潰瘍性大腸炎における抗アレルギー剤 disodium cromoglycate (DSCG) の臨床効果を検討した. 対象は臨床症状, 経過, 大腸X線・内視鏡所見などより, 潰瘍性大腸炎と診断された19例で, その背景因子は男女比7 : 12, 初診時年齢13-65歳平均28.3歳, 全大腸炎型6例, 左側大腸炎型9例, 直腸炎型4例, 重症2例, 中等症6例, 軽症11例, salicylazosulfapyridine (SASP) 併用3例, ステロイド剤併用1例, 入院5例, 外来14例, 既往歴・家族歴にアレルギー疾患を有するもの8例であった. 重症度に応じて1日240-600mgの DSCG を経口的に投与し, 投与前後の症状, 血液所見, 内視鏡像の推移から DSCG の臨床効果を検討した. 投与2カ月後に内視鏡的に緩解に至った例は1例にすぎないが19例中12例までは症状は消失し, 米井らの治療効果判定基準では19例中14例は著効ないし有効であった. 無効5例のうち2例はその後緩解しており, 最終的にまったく効果を示さなかったものは2例にすぎず, きわめて高い有効率であった. 潰瘍性大腸炎の発症には即時型アレルギーの関与が強く示唆されており, 肥満細胞の脱顆粒を抑制する DSCG は潰瘍性大腸炎の治療薬として広く用いられることが期待される.
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