日本大腸肛門病学会雑誌
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39 巻 , 7 号
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  • 中山 沃
    1986 年 39 巻 7 号 p. 799-805
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    消化管運動の研究で用いられる実験動物はイヌ,ネコ,ウサギ,ラット,モルモットが主なものである.いずれの動物の大腸の形態もヒトのそれと著しく異なっており,動物実験でえられた結果がヒトの場合にどのように適用できるかが,われわれ基礎医学者にとって悩みの種である.またヒトで治療の過程で記録された大腸の運動の収縮曲線,電気活動,X線像の解析も,収縮波の伝播方向の確認を十分に行うことができない.またS状結腸や直腸の運動は肛門を経由しての記録が容易であるが,盲腸・上行・横行結腸の運動は記録しにくいため,研究は極めて少ない.記録しえた研究でも,収縮波の伝播方向については記載したものは少なく,大腸における内容物の停滞に重要な役割を果していると考えられる逆行波の常在性についての情報については極めて乏しいのが実情である.そこでヒトの大腸でえられた不確実な情報を,諸種の動物でえられた比較的確かな情報で解析してゆくしか方法がない.
  • 佐々木 大輔
    1986 年 39 巻 7 号 p. 806-813
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸内圧の測定方法には幾つかの方法がある.それぞれの方法の特長と問題点をあげた.とくに上行結腸内圧の測定方法について詳述した.大腸内圧の測定に際しては,必要とする情報および得られる情報の精度を考慮して測定方法を選択すべきである.大腸内圧に関与する諸因子としては,前処置の影響,年齢,性,体位,日内変動,導出部位および再現性などがある.大腸内圧測定結果の解析の際に考慮すべきである.
    各種疾患の大腸内圧についてものべた.とくに過敏性腸症候群の便通異常の病態生理について大腸内圧の立場から解説した.大腸憩室疾患は大腸内圧が病因に大きく関与している.大腸憩室疾患の病因および便通異常と大腸内圧との関連についても解説した.
    消化管運動機能の調整などの目的で用いられている代表的な薬剤の大腸内圧に対する作用について解説した.
  • 三輪 洋子, 川村 雅枝, 重本 六男, 横山 泉
    1986 年 39 巻 7 号 p. 814-818
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸粘膜血流と腸管運動について,水素ガスクリアランス法によるわれわれの知見を中心に述べた。腸管粘膜血流が,単に腸管壁の運動のみによって規制されてはいないことを,食事負荷,喫煙実験,抗コリン剤,下剤および利尿薬投与与,腸管壁の伸展等との関連を中心に示した。過敏性腸症候群の症例の大腸粘膜血流の検討では,痙撃性便秘群では下痢群および正常対照群に比べて有意に低かったことから,粘膜血流は慢性的な病態では新たな平衡状態に達していることが示唆された。
    大腸の臨床の場において,未だ形態学が主流を占めており,粘膜血流をはじめとする生理学的な検討は重要視されていないように思われる。しかし,近年注目されている上部消化管における潰瘍の消長と粘膜血流に関する検討は,消化器病学の臨床の立場からはじめて成し得るものである。同様に,大腸においても,臨床家によって粘膜血流等の生理学的検討が,新たな展開を示すことが期待される。
  • 康 謙三, 安富 正幸
    1986 年 39 巻 7 号 p. 819-829
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    大腸の運動機能の研究では,近位結腸機能の観察・記録が手技的に困難であるため,上部消化管運動の研究に比べまだ不明の点が多い.従来,大腸運動は近位結腸と遠位結腸では全く異ったものと考えられてきた.すなわち,Cannon-Böhm点より口側の近位結腸は腸内容の貯留と吸収を行う部位として,固型化された腸内容の運搬と排泄を分担する遠位結腸および直腸・肛門とは区別されていた.
    そこで本研究では,動物実験(イヌ)で大腸運動と術後の排便機能障害のメカニズムにつき,筋電図, strain gauge force transducer,内圧測定により電気生理学的に検討した.
    覚醒犬の空腹期大腸運動の観察では,大腸各部に30~40分間隔で8~10分持続する収縮波群が周期的に出現し,それらの大部分が肛門側へ順次伝わっていく伝幡性収縮波群として記録される.さらに上部消化管のいわゆる空腹期伝幡収縮波群(migrating motor complexes: MMC)は常に回腸末端部まで到達し,その約80%が回盲括約筋を超え大腸へと伝幡した.イヌ大腸運動では近位結腸と遠位結腸の間に系統的な伝幡性収縮運動がみられ,近位結腸と遠位結腸が別個の運動機能をもつという従来の考え方とは異っていた.同時に上部消化管運動との強い関連性も示された.
