The Japanese Journal of Antibiotics
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44 巻, 10 号
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  • 副島 林造, 松本 文夫
    1991 年 44 巻 10 号 p. 1045-1060
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Lomefioxacin (LFLX,(±)-1-Ethyl-6, 8-difluoro-1, 4-dihydro-7-(3-methyl-1-piperazinyl)-4-oxo-3-quinolinecarboxylic acid hydrochloride) は北陸製薬株式会社中央研究所で創製され, 北陸製薬株式会社及び塩野義製薬株式会社により開発されたキノリン環を母核とする新しいキノロン系の経口抗菌剤である。
    いわゆるキノロン系抗菌剤はNalidixic acidから始まり, Piromidic acid, Pipemidic acid (PPA) 及びcinoxacin等が相次いで開発され, 臨床に広く利用されたが, いずれもグラム陽性菌に対する抗菌力は不十分であった。1980年に開発された新キノロン系抗菌剤であるNorfloxacin (NFLX) はキノリン環を母核に6位にフッ素, 7位にピペラジニル基を有し, グラム陰性菌はもとより, グラム陽性菌にまで抗菌スペクトルは拡大され, その抗菌力も飛躍的に増強された。しかし, 経口吸収, 尿中排泄率等の点で改善の余地が残されていた。これらの知見をもとに, 抗菌力に優れ, 且つ経口吸収, 尿中排泄の良好なキノロン系抗菌剤が開発された。
    LFLXの化学構造はFig.1に示すとおり, キノリン環の6位及び8位にフッ素, 7位に3一メチルーピペラジニル基を有している。
    LFLXはキノリン環の6位へのフッ素導入により, グラム陽性菌への抗菌スペクトルの拡大と抗菌力の増強, 又, 8位へのフッ素導入, 7位ピペラジニル基の3位へのメチル基導入により消化管吸収及び未変化体の尿中排泄が増加し, これらのことによりin vivo抗菌力も増強された。
    本剤は1985年から全国規模で臨床研究が開始された。その成績は第35回日本化学療法学会総会 (盛岡, 1987) において新薬シンポジウムとして発表され, その有用性が高く評価された。
    以下に, その後の臨床成績も含め, LFLXの概要を示す。
  • 目黒 英典, 森 淳夫, 藤井 良知, 寺嶋 周
    1991 年 44 巻 10 号 p. 1061-1068
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児におけるCefdinir (CFDN, FK482) 10%細粒の臨床的検討を行った。32例の小児感染症において1日6.4~19.8mg/kg (1回3.0~6.6mg/kg) 分2~3で治療し, 気道, 中耳, 尿路感染症及び皮膚感染症に対して94%の有効率であった。副作用としては軟便・下痢を12.5%に認めただけであった。体内動態は5%細粒と同様で, 6mg/kg食前空腹時投与でCmak0.81±0.38μg/ml, T1/22.31±0.77時間であつた。Staphylococcus aureusに対する抗菌力は既存の経ロセフェム系抗生剤の中で最も優れていた。以上のことからCFDN 10%細粒が各種感受性菌による小児感染症に有用であることが示唆された。
  • 新納 憲司, 中澤 進, 佐藤 肇
    1991 年 44 巻 10 号 p. 1069-1075
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児内服抗生剤Cefdinir (CFDN, FK482) 10%細粒を小児に使用して次の結果が得られた。
    1.小児の狸紅熱, 上, 下気道感染症, 伝染性膿痂疹等の21症例にCFDN細粒1日6.4~18mg/kg3分割投与を行った。
    2.臨床効果は著効13例, 有効7例, 判定不能1例で有効率100%と明らかな臨床効果を認めた。
    3.細菌学的効果は臨床分離株7菌種19株において菌消失率100%であった。
    4.副作用は全例に認められず, 臨床検査値異常は好酸球増多が1例に認められた。
  • 佐藤 吉壮, 岩田 敏, 秋田 博伸, 砂川 慶介
    1991 年 44 巻 10 号 p. 1076-1082
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefdinir (CFDN) 10%細粒の臨床的検討を行い以下の結果を得た。
