The Japanese Journal of Antibiotics
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41 巻, 2 号
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  • 藤田 晃三, 室野 晃一, 坂田 宏, 梯 仁志, 岡 敏明, 帰山 雅人, 吉岡 一, 丸山 静男, 早苗 信隆, 印鑰 史衛
    1988 年 41 巻 2 号 p. 117-127
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    低出生体重児15例を含む新生児・幼若乳児の27例にCeftriaxone (CTRX) を投与し, その臨床効果と副作用, 薬物動態, 及び腸内菌叢への影響を検討した。
    臨床投与成績と副作用は低出生体重児13例を含む22例について行つた。本剤の適応と考えられた敗血症5例, 敗血症疑い13例, 化膿性股関節炎1例の合計19例に対する投与成績は著効13例, 有効6例であった。副作用は合計22症例について検討したが, 臨床的には2例に下痢を認め, 検査成績で6例に好酸球増多, 1例に血小板増多, 1例ずつに血清GOT, GPT上昇を認めた。しかし, 薬剤を中止するには至らなかつた。
    生後3~5日目の初回投与の症例で, 10mg/kg投与した低出生体重児2例では投与後30分の血漿中濃度の値が48.4μg/mlと50.0μg/mlであり, 投与後6時間目の値は22.7μg/mlと23.4μg/mlであつた。20mg/kg投与した成熟児2例では投与後30分の値が42.2μg/mlと39.1μg/mlであり, 投与後6時間目の値は23.4μg/mlと26.6μg/mlであつた。生後12日目から50日目の連続投与の4症例では, 20mg/kg投与後30分で35.9~175.0μg/mlであり, 投与後6時間目の値は21.9~32.8μg/mlであった。血漿中半減期は6.6~16.8時間であったが, 生後日数がたつた症例でも長い半減期を認めた。
    7症例における尿中回収率では, バラツキがあるものの0~12時間における回収率は21.4~63.4%であつた。2例では0~24時間の回収率も測定したが, その値は27.8%と33.5%であつた。これらの症例の尿中濃度は最低で28.3~141.0μg/ml, 最高で156.4~469.0μg/mlであった。
    髄液中濃度を測定した成績では, 敗血症疑いの症例で本剤18mg/kg×2/日を開始後5日目投与後2時間における髄液中濃度は3.33μg/mlであつた。無菌性髄膜炎の症例で, 本剤20mg/kg×2/日を開始後6日目投与後3時間における髄液中濃度は6.07μg/mlであつた。
    3例の新生児。乳児に本剤を約20mg/kg×2/日を投与した時の糞便内菌叢の変動では, 投与中ビフィズス菌と腸内グラム陰性桿菌は検出されず, 連鎖球菌とブドウ球菌が残存してカンジダが増殖した。投与中の本剤の糞便中濃度は12~210μg/gであつた。投与中止後5日目には, ビフィズス菌と腸内グラム陰性桿菌が出現するが, ビフィズス菌が最優勢になるには投与中止後約2週間を要した。
  • 砂川 慶介, 佐藤 吉壮
    1988 年 41 巻 2 号 p. 128-132
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (CTRX) の新生児における基礎的検討を行い, 以下のような結果を得た。
    1. CTRX 20mg/kgをOne shot静注した場合, 十分に満足のいく血中濃度が得られた。
    しかし, 1日1回投与でもトラフ値は10~20μg/mlとなるため, 低出生体重児では蓄積傾向出現の可能性が考えられた。
    2. 髄液移行率は5.7%であつた。
    3. 静注後12時間までの尿中回収率は8.4%であつた。
  • 砂川 慶介, 石塚 祐吾, 斎藤 伸夫, 河合 直美, 秋田 博伸, 岩田 敏, 佐藤 吉壮
    1988 年 41 巻 2 号 p. 133-143
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (CTRX) のB群連鎖球菌に対する抗菌力, 新生児における臨床効果を検討し, 次の結果を得た。
    1. 妊婦腟由来のB群連鎖球菌55株に対する本剤のMICは全株0, 10μg/ml以下であつた。
