新しく開発されたペネム系経口抗生剤, Ritipenem acoxil (RIPM-AC) の慢性下気道感染症に対する有効性, 安全性および有用性を客観的に評価するたあ Cefotiamhexeti1 (CTM-HE) を対照薬として多施設二重盲検群間比較試験を行った。RIPM-ACは1同200mgを, CTM-HEは1回400mgをそれぞれ1日3回, 原則として14日間連続経口投与した。
総投与症例202例中, 臨床効果解析対象例数は151例 (RIPM-AC群75例, CTM-HE群76例) であった。両群間の症例の背景因子については投与開始前の喀痰量において有意差が認められたが, その他の因子においては偏りは認められなかった。
1. 臨床効果有効率 (著効+有効) ではRIPM-AC群で85.3% (64/75), CTM-HE群で80.3% (61/76) であり, 両群間に有意差は認あられず, 同等性の検討では両群の有効性は同等であることが示された。
2. 細菌学的効果臨床効果解析対象例における起炎菌消失率は, RIPM-AC群で50.0%(13/26), CTM-HE群で75.0% (18/24) であり, 両群間に有意差は認められなかった。
3. 安全性副作用は, RIPM・AC群で91例中10例 (11.0%), CTM-HE群で92例中10例 (10.9%) に認められた。また, 臨床検査値の異常変動の発現がみられたのはRIPM-AC群で84例中8例(9.5%), CTM-HE群で84例中14例 (16.7%) であった。安全性判定では, RIPM-AC群で91例中73例 (80.2%), CTM-HE群で92例中71例 (77.2%) が安全であると判定された。いずれについても両群間に有意差は認あられなかった。
4. 有用性有用率 (極めて有用+有用) はRIPM-AC群で795% (62/78), CTM-HE群で76.9% (60/78) であり, 両群問に有意差は認められなかった。
以上の結果から, RIPM-ACはCTM-HEと比較して同等の臨床効果を示し, 安全性にも特に問題はなかったことから, 慢性下気道感染症に対して有用性の期待できる抗生剤であると考えられる。
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