日本大腸肛門病学会雑誌
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54 巻, 8 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 尾山 勝信, 西村 元一, 太田 哲生, 塩澤 邦久, 二宮 致, 伏田 幸夫, 藤村 隆, 萱原 正都, 清水 康一, 三輪 晃一
    2001 年 54 巻 8 号 p. 545-550
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    近年,固形癌細胞に発現しているFas-ligandの免疫回避能が注目されている.しかし,固形癌細胞におけるFas-ligand発現の臨床的意義に関する検討は少ない.そこで今回,大腸癌組織におけるFas-ligandの発現程度と臨床病理学的諸因子との関連について検討を行った.外科的治療の対象となった進行大腸癌77例を対象に抗ヒトFas-ligandウサギポリクローナル抗体を用い,免疫染色を行い評価した.Fas-ligandの発現は77例中33例(42.9%)に認められた.またFas-ligandの発現と肝転移(p<0.001),リンパ節転移(p=0.027),臨床病期(p=0.009),および術後肝再発(p=0.001)との問に統計学的相関がみられ,とくに肝転移との強い相関が認められた.また手術時肝転移陰性例において,Fas-ligand発現陽性群における術後の肝再発率は発現陰性群と比べ,有意(p=0.004)に高率であった.以上の成績より,大腸癌細胞におけるFas-ligandの発現は,癌の進展,とくに肝転移と強く相関し,術後肝再発予測の良い指標となる可能性が示唆された.
  • 岩川 和秀, 梶原 伸介, 亀井 義明, 小野 芳人, 蜂須賀 康己
    2001 年 54 巻 8 号 p. 551-556
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    Tailgut cystより発生したと考えられる腺癌の1例を経験した.症例は70歳,女性.微熱,関節痛を主訴に精査中,骨盤CT検査にて直腸後方に嚢胞性腫瘤を指摘され,開腹下に嚢胞を切除した.病理所見では,嚢胞壁は繊毛を有する円柱上皮からなりtailgut cystと診断された.3年後,肛門痛があり,骨盤CTおよびMRI検査にて局所再発と診断し,経仙骨的に局所切除した.病理所見では,前回と同様の嚢胞上皮に連続して高分化腺癌を認め,深部組織へも浸潤していた.剥離断端陽性であったため,さらに腹仙骨式直腸切断術,仙骨合併切除を施行した.病理所見では仙骨前面に癌病巣の遺残を認めた.仙骨前面の嚢胞性腫瘤は本疾患も念頭に置き,早期に完全切除することが望ましく,再発した場合は悪性化も考慮すべきと思われた.
  • 田中 寅雄, 柳 富子, 高添 正和, 島村 由起男, 牧本 和生, 高橋 知子, 佐原 力三郎, 岩垂 純一
    2001 年 54 巻 8 号 p. 557-561
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    深部静脈血栓症は炎症性腸疾患の稀だが重大な合併症である.症例は21歳女性で4年来小腸大腸型クローン病.1年余通院せず症状が増悪して貧血,低栄養のため入院した.腹部CTで下大静脈血栓を認め,大腸病変は直腸から横行結腸まで著明に進行し狭窄していた.下大静脈フィルターを留置し抗凝固療法を行い,血栓は縮小し次第に周囲から石灰化した.持続する下痢と下血のため,回腸中部に人工肛門造設し,退院した.血栓症をきたす先天的異常や家族歴は認められず,短期間に進行したクローン病の大腸病変による凝固系,線溶系の異常や脱水の関与が考えられた.
