The Japanese Journal of Antibiotics
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33 巻, 3 号
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  • 川嶌 真人
    1980 年 33 巻 3 号 p. 249-252
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    化膿性骨髄炎は, 化学療法の進歩した今日にあつても, その治療の困難性は, 日常臨床の上でもしばしば整形外科医を悩ます疾患である。骨髄炎φ治療や予防に, いく種類もの抗生物質が使用されているはずであるが, 骨髄内移行濃度までしらべた研究は意外と少ないのが現況である。
    骨, 関節感染症を治療するにあたつて・抗生物質がMICを十分上まわる濃度として病巣局所に移行しているかどうかを知ることは, 重要な問題である6抗生物質の種類, 投与量を決定するにあたつて, 骨髄内への移行状態を観察することは大きな指標となるであろう
    1970年から1977年にかけて九州労災病院にて治療をおこなった骨, 関節感染症の症例で, 局所持続洗浄療法を受けたものは154例である。これらの症例の起炎菌のうち, Staphylococus aureus は49.5%を占め, 今なお首位であることに変わりはない1)。
    近年, Cephalosporin系の抗生物質の発達はめざましいものがあり, 中でもCefazolin (以下CEZ) は, Staphylococus aureus の感受性がよく, 最も広く使用されている抗生物質のひとっである。
    CEZは, フジサワ中央研究所において開発されたCephalosporin C系誘導体で, Cepkolosporiumcrmonium が産生するCephalosporin Cから得られる7-Aminocephalosporanic acidを母核とした抗生物質である。
    CEZは, 広範囲の抗菌スペクトルをもつており, 緑膿菌および一部の変形菌を除く多くのグラム陽性・陰性の球菌, 桿菌に抗菌力を示す。特にグラム陰性桿菌に対しては, 強い抗菌活性をもつていることで知られている。
    著者は, 日常の骨関節手術前に感染予防のためにCEZを筋注し, 術直前に静脈血, 骨髄血を採取することによつて, CEZの骨髄内移行濃度を測定してみたので報告する。
  • 長場 雅男
    1980 年 33 巻 3 号 p. 253-255
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxil (以下CDX) は, 米国ブリストル社で開発された経口用Cephalosporin剤で, Fig. 1に示すとおり, 化学構造上Cephalexin (以下CEX) に類似しており, 7位置換基のフェニル核のパラ位に水酸基をもつている点が異なつている。
    本剤は, グラム陽性, 陰性菌に抗菌スペクトラムをもち, 抗菌力はCEXとほぼ等しいが, Streptococcus pyogenes, Streptececcus pneumoniaeに対しては, CEXより優れた抗菌力をもつている。内服時の吸収がよく, 血中半減期がCEXより長いことが特長である1~3)。
    今回, CDXを耳鼻咽喉科領域の感染症に使用し, 検討したので, その成績を報告する。
  • ハムスターにおける急性障害
    平野 伸一, 堀 千之, 須永 俊明
    1980 年 33 巻 3 号 p. 256-267
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    AdriamycinおよびDaunomycin等のAnthracycline系抗生物質は, 臨床的に各種の固型癌, 白血病およびリンパ肉腫等に有効な制癌剤であるがジその副作用として, 心臓毒性および骨髄抑制作用がみとめられるので, 使用にさいし十分な注意が必要であるといわれている1~5)。
    Aclacinomycin Aは, Streptomyces galilaeus MA144-M1の培養液中から分離精製された新規なAnthracycline系抗生物質であり, Fig.1に示す化学構造をもつ薬剤である6~7)。
    Anthracycline系抗生物質の心臓に与える影響は, ゴールデン・ハムスターに対して静脈内1回投与後に生ずる心電図上の変化で比較的容易に知り得ることが報告されている7)。Aclacinomycin Aが心筋微細構造に与える影響については, すでに須永等によつて報告された8)。
    今回, ハムスターを用いた静脈内1回投与による急性実験で, 心電図学的および電子顕微鏡による病理組織学的な点からAclacinomycin AとAdriamycinの心臓機能に与える影響を検討したので, その結果を報告する。
  • Aclacinomycin Aの心臓毒性作用に関する研究
    平野 伸一, 刀根 弘, 須永 俊明
    1980 年 33 巻 3 号 p. 268-280
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Adacinomycin Aは, Streptomyces galilaeus MA144-M1の培養液中から分離精製された新らしぃAnthracycline系抗生物質である1, 2)。著者らは, すでにAdacinomycin Aの心臓毒性作用について, ハムスターを用いた急性障害を検討し, この薬物の軽微な心臓毒性作用について報告した3)。この薬剤の亜急性心臓毒性については, 須永らによつて心筋の微細構造に与える障害が報告されている4)。
