The Japanese Journal of Antibiotics
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40 巻, 4 号
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  • 白神 腺, 小原 卓爾, 武市 俊彰, 渡辺 滋夫, 斎藤 史郎, 今川 大仁, 矢木 文和, 増田 和彦, 宮本 弘, 岡川 和人, 片岡 ...
    1987 年 40 巻 4 号 p. 695-702
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    血液疾患, 特に急性白血病例で, 治療による顆粒球減少状態時の重症感染症に対し, セフメタゾールの投与を試み, 70%の有効率を認めた。又, 重篤な副作用をきたした例はみられず, 血液疾患に合併する感染症に本剤が有用であることを述べた。
  • 公文 裕巳, 大森 弘之
    1987 年 40 巻 4 号 p. 703-710
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    急性単純性膀胱炎患者83例を対象としてCefroxadine 1回250mgを1日3回, 3~7日間投与し, その臨床効果並びに7日目著効例での再発について, 70歳未満と70歳以上の2群に層別化して検討を加えた。
    1. UTI基準に基づく総合臨床効果は, 3日目判定で著効53.2% (33例/62例), 有効46.8% (29例/62例), 有効率 (著効十有効) 100%, 7日目判定で著効78.7% (37例/47例), 有効21.3% (10例/47例), 有効率100%であり, 70歳未満群と70歳以上群に差を認めなかつた。
    2. 再発検討症例24例 (70歳以上7例を含む) におけるUTI基準に基づく再発判定では, 再発なし22例, 判定保留2例で再発率は0%であつたが, 主治医判定での再発率は8.3% (2例/24例) であつた。なお, 主治医判定で再発ありの2例は70歳未満の症例であつた。以上の臨床成績について報告すると共に再発判定基準の問題点について言及した。
  • 石橋 凡雄, 高本 正祈, 篠田 厚, 木原 広美, 長野 準, 川上 景司, 大和 庸次, 中西 啓, 山本 達巳, 大津 達也, 中村 ...
    1987 年 40 巻 4 号 p. 711-726
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Mycobacterium avium, Mycobacterium intracellulare complex 肺感染症の6カ月以上排菌を認めている症例に, 既使用の抗結核剤に上乗せしてForphenicinolを投与し, 以下の結果を得た。
    1. 有効性評価例33例中10例に, 排菌の陰転化又は排菌の減少が認められた。
    2. 有効例は抗結核剤併用例にだけ認められた。
    3. 排菌源として結核後遺の硬壁空洞のある症例では効果が悪かつた。
    4. 副作用として発熱, 腹部膨満感, 食思不振が各1例認められたが, 臨床検査値の異常は認められなかつた。
  • 高本 正祇, 原田 進, 原田 泰子, 北原 義也, 川原 正士, 石橋 凡雄, 篠田 厚
    1987 年 40 巻 4 号 p. 727-734
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    嫌気性菌性肺炎, マイコプラズマ肺炎, その他の菌株による肺炎にClindamycin-2-phosphateを使用し, 臨床成績の検討を行うと共に本剤の胸水中移行を検討し以下の成績を得た。
    1. 嫌気性菌性肺炎, マイコプラズマ肺炎には全例著効を示した。しかし, その他の菌株による肺炎では有効率は50%であつた。以上の結果から, 本剤の使用にあたつては, 起炎菌を充分考慮したうえで投与すべきであろう。
    2. 胸水をきたした疾患5例について本剤1,200mgを電解質溶液200 mlに溶かし点滴静注後の胸水への移行をみたが, 平均9.0%の移行率を示した。又, ピーク値は1.86~6.07μg/mlであつた。24時間後も平均1.28μg/mlと高い値を示した。
