Saddle block下に内痔核根治手術を行った104例を対象に,鎮痛坐剤の有効な投与方法について検討した.症例を術後坐剤を投与しない群(A群),術直後投与群(B群),麻酔施行3時間後投与群(C群),4時間後投与群(D群),5時間後投与群(E群)に分け,麻酔効果,鎮痛剤使用状況,疼痛の経時的変化について調査した.Saddle blockは約4時間効果が持続したが,5時間までは効果の持続しない例も存在した(25%).初回鎮痛剤内服時間は,麻酔後A群5.7±1.6時間,B群10.3±7.1時間,C群12,4±6.6時間,D群19.5±9.2時間,E群10.7±7.6時間であり,D群が最も遅い結果であった(p<0.0001),疼痛の経時的変化ではD群は他群に比べ痙痛が軽度であり平坦な推移を示していた.第1~5病日に内服した鎮痛剤の総数はD群で最も少なかった(p<0.003).以上より麻酔施行4時間後の鎮痛坐剤挿入はきわめて有効であることが示された.
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