    1.臨床的に効果判定をし得た23例中, 著効が11例, 有効8例で有効率は82.6%であった。
    2.細菌学的には, 起炎菌と思われた23株中19株が消失しており, 消失率は82.6%であった。
    3.副作用, 検査値異常としては, 下痢が25例中2例で8.0%みられ, GOT上昇2例, GPT上昇1例であつた。
    以上の結果から, CFDN10%細粒は5%細粒と同様に小児の感染症治療に対して有効性, 安全性の高い薬剤であると考えられた。
  • 藤田 昌宏
    1991 年 44 巻 10 号 p. 1083-1086
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児におけるCefdinir (CFDN, FK482) 5%細粒の吸収排泄を1例で検討したところ, 3.0mg/kg食後投与で血漿中濃度のTmaxは3時間, Cmaxは0.58μg/ml, 半減期は2.32時間, 投与後8時間までの尿中回収率は16.4%であった。
    小児急性感染症11例にCFDN8.8~20.0mg/kg/日を投与し, 著効7例, 有効2例, 無効2例の臨床効果を得た。細菌学的に検討した6例 (Staphylecoccus aureus2例, Streptococcus pneumoniae1例, Streptococcus pyogenes2例, Haemophilus influenzae 1例) のすべてで除菌効果を示した。臨床検査を行い得た5例を含め, すべての例において副作用は認められなかった。
  • 篠崎 立彦
    1991 年 44 巻 10 号 p. 1087-1095
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    急性熱性気道感染症患児30例に Cefdinir (CFDN, FK482) の5%細粒を4.9~21.1mg/kg/日で1日3回に分けて食後に投与した。又, 急性熱性気道感染症患児11例, 及び尿路感染症患児1例に CFDN の10%細粒を10.0~20.0mg/kg/日で同様に投与した。
    臨床効果は急性咽頭炎例24例中21例 (87.5%) が有効であった。急性扁桃炎の症例では13例中12例 (92.3%) で有効であった。肺炎4例では2例 (50.0%) が有効であった。尿路感染症の1例も有効であった。
    急性熱性気道感染症, 及び尿路感染症患児から34株の病原菌が分離された。Staphylococcus aureus分離株は CFDN 投与により12株中10株 (83.3%) が消失した。Streptococcus pyogenes分離株では6株全例が消失した。Streptococcus pneumoniae分離株1株はCFDNの投与により消失した。Haemophilus influenzae分離株では13株中6株 (46.2%) がCFDN投与によって消失した。Escherichia coli1株についても有効であつた。
    5mg/kg/日投与群と20mg/kg/日投与群とを比較すると, 20mg/kg/日投与群の方が肺炎の臨床効果, 及びH.influenzaeの細菌学的効果が5mg/kg/日投与群より優れていた。投与量依存の傾向がみられた。
  • 岩井 直一, 中村 はるひ, 種田 陽一, 宮津 光伸, 笠井 啓子, 渡辺 祐美
    1991 年 44 巻 10 号 p. 1096-1118
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用Cephem系抗生物質であるCefdinir (CFDN, FK482) の5%力価細粒について, 小児科領域における臨床評価を行った。
    1.対象は1力月から13歳にわたる小児期感染症112例 (狸紅熱2例, 急性咽頭炎6例, 急性鼻咽頭炎6例, 急性化膿性扁桃腺炎52例, 急性気管支炎8例, 急性肺炎24例, 急性尿路感染症7例, 急性膣炎1例, 膿痂疹6例) で, 1回投与量は3.0~8.9mg/kg (平均5.1mg/kg), 1日投与回数は3回, 投与日数は3~14日間 (平均6.7口問), 総投与量は0.6~4.05gであった。なお, 臨床効果については111例, 安全性については全例が評価の対象となった。
    2.臨床効果の評価対象となった111例における臨床効果は, 著効51例, 有効57例, やや有効3例で, 著効と有効を含めた有効率は97.3%と極めて高かった。又, 疾患別には, 狸紅熱, 急性咽頭炎, 急性化膿性扁桃腺炎, 急性気管支炎, 急性膣炎, 膿痂疹の有効率はいずれも100.0%, 急性鼻咽頭炎, 急性肺炎, 急性尿路感染症ではそれぞれ83.3%, 95.7%, 85.7%で, 疾患の区別なく一様に高かった。