    次に術後の排便機能障害のメカニズム解明のため,イヌを用いて(1)自律神経切断,(2)直腸切除の2つの実験モデルを作成し,下部腸管運動と内括約筋機能を検討した.
    下腹・仙骨両神経切断によっても肛門管静止圧は正常に保たれ,直腸肛門反射も陽性であるが,反射時の抑制相の延長が認められた.仙骨神経根切断による節前線維の脱落と壁在神経叢の変性の結果である.
    また低位前方切除術のモデルとしての直腸切除犬では,術後早期より吻合部口側腸管に強いspastic contractionが出現し,同時に肛門管静止圧の低下がみられた.時間とともに両者はほぼ同様な経過で回復していくが,同時に排便状態も改善した.
    これら2つの実験モデルは直腸癌に対する低位前方切除術後の排便機能障害の臨床経過をよく反映している.
  • 梅原 規子
    1986 年 39 巻 7 号 p. 830-839
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    担癌大腸の移行部あるいは背景粘膜にみられる細胞動態の変化が,発癌の前段階としてのinitiationの表現なのか,癌の存在に対する反応性変化に過ぎないのかを明かにする目的で,dimethylhydrazine(DMH)の15mg/kg/週を投与した12匹のドンリューラットについて,平担粘膜における細胞動態の変化,粘膜内異型腺管巣及び浸潤癌の出現順位を検討した.
    明らかな浸潤癌はDMH投与開始後18週以降に屠殺したラットにのみみられたのに対して,病理組織学的な異型腺管巣はDMH投与開始後14週で現われており,細胞核DNA量の変化としてとらえれる細胞動態の変化としてとらえられる細胞動態の変化はDMH投与開始後6週ですでに認められた.
    これらの結果からDMH投与によるラット実験大腸癌では,一次的な変化としての大腸粘膜全体にわたる細胞動態の変化がおこっていることが証明された.
  • 吉田 隆亮, 原口 靖昭, 水田 能久, 大門 佳弘, 鬼塚 瑞枝, 野田 寛, 比嘉 昭彦, 坂本 英典, 板野 晃也, 大橋 剛, 坂田 ...
    1986 年 39 巻 7 号 p. 840-845
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    昭和53年1月より昭和61年1月までの8年間に経験した潰瘍性大腸炎58例について,発症および初診時よりそれぞれ平均5.5年,3.5年の観察時点における予後を検討した.初診時の重症度,罹患範囲,発症時年齢などの予後影響要因と,手術,死亡,病変拡大,再発および入院回数,全身合併症,臨床経過型等の各因子との関連性について分析した。
    重症度は再発回数を除き他の諸因子と,罹患範囲は全身合併症,再発および入院回数にのみ,また発症時年代では死亡に関してのみ有意の関連性が証明された.
    上記観察期間において,大腸全摘術5例(8.6%),死亡2例(3.4%),病変拡大5例(8.6%),再発および入院回数はそれぞれ2.1±2,4回,1.6±1.8回,合併症32例(55.2%),臨床経過型は初回発作5例(8.6%),再発緩解47例(81%),持続4例(6.9%),激症2例(3.4%)が認められた,
  • 味元 宏道, 後藤 明彦
    1986 年 39 巻 7 号 p. 846-857
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    胃大腸疾患においてsecretory component(SC)IgA,CEAおよび粘液の関係を免疫組織学的に検討すると,大腸粘膜はいずれも胃粘膜に比して強い染色性を示し,癌組織ではSC,IgAの染色性の低下とCEAの増強を認めた。また大腸腺腫では,CEAの染色性と組織学的異型度との間に,ある程度の相関性が認められた.Cronkhite-Canada症候群の成因は現在不明であるが,本症例の胃と大腸のポリープについて検討した.Juvenile type polypおよびその腺腫ではSCとIgAがともに低下し,SC産生能およびS-lgAの分泌機能の低下を認めた,さらに免疫組織学的に腸上皮化生および腺腫合併例に癌化の可能性が示唆された.以上より本症候群の背景には免疫機序の関与が推定された.
  • 渡辺 聖
    1986 年 39 巻 7 号 p. 858-870
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    肛門温存術式を施行した直腸癌症例の術後排便機能を明確にするため,慶大式microballoonを用いて40症例(正常群12例,術前群7例,術後群21例)に計63回の直腸肛門内圧測定を行った,各測定値について数量化理論第III類を用いて,各重要測定項目に関する要因分析を行い次の結果を得た.
