The Japanese Journal of Antibiotics
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61 巻, 3 号
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  • 笠原 千嗣, 原武 志, 鶴見 寿, 後藤 尚絵, 兼村 信宏, 吉川 武志, 山田 俊樹, 澤田 道夫, 高橋 健, 森脇 久隆
    2008 年 61 巻 3 号 p. 115-121
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    【目的】造血器腫瘍に合併した発勲性好中球減少症 (Febrile Neutropenia: FN) には第3, 4世代セフェム系抗菌薬, カルバペネム系抗菌薬など, 強力な抗菌力を有する抗菌薬が有効である。今回我々は造血器腫瘍に伴うFN症例に対するBiapenem (BIPM) の安全性と有効性を検討した。
    【対象及び方法】対象: 2005年2月から2006年3月に当院及び関連施設にて経験した造血器腫瘍 (急性白血病, 非ホジキンリンパ腫, 多発性骨髄腫) に伴うFN54例を対象とした。投与方法: BIPMとして1日1.2g (分2) を投与した。
    【結果】有効性評価対象49例での臨床効果は, 著効25例, 有効13例, やや有効3例, 無効8例で有効率78%であった。BIPM投与前好中球数が100/μl以下の症例での有効率は74%, 投与後100/μl以下の症例での有効率は70%であった。有効例のうち5例に発熱の再燃が認められたが, その内の1例ではBIPM継続投与にて好中球の回復とともに発熱は軽快した. 主な副作用は肝胆道系酵素の上昇で重篤なものは認められなかった。
    【結論】BIPMは造血器腫瘍に合併するFNに対し, 優れた有効性を有することが確認され, FNの際に選択しうる有用な抗菌薬の一つと考えられた。
  • 2006年度分離菌を中心に
    品川 長夫, 平田 公一, 桂巻 正, 水口 徹, 牛島 康栄, 牛田 知宏, 相川 直樹, 葉 季久雄, 高山 忠利, 佐藤 毅, 加藤 ...
    2008 年 61 巻 3 号 p. 122-171
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1982年7月から外科感染症分離菌に関する多施設共同研究を行ってきたが, ここでは2006年度 (2006年4月~2007年3月) の成績を中心にまとめた。1年間で調査対象となった症例は226例であり, このうちの170例 (75.2%) から451株の細菌と23株の真菌が分離された。一次感染症から227株, 術後感染症から224株の細菌が分離された。一次感染症では, 嫌気性グラム陰性菌の分離頻度が高く, 次いで好気性グラム陰性菌であり, 術後感染症では, 逆に好気性グラム陽性菌の分離頻度が高く, 次いで嫌気性グラム陰性菌であった。好気性グラム陽性菌については, 一次感染症からはEnterococcus faecalisEntaococas aviumなどのEnterococcus spp.の分離頻度が高く, 術後感染症からはStaphylococcus aureusなどのStaphylococcus spp.の分離頻度が高かった。好気性グラム陰性菌では, 一次感染症からEschmchia coliの分離頻度が最も高く, 次いでKlebsiella pneumoniae, Enterobacter cloacaePseudomonas aeruginosaなどであり, 術後感染症からはP.aeruginosa, E.coli, E.cloacaeの分離頻度が高かった。嫌気性グラム陰性菌では, 一次感染症からは, Bilophila wadsworthiaの分離頻度が最も高く, 次いでBacteroides fragilisであり, 術後感染症からはB.fragilisの分離頻度が最も高く, 次いでBacteroides caccae, Bacteroides thetaiotaomicronおよびB.wadsworthiaであった。グリコペプチド系薬耐性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) や多剤耐性緑膿菌は認められなかった。Teicoplanin耐性のメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (MRCNS) が3株認められたが, これらは他の抗MRsA薬には良好な感受性を示した。Bacteroides spp.の多くは, 。セフェム系薬に耐性であった。また, 多くの薬剤に耐性を示す新しい菌種であるB. wadsworthiaは11.8%と高い分離頻度であった。
  • 豊永 義清, 岩井 直一, 本廣 孝, 砂川 慶介, 藤井 良知
    2008 年 61 巻 3 号 p. 172-183
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児呼吸器感染症患者に対するcefcapene pivoxil小児用細粒 (CFPN-PI) 投与の薬物動態と有効性及び安全性の検討を目的として実施した市販後臨床試験に基づき, 今回, 小児呼吸器感染症症例のみを対象とした, CFPN-PIの有効かつ安全な用量・用法を探索するため, 遊離型薬剤濃度でのCFPNのPK/PDブレイクポイントと臨床効果・細菌学的効果について検討を行った。本検討で集積した61例において以下の結果を得た。
    1.小児呼吸器感染症に対するCFPN-PIの有効率は, 咽喉頭炎が100% (有効15例/15例), 急性気管支炎が84.6% (有効11例/13例), 扁桃炎が100% (有効12例/12例), 肺炎が100% (有効8例/8例) で, 全体では95.8% (有効46例/48例) であった。
    2.小児呼吸器感染症に対するCFPN-PIの細菌学的効果 (Haemophilus influenzae 20株, Streptococczas pyogenes l2株, Morexella catarrhalis 13株, Streptococcus pneumoniae9株等の消失率) は, 咽喉頭炎が87.5% (起炎菌消失14例/16例), 急性気管支炎が66.7% (起炎菌消失12例/18例), 扁桃炎が75.0% (起炎菌消失12例/16例), 肺炎が63.6% (起炎菌消失7例/11例) で, 全体では73.8% (起炎菌消失45例/61例) であった。
    3.血中濃度シミュレーションの結果においてCFPN-PI3mg/kg×3回/日のTiie aboveMIC (TAM) 40%を上回るPK/PDブレイクポイントは0.27μg/mLであった。
    4.小児呼吸器感染症患者に対するCFPNのTAM (%) を40~100% (≥TAM40%) と0~40% (<TAM40%) の2群に分け, 臨床効果及び細菌学的効果を比較した結果, ≥TAM40%の群は臨床効果が97.4% (有効38例/39例), 細菌学的効果が77.8% (起炎菌消失35例/45例), <TAM40%の群は臨床効果が88.9% (有効8例/9例), 細菌学的効果が62.5% (起炎菌消失10例/16例) で, 臨床効果には差を認めなかったが, 細菌学的効果で有意差は得られなかったものの≥TAM40%の群で除菌率が高い傾向を認めた。
  • 2008 年 61 巻 3 号 p. 184-193
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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