The Japanese Journal of Antibiotics
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23 巻, 4 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • Chloramphenicolの妊娠家兎ならびにその胎仔に及ぼす影響に関する実験的研究
    国井 勝昭
    1970 年 23 巻 4 号 p. 353-362
    発行日: 1970/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    妊娠中の母体に薬剤を投与したばあいの, 母体, 胎児に及ぼす影響については, 数年前のサリドマイド事件1, 2) 以来, 大きな関心事となり, 盛んに論議されているところである。
    Chloramphenicol (以下CP) は, 1947年EHRLICH, BURKHOLDER等によつて発見され, 現在でもなお, 日常最も頻繁に使用される抗生物質の1つである。
    妊娠中に薬剤を投与する機会は多く, そのばあい, 妊婦, 胎児に対する薬剤の安全性が確認されていなければならないが, CPに関して, この問題はまだ解決されていない。
    私はこの問題解決の一端として, 妊娠家兎を使用し, CPの妊娠家兎ならびにその胎仔に及ぼす影響, さらにCPの経胎盤性の胎仔移行に関して実験的検討をおこなつた。
    以下, その成績を報告する。
  • Chloramphenicolの新生児移行, 新生児における吸収, 排泄, ならびに副作用について
    国井 勝昭
    1970 年 23 巻 4 号 p. 363-378
    発行日: 1970/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児期に化学療法をおこなう機会は多く, 中でもChloramphenicol (以下CP) は, 広範囲な抗菌スペクトルムをもつため, 広く使用されている。しかし, 成人には無害でも, 新生児には予期しない副作用が発現するばあいがあり, CPによるGray syndromeも新生児に特異な副作用の1つである。
    Gray syndromeは, 1959年, SUTHERLAND1, 2) がはじめて報告したもので, 新生児に比較的大量のCPを投与したさい, に一連の症状を呈し, しばしば死の転帰をとる重篤な副作用である。その後, 同様の報告3~12) が続々と現われ, わが国でも13~19) 14例が報告されている。
    この原因は, 新生児では, 肝, 腎機能の未熟のために, 血中に活性のCPが異常に高い濃度を示し, この活性のCPそのものが作用するためであろう3) といわれているが, その本態は不明である。
    私は, この問題解決に関して, なんらかの手がかりをつかむため, CPの新生児移行, 新生児における吸収・排泄, ならびに新生児の肝, 腎機能, 造血機能に及ぼす影響について検討をおこなった。さらに, 対照値についても考察を加えた。
  • 1970 年 23 巻 4 号 p. 378-378,386
    発行日: 1970/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 前川 正信, 新 武三, 甲野 三郎, 河西 宏信, 矢野 文雄
    1970 年 23 巻 4 号 p. 379-382
    発行日: 1970/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    尿路感染症の治療は, 新らしい抗生物質, 化学療法剤の出現, 泌尿器科的諸検査法および手術療法の進歩などによつて最近はめざましい発展をとげている。しかし, 実際には, 尿の停滞を惹起する器質的または機能的疾患を残したまま抗生物質が濫用されたり, または不適当な抗生物質の使用などから, 多剤耐性菌による感染症を日常診療でしばしば経験しており, 尿路感染症に対する抗生物質の使用には細心の注意を要する。
    近年, 抗生物質の新製品が数多く開発されているが, 今回, 万有製薬から注射用Hetacillin (Natacillin ‘Banyu’) の提供を受けたので, その尿路感染症に対する使用成績を報告する。Hetacillinは, 第1図のような構造式をもつBroad spectrum antibioticで,in vitroの感受性試験の結果では, 球菌のほかにグラム陰性桿菌群にも抗菌性をもつものとされている。
  • 河盛 勇造, 西沢 夏生
    1970 年 23 巻 4 号 p. 383-386
    発行日: 1970/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalosporin C系抗生物質としては, すでにCephaloridine (CER) およびCephalothin (CET) が臨床に供されており, その抗菌作用, ことに殺菌効果の強い点および抗菌スペクトラムの広いことから, 有用性が高く評価されている。しかし, これらはいずれも注射によつてのみ用いられ, 内服したばあいは吸収が不十分である点に, 不便が残されていた。
