The Japanese Journal of Antibiotics
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59 巻, 5 号
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  • 後藤 元, 武田 英紀, 河合 伸, 渡邊 卓, 岡崎 充宏, 島田 馨, 中野 邦夫, 横内 弘, 池本 秀雄, 森 健, 猪狩 淳, 小 ...
    2006 年 59 巻 5 号 p. 323-354
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2004年10月-2005年9月の間に全国12施設において, 下気道感染症患者319例から採取された検体を対象とし, 分離菌の各種抗菌薬に対する感受性および患者背景などを検討した。これらの検体 (主として喀痰) から分離され, 原因菌と推定された細菌383株のうち381株について薬剤感受性を測定した。分離菌の内訳はStaphylococous aureus 87株, Streptococcus pneumoniae 80株, Haemophilus influenzae 78株, Pseudomonas aeruginosa (nonmucoid株) 35株, P. aeruginosa (mucoid株) 9株, Klebsiella pneumoniae 15株, Moraxellasubgenus Branhamella catarrhalis 30株などであった。
    S. aureus 87株のうち, Oxacillin (MPIPC) のMICが2μg/mL以下の株 (Methicillin-sensitiveS.aureus: MSSA) およびOxacillinのMICが4μg/mL以上の株 (Methicillin-resistantS. aureus: MRSA) は, それぞれ40株 (46.0%) および47株 (54.0%) であった。MSSAに対しては, Imipenem (IPM) の抗菌力が最も強く, 0.063μg/mLで全菌株の発育を阻止した。MRSAに対しては, Vancomycinの抗菌力が最も強く, 1μg/mLで全菌株の発育を阻止した。Arbekacin (ABK) の抗菌力も良好で, そのMIC90は2μg/mLであった。S. pneuoniaeに対する抗菌力はカルバペネム系抗菌薬が最も強く, 0.25-0.5μg/mLで全菌株の発育を阻止した。Cefbzopran (CZOP), Cefbtaxime (CTX), Cefpirome (CPR), Cefditoren (CDTR) の抗菌力も比較的良好で, そのMICは≤1μg/mLであった。これに対して, ABK, Erythromycin (EM), Clindamycin (CLDM) では, 高度耐性株 (MIC: ≥128μg/mL) が, それぞれ2株 (2.5%), 30株 (375%), 31株 (38.8%) 検出された。H.influenzaeに対する抗菌力はLevofloxacin (LVFX) が最も強く, 0.125μg/mLで全菌株の発育を阻止した。ムコイド産生P.aeruginosaに対しては, Meropenem (MEPM) が最も強い抗菌力を示し, 2μg/mLで全菌株の発育を阻止した。非ムコイド産生P.aeruginosaに対してはAmikacin (AMK) およびABKが最も良好な抗菌力を示し, そのMIC90は4μg/mLであった。非ムコイド型に対するCZOPの抗菌力も比較的良好で, そのMIC90は8μg/mLであった。K. pneumoniaeに対する抗菌力は, CZOP, Cefmenoxime (CMX), CPR, Flomoxef (FMOX) が最も強く, 0.063μg/mLで全菌株の発育を阻止した。M.(B.) catarrhalisに対しては, いずれの薬剤も比較的強い抗菌力を示し, MIC90は4μg/mL以下であった。
    呼吸器感染症患者の年齢は, 70歳以上が全体の57.0%と半数以上を占めた。疾患別では細菌性肺炎と慢性気管支炎の頻度が高く, それぞれ50.8%, 23.8%であった。細菌性肺炎患者から多く分離された菌はS. aureus (21.6%), S. pneumoniae (24.7%), ならびにH.influenzae (20.1%) であり, 慢性気管支炎患者においてもS. aureus (29.0%), S. pneumoniae (16.1%), ならびにH. influenzae (16.1%) が比較的多く分離された。抗菌薬投与前に呼吸器感染症患者から多く分離された菌は, S. pneumoniaeおよびH. influenzaeで, その分離頻度はそれぞれ22.3%および25.1%であった。前投与抗菌薬別に分離菌種を比較したところ, マクロライド系抗菌薬が投与されていた症例では, P. aeruginosaが比較的多く分離され, その分離頻度は43.5%であった。
  • 三鴨 廣繁, 田中 香お里, 渡邉 邦友, 山岡 一清, 三輪 まゆみ, 澤村 治樹, 松川 洋子, 佐伯 浩和, 浅野 裕子, 石郷 潮美 ...
