The Japanese Journal of Antibiotics
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26 巻, 6 号
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  • 遠藤 浩一
    1973 年 26 巻 6 号 p. 501-503
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    制癌作用をもつ抗生物質の1っとして, Bleomycin (BLM) は特に扁平上皮癌に卓効があり, また, 各種細菌に対して抗菌作用をもつといわれている。今回, 著者は, 肺結核患者喀疾から分離された結核菌に対するBleomycinの試験管内抗菌力について検討したので, ここにその結果を報告する。
  • 須田 武雄, 吉田 艶子, 八耳 輝子, 中沢 昭三
    1973 年 26 巻 6 号 p. 504-511
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    化学療法の発展とともに, 避けることのできない問題として, 細菌の化学療法剤に対する耐性化の問題があり, 化学療法剤の作用機構の解明とともに, 種々な方面からの耐性機構の解明がおこなわれている。
    Benzyl penicillinの加水分解酵素の報告以来, 薬剤不活化酵素の研究の発展には目ざましいものがあり, 特にPenicillin耐性に関してPenicillin系およびCephalosporin系抗生物質がもつβ-Lactam ringを開環し, その抗菌力を消失させる。EC 3, 5, 2, 6, β-Lactamaseに関して, 酵素化学的な面から多くの報告がある。
    一方, Methicillin (DMP-PC), Oxacillin (MPI-PC), Cloxacillin (MCI-PC), Dicloxacillin (MDI-PC) などの合成ペニシリンは, ブドウ球菌の産生するPenicillinaseに安定であり, 耐性ブドウ球菌感染症に対する有効性がみとめられている。
    1964年, HAMILTON-MILLER, et al.1, 2) は, ブドウ球菌の産生するPenicillinaseを用いて, DMP-PCやMPIPC, MCI-PCがPenicillin G (PCく葺) およびAmpicillin (AB-PC) の分解を阻害しないが, Bacillus cereus, B.licheniformisの産出するPenicillinaseに対して, DMP-PC, MPI-PC, MCI-PCがPC-GおよびAB-PCの分解を拮抗的に阻害すると報告している。また, グラム陰性菌の産出するPenicillinaseについて, 1964年HAMILTON, et al.1), 1964年SUTHERLAND, et al.3) は, Escherichia coli, Klebsiella aerogenes, Proteus morganii, P.vulgaris, Enterobacter aerogenesの産生するPenicillinaseを用いて実験し, PC-G, AB-PC, Cephaloridineの分解がDMP-PCやMPI-PCによって阻害され, その阻害作用はDMP-PCのほうがMPI-PCにくらべ強いことを報告している。
    1966年ACRED, et al.4), 1969年峯5) らによつて, MCI-PCとAB-PCの併用効果が検討され, 併用によって抗菌スペクトラムが相補的に拡大され, 一部のAB-PC耐性のE.coli, P.vulgarisのある株に抗菌力が増強することをみとめている。
    今回, 私どもは, グラム陽性, 陰性菌に幅広く有効であるが, Penicillinaseに不安定で, ペニシリン耐性菌に無効なAmpicillinと, CloxacillinよりC1が1個多く, グラム陽性菌に有効で, Penicillinaseに安定なDicloxacillin (MDI-PC) を併用し, そのin vitro効果を検討し, 以下の成績を得た。
  • 須田 武雄, 八耳 輝子, 吉田 艶子, 中沢 昭三
    1973 年 26 巻 6 号 p. 512-518
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    広範囲な抗菌スペクトラムをもっAminobonzyl penicillin (AB-PC) のPonicillinase (PCase) による分解に対して, PCaseに安定な合成ペニシリンが阻害効果を示す事実は, 1962年にHAMILTON-MILLER, 1964年SUTHERLAND, 本邦では1969年に峯らによって既に報告されている1, 2, 3)。峯らは, AB-PCとMCI-PC (Methylchlorophenylisoxazolyl penicillin) との協力作用に関する研究で, in vitro実験においてEscherichia coli, Proteus vulgarisに特に協力作用をみとめ, AB-PC耐性大腸菌における実験で, MCI-PCを併用することで, AB-PCの分解が抑制され, AB-PCの殺菌作用が増強されること, in vivo実験においても, マウス実験的大腸菌感染症の治療実験で併用による良好な治療効果をみとめている。
    さてHetacillinは, 1964年Bristol研究所において開発された広範囲スペクトラムをもっAB-PC類似の合成ペニシリンで, 抗菌力などに関する細菌学的評価について, 教室の中沢らの報告がある4)。
    われわれは, 今回MCI-PCにくらべ抗菌力がやや優れたDicloxacillin (MDI-PC) をこのHetacillinと併用することによって, その併用効果および酵素化学的な意義について検討を加えた。
  • 国島 和夫, 今泉 宗久, 安江 万二
    1973 年 26 巻 6 号 p. 519-521
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    外科手術における術後感染症は, 外科医にとつて古くから重要な問題であつた。術後感染症には, 手術侵襲が直接加わる局所の感染症と, 間接に加わる肺, 尿路等の感染性合併症とがある。特に, 私ども胸部外科医は, 術後肺感染症には最大の関心をよせている。
    1927年FLEMINGによつて抗生物質のペニシリンが発見されてから, 化学療法はめざましく進歩し, 術後感染症は激滅した。しかし, 一方においては, 抗生物質耐性菌による術後感染症は重大な問題として残って来た。そのために, 数多くの抗生物質が開発され, 登場して来た。
    その1っであるジョサマィシンは, 放線菌Streptomyces narbonensis var. josamyceticusによつて産生されるマクロライド系抗生物質で, 現在内服剤として呼吸器感染症, 皮膚感染症等, 主としてグラム陽性菌感染症に広く臨床使用されている。これを静注用に開発されたものが, 静注用酒石酸ジョサマイシン (本剤と略す) である。
    本剤を山之内製薬から提供をうけ, 開胸手術患者に使用する機会を得て, 2, 3の知見を得たので報告する。
  • TATSUNORI SHIMIZU
    1973 年 26 巻 6 号 p. 522-526
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Basic studies were carried out on 3', 4'-dideoxykanamycin B (DKB), a new antibiotic derived from kanamycin B. DKB proved to be highly effective against Klebsiella pneumoniae, Salmonella, and Pseudomonas aeruginosa. DKB showed similar MICs against P. aeruginosa to those of gentamicin (GM). Serum level of DKB reached a peak (38.0 mcg/ml on average) 30 minutes following a single intramuscular injection of 20 mg/kg. Of the injected DKB 63.3% was recovered from the urine within 24 hours. The fact that high levels of DKB were detected in both serum and urine might suggest an excellent therapeutic effects in the treatment of systemic infections as well as urinary infections. The biliary excretion rate of DKB was only 1.22%.
