日本大腸肛門病学会雑誌
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51 巻, 4 号
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  • 山村 卓也, 小笹 貴夫, 松崎 弘明, 松岡 博光, 田中 一行, 及川 博, 赤石 治, 月川 賢, 山口 晋
    1998 年 51 巻 4 号 p. 201-208
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    p53蛋白の発現が消化器癌においてどのような臨床病理学的意義をもっかについては一定の見解が得られていない.この研究の目的は大腸癌治癒切除例におけるp53蛋白発現の臨床病理学的意義を明らかにすることである.対象はstage I~IIIの大腸進行癌治癒切除142例である.免疫組織染色はCM1を用い,ABC法により行い,p53蛋白の発現と臨床病理学的因子および予後との関係を検討した.その結果,臨床病理学的因子によるp53陽性率に差はみられなかった.p53陽性例のほうが有意に再発率が高く,無再発生存率が低かったが,p53陽性例とp53陰性例の間に生存率の差はみられなかった.この理由はp53陽性例のほうが再発の程度が軽度で,再発に対する切除率が高いことによると思われた.したがって大腸癌治癒切除例においてp53蛋白の発現は再発の危険因子であることが示唆された.
  • 石井 裕二, 大矢 正俊, 石川 宏
    1998 年 51 巻 4 号 p. 209-218
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    RIを用いる排便造影を直腸癌に対する低位前方切除術後26例(LAR群)と慢性機能性便秘19例(C群),その他の肛門部愁訴症例11例(AN群),正常対照12例に施行した.99mTCDTPAを混入した半固形状の人工便を肛門より注入し,便座上で随意的に排泄させながら右臀部のガンマカメラで得た直腸肛門部のイメージを連続的に記録し,排泄率,T1/2(人工便の半量の排泄に要する時間),直腸肛門角を測定した.また,排泄パターンを正常および異常3型(平坦型,排泄遷延型,排泄不全型)に分類した.LAR群のうち吻合部が高位の症例では正常パターンを示す例が多く,超低位吻合例では再建法(ストレート型再建と結腸嚢再建)に拘わず全症例で何らかの異常パターンが認められた.C群では6例(32%)が排泄遷延型または排泄不全型を示し,便排泄障害による便秘が示唆された.AN型ではさまざまなパターンが認められた.
  • 内痔核手術後における効果的な鎮痛坐剤の使用方法について
    栗原 浩幸, 金井 忠男, 伏島 一雄, 山腰 英紀
    1998 年 51 巻 4 号 p. 219-225
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    Saddle block下に内痔核根治手術を行った104例を対象に,鎮痛坐剤の有効な投与方法について検討した.症例を術後坐剤を投与しない群(A群),術直後投与群(B群),麻酔施行3時間後投与群(C群),4時間後投与群(D群),5時間後投与群(E群)に分け,麻酔効果,鎮痛剤使用状況,疼痛の経時的変化について調査した.Saddle blockは約4時間効果が持続したが,5時間までは効果の持続しない例も存在した(25%).初回鎮痛剤内服時間は,麻酔後A群5.7±1.6時間,B群10.3±7.1時間,C群12,4±6.6時間,D群19.5±9.2時間,E群10.7±7.6時間であり,D群が最も遅い結果であった(p<0.0001),疼痛の経時的変化ではD群は他群に比べ痙痛が軽度であり平坦な推移を示していた.第1~5病日に内服した鎮痛剤の総数はD群で最も少なかった(p<0.003).以上より麻酔施行4時間後の鎮痛坐剤挿入はきわめて有効であることが示された.
  • 木俣 博之, 馬傷 正三
    1998 年 51 巻 4 号 p. 226-234
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌の発生予防を目的として,ヒトのAPC遺伝子codon 1309と相同の部位に変異を持つマウスに,非ステロイド消炎鎮痛薬剤であるpiroxycamを投与し,その腺腫増殖抑制効果にっき検討した.その結果,piroxycam投与群はcontrol群に比し,ポリープ数および大きさで有意に抑制効果が認められた.また臨床例において,家族性大腸腺腫症患者で予防的結腸全摘術を行い,残存直腸の腺腫のサーベイランス中の3症例に対し,piroxycam坐剤の実験的投与を行った.10週間の投与で,3例ともに残存直腸内の腺腫の縮小,消失が認められ,piroxycamの腺腫発生に対する予防効果が認められた.従来FAPの予防的切除として行われてきた結腸切除術,回腸直腸吻合術式での,術後残存直腸からの腺腫発生の予防的投与に有用であると考えられた.