    2006 年 59 巻 5 号 p. 355-363
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    剤耐性緑膿菌が, 各地の医療施設で分離されるようになり, その動向が警戒されている。このような状況下, 各地域でのサーベイランスが重要であると考え, 岐阜県下における医療機関から分離された緑膿菌について検討した。岐阜県下の9施設・検査センターから分離された緑膿菌266株を対象として, 16薬剤について薬剤感受性を, 日本化学療法学会の微量液体希釈法により測定した。なお, imipenemのMIC16μg/mL以上, amikacinのMIC32μg/mL以上, ciprofioxacinのMIC4μg/mL以上の3つの条件を全て満たした緑膿菌の菌株を, 多剤耐性緑膿菌と判定した。岐阜県において分離された緑膿菌に対する代表的な抗菌薬のMIC50およびMIC90は, それぞれ, piperacillinで4μg/mLおよび64μg/mL, amikacinで4μg/mLおよび8μg/mL, imipenemで1μg/mLおよび16μg/mL, ciprofioxacinで0.25μg/mLおよび8μg/MLであった。尿由来の菌株において, 分離株に対する各種抗菌薬の薬剤感受性が低下していることが認められ, ペニシリン系薬・セフェム系薬・フルオロキノロン系薬では顕著であった。今回の検討では, 多剤耐性緑膿菌は7株分離され, 7株の由来は, 尿由来5株, 喀痰由来2株であった。そのうちの3株は, arbekacinに対するMICが16μg/mLを示した。この結果から, 多剤耐性緑膿菌感染症の治療薬のひとつに, 抗MRSA薬として認可されているarbekacinが約半数の症例で有効性を示す可能性が示唆された。今後も定期的に, 各医療圏ごとに, アンチバイオグラムを作成し, それを利用することの重要性が強く示唆された。
  • 三鴨 廣繁, 田中 香お里, 渡邉 邦友, 玉舎 輝彦, 和泉 孝治
    2006 年 59 巻 5 号 p. 364-372
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近では, pharmacokinetics (薬物動態) /pharmacodynamics (薬力学)(PK/PD) 理論に基づいた抗菌薬の投与方法が推奨されているが, その臨床成績は少ない。経口フルオロキノロン系抗菌薬のひとつであるガチフロキサシン (gatifloxacin: GFLX) について, PK/PD理論に基づいた至適投与方法を検討するために, 骨盤内炎症性疾患 (pelvic inflammatory disease: PID) を対象として, GFLX 400mg/日を, 分2または分4投与した場合の臨床効果および有害事象の発現状況について検討した。抗菌化学療法により, 白血球数およびCRP値は, 分2投与群が, 分4投与群と比較して, 有意に減少した。血中濃度を測定し得た4症例では, 推定原因菌に対するAUCIMICが142.28と280.16 (いずれも推定原因菌はEscherichiacoli) の症例は投与方法にかかわらず有効であったが, 推定原因菌に対するAUCIMICが4.10 (推定原因菌Prevotella bivia) と4.35 (推定原因菌Pseudomonas aeruginosa) の症例では無効であった。今回の検討から, PKIPDを考慮することで有効な抗菌薬の投与方法を選択できることが示唆された。
  • 坂田 宏
    2006 年 59 巻 5 号 p. 373-381
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1998年から2005年までに小児の血液から分離されたStreptococcus pneumoniae 50株とHaemophilus influenzae 42株について薬剤感受性試験を行った。感受性試験はNCCLSに準じた培地と4.5%ヒト血清albumin添加した培地で微量液体希釈法で測定を行った。測定した薬剤は, S.pneumoniaeではpenicillin G (PCG), ampicillin (ABPC), cefteram (CFTM), cefditoren (CDTR), cefcapene (CFPN), cefotaxime (CTX), ceftriaxone (CTRX), faropenem (FRPM), panipenem (PAPM), meropenem (MEPM), vancomycin (VCM), tebipenem, H.influenzaeではABPC, clavulanic acid/amoxicillin (CVA/AMPC), piperacillin (PIPC), CFTM, CDTR, CFPN, CTX, CTRX, FRPM, PAPM, MEPM, tebipenemである。S.pneumoniaeに対して最も抗菌力が優れていた経口剤はtebipenem (MIC90; ≤0.06μg/ml), 注射剤はPAPM (MIC90;≤0.12μg/ml) であった。H. influenzaeでは経口剤がCDTR (MIC90;≤0.06μg/ml), 注射剤がMEPM (MIC90;≤0.06μg/ml) であった。Albuminを添加した培地では, 蛋白結合率が高い薬剤ほどMIC90が上昇していた。そして, 蛋白結合率が90%をこえるCTRX, CDTR, FRPMではMIC90が4倍以上に上昇を認めた。
  • 2006 年 59 巻 5 号 p. 383-403
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 2006 年 59 巻 5 号 p. 407-414
    発行日: 2006/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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