    3.原因菌判明例79例における分離菌別の臨床効果は, 単独菌感染例71例ではグラム陽性菌のStaphylococcus aureus, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, A群及びB群以外のβ-Streptococcusの有効率はいずれも100.0%, 又, グラム陰性菌のHaemophilus influenzae, Haemophilus parainfluenzae, Escherichia coliではそれぞれ89.5%, 100.0%, 100.0%で, 各菌種共に優れていた。なお, グラム陽性菌及びグラム陰性菌全体では各々100.0%, 90.3%の有効率であった。又, 複数菌感染例8例については全例が有効以上で, 有効率は100.0%であった。
    4.原因菌判明例79例からの分離菌89菌株に対する細菌学的効果は, グラム陽性菌では菌株数の少なかつたS.pneumoniaeの消失率は25.0%と低かったが, S.aureus, S.pyogenes, β-Streptococcusではいずれも100.0%で, グラム陽性菌全体では94.1%と優れていた。又, グラム陰性菌では, E. coli, H. influenzae, H. parainfluenzaeの消失率はそれぞれ66.7%, 50.0%, 71.4%で, 全体では55.3%とグラム陽性菌に比べ低かった。なお, 菌交代は13例に認められ, 交代後の出現菌はすべてHaemophilus sp.であった。
    5.副作用については, 下痢が4例, 軟便が2例にみられたが, いずれも軽度であり, 投与を継続することが可能であった。なお, 1例の下痢症例では便色がレンガ色で, 特異であつた。又, 臨床検査値異常については, 1例に好酸球増多が認められただけで, 他の異常は認められなかった。更に, 服用性に関しては, 服用拒否, 困難を訴えた症例は全くなく, 従来の小児用製剤と変わらないと答えた者が圧倒的に多かった。
    以上の成績から, 本剤は小児期においても有効性並びに安全性の高い薬剤であると考えられた。
  • 岩井 直一, 中村 はるひ, 宮津 光伸, 渡辺 祐美
    1991 年 44 巻 10 号 p. 1119-1133
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用Cephem系抗生物質であるCefdinir (CFDN, FK482) の10%力価細粒について, 小児科領域における基礎的, 臨床的検討を行った。
    1.5~13歳の小児3例において, すでに検討した5%力価細粒と10%力価細粒をそれぞれ3mg/kg (力価) 空腹時に投与した際の血漿中濃度と尿中排泄をCrossover法で検討し, 両製剤のBioavailabilityの同等性について検討した。
    両製剤の平均血漿中濃度推移は, 5%細粒では投与後3時間の1.05±0.29μg/ml (平均± 標準誤差) がピークで, 以後1.48±0.09時間の半減期をもって漸減し, 8時間後では0.12±0.05μg/mlであった。一方, 10%細粒では投与後2時間の1.32±0.12μg/mlがピークで, 以後1.68±0.28時間の半減期で漸減, 8時間後では0.20±0.11μg/mlであつた。又, 投与後8時間までの尿中回収率については前者, 後者で各々平均19.64±5.69%, 23.37±2.36%であった。
    両製剤を比較すると, 各々の症例でみても平均値でみても, 10%細粒の方が若干高い血漿中濃度推移を示し, 又, 尿中回収率においても若干高い傾向にあつたが, 有意差検定では濃度時間曲線下面積を含めて有意差は全く認められなかった。
    2.1歳から13歳にわたる小児期感染症33例に10%細粒を投与し, その際の臨床効果, 細菌学的効果, 副作用などについて検討を行った。
    細菌の関与が全くないと考えられた2例を除く31例に対する臨床効果は, 狸紅熱3例, 急性咽頭炎3例, 膿痂疹3例はいずれもすべて著効, 急性化膿性扁桃腺炎15例は著効12例, 有効3例, 急性肺炎7例は著効4例, 有効3例で, 全例において有効以上の成績が得られた。又, 原因菌と推定された細菌に対する細菌学的効果については, Staphylococcus aureus4株, Streptococcus agalactiae 1株はすべて消失, Streptococcus pyogenes 10株は消失9株, 減少1株, Haemophilus influenzae 7株は消失4株, 存続1株, 不明2株で, 不明を除く全株でみた除菌率は90.0%であった。なお, 菌交代は5例において認められ, 交代後の出現菌はすべてHaemophilus sp.であった。
