日本畜産学会報
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67 巻, 1 号
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  • 西田 朗, 千葉 和義, 小成 隆敬, 篠原 久, 山岸 敏宏
    1996 年 67 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    家畜と実験動物の計8品種において,ある遺伝子座とマーカー遺伝子座のうちの一つとが,一定の強さで連鎖している確率を求めた.その遺伝子座は,一つで1形質を支配していると仮定した.確率の計算にあたり,連鎖の強さは,最も近いマーカーからの物理的距離dとして,任意に指定できる.距離dがゲノムサイズの1~2%までの範囲で,目的とする遺伝子座と一つのマーカーとの連鎖が見つかる確率Pr(D≦d)は,dの増加とともに急速に高まった.dがこの範囲を超えると,一定量のdの増加に対する確率の上昇量は小さくなった.確率Pr(D≦d)は,ほとんど完全に常染色体の数nにより決定されていた.使えるマーカーのmが,例えば50と一定であれば,nの少ない動物ほどPr(D≦d)が高く,dが大きくなるにつれてしだいにPr(D≦d)の動物間差は広がった.dがゲノムサイズの5%で,mが50のとき,Pr(D≦d)のnに対する一次回帰係数は-0.0076,両者の間の相関は0.98であった.距離dがゲノムサイズの5%となる正確さで遺伝子座とマーカーとの連鎖を見つけられる確率はmの増加とともに高まり,チャイニーズハムスター(n=10),ラット(n=20),ウシ(n=29)の間のPr(D≦d)の差は,m=20のときに最大で,mが20から遠ざかるにつれて小さくなった.豚のある遺伝子座とマーカーのうちの一つが,ゲノムサイズの0.25%以下の距離で連鎖しているのを,0.9より高い確率で見つけるには,約500の無作為に分布するマーカーが必要であった.豚の性染色体を除くゲノムサイズは,約20モルガンであると推定されているので,その0.25%は,ほぼ5センチモルガンにあたる.
  • 関根 時江, 上野 啓介, 渡辺 恵美子, 門脇 基二, 石橋 晃
    1996 年 67 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ブロイラーの脚弱を栄養学的に改善するため,ブロイラーの骨成長に及ぼす飼料中のリジンおよびアルギニン含量の影響を検討した.8日齢のコブ系雌ブロイラーヒナを単飼し,10日間試験飼料および水を自歯摂取させた.試験飼料はリジンの影響を明確にするため,アルギニンを0.8%と一定にした飼料に,リジンを0.6,1.0,1.4,1.8および2.2%となるように添加し,リジン/アルギニン比の異なる5飼料を作成した.また,高リジンではあるがリジン/アルギニン比を低くするために,リジンが2.2%でアルギニンを2.0%とした飼料区を設定した、対照区はリジン1.2%•アルギニン1.4%飼料とした.1.0および1.4%リジン飼料区の体成長および骨成長は,対照区と有意な差は認められなかった,しかし,0.6%の低リジン飼料区および1.8と2.2%の高リジン飼料区では,対照区に比べ有意に劣った.1.8および2.2%の高リジン飼料区において,脚弱ヒナが多発したが,0.6%の低リジン飼料区では脚弱ヒナは観察されなかった.また,2.2%リジン飼料でアルギニンを2.0%に増加させることにより,リジン過剰の影響が緩和されることが示された.飼料中のリジン/アルギニン比の高い区では,血中のpHが他の区よりも低かった.
    これらの結果から,飼料中のリジン/アルギニン比が高くなると体成長および骨成長が抑制され,脚弱が発生したが,それには血中のpHの低下が関与していることが示唆された.
