日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
33 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 自験例および本邦60例の検討
    片山 修, 倉光 秀麿, 織畑 秀夫, 中沢美 知雄, 飯田 文良, 有輪 六朗
    1980 年 33 巻 1 号 p. 1-12,84
    発行日: 1980年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    肛門および直腸に悪性黒色腫が原発することは稀であり,本邦では,1929年の江崎の報告以来,60例が報告されているにすぎない.
    肛門痛と肛門出血を主訴として来院した65歳の女性に,直腸癌の診断により腹会陰式直腸切断術を施行し,病理組織学的に肛門直腸移行部原発の悪性黒色腫であった自験例を提示する.
    肛門直腸悪性黒色腫の本邦60例について文献的に検討した.好発部位は,歯状線近傍の後壁で,組織学的には肛門直腸移行部であった.大きさは,2~5cmが最も多い.潰瘍形成は81.5%にみられた.60歳代に最も多く,平均60,0歳であった.男18例:女42例.症状では,出血48例,便秘17例,疼痛14例,腫瘤14例が多い.転移は,鼠径,直腸周囲などのリンパ節と,肝,肺などの臓器に多い。5年生存率10.7%で,平均生存期間17.5カ月であった.死因は,悪液質,転移再発巣よりの出血が多かった.
  • 森谷 宜晧, 小山 靖夫, 北条 慶一, 松本 恵一
    1980 年 33 巻 1 号 p. 13-18,84
    発行日: 1980年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    切除大腸癌851例のうち尿路合併切除54例,尿路損傷29例につき主として再建術式の面より検討を加えた.合併切除54例の内訳は,骨盤内臓全摘13例,膀胱全摘3例,膀胱部分切除21例,尿管切除7例,前立腺部分切除12例であった.これらの術後経過は満足すべきものであった.一方,尿路損傷の内訳は,尿管損傷11例,膀胱損傷10例,尿道損傷8例であった.13例は術中に認識された損傷であったが16例は,術数日後に発現をみた症例であった.
    中部尿管損傷は端―端吻合で再建され経過は良好であったが,下部尿管端―端吻合例は,縫合不全,狭窄を起した.下部尿管損傷後の再建術式としては,尿管―膀胱吻合が優れていた.膀胱会陰瘻8例中4例は,術前放射線照射が膀胱に及んでいた症例であった.照射膀胱に発生した膀胱会陰瘻には,早期に尿路変更術などを考慮すべきである.
  • 秋本 龍一, 中川原 儀三, 磨伊 正義, 村 俊成, 北川 一雄, 竹山 茂, 今堀 努, 徐 尚隣, 中西 功夫
    1980 年 33 巻 1 号 p. 19-21,85
    発行日: 1980年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    患者は62歳の女性.昭和52年夏頃から肛門周囲皮膚に湿疹様病変を認め,軟膏療法を続けたが軽快せず,昭和53年3月に某医で生検の結果,epidermoid carcinomaと病理診断された.手術を勧められ当科を受診した.
    局所所見:肛門周囲皮膚に不整形,地図状の,4.5×2.5cm大の湿疹様病変を認める.しかし歯状線あるいは腟までは達していない,触診で病変深部にクルミ大の硬結を触れ,深部への浸潤が強く疑われた.
    手術:腹会陰式直腸切断術を行ない,病変の腟までの距離が0.5cmと近接していたので,腟後壁も併せて切除された.
    組織所見:surface squamous cell layerの異型増殖で,in situ changeを示し,腟および直腸への増殖は認められない.また硬結を触れた部位付近の連続切片では,癌はみられず軽度の線維増生を示すだけであった.
  • 佐伯 啓三, 西俣 嘉人, 美園 俊明, 政 信太郎
    1980 年 33 巻 1 号 p. 22-25,85
    発行日: 1980年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸放線菌症はまれな疾患である.我々は最近,下行結腸からS状結腸にかけての本症1例を経験したので報告する.
    症例は29歳の女性.主訴は左下腹部痛で,粘血便や便通異常はない.初診時,左下腹部に著明な圧痛があり,腫瘤を触知した.注腸X線検査にて,下行結腸下端を中心に健常部との移行が,比較的ゆるやかな強い狭窄をみとめた.狭窄部の辺縁は不整で,一部鋸歯状を呈し,粘膜面には大小結節状の陰影をみとめた.臨床症状および理学的所見から炎症性腫瘤と診断し,手術を施行した.肉眼的には明らかな潰瘍および腫瘤をみとめず,組織学的検索で全割組織切片31枚中2枚に特徴的な放線菌菌塊をみとめ,放線菌症と診断した.
    本症のX線所見に関しては,一般に特徴的な所見はないとされ,二重造影像に関してもこれに関するまとまった報告はない.本症例でも注腸二重造影像でBorrmann IV型癌との鑑別が問題となった.
  • 白鳥 常男, 戸部 隆吉, 下山 孝, 福井 興, 小林 絢三
    1980 年 33 巻 1 号 p. 26-36,86
    発行日: 1980年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    プレドニゾロン坐剤を直腸,S状結腸に主たる活動病変をもつ潰瘍性大腸炎192例と8例の放射性直腸炎の治療に用い以下の成績を得た。潰瘍性大腸炎では2週以内に90例(47%),4週以内に134例(70%)の症例で粘血・血便,下痢が消失し,症状改善は176例(92%)にみられた.悪化は1例(0.5%)のみであった.しかし内視鏡上の緩解は8週目で57例(36%)'にすぎなかった.緩解に至らなくとも内視鏡上改善を得た症例は89例(56%)で,悪化例はなかった.放射線直腸炎でも8例中5例は2週以内に粘血・血便.下痢が消失したが,内視鏡的に炎症所見,びらん・出血が消失した例は1例のみであった,問題となる副作用もなく,直腸局所刺激は例外的に2例にみられただけであった.以上,本坐剤は潰腸性大腸炎の治療には極めて高い有用性をもつ,使用に当っては,緩解に至るまで内視鏡検査を行ないながら減量や投薬中止を決めることが肝要であると考える.
  • 1980 年 33 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 1980年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 33 巻 1 号 p. 44-82
    発行日: 1980年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
feedback
Top