    Cephalexin (CEX) は内服用Cephalosporin C系物質として提出されたもので, 7-(D-α-Amino-α-phenylacetamido)-3-methyl-3-cephem-4-carboxylic acidの化学構造をもつている1)。
    私どもは, このCEXの化学療法剤としての価値を, CERと対比検討したので, その成績を以下に報告する。
  • 遠藤 浩一
    1970 年 23 巻 4 号 p. 387-389
    発行日: 1970/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗結核剤としてRifampicinを結核患者に使用するばあい, Rifampicinと他の抗結核薬剤, ことに他の抗生物質との間の交叉耐性の存在の有無が考慮されなければならない。今回, 著者は, 肺結核患者喀痰から分離された結核菌に対するRifampicin (RFP) およびCapreomycin (CPM), Viomycin (VM) またはKanamycin (KM) の試験管内抗菌力を, 100mcg/ml耐性菌と感性菌とにおいて比較し, CPM, VMまたはKM 100mcg/ml耐性菌およびRFP 100mcg/ml耐性菌がそれぞれこれらの他の薬剤に対して感受性の低下を示すかどうかを検討したので, ここにその結果を報告する。
  • 角田 沖介, 山本 琢三, 村田 夏樹
    1970 年 23 巻 4 号 p. 390-395
    発行日: 1970/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Potassium hetacillin (Versapen ‘Bristol’) は, 1965年Bristol Laboratoriesで開発された新らしい合成Penicillim (PC) で, グラム陽性菌, グラム陰性菌の多くのものに抗菌力をもつ広域抗生剤である。
    最近, 赤痢患者は減少してきたが, 検出される赤痢菌は, 常用抗生剤に対して高度耐性を示す菌株がきわめて高率である。したがつて, 赤痢として送院された患者に対しては, 最初から耐性赤菌にも有効な薬剤を用いる傾向にある。
    今回著者らは, 赤痢およびその類似疾患, サルモネラ症にPotassium hetacillimを用い, 治療効果を検討したので, ここに報告する。
  • 原 信二, 三田 俊彦
    1970 年 23 巻 4 号 p. 396-399
    発行日: 1970/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    グラム陽性菌ばかりでなく, グラム陰性菌にも抗菌力をもっ6-Aminopenicillanic acid誘導体であるHetacillin (Versapen ‘Bristol’) 注射製剤を各種尿路感染症に使用し, みとむべき効果を得たので報告する。
  • 辻 泰邦, 富田 正雄
    1970 年 23 巻 4 号 p. 400-402
    発行日: 1970/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    今回, 静注用Potassium hetacillin (Versapen ‘Bristol’) の提供をうけ, 使用する機会をえたので, 臨床的に応用した結果について報告する。本剤は, 1965年Bristol Laboratoriesの研究所で開発された新らしい抗生物質で, 抗菌加および耐容性にすぐれた性質をもつていることが確認されている。
    本剤1gを50分間に点滴静注したのちの血中濃度は, 最高濃度100mcg/mlを示し, 6時間後でも3~5mcg/mlを示したことは, 6時間後にも大腸菌をのぞくすべての細菌に対する最少発育阻止濃度に達することが明らかにされている。本剤はBactericidalに作用するので, 外科的感染症を含む術後感染防止にきわめて有効な薬剤と考えられ, 術前, 術後の経静脈的投与は, 血中濃度からみて, 効果的であると思われる。
    教室で本剤を経静脈的に使用した経験についてのべる。
  • 里吉 営二郎
    1970 年 23 巻 4 号 p. 403-410
    発行日: 1970/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Streptomyces meaiterraneiから産出される代謝産物には, グラム陽性菌および結核菌に対して有効に作用するもののあることが1957年SENSIらによつて見出され, Rifamycinと名付けられた。このものは, 5種以上のものの混合物といわれ, このなかから最も制菌力が強く, 毒性の少ない物質Rifamycin Bが分離された。その後, Rifamycin Bの種々の化学的誘導体が合成され, その中のRifamycin SVからさらに合成された誘導体の1つであるRifampicin (DK-233),(3-(4-Methyl-1-piperazinyliminomethyl)-rifamycin SV) は, 生体においてグラム陽性菌, 陰性菌および結核菌に対して強い抗菌力をもつことがみとめられた。ことに結核菌に対しては, INHにつぐ抗菌作用があり, Streptomycinよりも優れていることが確められている1~9)。