  • 山作 房之輔, 貝沼 知男, 青木 正作, 関 剛, 伊藤 文弥
    1973 年 26 巻 6 号 p. 527-534
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    HI-56とよばれる本剤は, Ampicillin (Aminobenzyl penicillin;AB-PC) とDicloxacillin (MDI-PC) を2: 1に配合した合剤で, MDI-PCのPenicillinase阻害作用により, Penicillinase産生菌に対する抗菌力の劣るAB-PCの弱点を強化した薬剤である。
    私どもは, 本剤の提供をうけ, 肺炎を中心とする呼吸器感染症31例に使用し, 優れた成績を収めたので報告する。
  • 大石 正夫, 今井 正雄, 高橋 篁子, 本山 まり子, 田中 幹人
    1973 年 26 巻 6 号 p. 535-539
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clindamycin-2-palmitate (以下, CLDM-palm.) は, Clindamycin (7 (S) chloro-7-deoxylincomycin以下, CLDM) とPalmitic acidの水溶性エステルである。本剤はin vitroでは抗菌作用をもたないが, in vivoで加水分解されてCLDM baseとして抗菌力を発揮する。
    CLDMの抗菌スペクトルは, Lincomycin (以下, LCM) と同様に, グラム陽性球菌に作用するが, 抗菌力はLCMの2~4倍強力であり, 吸収, 排泄にもすぐれていることが知られている。
    CLDM-palm.は, ピンク色のチェリー・ミントの芳香味ある穎粒で, 60ml容量の瓶中に249含有しており, これに用時45mlの水を加えて全量60mlにしたとき, 1mlあたりCLDM base 15mg (力価) のシロップ剤となる。
    本シロップ剤の小児眼感染症に対する臨床応用として, 先に私共は基礎的ならびに臨床的検討を加えてその成績を報告している。それによれば, 本剤経ロ投与後の眼内移行は, CLDMと類似し, LCMより多少すぐれた移行がみられた。臨床応用としては, 1カ月から7才にわたる小児の急性結膜炎, 外麦粒腫, 内麦粒腫, 眼瞼膿瘍, 新生児涙嚢炎および全眼球炎の症例に, 1日10mg/kgの投与量で内服させて69%の有効率がえられている。
    今回は, 1日投与量を15~25mg/kgに増量して, さらに本剤の臨床効果を検討する機会をえたので, その成績を簡単に報告する。
    まず本剤の抗菌作用の実験成績から述べる。
  • 三辺 武右衛門, 村上 温子, 徐 慶一郎
    1973 年 26 巻 6 号 p. 540-544
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clindamycin-2-palmitate (以下CLDM-P) は, Cilndamycin (CLDM) の水溶性のエステルで, 試験管内では細菌に対して作用しないが, 体内では加水分解してCLDMとなって抗菌的に作用するといわれている。その化学構造式は, 図1のとおりである。本剤は毒性がなく, 1ml中にCLDM 15mg相当を含有している。
    われわれは, 本剤を小児における耳鼻咽喉科感染症の治療に応用し, みるべき成績をおさめたので, その概要について報告したいと思う。
  • 特に比較試験を中心として
    藤井 良知, 紺野 昌俊, 生方 公子, 佐久間 昭
    1973 年 26 巻 6 号 p. 545-561
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clindamycin palmitate (以下CLDM-Pと略す) の小児科領域における基礎的, 臨床的検討をおこなったので報告する。
    Clindamycill palmitateの化学名は, 7 (S)-Chloro-7-dooxylincomycin-2-palmitate・HC1で, 小児用シロップ剤としてっくられたもので, 製品としては, 45mlの蒸留水で溶くと, 全量60mlとなり, その5ml中にClindamycin baseとして75mgが含有されるようになっている。実際に溶かして, 服用してみると, イチゴ様の芳香をもつた, 服用した後で, 多少の苦味の残るピンク色のシロップである。以下, 基礎的検討および臨床的検討に項を分けて述べて行きたい。
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