The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
49 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 齋藤 篤, 齋藤 玲, 川上 義和, 山口 悦郎, 小場 弘之, 阿部 庄作, 大道 光秀, 平賀 洋明, 菊地 健次郎, 大崎 能伸, 松 ...
    1996 年 49 巻 3 号 p. 219-249
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたペネム系経口抗生剤, Ritipenem acoxil (RIPM-AC) の慢性下気道感染症に対する有効性, 安全性および有用性を客観的に評価するたあ Cefotiamhexeti1 (CTM-HE) を対照薬として多施設二重盲検群間比較試験を行った。RIPM-ACは1同200mgを, CTM-HEは1回400mgをそれぞれ1日3回, 原則として14日間連続経口投与した。
    総投与症例202例中, 臨床効果解析対象例数は151例 (RIPM-AC群75例, CTM-HE群76例) であった。両群間の症例の背景因子については投与開始前の喀痰量において有意差が認められたが, その他の因子においては偏りは認められなかった。
    1. 臨床効果有効率 (著効+有効) ではRIPM-AC群で85.3% (64/75), CTM-HE群で80.3% (61/76) であり, 両群間に有意差は認あられず, 同等性の検討では両群の有効性は同等であることが示された。
    2. 細菌学的効果臨床効果解析対象例における起炎菌消失率は, RIPM-AC群で50.0%(13/26), CTM-HE群で75.0% (18/24) であり, 両群間に有意差は認められなかった。
    3. 安全性副作用は, RIPM・AC群で91例中10例 (11.0%), CTM-HE群で92例中10例 (10.9%) に認められた。また, 臨床検査値の異常変動の発現がみられたのはRIPM-AC群で84例中8例(9.5%), CTM-HE群で84例中14例 (16.7%) であった。安全性判定では, RIPM-AC群で91例中73例 (80.2%), CTM-HE群で92例中71例 (77.2%) が安全であると判定された。いずれについても両群間に有意差は認あられなかった。
    4. 有用性有用率 (極めて有用+有用) はRIPM-AC群で795% (62/78), CTM-HE群で76.9% (60/78) であり, 両群問に有意差は認められなかった。
    以上の結果から, RIPM-ACはCTM-HEと比較して同等の臨床効果を示し, 安全性にも特に問題はなかったことから, 慢性下気道感染症に対して有用性の期待できる抗生剤であると考えられる。
  • 大藪 裕司
    1996 年 49 巻 3 号 p. 250-255
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    高齢者の尿路感染症に対する Sulbactam/Cefoperazone の臨床効果および安全性を検討する目的で, 60歳以上の尿路感染症30例に対し, 本剤を1回1g, 1日2回点滴静注し, 以下の成績を得た。
    1. 複雑性尿路感染症28例のうちUTI薬効評価基準合致例24例の臨床効果は, 著効8例, 有効11例, 無効5例で, 総合有効率は79.2%であった。細菌学的効果は25株中20株が消失し, 80%の菌消失率であった。
    2. 急性単純性腎盂腎炎2例はいずれもUTI薬効評価基準に合致しており, 著効1例, 有効1例で, 総合有効率は100%であった。細菌学的効果は2株中2株が消失し, 100%の菌消失率であった。
    3. 30例中副作用のため投与を中止した症例はなかった。臨床検査値の異常は30例中1例 (3.3%) にGPTの軽度上昇を認めたのみであった。
    以上の結果から, Sulbactam/Cefoperazone は高齢者における尿路感染症に対し, 有効かっ安全な薬剤と考えられた。
  • 黒山 政一, 本橋 茂, 熊野 和雄, 矢後 和夫
    1996 年 49 巻 3 号 p. 256-263
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    代表的なマクロライド系抗生物質であるClarithromycin (CAM) の蛋白結合率を健常人および非透析 (保存期), HD施行, CAPD施行の慢性腎不全患者の血清を用いて平衡透析法により検討した。
    CAMの蛋白結合率は, 健常人では81.9±1.9%, 保存期患者では85.9±3.6%, HD施行患者 (透析開始直前) では82.9±3.3%, CAPD施行患者では86.8±3.3%であり, 著しい変動は認められなかった。一方, 血液透析前後の検討においては, 透析開始直前で82.9±3.3%, 透析終了直後で68.8±3.5%であり, 有意な差が認められた。
    アルブミン濃度を一定にしたプール血清を用いた検討において, 透析終了直後のHD施行患者プール血清の蛋白結合率が明らかに低下していた。健常人プール血清およびパルミチン酸を添加した健常人プール血清を用いた検討では,蛋白結合率に殆ど変化は認められなかった。
    このことより, 透析終了直後のHD施行患者の蛋白結合率低下の要因として, NEFA (パルミチン酸) 以外の結合阻害物質の増加あるいは何らかの要因によるアルブミンの立体構造の変化などが関与しているものと思われた。
    HD施行患者へのCAMの投与に際しては, このような蛋白結合率の低下による薬理効果の増強. 副作用発現率の増加の可能性にも十分注意すべきであろう。
  • 今森 勝美, 浅岡 健光, 松本 勝, 前橋 一紀, 松田 秀明, 田原 康孝
    1996 年 49 巻 3 号 p. 264-272