    2. 8例に治療目的, 3例に予防目的, 1例で副作用検討の目的で本剤を投与したところいずれも有効以上の効果を示した。副作用として4例に下痢, 2例に嘔吐がみられた。臨床検査値の異常は好酸球増加, 血小板数増加が各1例にみられた。
    3. 9例で腸内細菌の検討を行つたところ, 他のいわゆる第3世代Cephem系抗生物質と同様影響が大きいとの結果を得た。
    4. 11例にVitamin K欠乏の有無を検討したところ3例にProthrombin time (PT) の延長, 2例に異常プロトロンビン (PIVKA II) 陽性がみられた。
    5. 7例にアデノシンニ燐酸 (ADP) による血小板凝集能を測定したが, 血小板機能への影響は少ないと考えられた。
  • 西村 忠史, 高島 俊夫, 田吹 和雄, 高木 道生
    1988 年 41 巻 2 号 p. 144-150
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児, 未熟児におけるCeftriaxone (CTRX) の体内動態及び臨床検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. CTRX 10mg/kg One shot静注を日齢4~13日の5例でみると, 最高血清中濃度は静注後30分にみられ平均34.1±11.4μg/mlであった。静注後6時間で平均16.6±4.3μg/ml, 12時間平均11.1±2.1μg/ml, 24時間平均4.7±1.9μg/mで, 半減期は11.6±1.4時間であった。
    2. CTRX 20mg/kg One shot静注時の最高血清中濃度は静注後30分にみられ, 日齢1~3日で平均64.6±15.4μg/ml, 日齢5日で平均44,6±1.1μg/mlであつた。6時間目ではそれぞれ20.6±2.7μg/ml, 23.1±0.5μg/ml, 12時間目でそれぞれ16.4±4.8μg/ml, 12.4±2.5μg/mlであつた。なお半減期はそれぞれ13.7±3.7時間, 10.2±1.3時間で, 日齢日数の若いほど半減期が延長した。
    3. 臨床検討は尿路感染症 (UTI) 1例に行い, 治療効果は著効であつた。副作用として異常な臨床症状, 所見は認められなかったが, 検査所見にGOTの一過性上昇を認めた。
  • 大倉 完悦, 山本 初実, 山岡 幸司, 久保 桂子, 光吉 出, 春田 恒和, 小林 裕
    1988 年 41 巻 2 号 p. 152-164
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児におけるCeftriaxone (CTRX) の血中, 髄液中濃度及び臨床使用成績を検討し, 以下の成績を得た。
    1. 本剤静注1時間後の血中濃度は, 約10mg/kg投与の2例で平均39μg/ml, 約20mg/kg投与の2例で平均70μg/ml, 52.6mg/kg投与の1例では208μg/mlと, 用量依存性が認められ, 24時間でも3.7~12.4μg/ml残存しており, これら5例の新生児での半減期は7.13~10.6時間であつた。なお, 生後53日の43.4mg/kg静注例では1時間値140μg/ml, 半減期3.68時間の値を得た。別の日齢0~5日の5例に17.3~20.0mg/kg静注36時間後の血中濃度は4.6~13.7μg/mlであった。
    2. Escherichia coli髄膜炎例で49.6mg/kg静注4時間後の髄液中濃度は治療開始翌日9.7μg/ml, 3, 4, 5日それぞれ23.6, 25.2, 31.0μg/mlと上昇, 以後漸減したが, 22日目の回復期でも5.8μg/mlの値が得られ, ピーク値では起炎菌に対するMICの1,000倍, 最低値でも100倍を遙かに超えていた。
    3. 13例の新生児, 3例の乳児に本剤1日11.0~39.5mg/kgを1回又は2回に分割静注した。治療に用いた10例, 11疾患 (敗血症1疾息, 肺炎4疾息, 尿路感染症4疾患, 胎児愚染症2疾患) ではすべて有効以上で, 起炎菌 (Streptococcus agalactiae1株, E. coli3株, Klebsiella pneumoniae2株, Citrobacter diversus1株) はすべて消失した。感染予防に使用した6例では, いずれも感染はおこらなかつた。他に新生児E. coli髄膜炎1例に49.6mg/kgを1日2回静注し, 著効を得た。
    4. 副作用は全くみられなかった。検査値異常として,軽度の好酸球増加を4例に認め, 1例は追跡できなかったが, 他の3例では次回の検査で正常化していた。