    副作用は4例に軽度から中等度の下痢が認められただけで, 他の異常は認められず, 又, 投与前後における臨床検査値異常についても全く認められなかった。更に, 服用性については, 服用を嫌った症例が1例認められただけで, 他の症例では問題が全くなかった。
    以上の成績から, CFDNの10%細粒はすでに検討を行つた5%細粒と同様, 小児期感染症に対し高い有効性が得られ, しかも安全に投与できる薬剤であると考えられた。
  • 久野 邦義, 小川 昭正, 竹内 秀俊, 冨田 和江, 鬼頭 修, 安藤 秀男, 瀧本 洋一
    1991 年 44 巻 10 号 p. 1134-1141
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいセフェム系抗生物質であるCefdinir (CFDN) 10%細粒の小児科領域感染症における臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1.CFDNを空腹時経口投与した際の血漿中濃度半減期は, 3mg/kg投与時1.77時間, 6mg/kg投与時平均1.47時間であつた。その際の投与後8時間までの尿中排泄率は3mg/kg投与時21.5%, 6mg/kg投与時平均16.4%であった。
    2.CFDNを猩紅熱1例, 咽頭扁桃炎1例, 急性気管支炎3例, 肺炎3例, 尿路感染症3例の計11例に投与した際の臨床的効果について検討し, 90.9%の有効率を得た。
    3.副作用としては1例に軟便が認あられた。投与前後の臨床検査成績には異常は認められなかった。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 青木 繁幸, 高木 道生
    1991 年 44 巻 10 号 p. 1142-1157
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    経口用セフェム系抗生物質Cefdinir (CFDN) 5%及び10%細粒について, 小児科領域における基礎的並びに臨床的検討を行い, 下記の成績を得た。
    基礎的検討として, CFDNの血中濃度及び尿中排泄率をCFDN 5%細粒は2例, CFDN 10%細粒は3例, 更にCFDN 100mgカプセルを1例について測定した。CFDN 5%細粒を空腹時に3 mg/kg投与した場合, 濃度ピークは2例とも投与後4時間にあり平均0.76 μg/mlで, 半減期は平均1.77時間, 投与後12時間までの尿中排泄率は平均31.5%であつた。なお, CFDN 100mgカプセル (体重kg当り2.63mg) を投与した1例では, 濃度ピークは投与後2時間にあり0.91 μg/mlで, 半減期は1.08時間, 投与後12時間までの尿中排泄率は19.7%であつた。一方, CFDN 10%細粒を空腹時に3mg/kg投与した場合, 3例の濃度ピークはいずれも投与後2時間にあり平均0.73 μg/mlで, 半減期は平均1.62時間, 投与後8時間までの尿中排泄率は平均26.2%であつた。
    臨床的検討としてCFDN5%細粒は扁桃炎21例, 狸紅熱12例, 咽頭炎3例, 膿痂疹5例, 皮下膿瘍1例, 痛1例, 膀胱炎2例, 尿路感染症3例の計48例について行い, 臨床効果は著効30例, 有効18例で, 全例有効以上の成績であつた。CFDN10%細粒は扁桃炎6例, 肺炎3例, 狸紅熱4例, 膿痂疹2例, 尿路感染症1例の16例について行い, 著効8例, 有効7例, 無効1例であつた。又, CFDN5%細粒の細菌学的効果はStaphylococcus aureus 5株, Staphylococcus epidermidis 1株, Streptococcus pyogenes 15株, Streptococcus pneumoniae 8株, Haemophilus influenzae 9株, Enterobacter cloacae 1株, Escherichia coli 3株の計42株につき検討し, S. pneumoniae 2株と H. influenzae及びE. coliの各々1株の計4株が減少, S. pneumoniaeH. influenzaeの各々2株が不変であつたが, 他の菌株は消失した。なお, CFDN 10%細粒の細菌学的効果はS. aureus 3株, S. pyogenes 6株, S. pneumoniae 3株, H. influenzae 3株, E.coli 1株の計16株につき検討し, S. pyogenes 1株と H. influenzae 2株の計3株が減少, S.pneumoniae 2株とH. influenzae 1株の計3株が不変であつたが, 他の菌株は消失した。
    臨床症状・所見及び臨床検査値の異常については, CFDN 5%細粒では好酸球増多1例.GOT及びGPT上昇の1例, 下痢便を3例に認め, CFDN 10%細粒では好酸球増多1例, GOT, GPT及びAl-P上昇1例を認めたが, いずれも重篤なものではなく, 臨床的にも問題はなかつた。