  • 高橋 克俊, 滝田 智久
    1987 年 40 巻 4 号 p. 735-738
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    好気的条件下, ブレオマイシン銅錯体 [BLM-Cu (II)] とシステインとの反応によるスーパーオキサイドの産生の有無を検討した。0.1mMシステインと0.065mM BLM-Cu (II) の共存により, チトクロームc及びニトロブルーテトラゾリウムクロライドが著しく還元された。これらの還元は, Cu (I) に特異的なキレート化剤であるネオクプロインで抑制された。スーパーオキサイドディスムターゼは, ニトロブルーテトラゾリウムクロライドの還元だけを抑制した。以上の結果から, BLM-Cu (II) 中の銅がシステインにより還元的に脱離され, チトクロームcは, そのCu (I) により直接還元され, ニトロブルーテトラゾリウムクロライドは, Cu (I) と酸素との反応により生成したスーパーオキサイドにより還元されたと考えられる。
  • メシリナムの膀胱壁透過性について
    河村 信夫, 岡田 敬司, 木下 英親, 鮫島 正継, 松永 重昂, 川上 隆, 橋本 達也
    1987 年 40 巻 4 号 p. 739-742
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    験的に膀胱炎にしたウサギの膀胱腔内にメシリナム (MPC) を注入し, 血清へのMPC移行量を測定し, その量の差から膀胱炎の作り方による差があることを知つた。エーテル, シクロフォスファミド, ホルマリンの3薬剤を使つて膀胱炎を起したところ, 血清中への移行薬剤量の最も多いのはホルマリンによる膀胱炎であり, 以下エーテルによるもの, シクロフォスファミドによるものであつたが, その血清中濃度の上り方のパターンは少しずつ違うことも判明した。今後膀胱炎を実験動物に作る時, その作り方によつて炎症の性格に差のあるらしいことを念頭に置かなければならない
  • 樋口 富士男, 金沢 親良, 井上 博, 井上 明生
    1987 年 40 巻 4 号 p. 743-748
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1. セフェム系の抗生物質であるCefpiramide の股関節領域における骨・関節への移行濃度を測定した。
    2. 2g投与後30分の平均濃度は末梢血246.0μg/ml, 骨髄血298.5μg/ml, 骨海綿質77.5μg/gと非常に高濃度であつた。
    3. 半減期は末梢血で152分, 骨髄血で105分と他剤と比較しても長時間の濃度持続であつた。
    4. 血中濃度との比に関しては, 骨髄血で正の相関が認められた。
    5. MIC80に関しては, 臨床上重要な病原菌に対する有効濃度を長時間維持していることが認められた。
    6. 抗生物質の骨・関節組織への移行特性は他臓器と比べ困難な点が多いが, 臨床的な問題点について, 文献的に考察した。
  • 浦部 晶夫, 高久 史麿, 北川 誠一, 三浦 恭定, 檀 和夫, 野村 武夫, 増田 道彦, 溝口 秀昭, 矢野 尊啓, 外山 圭助, 浦 ...
    1987 年 40 巻 4 号 p. 749-758
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clavulanic acid (CVA) とTicarcillin (TIPC) の配合剤であるBRL 28500の血液疾患に合併した重症感染症に対する臨床的検討を行つた。
    解析対象症例は25例で, 基礎疾患は白血病, 悪性リンパ腫等の悪性腫瘍性疾患が22例と全体の88%を占めていた。感染症の内訳は敗血症2例, 敗血症の疑い18例, 肺炎4例, 腎盂腎炎1例であつた。本剤の有効率 (著効十有効) は全体として52%であつた。
    副作用は1例, 臨床検査値異常は1例に認められたが, いずれも軽微なものであつた。
  • 酒井 克治, 上田 隆美, 内野 純一, 早坂 滉, 白松 幸爾, 長町 幸雄, 正田 裕一, 奥井 勝二, 早田 義博, 渡辺 弘, 山口 ...