    5. 本剤の抗菌域, 抗菌力を考慮すると, 以上の成績は新生児期感染症に対する本剤の適性を示すものであり, 特に起炎菌判明前の選択剤として極めて有用と考えられた。
  • 由良 二郎, 神谷 保廣, 鶴賀 信篤, 成田 洋, 鈴木 達也
    1988 年 41 巻 2 号 p. 165-172
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftriaxone (CTRX) の小児外科領域における基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1. 新生児症例において, 20mg/kg, One shot静注により59.4~212.5μg/mlの血中濃度が得られ, T1/2は7.9~27.1時間であつた。連日投与例では投与前値 (12時間値) が35.9, 70.4μg/mlを示した。尿中回収率は17,0~54.7%であつた。
    2. 胆汁中移行に関しては, 先天性胆道閉鎖症 (CBA), 先天性胆管拡張症 (CBD) 術後症例では9例中2例に頂値10.2, 13.2μg/mlの値を得たが, 他はほぼ検出限界以下であつた。
    3. 臨床効果は有感染例3例はすべてに有効であり, 又, 感染予防効果は4例中4例に有効であつた。
    4. 本剤使用により臨床的, 血液生化学検査上, 副作用は認めなかつた。
    本剤は広域抗菌スペクトラムを有し, 小児外科領域において有用な薬剤であるが, 本剤の薬理学的特徴から投与量, 投与間隔には十分配慮する必要がある。
  • 相馬 彰, 早川 和彦, 浅川 竹仁, 石川 睦男, 牟禮 一秀, 山下 幸紀, 清水 哲也, 芳賀 宏光, 斉藤 聰史, 山崎 知文, 長 ...
    1988 年 41 巻 2 号 p. 173-179
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    広い抗菌スペクトラムを有し, 特にグラム陰性菌に対して強い抗菌力を示すセフェム系抗生物質Ceftriaxone (CTRX) について基礎的・臨床的検討を行つた。本剤1g点滴静注後の母体静脈血中濃度測定では従来のセフェム系抗生物質と比較し, 5.8時間と長い血中濃度半減期を示した。又, 臍帯血中移行では, 6時間後に臍帯血中濃度が15μg/mlと良好な成績を示した。一方, 臨床効果に関しては9症例のすべてが著効又は有効であり, 経口セフェム剤, ペニシリン剤, いわゆる第3世代セフェム剤無効例についても高い有効率を示した。
    以上の成績から, 強い抗菌活性と広い抗菌スペクトラム並びに優れたβ-Lactamase安定性を有する本剤1) が, 長い血中濃度半減期, 良寿な臍帯血中移行などの点からも周産期感染症, 子宮内胎児感染症に対し有効であることを示唆するものと考える。
  • 張 南薫, 福永 完吾, 國井 勝昭, 出口 浩一
    1988 年 41 巻 2 号 p. 180-195
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    周産期におけるCeftriaxone (CTRX) の臨床応用に関し, 基礎的並びに臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    CTRXと羊水の抗菌協力作用を検討し, Escherichia coliStreptococcus agatactiaeに対しては最小発育阻止濃度 (MIC) と最小殺菌濃度 (MBC) が接近して抗菌協力作用が認められ, 菌数増殖に対してはE. coliについては相乗的に, S. agalactiaeについては相加的抗菌協力作用が認められた。
    CTRXの妊婦投与後の吸収は速やかであり, 静注後短時間内に血中濃度はピークに連した。経胎盤的胎児移行は良好で1回1gの静注で主な感染起因菌に対するMIC値に達する臍帯血清中, 羊水中濃度が得られた。これらの成績から, CTRXは1回1g1日1~2回の静脈内投与で, 周産期感染症の治療又は予防が可能であることを認めた。
    周産期感染症の治療にCTRXの投与を行い, 臨床効果を認め, 副作用はなかった。
    CTRXを投与された母体から出産した新生児は諸検査に異常が認められなかつた。
    CTRXの母乳移行は少量で, 母乳を通じての新生児への移行は微量とみられる。
    以上の諸成績から, 周産期におけるCTRXの臨床的有用性が示唆された。
  • 舘野 政也
    1988 年 41 巻 2 号 p. 196-200