  • 清水 慎介, 金井 淑美, 杉浦 弘和, 宮岡 正明, 斉藤 利彦
    1998 年 51 巻 4 号 p. 235-241
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    ラットindomethacin(IND)誘発小腸潰瘍モデルを用いて経口吸着剤AST-120(AST)の有用性を検討した.また作用機序を解明する目的で血清NOxおよび糞便中胆汁酸分画についても検討した.IND潰瘍は7.5mg/kgを2日間連日皮下投与により作製した.4g/kgのASTを連日経口投与し,潰瘍作製後7日目にラットを屠殺し効果を判定した.投与群は対照群と比較して小腸湿重量,潰瘍個数,肉眼的スコアの3項目で有意に炎症改善効果を示した.7日目の血清NOxおよび糞便中総胆汁酸および胆汁酸分画は両群間で有意差がなかった.以上より,ASTはラットIND誘発小腸潰瘍の改善に有用であり,何らかの炎症関連物質を吸着したと考えられたが,その機序は不明であった.
  • 桜井 健一, 三宅 洋, 藤崎 滋, 秦 怜志, 柴田 昌彦, 天野 定雄
    1998 年 51 巻 4 号 p. 242-247
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    化膿性肝膿瘍の感染経路としては経門脈性や経胆道性があげられるが,原因不明の場合も少なくない,また稀ではあるが悪性腫瘍による肝転移巣の膿瘍化もみられる.今回著者らは,直腸癌に併発した化膿性肝膿瘍の1例を経験したので報告する,症例は68歳,男性.右季肋部痛を主訴に近医受診し,径7cm大の肝腫瘍(S5,6),および直腸癌(Rs)を指摘され当科紹介入院となった.肝病変は術前検査で大腸癌肝転移の腫瘍化も考慮して一期的に手術を施行した.高位前方切除術(D3)を行い,肝膿瘍壁の術中迅速診断にて癌の転移を否定した後に膿瘍ドレナージ術を行った.膿瘍の起炎菌はfusobacterium nucleatumであった.直腸癌に肝膿瘍を合併することや孤立性肝転移の膿瘍化をみることは稀であるが,術前にこれらを念頭において詳細な画像診断を行い,肝切除も考慮して治療方針を決定すべきであると思われた.
  • 大湾 朝尚, 野崎 良一, 武地 幹夫, 片平 俊彦, 高木 幸一, 高野 正博, 金城 福則, 斎藤 厚
    1998 年 51 巻 4 号 p. 248-253
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.下痢,粘血便を主訴に来院.大腸内視鏡検査では,直腸からS状結腸に平盤状,タコイボ状ないし芋虫状の多発隆起性病変を認めた。病変の表面は発赤が強く一部には粘液の付着が見られたが,介在粘膜は正常であった.当初は分類不能型大腸炎や粘膜脱症候群(MPS)診断したが,難治性のため組織所見を再検討したところ,陰窩の延長と粘膜表面に帽子状の炎症性肉芽組織(いわゆるcap)の付着がみられ,最終的にCap polyposisと診断した.組織所見や直腸肛門機能検査所見,metronidazolの有効性より,病因としては下部大腸の運動機能異常や免疫学的異常の関与が疑われた.
    本症はMPSの類縁疾患と考えられているが詳細は不明であり,自験例は下部大腸の機能異常を捉えた貴重な症例と考えられた.
  • 河原 秀次郎, 平井 勝也, 青木 照明
    1998 年 51 巻 4 号 p. 254-255
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 河原 秀次郎, 平井 勝也, 青木 照明
    1998 年 51 巻 4 号 p. 256-257
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 宇都宮 高賢, 菊田 信一
    1998 年 51 巻 4 号 p. 258-260
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 51 巻 4 号 p. 261-266
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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