The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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50 巻, 4 号
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  • 深堀 隆, 溝渕 一哉, 中村 充男, 滝沢 洋之, 高階 良作, 藤田 幸久
    1997 年 50 巻 4 号 p. 299-305
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    MRSA感染症13例 (肺炎10例, 敗血症2例, 尿路感染症1例) に対し, Imipenem/Cilastatin (IPM/CS) とVancomycin (VCM) の併用効果を検討した。FIC indexの測定菌株7株中, 4株が相乗作用, 3株が相加作用を示したが, 細菌学的効果との間に一定の傾向はみられなかった。臨床効果は有効9例, やや有効3例, 無効1例で, 副作用や臨床検査値異常は認あられなかった。IPM/CSとVCMの平均1日投与量は各々1.2g, 1.25gで平均投与日数は各々17.5日, 14.9日であった。MRSA感染症に対するIPM/CSとVCMの組み合わせは, 各々の通常投与量で細菌学的な併用効果を期待できる可能性が示唆された。
  • その3. 感受性の推移
    熊本 悦明, 塚本 泰司, 広瀬 崇興, 横尾 彰文, 引地 功侃, 茂田 士郎, 高橋 年光, 白岩 康夫, 荻原 雅彦, 吉田 浩, 今 ...
    1997 年 50 巻 4 号 p. 306-410
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1995年6月から翌年5月までの間に全国11施設において, 尿路感染症と診断された患者から分離された菌株 (Enterococcus faecalis, Staphylococcus aureus, Escherichia coli, Klebsiella spp., Pseudomonas aemginosa) を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定し, 1989~1994年と1995年の感受性を比較した。比較は菌種を単純性尿路感染症と複雑性尿路感染症 (カテーテル非留置とカテーテル留置を含む) に分類して行った。E. faecalisでは, 1994年以前に比べマクロライド系薬剤に対して, 単純性尿路感染症からの分離菌に耐性株が増加し, 1989年以来初めて過半数を越えた (10株/18株)。S. aureusでは,感受性の変化はほとんど認められず,Vancomycinが最も強い抗菌力を示し2μg/mlで全ての菌株の発育を阻止した。E. coliでは, キノロン系薬剤に対する低感受性株が, 複雑性尿路感染症で増加しMIC90が7~8段階後退した。Klebsiella spp.では1993年から1994年に全般的に感受性の低下がみられたが, ほとんどの薬剤に対して1995年は回復し, ペニシリン系薬剤を除き優れた感受性を示した。特に単純性尿路感染症では, 低感受性株はほとんど検出されなかった。P. aeruginosaではGentamicinに対して, 複雑性尿路感染症からの分離菌の感受性が低下した。また, キノロン系薬剤に対しても複雑性尿路感染症において1991年から1994年まで低感受性株が減少傾向にあったが, 1995年は増加しMIC50が3~5段階後退した。
  • 福岡 隆, 土門 春樹, 角田 正代, 石井 千加, 平澤 暁子, 宇津井 幸男, 大屋 哲, 安田 紘
    1997 年 50 巻 4 号 p. 411-419
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    各種臨床材料から分離されたメチシリン高度耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) に対するPanipenem (PAPM) とVancomycin (VCM) のin vitroならびにin vivo併用効果を検討した。
    寒天平板希釈によるチェッカーボード法で, PAPM+VCMはMRSA 40菌株に対するFIC indexが平均0.32±0.12と良好な併用効果を示し, 33菌株 (83%) に対して相乗作用, 7菌株 (17%) に対して相加作用を示した。対数増殖期のMRSAに対してPAPMとVCMを各々1/4 MIC併用した場合, VCM先行添加後のPAPM添加で殺菌作用をほとんど示さなかったが, PAPM先行添加後のVCM添加ならびにPAPMとVCM同時添加では殺菌作用が認められた。MRSAと緑膿菌の混合培養において, MRSAに対するPAPMとVCMの各々1/4 MICを併用した場合, VCM 1 MIC単独よりMRSAに対して殺菌作用が増強され, また, 緑膿菌に対してVCMは殺菌作用を有していなかったが, PAPM+VCMは強い殺菌作用を示した。さらに, 混合培養におけるMRSAならびに緑膿菌に対してVCM単独ではほとんど形態変化を起こさなかったが, PAPM+VCMは菌体表層の障害や溶菌を顕著に誘発した。MRSAのペニシリン結合蛋白質(PBP)は,MRSA特有のPBP2'を含め, VCM作用濃度の増大 (1/32MIC~1/2MIC) にともなって量的に大きく減少した。MRSAと緑膿菌によるマウス熱傷混合感染に対してPAPM+VCMは各々単独より良好な治療効果を示し, FED index<0.34から相乗作用と判定された。
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