    臨床評価と相関の強いものは, 1)手術法 2)肛門縁より吻合部までの距離 3)術後経過期間 4)便意耐容最大量 5)便意誘発最小量 6)VP比 7)直腸肛門反射面積で相関係0.5以上(p<0.005)であった.
    各項目・区分得点の絶対値が大きくかつrangeが0.2以上のものは臨床評価との関連度が強かった.
    各項目・区分に与えられた数量よりサンプル数量を求めた.サンプル数量が0.5以上は臨床評価が良好で,0.5以下は可・不可と弁別でき,数量化理論第III類解析から計量的臨床評価が可能なことを示すと共に客観的なclinical scoreを算出することができた。
  • 鈴木 公孝, 宮川 静一郎, 佐藤 長夫, 小松 邦彦
    1986 年 39 巻 7 号 p. 871-876
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎で経過中に大腸癌を発症した稀な症例を経験した.症例は29歳の男性で,腹痛,腹満感のため当科へ入院した.13歳より肝機能異常をいわれ,22歳に直腸生検により潰瘍性大腸炎と診断された.保存的治療にかかわらず腸閉塞症状の悪化をみたため閉腹手術が施行された.切除標本の病理で,横行結腸に癌が認められた.剖検病理では肝硬変が証明された,本症例の経過を報告するとともに,潰瘍性大腸炎の癌合併の問題を中心に文献的な考察を行った.
  • 清水 誠治, 岡田 博子, 多田 正大, 川井 啓市
    1986 年 39 巻 7 号 p. 877-881
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    Stercoral ulcerと考えられる4症例を経験したので文献的考察を加え報告した.症例は男性3例,女性1例で,年齢は56~82歳(平均70.2歳)であった.基礎疾患はさまざまであったが,いずれの症例も従来より便秘傾向が強く,臥床中に高度の便秘をきたした後に,下血により発症した.緊急大腸内視鏡検査では直腸またはS状結腸に不整形の潰瘍性病変が見出され,生検診断は非特異性潰瘍であった。治療の基本は便通の正常化であり,緩下剤・浣腸とともに輸血,経静脈栄養や低残渣食を併用し20~70日(平均42.5目)後に瘢痕治癒を確認した.本症は放置すれば,穿孔を来し死亡率が高いため,本症を常に念頭に置き,早期に発見し対処することが重要である.
  • 牧角 寛郎, 石沢 隆, 加治佐 隆, 島津 久明, 松下 文雄
    1986 年 39 巻 7 号 p. 882-887
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸腺腫症と直腸癌の合併例の術後3年目に巨大な腹腔内腫瘤を認めたGardner症候群の1例を経験した.症例は47歳男性,43歳時に大腸腺腫症および直腸癌にて腹会陰式直腸切断術(治癒手術)を受けた,術後3年目に腹部腫瘤を触知したため当科を受診した.CT scanにて腹部腫瘤を認めたため開腹術施行.腫瘤は4個に分葉し,それぞれ径16×15×8cm,12×9×5cm,11×8×7.5cm,8×6×3cm,総重量3kgにおよぶデスモイドであった.
  • 楢林 尚, 日笠 豊, 山村 誠, 垣内 富英, 深田 正代, 沢田 幸男, 橋本 将利, 筋師 満, 大野 忠嗣, 里見 匡迪, 下山 孝 ...
    1986 年 39 巻 7 号 p. 888-892
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    1974年から,1985年までの過去12年間に兵庫医科大学第4内科にて,大腸内視鏡的ポリペクトミーを施行した223名286病変についても検討を加えた.また,大腸早期癌については最初より手術適応となった3例も含めて22例について検討を加えた。ポリープの部位はS状結腸が149病変(52.1%)と,最も多く,また,肉眼形態では,山田IV型のものが154病変(56%),組織型では,腺腫が231病変(84%)と,最も多かった.早期大腸癌は,摘出標本275病変中21病変(7.6%)を占めていた.大腸早期癌のうちsm癌は6例あり,そのうち最初より手術適応になったのは2例であり,2例はポリペクトミーの後,腸切除を追加している.他の2例はmicro-invasionであり,脈管への浸潤もなかったため,外来にて追跡中である.Sm癌での手術症例では,いずれもリンパ節転移はみられなかった.
  • 1986 年 39 巻 7 号 p. 893-904
    発行日: 1986年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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