  • 藤原 勉, 前田 諭, 松井 徹, 成瀬 治巳
    1996 年 67 巻 1 号 p. 14-23
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    加工処理した牛脂(粉末牛脂)をヒッジの肥育用飼料に添加した場合の飼料の利用性および脂質代謝に及ぼす影響について調査し,更に肥育時の肉質改善効果の可能性について検討した.飼料の乾物当り1%の牛脂を添加した場合では,有機物および各栄養素の見かけの消化率への影響はみられなかったが,添加量が増加(乾物当り2~4%)すると,粗繊維の消化率が低下する傾向がみられた.第一胃内汁液中の総VFA濃度では牛脂添加による明らかな影響はみられなかったが,プロピオン酸濃度は牛脂添加によって上昇し,AP比はかなり低下した.血漿中グルコース,トリグリセライド,遊離脂肪酸およびコレステロール濃度は牛脂添加によって有意に増加した.以上の結果から,本実験で用いた粉末牛脂は,ヒツジの濃厚飼料多給時に添加給与した場合,飼料摂取量や第一胃内発酵を抑制することなく,血漿中トリグリセライドの上昇等の脂質栄養を改善することにより,末梢組織への脂肪沈着を増加させる可能性のあることが示された.
  • 鈴木 啓太, 森 匡, 清水 弘
    1996 年 67 巻 1 号 p. 24-27
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Pig spermatozoa are generally preincubated prior to in vitro fertilization (IVF) to accomplish penetration into oocytes. This study was carried out to establish the optimum condition of preincubation for boar spermatozoa which have low ability of penetration. To investigate whether a long preincubation period and the presence of bovine serum albumin (BSA) in the preincubation medium improve the ability of these spermatozoa to penetrate oocytesin vitro, spermatozoa were preincubated in media with and without BSA, and for various periods. The rate of oocyte penetration by spermatozoa preincubated for 8h was significantly higher than that by spermatozoa preincubated for 1.5h (control). On the other hand, there was no difference in the rates of oocytes penetration by spermatozoa preincubated in a medium containing BSA and in a medium with no BSA.
  • 高橋 敏能, 安藤 学, 萱場 猛夫
    1996 年 67 巻 1 号 p. 28-31
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    The characteristics of fatty acids composition of adipose tissues in thirty nine Japanese serows were examined by comparing them with other ruminants. Unsaturated fatty acids were contained more in serows than in sheep fed with high concentrate ration. C18:1 fatty acids in adipose tissues of both were significantly higher in female than in male.
  • 木村 聖二, NA MACLEOD, RNB KAY, ER ORSKOV, 坂田 隆
    1996 年 67 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    This is the first attempt to quantitate epithelial cell loss from any epithelium in vivo. The outflows of epithelial cells, supernatant and sediment nitrogen from the rumen were measured in steers wholly nourished by intragastric infusion of nutrients. This technique will be available for the study of epithelial cell kinetics.
  • 佐藤 衆介, 吉川 智恵
    1996 年 67 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Recently, Kendrick reported a small population of cells in the temporal cortex of sheep that respond preferentially to visual images of animals and humans. In this study, the durations of visual attention to the photographic images and movies were measured as the period during which presented images were recorded on video tapes filmed through a small video camera on the head of cattle. The results in this study were quite similar to Kendrick's electrophysiological studies. Animals responded specially to familiar animals and humans, especially to approaching persons. In this study, however, frontal facial images with horns and photographs of a dog did not evoke increased responsiveness. These results suggest that the learning is most important in cognition. Measuring the duration of visual attention is quite effective to investi- gate cognition patterns of animals, which is an easy methodology.
  • 崔 一信, 朴 燕鎮, 石下 真人, 鮫島 邦彦
    1996 年 67 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    In Korea, pear juice has been used for tenderization of meat since early times, suggesting the presence of proteases. The objective of this research was to identify the protease in the pears and to investigate the possibility as a new tenderizer of meat. Crude pear proteases were prepared from Korean pear (Shingo). The proteolytic activity was measured by using N-α-benzyloxy carbonyl-L-lysine-nitrophenyl ester (CBZ-Lys-ONp) as substrate. The optimum activities of this protease were found at around pH 7.0 and 37°C. When porcine actomyosin was treated with this pear protease at 25°C and pH 7.0, myosin heavy chain was progressively degraded during the reaction. On the other hand, actin was degraded slightly under the same condition. Other myofibrillar proteins were also degraded by this protease. The present study suggested that Korean pears contained protease which may be useful as a meat tenderizer.