    Rifampicinが生体の種々の感染症に対して有効なことは, すでに欧州において報告されているが6~9), 最近, 本邦でも報告がみられ10~13), ことに, 結核に対して臨床的にきわめて有効であることが報告されている。
    しかし, 従来抗結核剤として用いられているINH, Streptomycin, Kanamycin, Ethambutolなどは, いずれも中枢または末梢神経系に対して種々の障害を与えることがよく知られている。ことに近年用いられるようになつたEthambutolは使用量の多いばあい, 視神経炎および末梢神経炎をきたすことが報告され, 副作用として臨床家の注意を集めている13~16) 。これらの神経障害は, 多少とも薬剤特殊性があり, 侵される神経はそれぞれ異なつているが, いずれも末梢神経が強く侵され, 視神経, 聴神経, 末梢神経, ことに知覚神経の侵されることが多い。これらの神経障害は, 抗結核剤そのものが神経組織に対して特異の親和性をもつためと考えられるが, いずれも他の種々の中毒のさいにも侵されやすい神経であり, 神経組織の側からみれば, 比較的抵抗の弱い組織ともいえよう。Rifampicinについては, その中枢および末梢神経, ことに視神経に対する作用はまだあまり検討されていない。著者は, この点を明らかにする目的で, ラットにRifampicinを3ヵ月および6ヵ月間の長期にわたつて投与し, 種々の面から観察したので, その成績について報告する。
  • 林田 健一郎, 江藤 耕作, 重松 俊
    1970 年 23 巻 4 号 p. 411-415
    発行日: 1970/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新抗生物質Rifampicin (以下, RFP) は, 1957年イタリアのLepetit社においてStreptomyces mediterraneiから発見されたRifamycin SVの誘導体である1)。
    Rifampicin SVは, 種々の問題点から広く臨床応用されるに至らなかつたが, 1967年に至つて新らしい誘導体Rifampicin (図1) が合成され,in vitroおよびin vivoにおけるグラム陽性, 陰性菌および結核菌に対する優れた抗菌効果をもつことが証明され, 特に, グラム陽性球菌, 桿菌, グラム陰性球菌, 嫌気性菌, 結核菌に対して強い抗菌作用がみとめられた2)。また, 既存の抗生物質と交叉耐性がみとめられないところから3), 広範な臨床応用が期待されている。
    今回我々は, このRifampicinと経口Cephaiosporin系抗生物質であるCephaloglycin (以下CEG) との臨床効果を泌尿器科領域における感染症についてDouble blind法によつて比較検討したので, それらの成績を報告する。
  • 佐野 光司, 伯水 英夫
    1970 年 23 巻 4 号 p. 416-420
    発行日: 1970/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Rifampicin (I) 1) はグラム陽性菌, 陰性菌および結核菌に有効な半合成抗生物質としてすでに高く評価されている。Rifampicinの生体代謝については, いくつかの報告があり2~4), その主要代謝物はDesacetyirifampicin (II) であることが明らかにざれている。最近, 砂原等5) は, Rifampicinを投与した結核患者の尿中代謝産物を検討し, Desacetylrifampicin以外にRifampicin-quinone (III) と, かなり多量の3-Formylrifamycin SV (IV) の生成していることを報告している。我々は, 本報告において, 健康人にRifampicinを投与したさいのこれら新らたに確認された代謝産物の生産量について検討を加えたので, 以下報告する。
    尿中代謝産物の分離定量は, 簡便な薄層クロマトグラフィー (以下, TLCと略称する) とデンシトメーターを用いておこなうこととした。従来, Rifampicin類のTLCは, あらかじめpH6.0の緩衝液処理をおこなつたシリカゲル板とCHCl3-CH3OH (9:1) の展開溶媒を用いて分離していたが1, 2), 我々は本実験にあたつて多少の改良を加えた。代謝産物の1つであると予想される3-Formylrifamycin SVはメタノールと容易に反応して, Dimethylacetal (V) を生成することが知られている6)。Fig. 1は, CHCl3-MeOH (1:1) 中での3-Formylrifampicin SVの挙動を可視スペクトルで観察したもので, 溶解後80分でほとんど完全にDimethylacetalのスペクトルに変化している。特に微量の3-Formylrifamycin SVを定量するにさいして, メタノールを含有する溶媒系を用いることは, 往々3-Formyirifampicin SVの量を少なく見積るか, または見逃すおそれがある。同時に検討を加えたIsoamylalcoholでは, このようなDiacetalの生成は全くみとめられなかつたので, これらの点を考慮して以下の実験をおこなつた (Fig. 2)。