    1987 年 40 巻 4 号 p. 759-811
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    BRL 28500 (Clavulanicacid/Ticarcillin) の外科領域における腹腔内感染症 (化膿性腹膜炎, 術後腹膜炎), 胆道感染症 (胆のう炎, 胆管炎] に対する有効性, 安全性を評価する目的で, 本剤1.6g又は3.2gを1日2回, 原則として10日間点滴静注して臨床試験を実施し, 又, 同一患者での腹水移行濃度を測定し, 以下の成績を得た。
    1. 投与総症例数は76例で効果判定委員会判定による疾患別効果判定症例数は腹腔内感染症49例 (化膿性腹膜炎29例, 術後腹膜炎20例), 胆道感染症18例 (胆のう炎5例, 胆管炎13例) で, 除外・脱落例は9例であつた。
    2. 主治医判定による全般改善度の経日的推移は腹腔内感染症では改善率が5日後57.1%, 7日後63.0%, 10日後77.8%と上昇し, 又, 胆道感染症の改善率は5日後38.9%, 7日後40.0%, 10日後42.9%で, 改善率と投与日数との相関が認められた。
    3. 主治医判定有用性における満足度は腹腔内感染症では63.8% (化膿性腹膜炎75.0%, 術後腹膜炎47.4%), 胆道感染症58.8% (胆のう炎100%, 胆管炎41.7%) で, 全体の満足度は62.5%であつた。
    4. 効果判定委員会判定による疾患別の有効率は化膿性腹膜炎93.1%, 術後腹膜炎65.0%で, 腹腔内感染症全例では81.6%であつた。又, 胆のう炎100%, 胆管炎53.8%で胆道感染症全例では66.7%であつた。
    5. 効果判定委員会判定による起炎菌検出症例の有効率は化膿性腹膜炎92.9%, 術後腹膜炎58.8%, 胆管炎50.0%で, 全例では69.2%であつた。又, このうちTicarcillin (TIPC) 耐性菌検出症例では化膿性腹膜炎88.9%, 術後腹膜炎58.3%, 胆管炎40.0%で, 全例では65.4%の有効率であつた。
    6. 効果判定委員会判定による細菌学的効果では症例別の菌消失率は腹腔内感染症76.9%, 胆道感染症40.0%, 全例では71.0%であつた。このうちTIPC耐性菌検出症例の消失率は腹腔内感染症68.4%, 胆道感染症33.3%で, 全例では63.6%であつた。
    7. 腹膜炎患者4例における本剤の点滴静注後の腹水中濃度の検討ではTIPC, Clavulanicacid (CVA) 共に投与終了後1~3.5時間までに良好な移行濃度を認めた。
    8. 安全性においては全症例76例中, 副作用発現は1例に軽度の嘔気・嘔吐が認められ, 発現率は1.3%であつた。又, 臨床検査値異常は75例中, 好酸球数増多2例, 肝機能検査値異常6例, 計8例に認められ, その発現率は10.7% (8例/75例) であつた。
    以上の成績から, BRL 28500は腹水中への移行も良好で, TIPC耐性菌による腹膜炎及び胆道感染症に対して, 有用性の高い薬剤であると考えられた。
  • 第4報原因菌別抗菌剤療法と予後
    藤井 良知, 平岩 幹男, 小林 裕
    1987 年 40 巻 4 号 p. 812-822
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1979年1月~1984年6月までの小児細菌性髄膜炎入院患児についてのアンケート調査を行つた。107施設からの回答中起炎菌, 予後, 使用抗生剤が明らかなもので, 抗酸菌10例, Mycoplasmahominis1例を除いた970例についての分析である。
    この期間を通じて年次的に単剤療法は頻度に変化はなく, β-Lactam+Aminoglycosides (AGs) はやや減少, β-Lactam相互はじめβ-Lactam十AGs以外の抗生剤の併用例が増加した。病原別にグラム陽性菌, 陰性菌について共に同様の傾向であり, 又, 致命率はグラム陽性菌でβ-Lactam十AGs群が横這いであつた以外はすべて低下傾向を認めた。
    主要起炎菌について単剤, 併用療法並びに特にβ-Lactam十AGs併用の3者に分けて観察した。
