The Japanese Journal of Antibiotics
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24 巻, 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 小栗 豊子, 小酒井 望
    1971 年 24 巻 3 号 p. 121-125
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    緑膿菌感染症の増加は現在, 外科, 内科, 耳鼻咽喉科, 泌尿器科等, 多くの臨床各科において重要視されている1).緑膿菌の病原性は, 一般に弱いといわれているが, 広域抗生物質の長期投与によつてひき起こされる菌交代症, 免疫抑制剤の使用, 放射線療法, また, 白血病, 癌等の重症基礎疾患による生体の抵抗力の著るしい減弱等の条件下では, 本菌種による慢性の難治感染症の出現率が高く, 大いに注目されている2, 3).そして, 本菌種が2次的に感染し, 疾病を持続または悪化させるという事実は, 病院内交差感染の問題を提起しており, この交差感染の実態はファージ型別4, 5), ピオシン型別5), 血清型別1) 等によつて解明されつつある.
    私共は, 1961年4月から1970年8月までの約10年間に, 各種臨床材料から検出された緑膿菌について, その分離率を集計し, 抗生物質感受性について検討した.
  • 1971 年 24 巻 3 号 p. 125-125,129
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 小澤 敦, 森 忠敬, 後藤 甚作
    1971 年 24 巻 3 号 p. 126-129
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ゲンタマイシンがアミノ糖抗生物質の最も新しいものとして臨床治療の面で登場し, 各種感染症に著明な効果を発揮している。われわれは, まずその基礎的実験として型のように, 各種臨床材料 (喀痰, 膿, 咽頭粘液, 胆汁, 尿) から分離された各種グラム陰性桿菌およびグラム陽性菌のゲンタマイシンにたいする感受性効果をディスク法を用いて他の化学療法剤と比較検討したので, それらの結果について報告したい。
  • 山田 重雄, 馬屋原 敬民, 松本 朋徳, 松尾 勝一, 上条 一也
    1971 年 24 巻 3 号 p. 130-140
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Colistinは, 1950年KOYAMA et al.1) が福島県下の土壌から分離した好気性胞子形成性桿菌 (Bacillus polymyxavar.colistinus) から抽出されたPolypeptide系抗生物質である。本薬は, グラム陰性桿菌に卓効をもち, 臨床的には耐性菌の生じた赤痢菌, 緑膿菌の治療に用いられている。最近, Colistinの構造式がSUZUKI et al.2~5) によつて決定された。それを第1図に示したが, 本物質は10個のアミノ酸からなり, その構成アミノ酸は, 6分子のL-α, γ-ジアミノ酪酸と2分子のL-スレオニン, そして各1分子のLおよびD-ロイシンからなつているDecapeptides系抗生剤であることが判明した。市販Colistinは, Colistin AおよびBといわれる2成分の混合であり, 第2図に示すように, Polymyxin BおよびCirculinは非常に似ているが, 構成成分のアミノ酸の配列と脂肪酸 (FA) の種類が若干異なつている。SUZUKI et al.5) およびWILKINSON et al.6) によれば, Colistin AはPolymyxin Eと, Colistin BはPolymyxin E2と同一物質であるという。Colistin類の構造と抗菌作用との相関関係について, SUZUKI7, 8) は5個のL-α, γ-ジアミノ酪酸のγ-アミノ基とα-スレオニンの遊離OH基が官能基であると報告している。
    先に著者等の1人松本9) および山田等10) は, Colistin塩類の血圧に対する作用を検討した結果, Colistin塩類 (硫酸塩, 酒石酸塩およびパントテン酸塩) は, いずれも著明な降圧作用を示し, その作用機序は体内のHistamine様物質の遊離に起因し, 一方, 誘導体であるメタンスルホン酸は昇圧作用を示し, 塩類とは全く相反した作用をもつていると報告した。
    今回, 著者等は, これら薬物の構造-活性相関関係を知るため, これら薬物の毒性, 心臓機能, 血管および平滑筋に対する作用を比較観察したので, その成績を報告する。
  • 近藤 茂
    1971 年 24 巻 3 号 p. 141-142
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    リボスタマイシン (ビスタマイシン‘明治’) は, Streptomyces ribosidificusの産生するアミノ配糖体抗生物質で, 図1のような構造式をもち, O-β-D-ribofuranosyl-(1→5)-O- [α-2, 6-diamino-2, 6-dideoxy-D-glucopyranosyl-(1→4)] -2-deoxy-streptamineの化学名があたえられている。
    本剤は, 中沢によれば広範囲の抗菌スペクトルをもつ抗生物質であるが, Bacillus subtilis ATCC-6633には0.78mcg/ml, B.subtilis PCI-219には0.39mcg/mlのM. I.C.をもつている。
