過去10年間に当センターで経験した大腸sm癌のうち,初回から外科切除を選択した86例のsm層癌浸潤度を測定し,sm癌浸潤の絶対的評価を行い,sm層を3等分する相対的評価と対比検討した.sm
1は平均828μ,sm
2は1925μ,sm
3は3091μであった.隆起型は,表面型に比べ有意にsm浸潤度が深く,sm
1,sm
2,sm
3に分けても有意に隆起型が深いことから,通常mp層を欠く内視鏡切除標本のsm浸潤度を評価する場合,肉眼形態を考慮する必要があると思われた.またsm
1は80~2500μ,sm
2は625~4875μ,sm
3は730~90000μとかなりのばらつきがあり,内視鏡切除標本を相対的評価するのは,mp層が切除されている症例以外では不可能と思われた.脈管侵襲およびリンパ節転移の有無別ではsm浸潤度に差はなかったが,リンパ節転移は,最小875μで,つぎが1750μであり,リンパ節転移陽性11例中10例は1500μ以上であった.リンパ節転移のrisk factorを脈管侵襲陽性で,1500μ以上とすると約30%にリンパ節転移を認めることになり,sm浸潤度の絶対的評価の有用性が示唆された.
抄録全体を表示