症例は69歳,男性.腎機能障害で当院内科に通院中であった.感冒症状に対してCefcapene(CFPN)を11日間内服していたところ嘔吐下痢が出現した.細菌性腸炎を合併した急性腎不全と診断され当院内科に入院となった.その後,腹部膨満が増悪し,入院第5病日に偽膜性腸炎と診断された.入院時に中毒性巨大結腸症を合併し,当科紹介時はすでに重篤化していたため結腸瘻造設術により結腸を減圧したのち,結腸瘻からVancomycin(VCM)の結腸内投与を開始した.術後5日目の便培養で
Clostridium difficileは陰性となり,入院第63病日に退院となった.本症例は重篤な状態であったが,結腸の減圧とVCMの結腸内投与を迅速かつ確実に施行したことが救命につながったと考えられた.
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