The Japanese Journal of Antibiotics
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46 巻, 6 号
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  • 森川 嘉郎, 吉岡 靖史, 豊嶋 眞里子
    1993 年 46 巻 6 号 p. 421-427
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Methicillin耐性Staphylococcus aureus (MRSA) をPenicillinase (P-ase) 産生と非産生の2群に分け, Arbekacin (ABK), Tobramycin (TOB), Ticarcillin (TIPC), Clavulanic acid (CVA)とTIPCの合剤, Fosfomycin (FOM) の各種抗生剤感受性について検討した。
    46株のMRSAのうち, P-ase産性MRSAは12株であつた。 P-ase産性の有無に関係なく大部分のMRSAがTOB, TIPC, CVAとTIPCの合剤, FOMに対して耐性であったが, ABKに対しては80%が156μg/ml以下の濃度で発育が阻止された。 ABKとFOMの併用効果はみられなかったが, P-ase非産性MRSAの79%でTIPCとFOMに相乗効果がみられた。 P-ase非産生MRSAでは, FOMの併用でペニシリン結合蛋白2'の産生性が弱められると考えられた。
  • 中塩 哲士, 須佐 千尋, 邱 世林, 木島 あゆみ, 岩澤 博子, 下村 晴信, 金光 敬二, 堀 誠二, 水島 裕, 嶋田 甚五郎
    1993 年 46 巻 6 号 p. 428-436
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clarithromycin (CAM) のin vitro抗菌力を対照薬 (Erythromycin (EM), Josamycin, Kitasamycin, Midecamycin, Rokitamycin, Roxithromycin) と比較検討した。 Streptococcus pneumoniae, Streptococcus pyogenes及びStreptococcus agalactiaeに対するCAMのMIC80はそれぞれ0.78, 0.10, 0.10μg/mlでEMと同等の抗菌力であった。 Methicillin-sensitive Staphylococcus aureus (MSSA) に対するCAMのMIC80は0.78μg/mlであつたのに対し, Methicillin-resistant S. aureus (MRSA) に対しては200μg/ml以上であった。 Moraxella catarrhalis及びHaemophilus influenzaeに対するCAMのMIC80はそれぞれ0.05, 1.56μg/mlで検討薬剤中最も良好な抗菌力を示した。
    S. pneumoniae, Enterococcus faecalis, MSSAの各々1株を用い10代にわたつて薬剤増量継代培養を行ったところ, CAMのMIC上昇は4倍以内に留まったことから, これらの菌株はCAMに耐性化し難いことがわかった。
    Staphylococcus epidermidis及びPseudomonas aeruginosaの各1株を用いてシリコンへの粘着性を検討したところ, 菌の増殖に影響を与えないsub MIC濃度のCAM存在下で粘着が著しく抑制された。
    P. aeruginosaのBiofilm形成菌 (Sessile cells) に対して, CAM, EMあるいはニューキノロン薬のTosufloxacinそれぞれ単独では殺菌作用はなかつたが, 両系統薬をそれぞれ併用することにより相乗的殺菌作用がみられた。
  • 古谷 利通, 外山 圭助
    1993 年 46 巻 6 号 p. 437-443
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    深在性真菌症はImmunocompromised hostの増加と, 広域抗菌薬の多用に伴う菌交代現象等により増加している。 そのため, 早期診断に有用な検査法の確立が望まれる。 そこで, 真菌の菌体成分である(1→3)-B-D-Glucan (β-Glucan) 測定の深在性真菌症診断における有用性について検討した。 β-Glucan値は, Toxicolor®とEndospecy®の差から求め, 10pg/ml以上を陽性とし, 次の結果を得た。 β-Glucanの陽性率は, 真菌症確診群では75.0%, 真菌症が強く疑われる群では58.3%で, 非真菌症群の陽性率14.7%と, それぞれ有意差を認あ(p≥0.05), β-Glucanの測定は, 真菌症の診断に有用であつた。 しかし, 真菌血症例でも病初期にはβ-Glucanは陰性で, 数日後に陽性になる例があり, 又, 無熱, CRPも陰性といつた, 非活動性限局性肺真菌症例では, β-Glucanは陰性であつたことは, 真菌症が存在しても必ずしもβ-Glucanは陽性とならないこと, 又, 真菌症が疑われる例では経過を追つて測定を繰返すことが必要であることを示している。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次
    1993 年 46 巻 6 号 p. 444-453