    Staphylococcus aureus27例では単剤療法の致命率28.6% (2例/7例), β-Lactam+AGs50.0% (6例/12例) であり, いずれの抗生剤療法でも予後が悪い方に属する。
    Group B Streptococcus (GBS) 100例の致命率は20.0%であり, 単剤17.3% (9例/52例) に対しβ-Lactam+AGsは34.5% (10例/29例) であつた。(P<0.1)
    Streptococcus pneumoniae198例の致命率は12.1%であり, 単剤では12.3% (18例/146例) である。β-Lactam+AGsの20.8% (5例/24例) に較べ, β-Lactam+NonAGsは3.6% (1例/28例) で低率である (P<0.1)。
    Haemophilus influenzae292例では致命率5.8%と低く, β-Lactam+AGsも7.4% (5例/68例) と高くない。
    Escherichia colil11例では致命率13.5%である。単剤6.5% (2例/31例), β-Lactam+Non AGs 5.6% (1例/18例) に対しβ-Lactam十AGsは19.4% (12例/62例) で有意傾向が存在した (両者P<0.1)。
    同様の傾向はListeria monocygenes, Proteus mirabilis, Pseudomonas aeruginosa, Enterococcusfaecalisなどに認められたが, Neisseria meningitidis, Haemophilus parainftuenzaeにおいては死亡例は1例もなかつた。
    Gentamicin (GM) 又はAmikacin (AMK) 併用の予後を比較すると, 主要病原の5種類の菌については, AMK使用群10例/26例38.5%GM24例/178例13.5%でその差はSaureus, GBS, S.pneumoniaeなどGram-positivecocciにおいて著しかつた。
    β-Lactam十AGsはHaemophilus spp.以外は甚だ高い致命率であるのに対し, PCs十CEPs又はLatamoxef, Chloramphenicolkの併用の成績は優れていた。
    年齢と死亡率との関係でGBS, E.coli, P, mirabilisは新生児期から生後6カ月までに集積し死亡も幼若に多く, 且つβ-Lactam+AGsの致命率は単剤よりも高く, 殊にGBSでは有意差 (P<0.05) があり, Ampicillin十AGsの問題点が主として新生児期にあることを示している。
    なお, 各起炎菌について単剤療法あるいは併用療法として望ましい抗生剤を述べた。
    複数菌感染, 嫌気性感染, 真菌感染については例数が少ないので表示するに止めた。
  • 猪狩 淳, 設楽 正登, 森本 まり, 志賀 昇, 小酒井 望
    1987 年 40 巻 4 号 p. 823-842
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    全国各地の病院から, 臨床において分離されたProteus群 (Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Proteus morganii, Proteus rettgeri, Proteus inconstans) の菌株を収集し, 感受性試験を実施し, Ampicillin (ABPC), Cefazolin (CEZ), Cefmetazole (CMZ), Gentamicin (GM) に対する感受性を比較した。感受性試験は日本化学療法学会標準法の平板希釈法によりMICを測定した。なお接種菌量は108CFU/mlを用いた。
    1.1983年, 1984年に分離された菌株の感受性成績から, 1) P.mirabilisはABPC, CEZ, CMZ, GMいずれに対しても感性であつた。2) P.vulgarisはABPC, CEZに耐性, CMZ, GMに感性であつた。3) P.morganiiはABPC, CEZに耐性, GMには感性。CMZにも感性株が多いが, 耐性株が約20%程度みられた。4) P.rettgeriはABPC, CEZに耐性, CMZ, GMにも25~40%の菌株が耐性であつた。5) P.inconstansはABPC, CEZに耐性, GMにも約55%の菌株が耐性。CMZには感性であるが, 約10%の菌株が耐性であつた。
