最近,横行結腸原発悪性リンパ腫を経験した.症例は,79歳女性.腹痛を主訴に入院注腸にて,口側横行結腸に粗大結節状の陰影欠損を認めた.右半結腸切除術を施行.病理組織学的には,non-Hodgkinリンパ腫で,Rappaport分類では,histiocytic type,LSG分類では,large cell typeであった.術後1ケ年を経過した現在,再発の徴候なく生存中である.
消化管に発生する悪性リンパ腫は,癌に比べて,比較的稀であり,大腸の悪性リンパ腫は,さらに頻度が少ない.発生部位は,回盲部に多く,横行結腸は,調べ得た限りでは,自験例は,5例目にあたる.自験例16例の横行結腸癌と比較すると,悪性リンパ腫は,年齢が広く分布し,術前に腫瘤を触知する特徴がある.
抄録全体を表示