日本大腸肛門病学会雑誌
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59 巻, 9 号
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  • 棟方 昭博
    2006 年 59 巻 9 号 p. 473
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    第61回日本大腸肛門病学会総会を弘前市で開催できますことは評議員,会員をはじめご支援いただきました多数の関係者皆様のお蔭であり,心より厚く御礼申し上げます.
    総会を青森県で開催できますのは第46回の吉田豊教授(現弘前大学名誉教授),第51回の今充教授(同名誉教授)以来,実に10年ぶりでございます.
    私は昭和43年に弘前大学第一内科に入局以来,主に大腸疾患の臨床に携わって参りました.そこで,大腸内視鏡の開発から現在に至るまでに私がかかわった大腸内視鏡学における歴史と研究内容についてまとめてみました.
    最初は故松永教授の発案で大腸の内視鏡の開発が教室の先人により試みられました.昭和32年ごろに大腸の観察を目的としたSigmoidocameraが開発され,昭和40年代よりglass fiberの内視鏡への応用が始まりColonofiberscopeが開発されました.S状結腸まで観察できるようになりますと,盲腸までの挿入が目標となり,その後機器の改良とともに田島の「逆の字法」による挿入法が確立され盲腸まで挿入することが可能となりました.これが後にαループと呼ばれるようになり大腸内視鏡の挿入法の原点となったものです.
    その後,回腸末端まで内視鏡を挿入後にチューブを留置する方法を発案しました.この方法を用いて,大腸の内圧を測定したり,また消化管の吸収能を調べたりすることも可能となりました.
    内視鏡治療の面では,当時はワイヤーによる機械的なポリープ切除術が報告されておりましたが出血の合併症が多いのが問題でした.そこで我々は高周波装置を用いることにより出血なく大腸ポリープを切除することに成功しました.早期大腸癌の内視鏡治療においては癌の深達度診断が重要ですが,多数例の検討からSMmassiveの病変では生理食塩水を局注した場合,病変の挙上が不良であるというnon-lifting signが生まれました.これは拡大内視鏡EUSなどの特別な機器も高度な診断能力も不要のものであり実際の臨床面では非常にpracticalな所見でアメリカの内視鏡学会賞もいただきました.
    以上のような内容で当日は講演する予定です.
  • 高木 都
    2006 年 59 巻 9 号 p. 474
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    統合的な機能である排便反射は多岐にわたる機能の協調作用により引き起こされ,強化されている.本講演では,主として直腸―直腸収縮反射(R-R反射)と直腸―内肛門括約筋弛緩反射(R-IAS反射)にターゲットを絞り,この両反射のメカニズムを明らかにする.直腸を適度に加圧伸展すると伸展部位で収縮反射が数回起こる.それと同期して,内肛門括約筋の弛緩反射が起こる.肛門機能としては外肛門括約筋も働いているが,本研究では筋弛緩薬投与によりその関与は除外してある.これらのR-R反射とR-IAS反射は,(1)骨盤神経を求心路,遠心路とする仙髄レベルの促進反射,(2)結腸神経を求心路,遠心路とする腰髄レベルの抑制反射,(3)壁内神経系を介する内反射によって制御されている、さらにこれらの反射は(4)求心路を骨盤神経とする橋排便反射中枢を介する腰髄レベルの結腸神経活動の抑制機構によって制御されている.直腸における糞便の貯留には腰髄レベルの抑制反射が関与し,排便が起こるときにはこの抑制反射の脱抑制が鍵となる.さらに,反射経路の可塑性について検討した.モルモット腰仙髄損傷モデルにおいて損傷直後は外反射が働かなくなり【(3)のみが働く】,R-R反射とR-IAS反射は約40%程度に減弱するが,4日目以降は回復した.すなわち内反射のみで十分な排便機能が発現してくる.一方,内反射経路を直腸と内肛門括約筋の間で切断する目的で直腸壁を切離した後縫合すると,術後R-R反射は変わらず起こるが,R-IAS反射は一旦消失する.術後8週目でコントロール群と有意差を認めないほどR-IAS反射は回復した.すなわち,内肛門括約筋の機能は回復した.免疫染色組織像においても術後8週目では,吻合部を越えてつながる神経線維が観察された.これらの結果はR-IAS反射の経日的な回復と一致した壁内神経系の再生を示唆した.Brain-derived neurotrophic factor(BDNF)を縫合部位に持続的に作用させるとR-IAS反射の回復を早め,その経過と一致して壁内神経の再生は促進された.これらの研究により,排便反射のメカニズムを明らかにすると共に,それらのメカニズムは機能を保持する上で有利な可塑性を有することを明らかにした.さらに,その可塑性を利用した肛門機能温存のための新たな治療法の開発の可能性が示唆された.
  • 杉原 健一
    2006 年 59 巻 9 号 p. 475
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌の頻度はこの四半世紀に4~5倍に増加している.それに対応して治療成績を向上させる工夫がなされて,一定の成果を収めている.しかし,大腸癌は一般的な疾患になってきたが,専門病院で向上したのと同様の成果が,日本全国の大腸癌治療を行っている病院において得られているとは限らない.大腸癌研究会では,一般診療として大腸癌を扱う医師を対象として,標準的治療方針を提示することにより,(1)施設問格差をなくす,(2)過剰診療・過小診療をなくす,(3)治療法の公開,を目的として,「大腸癌治療ガイドライン」と「大腸癌治療ガイドラインの解説」を作成した.「大腸癌治療ガイドライン」の作成においては,大腸癌の内視鏡治療や外科治療ではランダム化比較試験がほとんどないことや手術治療の質が欧米とは異なることから,治療方針の作成根拠は大腸癌研究会で蓄積されたデータやプロジェクト研究の成果を用い,専門家のコンセンサスとして提示した.切除不能大腸癌に対する化学療法は欧米でのランダム化比較試験の結果を用いた.また,記載は簡潔にし,アルゴリズムや図を多用した.