    2.1980年から1984年までの5年間の4剤に対するProteus群の感受性推移は, 1) P.mirabilis, P.vulgaris, P.morganiiの場合はABPC, CEZ, CMZに対して有意の年次的変動はなかつた。GMに対しては1982年に感受性の低下があつた。2) P.rettgeriの場合, ABPC, CMZに対して年次的変動は認めない。CEZに対しては1981~1983年に, GMに対しては1982年以後感受性の低下がみられた。3) P.inconstansの場合, ABPC, CMZ, GMに対して年次的変動はない。CEZに対して1981年以後に感受性の低下がみられた。
    3.臨床材料別由来菌株による感受性分布については, どの菌種でも, 臨床材料由来株間で著明な差を認めていないが, P.vulgaris, P.morganii, P.rettgeriは尿由来株が喀痰由来株, あるいは膿由来株に比べ, MIC値25μg/ml以上の耐性株出現頻度がGM, CMZで多く, P.inconstansではABPC, CMZで多くみられた
  • 豊永 義清, 杉田 守正, 河村 研一, 瀬尾 究, 高橋 孝行, 堀 誠
    1987 年 40 巻 4 号 p. 843-865
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aminothiazolyloxyiminoacetamido cephalosporin 系剤 (ATOICs) の一つであるCefUzonam (CZON) について, 抗菌力, 吸収・排泄, 髄液中濃度, 髄液移行率, 並びに臨床成績について以下の結果を得た。
    1.抗菌力
    臨床分離のStaphylococcus aureus (Cefazolin (CEZ) 感受性株, CEZ低感受性株), Escherichiacoli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis に対するCZONの抗菌力を Cefmenoxime (CMX), Latamoxef (LMOX), Cefoperazone (CPZ), Cefmetazole (CMZ), Cefotiam, CEZを対照薬として, 但し, S.aureusの場合にはCPZを除きCefamandole (CMD) を加え, 比較検討した。
    S.aureusに対するCZONの抗菌力はCEZ感受性株, 低感受性株とも, 対照とした6薬剤より優れており, そのMIC分布は, 前者に対しては0.10~12.5μg/ml, 後者に対しては0.20~>100μg/mlであつた。MICビークは, それぞれ0.39μg/ml, 0.78~1.56μg/mlであり, 現在, Methicillin-resistantS.au7eus (MRSA) を含め広く使用されているCMZ, CMDより, 感受性株では1~2管, 低感受性株でも2管程度優れていた。E.coli, K.pneumoniae, P.mirabilisに対するCZONのMIC分布 (及びMICピーク) は, それぞれ≤0.025~1.56μg/ml (≤0.025μg/ml), ≤0.025~25μg/mr (≤0.025~0.05μg/ml), ≤0.025~25μg/ml (≤0.025μg/ml) で, 第5群Cephalosporin剤 (CEPs) であるCMX, LMOXとほぼ同様の抗菌力を示した。
    2.吸収・排泄
    10カ月から15歳までの8名に, CZONを体重kgあたり20mgあてOneshot静注で投与した際の血中濃度推移は, 各症例間に多少のバラツキを認めたが, 平均値で30分48.7μg/mlであり, その後速やかに漸減し, 1時間13.3μg/ml, 2時間3.4μg/ml, 4時間1.14μg/ml, 6時間0.15μg/mlであり, 半減期は0.67~1.47時間, 平均0.87時間であつた。尿中回収率は投与開始後6時間までに24.7~55.9%, 平均45.1%であつた。
