2006年3月から9月の期間に, 関東周辺の医療機関における感染症患者から分離した新鮮臨床分離株に対する各種抗菌薬の抗菌力について検討した。検討菌株は好気性グラム陽性球菌420株, 好気性グラム陰性桿菌および球菌520株, 嫌気性グラム陽性球菌30株, 嫌気性グラム陰性桿菌60株, 合計1030株を用いた。
Streptococcus pneumoniaeおよび
Haemophilus influenzaeは小児由来株と成人由来株に区分して検討した。試験薬剤はpanipenem (PAPM), imipenem (IPM), meropenem (MEPM), biapenem (BIPM), doripenem (DRPM), cefozopran (CZOP), cefepime (CFPM), sulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ) を用いた。
PAPM, IPMおよびDRPMはmethicillin-susceptible
Staphylococcusに対して抗菌力が強く, すべての菌の発育を≤0.06μg/mLで阻止した。またpenicillin-resistant
S.pneumoniaeを含む
Streptococcus属に対し, PAPMは検討したcarbapenem系薬のなかでもっとも抗菌力が強く, MIC rangeは≤0.06~0.12μg/mLであった。
Enterobacteriaceaeに対してはMEPMの抗菌力が強く, PAPMはIPMと同等の成績であった。Extended-spectmm β-lactamase産生株を含む
Escherichia coli, Klebsiella species,
Proteus speciesに対しては検討に用いたcephem系薬のMICは高値を示したが, carbapenem系薬のMICは低値であった。
H.influenzaeに対してはPAPMの抗菌活性はIPMと同等であった。
嫌気性菌に対してはすべてのcarbapenem系薬がほぼ同等の強い抗菌力を示した。
以上の結果から, PAPMは1993年に市販開始後, 13年以上を経過した時点においても強い抗菌力を有しており, 各種領域感染症の抗菌治療薬として有用性の高い薬剤と考えられた。
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