日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
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71 巻, 3 号
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原著
  • 伊勢 一郎, 渡辺 和宏, 長尾 宗紀, 大沼 忍, 唐澤 秀明, 鈴木 秀幸, 内藤 剛, 海野 倫明
    2018 年71 巻3 号 p. 133-138
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/27
    ジャーナル フリー
    目的:腸管型ベーチェット病の臨床学的特徴と長期予後について自験例をもとに検討した.
    対象:当科で手術を行った腸管型ベーチェット病6症例.初回手術後の観察期間は16年(2-43年)(中央値(範囲),以下同).
    結果:ベーチェット病の診断時年齢は17歳(14-43歳),腸管型ベーチェット病の発症時年齢は27歳(14-73歳),病変部位は回盲部4例,上行結腸2例,回腸2例(重複あり)であった.初回手術時年齢は29歳(14-73歳),再発による再手術は4例,累計11回行われた.累積再手術率は初回手術後5年で37.7%,累積再々手術率は再手術後3年で88.7%と高率であった.再手術の手術適応は吻合部再発が8例(53%)と最多であった(重複あり).初回術後15年目に腸管穿孔に伴う腹膜炎で死亡した症例を認めた.
    結語:腸管型ベーチェット病の再手術率は高く,予後不良な症例もおり長期のフォローが必要である.
  • 柳生 利彦
    2018 年71 巻3 号 p. 139-145
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/27
    ジャーナル フリー
    急性出血性直腸潰瘍(AHRU)62例の臨床像と急性期予後を検討.男性27例,女性35例.年齢平均値81.6歳.PSは3-4が64.5%.基礎疾患に認知症,高血圧,整形外科疾患を多く認めた.入院中発症例が7割,下血搬送例が3割.入院契機は整形外科疾患が最多で8割が入院後1ヵ月以内に発症.内視鏡処置は45.2%に施行,再出血が17.7%,再々出血は6.5%ですべて発症後急性期(30日以内)に起こった.治療拒否の1例以外は内視鏡的に止血し得たが再出血症例のうち36.3%はAHRU急性期に死亡.死亡24例のうち急性期の死亡を58.3%に認めたが死因はすべて基礎疾患か併発症であった.AHRUは急性期に再出血が起こるが内視鏡治療の成績は良好.死亡例の大半が急性期で死因が基礎疾患や併発症によるため内視鏡処置のみならず基礎疾患を含めた全身状態の把握および併発症の管理が重要である.
総説
  • 角田 明良, 高橋 知子
    2018 年71 巻3 号 p. 146-151
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/27
    ジャーナル フリー
    直腸重積(Rectal intussusception;RI)は排便時に直腸壁が内腔側に折り込まれる解剖所見であり,排便造影で容易に描出される.RIは排便困難や便失禁など排便障害の原因になる.標準的診断方法は排便造影であり,dynamic MRIでは診断の感度が劣る.保存的治療には内科的治療やバイオフィードバックがあるが,奏効しにくい.外科的治療として,stapled transanal rectal resection, transanal Delormeなどの経肛門的手術と,posterior rectopexyやventral rectopexy などの経腹的手術がある.ventral rectopexyは排便困難や便失禁の改善率が良好で術後合併症が少ないので,最近報告が増加している.排便困難はもとより便失禁を訴える患者にはRIを念頭において,排便造影を行うことが勧められる.
臨床研究
  • 久光 和則
    2018 年71 巻3 号 p. 152-156
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/27
    ジャーナル フリー
    平成23年4月から平成29年3月までのileostomy患者38例を検討した.造設理由は予防目的25例,縫合不全に対する治療目的12例,その他1例であった.High-output stomaは44.7%に認められ,Outlet obstructionは21%で認められた.Stoma閉鎖率は88.2%であった.Stoma閉鎖後合併症は,小腸閉塞2例,創感染3例,偽膜性腸炎3例で,縫合不全は認めず,すべて保存的に治癒した.Ileostomyはdiverting stomaとして有用である一方でhigh-output stomaやOutlet obstructionの克服が課題である.Outlet obstruction 8症例中2例は発症時点でhigh outputを呈しており,従来の定義の矛盾が示唆され,outlet obstructionの病態理解の参考になると考えられた.
症例報告
  • 栗原 奈津子, 船橋 公彦, 木村 和孝, 栗原 聰元, 小池 淳一, 塩川 洋之, 牛込 充則, 金子 奉暁, 鏡 哲, 甲田 貴丸, 後 ...
    2018 年71 巻3 号 p. 157-161
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/27
    ジャーナル フリー
    直腸-肛門静脈瘤は,門脈圧亢進症患者ではしばしば経験されるが,外科医の認知度は低く,痔核と誤認されて治療され重篤な合併症をきたす.今回われわれは,内痔核に併存した直腸-肛門静脈瘤に対し,経直腸超音波検査(TRUS)を行うことで手術に伴う出血の合併症が回避できたと考えられる1例を経験した.
    症例は77歳の女性.主訴は,血便.併存疾患に肝細胞癌と肝硬変があった.繰り返す潜血便と貧血で入院となった.下部消化管内視鏡検査で直腸に1条の静脈瘤を認めたが,血管造影検査では異常所見はなかった.出血源は内痔核と判断され,手術となった.術中所見では肛門前壁に30mm大の内痔核を認めたが,TRUSで同部位に直腸静脈瘤に連続する肛門静脈瘤が確認され,手術は中止として硬化療法へ治療方針を変更した.TRUSは簡便で侵襲もないため,直腸-肛門静脈瘤が疑われた場合には,合併症予防の点から積極的に施行すべき検査と考える.
Travelling Fellowship レポート
編集後記
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