  • 春田 恒和, 黒木 茂一, 大倉 完悦, 吉田 紀子, 小林 裕
    1991 年 44 巻 10 号 p. 1158-1167
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域におけるCefdinir (CFDN, FK482) の吸収排泄及び臨床使用成績を検討し, 以下の結論を得た。
    1. CFDN 5%細粒6mg/kgを4例に対して食後1時間に投与した時の血漿中最高濃度は4例の平均で4時間にあり0.99μg/mlで半減期は2.12時間であつた。3例における24時間までの尿中回収率は22.0%であつた。
    2. 5%細粒を15例に, 10%細粒を9例, 計24例に投与した。対象疾患は咽頭炎11例, 扁桃炎3例, 狸紅熱8例, 尿路感染症, サルモネラ腸炎各1例であつた。投与量は1日10mg/kg前後を分2又は分3であつた。臨床効果は著効16例, 有効7例, 判定不能1例で有効率は100%であつた。
    3. 検出された菌はStreptoceccus pyogenes 12株, Haemophilus influenzae 4株, Haemophilus parainfluenzae 5株, Escherichia coii, Salmonella各1株であつた。菌消失19株, 不変4株で消失率82.6%であつた。
    4. 副作用は1例もなく, 臨床検査値異常として一過性の白血球減少が1例認められただけであつた。
    5. 服薬拒否はなく, 好まれた症例が多かつた。
    6. 以上の成績から, 本剤は小児科領域において有用な新経口抗生物質と考えられた。
  • 藤井 良知, 吉岡 一, 藤田 晃三, 坂田 宏, 梯 仁志, 井関 憲一, 室野 晃一, 高橋 庸二, 我妻 義則, 福島 直樹, 高瀬 ...
    1991 年 44 巻 10 号 p. 1168-1191
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新経ロセフェム系抗生物質Cefdinir (FK482, CFDN) 細粒 (5%細粒, 10%細粒) の小児における体内動態及び小児細菌感染症に対する臨床検討を実施し, 以下の成績を得た。
    1.吸収排泄 (血中濃度, 尿中排泄)
    小児163例にCFDN細粒, 1回3mg/kg (以下投与量はすべて力価表示) 及び6mg/kg空腹時あるいは食後投与時の体内動態を検討した。
    CFDN3mg/kgを空腹時あるいは食後投与時のCmuはそれぞれ0.92±0.45μg/ml, 0.63±0.29μg/ml, T1/2は1.95±1.06時間, 2.26±0.65時間, CFDN6mg/kgを空腹時あるいは食後投与時のCmuはそれぞれ1.29±0.49μg/ml, 1.28±0.48μg/ml, T1/2は2.11±1.85時間, 2.01±0.84時間であり, 3mg/kgと6mg/kg投与間には用量相関がほぼ認あられた。0~8時間の尿中排泄は, 3mg/kg空腹時投与で20.5±8.8%, 食後投与で14.8±5.9%, 6mg/kg空腹時投与では16.5±6.7%, 食後投与では17.8±2.4%であった。
    2.臨床検討
    5%細粒投与群612例及び10%細粒投与群208例のうち有効性評価可能例は594例, 199例であった。
    1回投与量は3~6mg/kgを中心に1日3回投与され, 起炎菌検出例は5%細粒428例及び10%細粒159例で, 有効率はそれぞれ94.9%, 96.2%であった。一方, 菌が検出されなかった症例における有効率は89.3%, 95.0%であつた。又, 前薬無効例における有効率は, 5%細粒57例では91.2%, 10%細粒17例では全例有効以上であった。
    細菌学的効果の検討では, 5%細粒投与例から491株, 10%細粒投与例から175株が検出され, 消失率はそれぞれ82.1%, 84.0%であった。
    副作用は5%細粒608例中24例 (3.9%), 10%細粒206例中12例 (5.8%) に認められた。症状はすべて下痢, 軟便などの消化器症状で, 重篤なものはなかった。
    臨床検査値異常は5%細粒, 10%細粒とも好酸球増多, 血小板増多, GOT・GPT上昇などが認められたが, 従来のセフェム系抗生物質と同程度であり, 重篤なものはなかった。
    服用性面でも優れ, 服薬忌避例は認あられなかった。
    以上から, CFDN細粒は1回3~6mg/kg1日3回投与で小児適応感染症に有用な薬剤であることが示唆された。
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