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1. Ceftriaxone (CTRX) の髄液移行は当然のことながら健常者では良好とは言えない。
    2. CTRXの胎盤通過性, 羊水移行は極めて良好で周産期感染に応用する価値があると考えられた。
    3. 臨床的に羊水感染, 産褥子宮内感染に対して極めて有効で4例中著効1例, 有効3例で, 有効率は100%であった。
    4. 臨床的に副作用, 臨床検査値の異常は1例も認められなかつた。
  • 山元 貴雄, 保田 仁介, 金尾 昌明, 岡田 弘二
    1988 年 41 巻 2 号 p. 201-209
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科周産期領域において, Ceftriaxone (CTRX) のPharmacokinetic及び臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1. CTRX 1g静注後の母体血清中, 臍帯血清中, 羊水中濃度を測定した。
    母体血清中濃度は投与直後100μg/ml以上の高値を示し, 以後緩徐に減少し, 12時間後で10 μg/ml前後, 20時間以後でも約4μg/mlの濃度を示した。血中濃度半減期は5.6時間である。
    臍帯血清中濃度は約10分後で約7μg/mlを示し, 以後12時間まで12~13μg/mlの濃度が持続し, 20時間以後でも5μg/ml前後を示した。
    羊水中濃度は臍帯血清中濃度よりやや低値を示し, 約10分後2μg/ml前後, 以後4~8μg/ml の濃度が持続した。
    2. 産婦人科周産期感染症9例にCTRX1g1日2回, 3~7日間静注投与した。
    臨床効果は著効2例, 有効7例, 全例有効以上と極めて満足すべき結果であつた。
    副作用及び臨床検査値異常は全例において認められなかつた。
    以上CTRXは産婦人科周産期領域において極めて有用性の高い薬剤であると判断した。
  • 高瀬 善次郎, 藤原 道久, 三好 敏裕, 中山 雅人, 河本 義之, 白藤 博子
    1988 年 41 巻 2 号 p. 210-215
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新Cephem系抗生物質であるCeftriaxone (CTRX) はグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し優れた抗菌力を有している。今回, CTRXの周産期妊産婦30例に対する検討を行い, 以下の結果を得た。
    1. CTRX 1g 1回投与時の母体血清中濃度は, 投与後20分及び25分で135μg/mlのピーク値に達した。
    2. CTRXの臍帯血清中及び羊水中への移行も良好であつた。臍帯血清中濃度及び羊水中濃度は, 母体血清中濃度のそれぞれ約20%, 約10%が移行していた。
    3. 母体及び新生児において, なんら副作用は認められなかつた。
    4. CTRXは周産期感染症に対し, 有用な抗生物質であると考えられる。
  • 平林 光司, 岡田 悦子
    1988 年 41 巻 2 号 p. 216-224
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたCephalosporin系抗生物質Ceftriaxone (CTRX) の周産期における基礎的, 臨床的検討により以下の結果を得た。
    1. 産婦29例にCTRX 1g One shot静注した場合, 羊水中には投与後6時間に4.5~19.5μg/ml, 24時間後でも4.5~4.7μg/ml, 臍帯血清中には投与後約6時間に11.7~22.7μg/ml, 24時間後でも4.5~4.7μg/mlと長時間, 高濃度が維持され, 他剤と比較し良好な移行性が示された。
    2.12例の褥婦にCTRX 1g One shot静注し, 乳汁中への移行を検討したが, 投与後10 時間まで平均値で0.32~0.79μg/mlとごく微量検出されたものの母乳を通じて乳児に影響を及ぼすことは少ないと考えられる。
    3. 周産期感染症例8例にてCTRXの臨床的効果を検討したところ, 著効2例, 有効5例, 無効1例, 有効率87.5%の成績が得られた。
    以上の成績から周産期におけるCTRXの有用性が認められた。
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