    今回, ハムスターを用い, 15日間腹腔内投与および15同間休薬実験をおこなつて, Aclacinomycin Aの心臓機能に与える影響をAdriamycinと比較して心電図学および病理組織学的に検討したので, 報告する。
  • ラットにおける亜急性障害
    有路 文雄, 志田 国治, 今野 淳, 平野 伸一, 堀 千之
    1980 年 33 巻 3 号 p. 281-293
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aclacinomycim Aは, Streptomyces galilaeus MA144-M1の培養液中から分離精製された新らしv・Anthracyclime系抗生物質である1~8)。Amthracydime系抗生物質としては, AdriamycimやDaunomycimがすでに市販されているが, 副作用として骨髄抑制作用および重篤な心臓毒性作用が報告されている4-8)。また, 最近の研究では, Anthracyclime系抗生物質で生じた心筋の形態変化は, 動物においても同様におこることが示されている9~16)。
    Adacimomycin Aの心臓毒性作用については, ハムスターを用いた静脈内急性投与実験によつて17) Aclacimomycin Aは心臓毒性作用の少ない薬物であることが報告された。著者らは, 今回ZBINDEN et al.18) の方法に準じ, ラットを用いた亜急性投与実験で, その心臓毒性作用をAdriamycinと比較検討し, 知見を得たので報告する。
  • 白井 正孝, 大森 健太郎, 平野 伸一, 井口 博史, 堀 千之, 佐藤 博
    1980 年 33 巻 3 号 p. 294-319
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aclacinomycin A (以下ACMと賂す) は, Streptomyces galilaeus MA144-M1によつて生産されるAnthracyclinえ系抗腫瘍性抗生物質である二, 2)。本薬剤については, すでに急性毒性8), ラットにおける亜急性毒性4), 生体内動態5~7) および一般薬理作用8) 等が報告されている。
    本報では, ACMのラットを用いた慢性毒性試験と, 投薬終了後30日聞の休薬期間を設けた回復性試験をおこなったので, その結果を報告する
  • HARUO YAMAMOTO, KIRUKO MORIYAMA, HIDEAKI JINNOUCHI, KOKI YAGISHITA
    1980 年 33 巻 3 号 p. 320-328
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    We have been studying physiologically active substances produced by microorganisms which are isolated in our laboratory1).A grain named Aspergillus sp.No.Y-8980which was isolated frorn a soil sample collected at Yoron Island in Kagoshima Prefecture was identified with a Microorganisin classified in Aspergillus, terreus group2) on the taxonomic properties.A. physiologically active substance, produced by the strain was obtained as slightly yellow needle crystals.The substance was melted at127°C and showed [α] 20D-23.9°C, C7H8O4 (MW: 154.12).From various physico-chemical properties, the substance was identical to terreic acid (5, 6-epoxy-3-hydroxy-ptoluquinone) 8, 4).Moreover, it was found that the substance demonstrated effects on morphological degeneration in HeLa cells as well as inhibition and prolongation of survival.time in EHRLICH ascites carcinoma cells.No report on such anti-tumor effects as above with regards to terreic acid was presented previously This paper describes taxonomy of the producing strain;production, isolation, physico-chemical properties, chemical structure, biological properties and anti-tuinor effects on the substance.
