日本大腸肛門病学会雑誌
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58 巻, 5 号
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  • 3期分割手術から1期的手術へ
    池内 浩基, 中埜 廣樹, 内野 基, 中村 光宏, 野田 雅史, 柳 秀憲, 山村 武平
    2005 年 58 巻 5 号 p. 239-245
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎手術症例の術前の治療法,臨床的特徴と術式の変遷を明らかにすることを目的とした.1984年8月から2003年12月までに当科で手術を行った潰瘍性大腸炎症例634例を対象とし,1984年から1996年までの症例をA群.1997年から1999年までの症例をB群.2000年以降の症例をC群とし検討した.術前の特徴として,ステロイドの総投与量と,緊急手術の割合は有意に減少しており,これは,内科的治療の進歩によるものと思われた.術式は,A群では3期分割手術が85.6%と多数を占め,B群では2期分割手術が60.5%,C群では1期的手術が56.1%と多数を占め,術式の変遷が明らかとなった.周術期の死亡率は3.4%から1.3%に減少し,pouch機能率はA群:91,5%,B群:96.9%,C群99.7%に向上していることより,安全性と手術成績が向上したことが明らかとなった.
  • 長尾 宗紀, 舟山 裕士, 福島 浩平, 柴田 近, 高橋 賢一, 小川 仁, 西條 文人, 羽根田 祥, 渡邊 和宏, 工藤 克昌, 神山 ...
    2005 年 58 巻 5 号 p. 246-249
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    在宅中心静脈栄養療法(HPN)施行中の症例の問題点を検討した.対象は当科で経験したHPN症例19例(男:女=13:6,HPN導入時平均年齢38歳,平均施行期間3.3年)であり,その原疾患はクローン病が15例,非特異性多発性小腸潰瘍症が2例,慢性特発性偽性腸閉塞症が2例であった.HPNの適応は短腸症候群,難治性の肛門病変,経腸栄養不耐などであった.HPNの合併症ではカテーテル感染が最も多く,2年で約6割の症例がカテーテルの交換を必要とした.また代謝合併症として微量元素の過剰と欠乏,肝機能障害,骨軟化症などを認めた,HPNはメリットも多いが重篤な合併症も数多くあり,その施行に際しての経過観察と管理は慎重に行うべきであると考えられた.
  • 牧野 知紀, 三嶋 秀行, 池永 雅一, 辻仲 利政
    2005 年 58 巻 5 号 p. 250-254
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は59歳男性.肛門周囲痛を主訴に受診.来院時,肛門周囲に亜全周性の浸潤性紅斑を認め,生検にて表皮内(一部,真皮内)にPaget細胞を多数認めた.直腸粘膜は歯状線までは浸潤しておらず,その他リンパ節転移や遠隔転移を認めなかった.術前生検のmappingで肛門病変切除範囲を決定し,肛門周囲広範囲切除術(病変部より3cm外側を切除),一時的人工肛門造設,両側大殿筋V-Y皮弁再建術施行した.術後,肛門より造影剤を注入しても肛門外への造影剤の漏れはなく,肛門機能は保たれていた.術後1年経過した現在まで再発無く経過している.根治手術を施行し得た肛囲Paget病の1例を経験したので文献的考察と併せて報告する.
  • 長谷川 小百合, 貞廣 荘太郎, 鈴木 俊之, 石川 健二, 安田 聖栄, 幕内 博康
    2005 年 58 巻 5 号 p. 255-259
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    多発病巣を有し術後7年,無再発生存が得られた直腸肛門部悪性黒色腫の1例を経験した.症例は73歳女性.下血を主訴に受診.大腸内視鏡検査にて,歯状線直上に表面が比較的平滑で,点状に黒色変化を来した約5cm大の1型隆起と,その対側にも同様の1型隆起様病変を認めた.悪性黒色腫の診断で,腹会陰式直腸切断術を施行した.深達度はmpおよびsmであり,リンパ節転移は認めなかった(0/36).術後の化学療法は施行しなかった.術後7年を経て再発徴候なく,外来にて経過観察中である.直腸肛門部悪性黒色腫の5年以上生存例は,本邦報告例で検索し得た限りでは自験例を含め14例のみであった.直腸肛門部悪性黒色腫に対する術式として,近年術後のQOLの観点から局所切除も検討されているが,現在では結論的見解には至っていない.
  • 小澤 広太郎, 金井 忠男, 栗原 浩幸, 石川 徹, 金武 良憲
    2005 年 58 巻 5 号 p. 260-265
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    当院で経験した壊疽性筋膜炎7例を報告する.症例は49~66歳で全例男性であった.主訴は肛門部痛で5例に発熱をともなっていた.いずれも肛門部が病変の主体であり,初診時に陰嚢に炎症があったものは2例であった.病変部は発赤腫張が著明であり,皮膚の一部が壊死を起こしているものもあった.検査所見では著明なWBC, CRPの上昇を示した.術前肛門周囲膿瘍の診断で局所麻酔下に切開した症例2例はともに蜂窩織炎の状態で排膿を認めなかった.6例は当院において腰椎麻酔下に手術を行った.いずれも膿瘍よりも組織壊死が著明で,独特な悪臭を放っていた.手術は壊死組織の除去と広範囲ドレナージを行った.当院において治癒せしめたものは4例で,他の3症例は大学病院へ転院となり,全身麻酔下で手術が行われ全例とも救命することができた.壊疽性筋膜炎は予後の悪い重症感染症であるため,迅速・的確な処置を要し,場合により高次医療機関への転送が必要となる.
  • 宮崎 道彦, 黒水 丈次, 豊原 敏光
    2005 年 58 巻 5 号 p. 266-271
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    われわれは以前にrectoceleの大きさ (30mm以上) が手術 (経腟的) 適応の一つになり得ると発表した. 今回その基準をもとに行った手術の治療成績を調査した. 方法 : 手術を施行した有症状のrectoceleをもつ女性17例. 年齢は53±ll歳(27歳~67歳). 検討した臨床症状は排便時間, 排便の困難性, 残便感, 下剤の使用, 便失禁, 尿失禁, 骨盤他臓器脱出, 性生活, 満足度, 推薦度. アンケート質問表で調査を行った. 結果 : アンケート質問表は13例(76%)から回答を得た. 排便時間, 残便感, 下剤の使用では有意な変化は認めなかったが排便の困難性, 満足度, 推薦度では良好な結果であった. 1例に便失禁を, 2例に尿失禁を, 4例に性交時不快症を術後に認めた. 結語 : 排便障害を持つrectoceleに対する経腟的手術は有効ではあるが時に不定愁訴が残ることがあり, 大きさによる手術適応は慎重に取られなければならないと思われた.
  • 2005 年 58 巻 5 号 p. 272-302
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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