    3.髄液中濃度, 髄液移行率4.例の化膿性髄膜炎児にCZONを体重kgあたり25mg及び50mg投与後の髄液中濃度を測定した。他の第5群CEPsに最も近い結果を得たのは1例だけで, 静注後約2~2.5時間の髄液中濃度は1.0~5.0μg/mlであり, 髄液移行率は8.0~23.3%であつた。
    4.臨床成績
    本剤を化膿性髄膜炎十敗血症2例, 化膿性髄膜炎3例, 敗血症・菌血症5例, 気管支肺炎11例, 気管支炎3例, 化膿性リンパ節炎5例, 尿路感染症6例, 敗血症+骨髄炎, 蜂窩織炎, 膿瘍及びサルモネラ感染症各1例, 計39例に使用し, 死亡例である化膿性髄膜炎を判定不能とした以外38例での臨床評価を行い, すべて有効以上の成績を認めた。細菌学的にも33例にて菌を検出し, 評価判定症例31例では, すべて経過中に菌は陰性化した。投与量は化膿性髄膜炎及び敗血症例では90.9~300mg/kg/日とかなり大量を使用したが, 他疾患では60mg/kg/日を標準として使用した。臨床的な副作用としては, 1例に発熱, 1例に点状出血, 1例に下痢を認めた以外は特に重篤なものはなく, 検査値異常も1例にてGOT, GPTの上昇を認めたが, 投与を中止するには至らないものであつた
  • 小児に対するCefuzonamの使用経験
    神谷 齊, 荒井 祥二朗, 河井 和夫, 庵原 俊昭, 櫻井 實, 清水 信, 児玉 公子, 岩佐 敏秋, 井上 正和, 小島 當三, 広田 ...
    1987 年 40 巻 4 号 p. 867-882
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児感染症50例にCefuzonam (CZON) を投与し, 49症例で有効性の検討を行つた。有効率83.7%の成績が得られ, 小児科領域の疾患に対しても, 極めて有効性の高い薬剤と判定された。
    又, 特にStaphylococcus aureusに対する効果もよく, 臨床分離された13株につい・ての有効率は69.2%であつた。この成績はCefotiam, Cefazolinとほぼ同等の効果を示し, グラム陽性菌感染に対しても単剤で使用することも可能と思われたが, それ以上に続発性免疫不全症の感染対策には威力を発揮するものと思われた
  • 本廣 孝, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 藤本 保, 西山 亨, 富永 薫, 山下 文雄, 高城 信彦, 中野 光郎, 坂回 耕三 ...
    1987 年 40 巻 4 号 p. 883-900
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたCefuzonam (CZON) を小児21例において9例中各々3例に本剤10, 20, 40mg/kgをOne shot静注, 12例中各々5, 3, 4例に10, 20, 40mg/kgを1時間点滴静注で投与し, 血清中, 尿中の濃度及び回収率を測定, 化膿性髄膜炎1例に本剤を55.6mg/kg, Oneshot静注で投与し, 髄液中及び血清中の濃度を測定すると共に扁桃炎1例, 肺炎24例, 化膿性髄膜炎・菌血症1例, 尿路感染症7例及びブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群, 化膿性リンパ節炎, 顎関節周囲炎, 上顎洞炎・眼窩膿瘍の各1例, 計37症例に対し本剤を1回平均投与量21.6mg/kgで, 1日3~4回, すべてOne shot静注により, 平均7日間投与し, その臨床効果, 細菌学的効果及び, 本剤を投与したが除外例の6例を加え, 43症例について副作用と臨床検査値への影響を検討したところ, 次のような結果を得た。
    1.小児9例中各3例に10, 20, 40mg/kgをOneshot静注で投与したところ, CZONの平均血清中濃度はいずれの例も投与5分後に最高濃度を示し, 各々の平均は57.1, 147.2,316.7mcg/mlで, 3投与量群間にDose responseがあり, 平均半減期は各々0.83, 1.10, 0.79時間を示し, 10, 40mg/kg投与量群は類似したが, 20mg/kg投与量群は10, 40mg/kg投与量群の半減期よりやや長かつた。