    内視鏡治療はM癌ないしはSMへの軽度浸潤と診断した癌で2cmまでの病変を対象とし,一括切除を原則とする.病理診断でSMへの浸潤距離が1000μm未満であれば経過観察とする.SMへの浸潤距離が1000μm以上であればリンパ節転移率が11%あるため,低分化腺癌や脈管侵襲陽性と同様に,患者と相談し治療方針を決めることとした.外科手術でのリンパ節郭清度は深達度に応じて推奨し,Stage IではD2郭清を,Stage IIとStage IIIではD3郭清とした.Stage IVでは遠隔転移巣が切除可能であれば,原発層とともに切除することを推奨した.
    術後補助療法や切除不能大腸癌に対する化学療法は欧米でのランダム化比較試験を参考にした.しかし,手術成績が関与する補助療法に関しては,訪米での臨床試験結果をそのまま導入することはできない.また,大腸癌化学療法は,新薬や投与スケジュール,治療成績含め急速に改良・改善してきていることから,早い段階での改訂が必要である.大腸癌では,他の固形癌とは異なり,血行性再発しても外科治療により根治が得られることがある.したがって,治癒切除後も定期的に検査が行われている.治癒切除後の再発時期,再発形式を分析し,その結果と伴に術後のサーベイランス法の例を提示した.
    一方,「大腸癌治療ガイドラインの解説」では,大腸癌の治療法・治療方針が十分に理解できるように,「ガイドラインを理解するための基礎知識」に重点を置いた.
    今後は,改訂に向けて「大腸癌治療ガイドライン」と「大腸癌治療ガイドラインの解説」に関するアンケート調査を行う予定である.
  • 丸田 守人
    2006 年 59 巻 9 号 p. 476
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    本学会は,昭和14年(1939年)暮から,昭和15年春にかけて,同業有志が集まり合議し,3月21日日本直腸肛門病学会を設立し,第1回学会総会が開かれた.初代会長,山本八治先生は,学会誌発刊の辞において,直腸肛門領域の研究がさまざまな雑誌に分散発表されているので,これを本誌に集中させて専門家の研究心を刺激し,役立てたいという主旨を述べている.以来戦局不利,敗戦,戦後の混乱により昭和19年から24年まで活動ができなかった.昭和25年秋,学会総会が再開され,比較的小規模の肛門中心の特徴ある学会であった.大腸肛門病の増加と診療研究が盛んになり,国際結腸,直腸学会の影響もあり,昭和40年には日本大腸肛門病学会と改名された.その後,発展,進歩し立派に成長している本学会の現状は,学会会則の整備により,評議員制,理事制,理事選挙制,評議員定年制などと急速に推移している.
    本学会は,臓器別の呼称を持つ歴史ある学会で,優れた職人気質を持つと同時に種々の診断,治療に精通する診療標榜科に関らない専門学会である必要がある,学術集会,教育セミナー,学会誌などを通じて,先進的高度な内容のほか標準的な指針をも示す指導的学会であると考える.その中で,将来の発展に希望する事項を思い付くまま述べる,
    1)学会員を呼び込み増員すること、大腸肛門疾患の診断部門における内視鏡領域,CT,MRI,PETを含む放射線領域,分子生物学的,生検,摘出臓器など基礎・病理領域のほか,治療部門における炎症性腸疾患,がん化学療法,内視鏡外科治療,ストーマ治療管理,内視鏡治療外科的治療特化専門肛門治療などに関わる専門家を参加させる.2)専門医制度の充実と権威ある認定とすること.広告規制緩和による単なる専門医ではなく,本学会が権威を持って認定できる修練塾の制度を確立する(肛門領域だけでなく).3)学会誌は論文掲載のほか,各種領域の総説,大腸肛門病に関するすべての情報源(国際情報,全国学会・研究会など各地の情報,(スポンサーのある研究会も含めて))の掲載,国際性を上げるために,論文には英文抄録の復活,学会英文誌の発行,インパクトファクターの獲得.4)海外の専門学会との協力体制を作り,交流,交換し合うこと.5)大腸肛門疾患を専門職とする若手医師を,学会が助成する海外留学制度を確立する,6)当面,法人格を取得し,現状の専門医認定を申請すること.
  • 内科・外科の立場から
    2006 年 59 巻 9 号 p. 477-482
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 59 巻 9 号 p. 482-487
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 59 巻 9 号 p. 487-491
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 59 巻 9 号 p. 493-497
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 内視鏡治療VS腹腔鏡治療VS開腹治療
    2006 年 59 巻 9 号 p. 497-504
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 59 巻 9 号 p. 505-511
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 59 巻 9 号 p. 512-515
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 59 巻 9 号 p. 517-521
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 59 巻 9 号 p. 522-527
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 59 巻 9 号 p. 528-532
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 59 巻 9 号 p. 533-536
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 59 巻 9 号 p. 537-541
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 59 巻 9 号 p. 543-718
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
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  • 2006 年 59 巻 9 号 p. 719-807
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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