  • 大野 虎之進, 高畠 弘, 曽 敏明
    1970 年 23 巻 4 号 p. 421-423
    発行日: 1970/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    化学療法の進歩普及に伴なつて, 感染症の症状, 経過, 治療などは, 以前とはかなり異なつた様相を呈しており, 重篤な感染症はほとんどその姿を消しているが, 病原菌の種類についても, 化学療法剤に対する耐性の問題とも関連して, 大きな変革がみられている。しかし, 現今でも稀には非常に重症な感染症に遭遇することがある。
    産婦人科領域においても, ブドウ球菌を始めとするグラム陽性球菌感染症や, 緑膿菌を主体とするグラム陰性桿菌感染症の増加は最近とくに注目されつつあるが, ことに, 院内感染の問題や, 新生児を取り扱う分野での重要性等が問題になつてきている。
    Aminobenzyl Penicillin (AB-PC) は, 6-Aminopenicilianic acidからつくられた新らしい合成Penicillinで, グラム陽性およびグラム陰性球菌, 桿菌に強い抗菌性をもち, 酸に対して安定であるために, 内服によつて治療効果が発揮される点が特徴とされ, 抗菌性の範囲が広い点から広領域Penicillinと称されている。
    化膿性球菌中PC感受性ブドウ球菌, 溶血性連鎖球菌, 肺炎球菌に対する発育阻止濃度は, PC-Gに僅かに劣るが, Tetracycline (TC) およびChloramphenicol (CP) より優れ, 腸球菌に対しては, PC-G, TC, CPを上廻つている。PC-G耐性ブドウ球菌に対する発育阻止力は, ペニシリナーゼによつて破壊されるために弱い。グラム陰性桿菌のうち, 大腸菌, 肺炎桿菌, 赤痢菌, チフス菌, パラチフス菌, 変形菌等に対する発育阻止濃度は, TC, CPに近似し, TC, CP耐性獲得赤痢菌に対しても感性である点が特徴的であるが, 肺炎桿菌, 変形菌, Aerobacter aerogenesの中には比較的感受性の低い菌株も存在するようである。また, インフルエンザ菌に対しては, TC, CPよりも感受性が高くなつている。
    我々は, 東京歯科大学産科において分娩した褥婦に対して, routineにAB-PC (Pentrex ‘Banyu’) を投与し, 産褥時の諸感染症に対しても本剤を使用し, その効果を検討し, いささかの知見を得たので報告する。
  • 高平 汎志
    1970 年 23 巻 4 号 p. 424-428
    発行日: 1970/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Spiramycinは, 1954年フランスのRhône-Poulenc研究所のS. PINNERT-SINDICOらによつて分離されたStreptomyces ambafaciens1) が産出するMacrolide系に属する抗生物質である。本物質は, 同じMacrolide系抗生物質であるErythromycin, Oleandomycinなどと同様, 主としてグラム陽性菌に右効である。Sniramvcinの化学構造については, 最初R. PAUL2) ら, 次いでM. E. KUEHNEら3) によつて改訂されたが, 最近, 大村ら4) によつてFig. 1に示す構造式が与えられた。この構造式から明らかなように, Spiramycinは16員環のラクトン, Mycarose, Mycaminose, Forosamineの3種の糖からなるMacrolide系抗生物質である。著者は, Spiramycinの各種の誘導体-還元物, 酸分解物, Ester-を合成し, 各種の生物試験をおこない, Spiramycimより遙かに治療効果が優れ, かつ酸に安定な誘導体を開発した。第1報では, Spiramycinの誘導体の合成とその抗菌性, 酸安定性について報告する。
  • 高平 汎志
    1970 年 23 巻 4 号 p. 429-433
    発行日: 1970/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Spiramycin1~5) の誘導体の合成, 精製, 同定, 安定性, 抗菌性については第1報で報告した。ここでは, これら誘導体の感染治療試験, 急性毒性, 吸収, 排泄, 代謝に関して特にEsterを中心にして報告する。
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