 号 p. 404-408
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/24
    ジャーナル フリー
    症例は76歳男性,胃腺腫EMR後にスクリーニング目的に大腸内視鏡検査を受けたところ直腸肛門部に6mmの黒色腫瘤を指摘された.生検で悪性黒色腫と診断され当科受診.直腸診にて肛門管4時方向に米粒大の黒色隆起性腫瘤が触知でき,可動性良好であることから深達度は粘膜下層(cSM)以浅と考えた.画像検査では周囲組織への浸潤や遠隔転移はなく,直腸肛門部悪性黒色腫(cT1(SM),cN0,cM0,cStage I)と診断し,腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術(中枢D2郭清)を施行した.病理診断はmalignant melanoma,pT2(MP),ly0,v0,pN0,pStage Iであり,補助化学療法は行わずに外来フォロー中であるが,術後12ヵ月経過した現在まで再発徴候は認めていない.
編集後記
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