  • 高宮 紘士, 山下 裕一, 岩下 明徳
    2001 年 54 巻 8 号 p. 563-568
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    Verotoxinを産生するO157:H7による細菌性大腸炎は,極めて重篤な転帰をとることがある.最近,Ol57:H7による出血性腸炎を来たした症例において大腸内視鏡検査と注腸造影検査により経時的変化を観察しえた2治療例を経験した.症例は55歳と64歳の女性であった.腹痛,下痢,血便を主訴として来院した.入院直後の大腸内視鏡と注腸造影検査で直腸を除く左側結腸に高度の浮腫,ビランと出血を認め,また内腔の狭小化を認めた.治療後回復時期に施行した検査では結腸の浮腫,ビランは消失していた.初回の生検では大腸粘膜に繊維素に富む滲出物,出血,充血,腺管上皮の変性・壊死・脱落,好中球浸潤および杯細胞減少が見られた.以上より,大腸炎患者ではOl57の存在を念頭におくだけでなく,内視鏡や造影検査を行うことで,早期診断と治療が可能であると考えられた.
  • 青山 浩幸, 丸田 守人, 前田 耕太郎, 升森 宏次, 小出 欣和, 犬飼 健太郎, 加藤 良一, 野垣 正樹
    2001 年 54 巻 8 号 p. 569-574
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    会陰部血管腫は報告例も少なく,非常に稀な疾患である.著者らは陰茎・陰嚢皮下,会陰部肛門周囲から直腸周囲骨盤腔内におよぶ広範な血管腫に対し,各種画像診断をもとに保存的治療を選択した症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は18歳の男性で,主訴は肛門痛,排便時出血,高熱であった.出生時より会陰部に赤褐色の小腫瘤を認め,小児期より週に1度程度の割合で排便時の激痛,出血と高熱を呈し,近医にて抗生物質の内服薬を投与され軽快していた.5歳時に会陰部の血管腫の治療を受けたが,治療後も徐々に会陰部の腫瘤は増大し,主訴が持続するため紹介入院となった.各種画像所見にて完全摘出が困難な広範囲な会陰部血管腫と診断した.年齢および社会的背景を考慮して,保存的加療を行った.現在症状は消失している.広範な会陰部血管腫は稀であるが,不容易な治療は不幸な転帰を招来する可能性があり,治療法の選択は慎重に行うべきだと考えられた.
  • 土屋 和弘, 土井 修, 吉田 裕, 為清 博通
    2001 年 54 巻 8 号 p. 575-578
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,男性で,大腸内視鏡検査を施行し,開始6分後に突然急性循環不全が生じな.昇圧剤では反応せず,冠拡張剤処置により急速に循環不全から回復した.症例は後日冠動脈造影検査でアセチルコリン負荷により右冠動脈攣縮が証明された.急性循環不全の原因は冠動脈攣縮による心拍出量低下が原因と考えられた.
    大腸内視鏡検査時は洋気による腸管拡張,精神的原因等によりアセチルコリン優位の状態であることを認識し適切に対処する必要がある.
  • 福島 恒男, 小金井 一隆, 篠崎 大, 鬼頭 文彦, 高橋 正純, 大田 貢由, 牧野 洋知, 星 加奈子
    2001 年 54 巻 8 号 p. 579-582
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    横浜市民病院で治療した潰瘍性大腸炎680例中7例(1.0%)が死亡した.内訳は男性5例,女性2例,平均年齢は44.7歳,全例手術例で,死因は悪性疾患3例,手術後の合併症4例であった.悪性疾患は大腸癌2例,carcinoidl例であり,surveillanceを受けていない例で,平均26.7カ月で再発死亡した.重症例の死亡は4例で,死因はMOFであった.重症の手術死亡率(9.8%,4/41)はそれ以外の手術死亡率(0%,0/190)と比較して有意に高く,重症死亡例の総steroid投与量はそれ以外の195例の投与量と有意差はなかったが,手術前1カ月の投与量は有意に高かった.死亡例を減少させるには大腸癌を早期に発見するsurveillanceと重症例に対してsteroidを長期間大量に使用しないことが重要である.
  • 多保 孝典, 林 秀樹, 小野寺 久
    2001 年 54 巻 8 号 p. 583-584
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 柴田 佳久
    2001 年 54 巻 8 号 p. 585-587
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 54 巻 8 号 p. 588-600
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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