  • 出口 浩一
    1980 年 33 巻 3 号 p. 329-332
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Pivmecillinamは, FRANTZ LUND1) らによつて合成された内服用の合成ペニシリンである。従来の内服用の合成ペニシリンの化学構造式は, 6位の側鎖がAcyl結合であるのに対して, 本剤はAmidino結合であるという特徴をもつており, その抗菌力は, グラム陰性桿菌に特に優れている3, 8)。Pivmecillinam (FL 1039) は, それ自体では抗菌活性をもたないが, 経口投与後, 腸管壁内の非特異的エステラーゼによつて加水分解を受け, Meillinam (FL 1060) となって抗菌作用を発揮する3)。本剤は, すでに尿路感染症に対して使用されているが2), 本剤はまた, 血中濃度のほぼ2.6~4倍程度の胆汁への移行濃度が確認されていて3, 4), 胆道系感染症に対する有用性が考えられる。そして, 基礎的臨床的検討も報告されている4)。そこで著者は, 患者採取の胆汁から高頻度に分離されるEscherichia coliKlebsiella Pneumoniaeを用いて, Mecillinam (FL1060, 以下MPCと略) の感受性 (MIC) を, Ampicillin (ABPC), Amoxicillin (AMPC), Cephalexin (CEX) と比較して測定したので, 以下報告する。
  • 岩井 直一, 佐々木 明, 宮津 光伸, 大須賀 民子
    1980 年 33 巻 3 号 p. 333-351
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 合成ペニシリン剤やセファロスポリン剤の多用に伴なつて, それらの薬剤に自然耐性であるか, 耐性を獲得したグラム陰性桿菌による感染症の増加が問題となつている。小児科領域でも, 抗癌剤, 免疫抑制剤, ステロイド剤などの使用によつて, Host側に抵抗性の減弱のあるばあいの感染症, 一過性の免疫不全の状態にある未熟児, 新生児期の感染症, 尿路通過障害などがある尿路感染症に, その傾向がうかがえる。一方, 小児における感染症は, 経過が早いのが特徴であり, 細菌の分離, 同定, 感受性試験の結果のでる前に治療を始めることも多い。こういった小児としての感染症の特殊性とβ-Lactam系抗生剤に抵抗性を示す細菌の増加から, アミノ配糖体系抗生剤が最初から選択されるばあいも多い。しかし, アミノ配糖体系抗生剤には, 腎障害, 第8脳神経障害などの副作用があり, その投与量, 投与期間にはおのずからきびしい制限がある。したがつて, 従来のものより抗菌力が強く, 副作用の少ないアミノ配糖体系抗生剤の開発は, 変貌しつつある感染症の治療に有用なものと考えられる。
    Sisomicinは, 米国シェリング社で発見され, 西ドイツ・バイエル社と共同開発された新らしv・アミノ配糖体系抗生剤で, Micromnonospora inyoensisから産生されたものである1, 2)。各種のグラム陰性桿菌やStaphylococcusaureusに対して強い殺菌的効果をもち, その抗菌力はGentamicinと同等, またはそれ以上といわれている3, 4)。吸収, 排泄, 代謝および毒性の種類は, 他のアミノ配糖体系抗生剤と同様であるが, 腎毒性についてはGentamicinと同等, またはやや軽度であり, 聴器毒性についてはGentamicinよりも軽度であるといわれている4)。
    今回, 我々は本剤の抗菌力, 吸排, 臨床使用における検討を小児科領域でおこなつたので, その成績を報告する。
  • 笹川 力
    1980 年 33 巻 3 号 p. 352-357
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    各種感染症に万有製薬株式会社提供の抗生剤cefadroxil (BL-S578) 糞使用したので, その成績を報告する。
  • 曽和 健次
    1980 年 33 巻 3 号 p. 358-360
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 細菌感染症の起炎菌の変遷につれて, グラム陰性菌および抗生剤耐性菌に強力, かつ有効に作用する薬剤の開発がすすめられている。その中でも, 有効血中濃度を高く維持できるようにとの目的で, 今回Cefadroxil (BL-S578) の臨床的効果を検討したので報告する。
  • 井沢 明