    しかし, この数値は, 枯草菌を検定菌とする生物学的測定法のばあい, 特に低濃度の定量には不都合を生じる可能性が考えられるので, 次のような実験をおこなつた。
  • 金沢 裕
    1971 年 24 巻 3 号 p. 143-145
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    条虫は, かつては比較的駆除し難い人体寄生虫の1つで, 綿馬エキス, またはその有効成分のフィルマロン, ザクロ根皮などが用いられたが, その効果は不確実なばあいもすくなくなく, 副作用もかなりの頻度にみられるといわれている。
    その後, アテブリン (Quinacrine hydrochloride) が本症にきわめて有効なことが知られ, 広く用いられるようになり, われわれも本剤同様の抗マラリア剤であるCamoquineによる治験をも経験した。
    アテブリン系薬剤は, かなり有効な薬剤であるが, 年少者に用いたばあいに, やや副作用が多いといわれている。また, 吸虫の治療剤として使用されているビチオノール系薬剤も, 本症に有効で, とくにその誘導体であるニクロスアミド (Niclosamide: Yomesan) は, 駆虫率が極めて高いという。しかし, 本剤による駆虫のさいは, 虫体が変性されて排出されるので, 完全駆虫の早期判定には困難を感ずるばあいが多いという。
    1959~1960, エチオピアのWAGNER3) 等は, アメーバ症治療にパロモマイシソ (Humatin) を用いると, 同時に寄生していた条虫が排出されることを経験した。ついで, イタリアのULIVELLI4)(1963) は, 本剤による条虫駆除の有効性について記載し, 後述のように本治療法の有効性についての報告がつぎつぎとみられるようになつた。
    われわれは最近, 広節裂頭条虫症の1例に, 本剤を使用し, 容易に完全駆虫の目的を達することができたので報告する。
  • 菊地 金男, 平田 一夫, 菅沼 靖, 立野 紘雄
    1971 年 24 巻 3 号 p. 146-148
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sodium ampicillin 250mgとSodium cloxacillin 250mgの配合剤 (Viccillin S 500 ‘Meiji’) は, 広範囲の抗菌スペクトルをもつ抗生物質として, 感染症, または術後感染予防に対して各科領域において広く使用され, 優れた治療効果を示している。本剤の投与は, 一般に経口的, または筋肉内注射として行なわれているが, 我々は術後感染予防に対し血中濃度を比較的長時間, しかも高濃度に持続させる目的で, 本剤を輸液製剤と混合し, 点滴静注を試み, 良好な結果を得たので報告する。
  • 遠藤 浩一
    1971 年 24 巻 3 号 p. 149-151
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    現在, 抗結核剤の1つとして, Capreomycinを使用する機会も多いが, Capreomycin (CPM) とKanamycin (KM) またはViomycin (VM) との間には交叉耐性があるといわれている。今回, 著者は, 肺結核患者喀疾から分離されたKMまたはVM耐性結核菌に対するCPMの試験管内抗菌力およびCPM耐性結核菌に対するKMまたはVMの試験管内抗菌力を測定し, これらの耐性菌がそれぞれこれらの他の薬剤に対して感受性の低下を示すかどうかを検討したので, その結果を報告する。
  • 小林 稔, 山本 征子, 高見 寿夫, 三原 克之
    1971 年 24 巻 3 号 p. 152-155
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Fusidic acidは, デンマーク・レオ社のGODTFREDSENらが, 1962年Fucidum coccineumの培養液から分離したFusidic acidのNa塩で, グラム陽性菌, とくにStaphylococcusにすぐれた抗菌性をもつといわれている。私達は, 昭和44年12月からグラム陽性菌用化学療法剤パターンとして, 日常感受性検査にFusidic acidを供試し, 臨床分離株に対する抗菌性を観察したので, 報告する。
  • 真山 武志, 安部 政弘, 藤田 正敬, 深津 俊三
    1971 年 24 巻 3 号 p. 156-159
    発行日: 1971/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    テトラサイクリンは酸性で水に溶解するが, その溶解度は低く, また, その溶液を放置しておくと結晶を折出する。テトラサイクリンを注射に用いるには, 中性附近のpHで水に溶解する必要がある。この目的で水溶性テトラサイクリン誘導体1) はすでに種々合成されているが, 当研究所においても注射用に適する新誘導体を得る日的で各種の誘導体を合成してそれらを評価し, そのうちで新誘導体プロリノメチルテトラサイクリン (PM-TCと略) が, その水に対する溶解性, 抗菌スベクトラム, 血中濃度, 熱に対する安定性, 急性毒性及び特殊毒性 (催奇形試験) 2) において良好な結果を得た。今回, 本物質の基礎的性質について報告する。
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