大腸疾患外科療法研究会で直腸癌術後縫合不全に関するアンケート調査を行った.
方法:299施設に縫合不全率に関する質問を行い39%から回答を得た.
結果:2009年の直腸癌術後全縫合不全率は,中央値8.0%(0-27%),平均8.7%であった.縫合不全の定義は,抗菌薬で治癒する発熱腹痛でも放射線学的に縫合不全を認めれば96%が縫合不全と定義したが,放射線学的に縫合不全が証明されない腹腔内膿瘍は83%が縫合不全とは定義しなかった.低位前方切除術に97%の施設でほぼ全例にドレーンを挿入していたが,経肛門減圧チューブは14%のみがほぼ全例に留置していた.縫合不全の保存的治療時の食事開始時期は早期開始が11%,治癒傾向後が29%,ほぼ治癒後が60%であった.
結論:縫合不全の定義やドレーン留置,保存的治療の適応は比較的一致していたが,保存的治療後の方針は施設により大きく異なっており情報交換は重要である.
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