    2.小児12例中各々5, 3, 4例に10, 20, 40mg/kgを1時間点滴静注で投与した場合の血清中濃度はいずれの例も点滴静注開始後1時間すなわち点滴静注終了時が最も高い濃度で, 各々の平均は22.3, 50.3, 76.6mcg/mlを示し, 3投与量群共に同量投与のOne shot静注例の濃度より低い濃度で推移したが, 3投与量群間にDose responseが認められ, 平均半減期は各々0.73, 0.69, 0.91時間で, 10, 20mg/kg投与例は類似し, 40mg/kg投与例の半減期よりやや短かつた。
    3.前述の10, 20, 40mg/kg, One shot静注における各3例での平均尿中濃度はいずれの投与量群も投与後0~2時間が最高濃度で, 各々1,283.3, 2, 123.3, 7, 116.7mcg/ml, 投与6時間後までの平均回収率は各々55.0, 57.78, 51.9%で, 3投与量群共に類似した。
    4.前述の10, 20, 40mg/kg1時間点滴静注で投与した場合の尿中濃度は各々4, 3, 4例に測定できたが, 40mg/kg投与4例中3例は点滴静注開始後2~4時間で排尿がなかつたことから平均から除外してみると, 3投与量群の平均濃度はいずれも点滴静注開始後0~2時間が最も高い濃度を示し, 各々872.3, 2,955.7, 1,479.5mcg/ml, 点滴静注開始6時間後までの平均回収率は各々45.5, 50.0, 43.1%で, 20mg/kg投与例は他の2投与量群の回収率よりやや高かつた。
    5.化膿性髄膜炎1例に対し3病日に本剤を55.6mg/kg, One shot静注で投与し, 投与1時間後に髄液中と血清中の濃度を測定したところ, 各々0.828, 24.5mcg/ml, 髄液・血清比は3.4%であつた。
    6.種々の細菌感染症37例に対する臨床効果は35例94.6%が有効以上で, 高い有効率を示した。
    7.細菌学的効果は15例で判定でき, 全例に消失がみられ優れた成績が得られた。
    8.除外症例を加え43例での副作用は発熱, 発疹に悪心を伴つた例が1例, 血管痛が1例に出現, 種々の臨床検査値では好酸球増多が3例, 直接クームステストで陽性が1例, GPTの異常値が2例にみられた。
  • 福田 晋平, 吉田 康晴, 柳 忠道, 辻 芳郎
    1987 年 40 巻 4 号 p. 901-906
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    児科領域におけるCefuzonam (CZON, L-105) の基礎的, 臨床的検討を行い, その結果から本剤は小児の細菌感染症に対する薬剤として有用であると思われた。
  • 中野 修道
    1987 年 40 巻 4 号 p. 907-923
    発行日: 1987/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefhzonam (CZON) 1回1g1日2回を14日間点滴静注し5日後及び投与終了時にUTI薬効評価基準により効果を判定した。
    1.5日後判定では19例がUTI薬効評価基準に合致し著効7例, 有効3例, 無効9例で有効率は52.6%であつた。細菌学的効果では分離株32株中24株 (75.0%) が消失した。終了後判定でも19例がUTI判定基準に合致し著効6例, 有効3例, 無効10例で有効率は47.4%であつた。細菌学的効果は分離株32株中26株 (81.3%) が消失した。
    2.20例中, 副作用と思われる自他覚的症状は1例も認められなかつた。臨床検査値異常所見が5日後では好酸球増加1例, 終了時ではS-GOT, γ-GTP, 血清Kの上昇1例及びS-Cr.の上昇1例の合計3例にみられたがいずれも軽度で終了後短期間で正常値に復した。
    3.今後, 本剤の投与を行う際には可能な限り分離菌の同定を実施し, 非適応菌種を除外すべきである。更にカテーテル留置症例に対しては菌交代症を認める可能性があるので随時細菌検査を実施すべきである。
    4.今回, 少数のため結論を出すには至らないが更に適当な症例を選んで検討を行う価値のある薬剤であると思われた。
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