    1980 年 33 巻 3 号 p. 361-366
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxilは, 米国デリストル社研究所において, 新らたに開発された経ロ用半合成セファロスボリン剤である。その抗菌スペクトラムは, Cephalexino CEX) と同様, グラム陽性および陰性菌に幅広く作用し, 抗菌力はCEXと抵ぽ同等といわれている1)。化学構造的には, Fig.1に示すように, CEXのベンゼン核のパラ位に水酸基を導入したものである。本剤の特長としては, CEXよりも血清中濃度および尿中濃度が長時間持続することが報告されている2)。
    今回, われわれは, 泌尿器科領域における感染症にCefadroxilを使用する機会をえたので, その成績を報告する
  • 児玉 光人, 藤井 元広, 林 睦雄
    1980 年 33 巻 3 号 p. 367-370
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxilは, 米国ブリストル社で開発された新らしい経口用Cephalosporin系抗生物質である。本剤は, Fig.1のような構造をもち, 従来の抗生物質であるCephalexinに水酸基を結合させたものであるが, 血中濃度の維持, β-Lactamaseに対する安定性など, Cephalexinと比較して優れた面があるといわれている1, 2)。また, Cephalexin, Cefradinoなどと同様, グラム陽性, 陰性菌に対して広範囲の抗菌スペクトラムをもつている3)。今回われわれは, 尿路感染症, とくに急性単純性膀胱炎に限定してその臨床効果および副作用について検討したので, 報告する。
  • 生垣 舜二, 西尾 彰, 大野 一典, 熊本 悦明, 寺田 雅生
    1980 年 33 巻 3 号 p. 371-374
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadmxilは, 米国ブリストル社で開発された新らしい・経ロセファロスポリン製剤で, 構造式は下の図のとおりである。
    基礎的な研究によつて, 本剤はCephalexinにくらべ, 血清濃度および尿中濃度は長く存続し, 体内で不活化されることが少なく, 投与された本剤の大半が活性型のままで, 尿中および胆汁へ, 高濃度に排泄される1).
    抗菌力に関しても, Cephalexinと同程度か, やや優れているとする報告があり2), 尿路感染症の治療に有効であろうと考えられたので, 今回, このCefadroxilを単純性および複雑性尿路感染症例に投与し, 非常に良好な結果が得られたので, 報告する。
  • Cefazolinを対象とする二重盲検比較試験
    今野 淳, 大泉 耕太郎, 斉藤 玲, 長浜 文雄, 平賀 洋明, 松本 慶蔵, 渡辺 彰, 阿部 政次, 鎌田 覚, 栗原 春仁, 大西 ...
    1980 年 33 巻 3 号 p. 375-409
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefamandole (以下CMD) は, 1972年Eli Lilly社によつて創製された新らしい・注射用Cephalosporin系誘導体で (Fig・1) ・グラム陰性菌に抗菌力が強く, Proteus, EnterobacterおよびCitrobacterまで抗菌スベクトラムの範囲内に収め・また・Haemophilus influenzaeに対しては, ABPCに匹敵する抗菌力をもつ。さらに, β一Lactamaseに対しても安定であり, 既存のCephalosporin系抗生物質にくらべて, すぐれた点をもつとされてい・る1~5)。
    ヒトの静脈内に投与したばあい・の血中半減期は, 30分強と比較的短く, 尿中への排泄は速やかで, 投与量の65~85%が8時間以内に回収される7御8)。
    本薬に関して・本邦においてもすでに多くの研究がおこなわれ, 昭和53年度の第26回日本化学療法学会総会において, 基礎的ならびに臨床的検討による評価がおこなわれた10)。
    今回著者らは, 本剤CMDの細菌性肺炎・肺化膿症 (以下肺炎群) および慢性気道感染症の急性増悪期 (以下慢気群) に対する臨床上の有用性, すなわち治療効果と安全性を, 現在本症に最も繁用されているCefazolin (以下CEZ) を対照薬として比較評価するため, 二重盲検法による比較試験をおこなつたので, 報告する
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