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1990年及び1992年に, 当所において検出した主な臨床分離株を対象にして, Cefminox (CMNX) の抗菌活性を知ることを目的に, 他のセファマイシン系薬剤などを加えて最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 以下の結果を得た。
    1. CMNXを含むセファマイシン系薬剤の耐性菌は, グラム陽性菌ではStreptococcus pneumoniae, グラム陰性菌ではProteus vulgarisの経年的増加が示唆された。 更に, Escherichia coliのセファマイシン耐性が一定の割合に存在していること, Klebsiella pneumoniaeのセフェム系薬剤耐性株が出現してくる兆候が認められた。
    2. 経年的増加が示唆されたS. pneumoniaeとP. vulgarisのセファマイシン耐性は, 前者においてはBenzylpenicillin (PCG)-insensitive S. pneumoniae (PISP)など, 後者においては1980年代後半から登場したオキシム型セフェム系薬剤や, ニューキノロン系薬剤などにも耐性を示す多剤耐性株の, 近年における増加がそこに反映しているものと考えられた。
    3. 近年に検出した臨床分離株に対するCMNXの抗菌活性には上記の問題点が残る。 しかし, そこで示した成績はMIC90レベルの動向であり, 今のところ, MIC50やMIC90には大きな変動が認められていない。
  • その2. NCCLSディスク法(K-B法)による場合
    猪狩 淳
    1993 年 46 巻 6 号 p. 454-471
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    全国の149病院臨床検査部で1988年から1990年の各年9月から12月の4ヵ月間に各種臨床材料から分離された細菌60,449株についてNCCLSによるK-Bディスク法により, 抗菌薬感受性を測定した。 供試抗菌薬はBenzyipenicillin, Methicillin, Piperacillin (PIPC), Cefazolin, Cefotiam, CefsulOdin, Cefoperazone, Sulbactam/Cefbperazone, Ceftazidime, Cefuzonam, Cefotaxime, Ceftizoxime, Cefmenoxime, Cefmetazole, Latamoxef, Flomoxef, Aztreonam, Imipenem (IPM), Gentamicin (GM), Amikacin (AMK), Minocycline, Clindamycin, Fosfomycinの23剤。
    Staphylococcus aureus及びCoagulase-negative staphylococci (CNS) のβ-ラクタム剤を含む多くの薬剤に対する感性率は低く, 一方, Streptecoccus pyogenes, Streptococcus pneumoniaeは高い感性率を示した。 Enterococcus faecalisはIPM, PIPCにだけ高い感性率であり, β-ラクタム剤, アミノグリコシド剤には耐性株が多かった。 Haemophilus influenzae, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilisはβ-ラクタム剤, アミノグリコシド剤には高い感性率であったが, Enterobacter cloacae, Serratia marcescens, Proteus vulgaris, Morganella morganiiはIPMとGM, Pseudomonas aeruginosaはIPMとAMKに感性率が高いだけにとどまつた. Bacteroides fragilis はIPMの感性率が高かった。 IPMはS. aureus, CNSに対する抗菌力は弱いが, これら以外の菌種には強い抗菌力を示し, 特に他剤に比べ, E. faecalis, E. cloacae, S. marcescens, B. fragilisに対する抗菌力は強かった。
  • 古川 哲心, 宇治 達哉, 三宅 美行, 兵頭 昭夫, 出口 浩一
    1993 年 46 巻 6 号 p. 472-481
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    緑膿菌に対するCefodizime (CDZM) とアミノ配糖体系抗生剤 (AGs) であるSisomicin (SISO) 及びDibekacin (DKB) のin vivo併用効果を抗癌剤投与担癌マウスを用いて検討した。 Fractional effective dose (FED) indexによる併用効果の検討では, CDZM耐性(MIC 50-200μg/ml), AGs感性 (MIC 1.56-6.25μg/ml) の緑膿菌5株に対して全株相乗効果又は相加効果を示した。 又, 併用治療時の腹腔内生菌数は各々単剤投与では1~3時間内で増加するのに対して, CDZMとAGsの併用では12時間まで著しく減少した。 これらのin vivo併用効果が得られた理由を解析する目的で行つたPost antibiotic effect (PAE) の併用における検討では, CDZMはSISO及びDKBのPAEを延長させた。 又, 抗癌剤投与担癌マウスの多形核白血球 (PMN) を用いた貪食殺菌実験では, 併用において強い協力殺菌作用を示した。