  • 佐藤 正寛, 小畑 太郎
    1996 年 67 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    ブタにおいて,連鎖の有無を調べたいDNAマーカーを二重ヘテロに持つ雄親の相の情報を利用しないで連鎖解析を行なう場合と,相の情報を得るために二重ヘテロの雄親の両親のDNA多型を調べた後に連鎖解析を行う場合の効率を,コンピュータシミュレーションによって比較した.その結果,(1) 組換率が0.05以下の場合には相が未知のまま連鎖解析を行なう,(2) 組換率が0.05を越える場合には相の情報を得るたあにDNAマーカーを二重ヘテロに持つ個体の両親のDNA多型を調べた後に連鎖解析を行なう,ことが効率的であることが明らかになった.
  • 守屋 和幸, 道後 泰治, 佐々木 義之
    1996 年 67 巻 1 号 p. 53-57
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    黒毛和種集団の屠肉性に関する形質相互間の遺伝および表型相関係数を基礎集団と現集団について多形質REML法を用いて推定した.その際,血統情報として基礎集団の場合は肥育牛の父母の血統を1960年以前に出生した祖先個体が出現するまで遡ったものを用いた.いっぽう,現集団については肥育牛の父母の血統のみを用いた.基礎集団の方が現集団より遺伝相関係数は高い傾向にあった.現集団の遺伝相関のうち,肉量を代表する枝肉重量とロース芯面積およびバラ厚との遺伝相関係数は正の中程度の値であったのに対し,皮下脂肪厚および脂肪交雑との間のそれは低い値であった.さらに肉質を代表する脂肪交雑と枝肉重量および皮下脂肪厚との間の遺伝相関係数はそれぞれ0.052,0.085であった.以上の結果から黒毛和種については枝肉重量を大きくし,かつ脂肪交雑を高めながら皮下脂肪厚を適度に抑えたいわゆる「質量兼備」の肉牛への改良が可能であることが示唆される.
  • 佐藤 博, 西口 靖彦, 加藤 寿次
    1996 年 67 巻 1 号 p. 58-63
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    乳牛の繁殖と牛乳の尿素濃度(尿素態窒素,Milk urea-nitrogen; MUN)との関係を解明するため,民間の3牧場において14ヵ月間にわたり毎月1回ずつ個体ごとの牛乳試料を採取した(148頭から延べ1,091点).この間に人工授精された129頭につきMUNと受胎の関係を追跡した.別途,12カ所の牧場においてバルク乳を毎月1回ずっ1年間にわたり採取し,そのMUNと当該サンプル時(月)の受胎率(月間の授精が4頭以上の場合)の関係を調べた.その結果,(1) 個体別のMUNは4~23mg/dlの範囲にあった.MUNが18mg/dl以上の牛では受胎例がなかったが,それ以下においては受胎成績との関係を認めず,乳蛋白質率と受胎成績にも関係がなかった.(2) バルク乳(144例)のMUNは8~16mg/dlの範囲にあり,このうち1ヵ月に4頭以上に授精を行なったのは62例あったが,バルク乳のMUNと受胎率には関係を認めなかった.以上,MUNが18mg/dl以上の乳牛では受胎例がなかったが,バルク乳のMUNが8~16mg/dlの範囲では牛群の受胎率には影響ないものと思われた.
  • 加藤 久美子, 杉山 稔恵, 楠原 征治
    1996 年 67 巻 1 号 p. 64-68
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    成熟雄ウズラ大腿骨の器官培養を試み,エストラジオール(E2)およびテストステロン(T)が骨内膜細胞の分化•増殖および骨髄骨形成能に及ぼす影響について検討した.
