The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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53 巻, 8 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 真下 啓二, 品川 長夫, 平田 公一, 桂巻 正, 向谷 充宏, 石引 久彌, 牛島 康栄, 相川 直樹, 山崎 元靖, 岩井 重富, 加 ...
    2000 年 53 巻 8 号 p. 533-565
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1982年7月から外科感染症分離菌とその薬剤感受性に関する多施設共同研究を行ってきているが, ここでは1997年度 (1997年4月-1998年3月) の結果を中心にまとめた。1年間で調査対象となった症例は215例であり, このうち174例 (80.9%) から420株の細菌が分離された。 一次感染症から170株, 術後感染症からは250株が分離され, 一次感染症では術後感染症に比べ嫌気性菌の分離率が高く, 術後感染症では好気性グラム陽性菌やPseudomonas aemginosaの比率が高かった。 全体では好気性グラム陽性菌はEnlerococcu faecalisの分離頻度が最も高かった。 E.faecalisに次ぐのはSlaphylococcus aureusであり, とくに術後感染症からの分離頻度が高かった。 嫌気性グラム陽性菌では, 一次 感染症, 術後感染症ともにPeplostreplococcus spp. やStreptococcus spp. が多く分離された。 好気性グラム陰性 菌については, 一次感染症ではEscherichia coli, P. aeruginosa, Klebsiella pneumoniae の順であり, 術後感染症ではP. aeruginosa, E. coli, K. pneumoniaeの順であった。 嫌気性グラム陰性菌では, 一次感染症, 術後感染症ともにBacleroides fragilis groupの占める比率が高かった。 年次的には一次感染症でこれまで減少傾向にあった好気性グラム陰性菌の比率が増加に転じた。 術後感染症では好気性菌はグラム陽性菌の増加とグラム陰性菌の減少が継続し, 嫌気性菌ではグラム陽性菌は微減, グラム陰性菌は微増を示した。 薬剤感受性では, S. aureusにはVancomycin, Arbekacinに対する耐性株は認めず, Enlerococcus spp. にもVCM耐性株はみられなかった。 カルバペネム薬に対するP. aeruginosaの耐性の進行は1997年度分離株では認めなかった。 B. fragilis groupのセフェム薬に対する耐性は更に進行した。
  • MRSA, PRSP, BLNAR, P. aeruginosaを中心に
    松崎 薫, 小山 英明, 大美賀 薫, 長谷川 美幸, 佐藤 弓枝, 小林 寅哲, 渡辺 彰
    2000 年 53 巻 8 号 p. 566-572
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1998-1999年に分離した呼吸器感染症患者由来の各種耐性菌に対するpiperacillin (PIPC) の抗菌活性について, 対照薬剤を含めた検討を行い次の結果を得た。
    1. Methicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA) の大半は, PIPCを含むβ-lactam薬に対して高度耐性を示した。
    2. Penicillin intermediate, resistant Streptococcus pneumoniae (PISP/PRSP) に対するPIPCのMIC90は1および4μg/mlであった。
    3. β-lactamase negative ampicillin resistant Haemophilus influenzae (BLNAR) に対するPIPC のMIC90は0.25μg/mlで, 対照薬剤と比較して最も優れた抗菌活性を有していた。
    4. IPM耐性 (MIC≥16μg/ml) Pseudomonas aeruginosaに対して, PIPCは40株中19株に8μg/ml以下のMICを示した。
    以上の結果から, PIPCは, BLNARに対しては極めて優れた抗菌活性を示し, またPISP/PRSPおよびIPM耐性P. aeruginosaに対しても選択肢の一つになり得ることが示唆された。
  • 松崎 薫, 小山 英明, 大美賀 薫, 長谷川 美幸, 佐藤 弓枝, 小林 寅哲, 賀来 満夫
    2000 年 53 巻 8 号 p. 573-581
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1999年に分離した呼吸器感染症および外科感染症患者由来の各種新鮮臨床分離株に対するpiperacillin (PIPC) の感受性について, 対照8薬剤を含めた検討を行い, 次の結果を得た。
    1. グラム陽性菌 (Methicillin susceptible Staphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Streptococcus pyogenes, Streptococcus agalactiae, Streptococcus pneumoniae, Enterococcus faecalis) に対するPIPCのMIC90は0.12-8μg/mlであった。 S. pneumoniaeの38株中9株 にPRSPと思われる株がみられ, PIPCはこれらの株に1μg/ml以上のMICを示したが, 他の菌種で明らかな耐性株と思われる株はなかった。
    2. グラム陰性菌 (Escherichiacoli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Serratia marcescens, Citrobacter freundii, Pseudomonas aeruginosa, Moraxella (Branhamella) catarrhalis, Haemophilus influenzae) に対するPIPCのMIC90P. mirabilisに64μg/mlを示した他はいずれも2-8μg/mlと良好な抗菌活性を認めた。 P. mirabilisの39株中11株は, PIPC, ABPC, CTM, CZOPなどに耐性を示した。
    3. Bacteroides fragilisに対するPIPcのMIC90は>128μg/mlであった。
    これらの結果から, PIPCは臨床使用が開始されてから20年を経た今日でも, 各種起炎菌に良好な抗菌活性を維持し, 各種感染症に有効性が高いと考えられた。
  • 堀 りつ子, 島倉 雅子, 荒俣 陽子, 木澤 和夫, 野沢 公, 高畑 正裕, 南 新三郎
    2000 年 53 巻 8 号 p. 582-591
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Piperacillin (PIPC) とFurosemideを併用投与したときの腎毒性増強の有無についてラットを用いて検討した。対照薬としてCephaloridine (CER) を用いた。PIPC1600mg/kgの静脈内単回投与で, 尿, 血液および病理学的検査における異常は認められなかった。Furosemide100mg/kgの静脈内単回投与では, 尿中NAGの増加, BUNおよび血清クレアチニンの上昇が見られ, 近位尿細管に軽度の変性も認められた。PIPCとFurosemideの併用投与ではBUN, 血清クレアチニンの上昇および近位尿細管の変性が認められたが, これらはFurosemide単独投与時と同程度であった。これに対し, CERでは1600mg/kgの静脈内単回投与により, 尿中蛋白量の増加, BUNおよび血清クレアチニンの上昇, 近位尿細管の中等度の変性, 壊死が認められた。これらの腎毒性はFurosemideと併用することにより, さらに増強された。以上, CERとFurosemideの併用により, 腎毒性が増強されたが, PIPCとFurosemideの併用では, 腎毒性の増強は認められなかった。
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