    以上の結果から, 優れたin vivo効果が得られた理由には併用により増強した抗菌力以外に生体防御能との協力作用が関与している可能性が示唆された。
  • TETSURO CHIMURA, TOSHIO HIRAYAMA, MASAKI NAKAHARA
    1993 年 46 巻 6 号 p. 482-485
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    As one of the biodefense mechanisms, lactoferrin (LFN) in the secreta of female genital organ may be an interesting biological material in view of its antimicrobial activity. In the present study, we investigated antimicrobial activities of LFN and its combination with cefpodoxime proxetil (CPDX-PR), we also as evaluated clinical effect of CPDX-PR. The following results were obtained.
    1. Antimicrobial activities of LFN were tested against 15 strains of 10 species of bacteria, and potent activities against Staphylococcus aureus 209P, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae and Proteus spp. were found.
    2. In a concomitant use of LFN with CPDX-PR (a checkerboard method), synergistic actions were observed against S. aureus 209P, E. coli STf, K. pneumoniae 602 and Pseudomonas aeruginosa 1046, and additive actions against E. coli NIHJ and Providencia rettgeri 1603. In 3 strains, the MICs of CPDX-PR in the presence of LFN were reduced to <1/64.
    3. In the evaluation of clinical effect of CPDX-PR, efficacy rates were 53/57 (92.9%) in a patient group with infections. The incidence of adverse reaction was 0/57.
  • 井上 信正, 武元 良整, 金丸 昭久, 垣下 榮三, 中山 志郎, 原 宏, 筒井 猛, 村上 龍助, 山口 延男, 多湖 基, 園田 隆 ...
    1993 年 46 巻 6 号 p. 486-491
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1. 血液疾患に合併した感染症に対し, Sulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) とアミノ配糖体系抗生剤 (AG) にFluconazole (FLCZ) を加えた3剤併用療法を施行し起炎菌不明例における治療効果を検討した。
    2. 全症例のSBT/CPZ+AG+FLCZの有効率は54.5%であった。
    3. 感染症別の有効率では敗血症の疑いは57.7%であった。
    4. 他の抗生剤が無効の症例の有効率は59.4%で先行薬剤のない初回投与例の47.8%に比べ良好であった。
  • 松田 静治, 清水 哲也, 長 南薫, 岡田 弘二
    1993 年 46 巻 6 号 p. 492-504
    発行日: 1993/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ニューキノロン系抗菌剤Temafloxacin (TMFX, TA-167) について産婦人科領域研究班を組織し, 基礎的・臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. TMFX 300mgを経口投与した際の女性性器各組織への移行は良好で, Cmaxでは2.77~4.24μg/gで肘静脈血と同等ないしそれ以上であつた。 又, 肘静脈血のT1/2は7.42時間であつた。
    2. 産婦人科領域感染症に対する総投与例254例中, 効果判定対象例219例の臨床効果は, 著効7例, 有効202例, 無効10例で有効率は95.4%であり, 細菌学的効果対象例139例における陰性化率は96.4%であった。
    3. 総投与例254例中, 副作用発現例は9例, 臨床検査値異常変動は1例で, 重篤なものは認められなかった。
    以上の成績から, 産婦人科領域感染症に有用な薬剤であると考えられた。
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