    E2あるいはTの単独添加培養液を用いて培養した場合,大腿骨骨内膜表面では培養前と比較して,前骨芽細胞が多数観察された.さらに,E2およびTの両方を添加した場合では,前骨芽細胞がより多く出現していた.しかし,牛胎子血清を含まない培養液では,有糸分裂像および骨芽細胞は観察されず,骨髄骨の形成も起こらなかった.いっぽう,牛胎子血清を含む培養液にE2またはTを添加した場合,有糸分裂像および骨芽細胞が観察され,骨髄骨の形成も認められた.とりわけ,牛胎子血清を含む培養液にE2およびTを併用添加して培養した場合,骨内膜表面に多くの骨芽細胞が観察され,骨髄骨の発達が顕著であった.
  • 志賀 瓏郎, 石田 貢, 堀井 菜摘子, 中嶋 芳也, 安保 佳一, 渡辺 彰, 西村 宏一, 常石 英作, 滝本 勇治
    1996 年 67 巻 1 号 p. 69-77
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    未利用資源利用のため開発された蒸煮白樺飼料の給与がウシ消化管内ミネラル動態に及ぼす影響を調べるため,給与飼料(濃厚飼料:粗飼料=75:25)のうち粗飼料としてオーチャードグラス乾草を給与するO群と蒸煮白樺を給与するW群の2群(各4頭)に分けて5ヵ月間肥育した2年2ヵ月齢の黒毛和種去勢雄牛8頭(体重615~630kg)について,血清Na,K,Mg,Ca,Pi濃度と消化管各部位(第一•二胃~直腸の20部位)内容物の水分,pH,各ミネラルの含量と上清率,それらの相互関係を調べた.蒸煮白樺の各ミネラル含量は乾草の2~30%で,W群の各ミネラル摂取量はO群の70~90%であったが,両群の血清濃度と消化管各部内容に顕著な差はなかった.両群の消化管内容物のpHとMgの上清率の間,Mgの沈澱とPの上清率の間に有意の負の相関が,水分とNaの間,NaとKまたはPの上清の間,KとPの上清の間,KとMgの上清率の間,CaとPの上清率の間に有意の正の相関が認められた.
  • 那 日松, 田中 嘉則, 森 信寛, 北本 豊
    1996 年 67 巻 1 号 p. 78-83
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    中国•内蒙古草原地域の伝統的アルコール発酵乳であるアイラグ(Airag)の乳酸菌数および酵母数を計数し,乳酸菌と酵母を分離して表現形質をもとに同定した.アイラグの発酵を現地で3日間行なった試料から乳酸菌を105~107/ml,酵母を104~106/ml検出した.発酵試料から分離された乳酸菌はLactobacillus属のみで,Lb. brevisおよびLb. curvatusと推定した菌株がそれぞれ総菌株数の75%および25%を占めた.酵母では,Saccharomyces globosusおよびBrettanomyces anomalusと推定した菌株が分離菌株のそれぞれ56%および44%を占めた、アイラグの微生物叢は,同一地域で作られる自然発酵乳のエードスンスーと異なった.本発酵乳の菌叢成因の考察を行なった.
  • 星野 貞夫
    1996 年 67 巻 1 号 p. 84-101
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
  • Akira OKANO, Kiyoshi OKUDA
    1996 年 67 巻 1 号 p. 102-103
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    Affinity (Kd) of oxytocin receptors (OTR) in the porcine myometrium ranged from 0.48 to 0.77nM. There was not significant difference in Kd values among the stages of the estrous cycle and early pregnancy. However, maximum number of OT binding site varied with the stages of the estrous cycle, but were constant at early pregnancy. These results suggested that OT in the myometrium probably plays a role for uterine contraction via OTR in the estrous stages instead of controlling the luteal function.
  • Naoko KAWAMOTO, Atsushi MURAI, Jun-ichi OKUMURA, Mitsuhiro FURUSE
    1996 年 67 巻 1 号 p. 104-105
    発行日: 1996/01/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    It has been reported that 16, 16-dimethyl prostaglandin E2 (PGE2) prevents against fat accumulation in livers of rats challenged with carbon tetrachloride (CCl4). Our preliminalry studies have indicated that enprostil, PGE2 analogue, inhibited the liver triacylglycerol (TG) concentration in the CCl4 non-challenged mice, suggesting that enprostil. would have some effects on lipid metabolism other than the cytoprotection in the liver.
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