1997年1月~3月の間に全国の施設より収集された重症感染症患者由来の臨床分離菌3,058株について, ciprofloxacin (CPFX) をはじめとした各種注射用抗菌薬に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を微量液体希釈法により測定し, その結果について検討した。
Methicillin-resistant
Staphylococcus aureus (MRSA) はvancomycin (VCM), teicoplanin (TEIC) およびarbekacin (ABK) に対する感受性は良好で, CPFXは他の薬剤と同様低感受性であった。
Streptococcus pneumniaeに対するCPFXのMIC
90は, ampicillinのMICが4μg/mL以上の耐性株でも2μg/mL以下であり, セフェム系およびカルバペネム系抗菌薬等にみられるペニシリン低感受性株における耐性化傾向は認められなかった。
グラム陰性菌のCPFXに対する感受性は, カルバペネム系抗菌薬とほぼ同等の高い感受性を示した。特に
Pseudomonas aeruginosaに対するCPFXのMIC
90は2μg/mLであり最も良好な感受性を示した。また今回分離された
P. aeruginosa 446株中に
blaIMP遺伝子保有株が3株認められたが, そのうち2株に対するCPFX, pazufloxacin (PZFX) のMICは0.25μg/mLであり, 良好な感受性を示した。CPFX, ceftazidime (CAZ), imipenem (IPM), gentamicin (GM) に対する肺炎のBreakpointを指標とした感受性率については, MRSAを除く主要な呼吸器感染症分離菌においてCPFXは80%以上であった。
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