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    キノロン系合成抗菌剤FD501は7位に Aminoazepine 環を有する誘導体として合成され, その抗菌活性を in vitro および in vivo で Nornoxacin (NFLX), Ofloxacin (OFLX), Cipronoxacin (CPFX) および Sparaoxacin (SPFX) と比較検討した。
    FD501はメチシリン耐性Staphylococcus aureusを含むグラム陽性菌に対して上記の比較薬剤と同程度かそれ以上のin vitro抗菌活性を, グラム陰性菌に対しては同程度かそれ以下の抗菌活性を示した。
    FD501のグラム陽性菌に対する最小発育阻止濃度はSPFXとほぼ同程度の値を示し, 本剤の殺菌作用はDNAジャイレースのスーパーコイリング活性の阻害によるものであると推定された。
    経口投与によるラットでの本剤の血中濃度は血中濃度-時間曲線下面積(AUC)でNFLXおよびCPFXよりも高い値を, OFLXやSPFXよりも低い値を示した。
  • 和志田 裕人, 阪上 洋, 粟田 成毅, カン キホ, 河合 憲康, 犬塚 和久
    1996 年 49 巻 3 号 p. 273-278
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftibuten (CETB) による尿中グラム陰性桿菌の形態変化を4例の尿路感染症 (1例: 急性単純性膀胱炎, 3例: 複雑性尿路感染症) を対象として検討した。
    薬剤の投与方法は, 急性単純性膀胱炎患者には1回200mgを1日2回朝夕, 3日間, 複雑性尿路感染症患者には1回200mgを1日2回朝夕, 5日間服用させた。
    初回投与後の尿中排泄と尿中生菌数の変化さらに細菌形態変化を検討した。CETBの尿中排泄は内服後1時間にて7.38-60.3μg/mlに達した。尿中生菌数は, 投与前には1-5×107cells/mlであったものが, 投与1時間後には1-3×103cells/mlに減少した。
    尿中細菌の形態変化: 微分干渉顕微鏡では投与30分後より強度の菌体障害を伴うフィラメントが観察された。透過型電子顕微鏡では細胞壁, 細胞質ともに障害を受けていた。
    UTI薬効評価基準による効果判定では, 有効率は100%であった。全例とも自他覚的副作用, 臨床検査値の異常は認められなかった。
    結論: CETBの尿路感染症に対する成績は満足するものであった。細菌形態変化より, 本剤はin vivo においては, PBP-3だけではなく, PBP-1にも作用することが示唆された。
  • 第2報 Enterobacteriaceae を対象とした成績
    出口 浩一, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 田中 節子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次
    1996 年 49 巻 3 号 p. 279-288
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年に検出したKlebsiella pneumonia, Entmbacter, cloacae を対象とし, Isepamicin (ISP) とβ-ラクタム系薬剤との試験管内抗菌併用効果を検討して, 以下の結果を得た。
    1. K. pneumoniae に対する ISP+Cefazolin, ISP+Cefotiam, ISP+Flomoxef, E. cloacae に対する ISP+Piperacillin, ISP+Ceftazidime, ISP+Aztreonam, ISP+Imipenem 及び ISP+Panipenem いずれの組み合わせにおいても併用による強い抗菌力の増強が認められた。
    2.上記いずれの組み合わせにおいても, ISPの濃度依存的に最小発育阻止濃度 (MIC) が低下しており, 更にISPの sub-MIC濃度存在下においても強い抗菌力の増強が認められ, その併用効果は, 既報の Staphylococcus aureus に比較して強く, ISPの1/4~1/8MIC 濃度存在下においても認められた。また, β-Lactams 感性株, 耐性株のいずれに対しても同様な抗菌力の増強が認められた。
  • 古口 昌美, 鈴木 由美子, 田中 節子, 深山 成美, 石原 理加, 出口 浩一, 小田 清次, 中根 豊, 福本 寅雄
    1996 年 49 巻 3 号 p. 289-300
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    主として1994年に検出した外来患者由来臨床分離株を対象とし, Clarithromycin (CAM) の抗菌活性を知ることを目的にCAM及び対照薬剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して, 以下の結果を得た。
    1. CAMのMIC50及びMIC90は, 1980年代に検討された結果と大部分の菌種においてはほぼ同様であった。
    2. β-ラクタマーゼ産生Momdla subgenus Branhamella catarrhalis, Bordetella pemssis, Campylobacter jejuni subsp. fejuni, peptostreptococcus spp. などに対するCAMの強い抗菌活性が認められた。
    3. Streptococcus pneumoniae のCAMを含むMLs耐性の経年的増加が示唆された。
  • 1996 年 49 巻 3 号 p. 301
    発行日: 1996/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
feedback
Top