The Japanese Journal of Antibiotics
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41 巻, 12 号
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  • 清水 喜八郎
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1809-1821
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Flomoxef (FMOX, 6315-S) はLatamoxef (LMOX) に続いて塩野義製薬研究所で開発されたオキサセフェム系の注射用広域抗生物質である。
    いわゆる第3世代のβ-ラクタム系抗生物質は第1, 第2世代の抗生物質に比べて, グラム陰性菌に対する抗菌活性が非常に優れている反面, グラム陽性菌, 特に黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性が低い。 FMOX はグラム陰性菌に対する抗菌力を第3世代抗生物質なみに, グラム陽性菌に対する抗菌力は第1, 第2世代抗生物質より優れたものを目標に, オキサセフェム核の7位と3位の化学修飾が行われ, 又, 安全性の面からは, ジスルフィラム (アンタブース) 様作用と腎毒性のないことを指標に開発検討されたものである1~17)。
    その化学構造は図1のとおりであり, オキサセフェム骨格の7位側鎖にジフルオロメチルチオアセチル基を, 3位側鎖にはヒドロキシエチルテトラゾールチオメチル基を有する。
    FMOXはグラム陰性菌(緑膿菌を除く)及び嫌気性菌に広い抗菌スペクトルを示すだけでなくグラム陽性菌 (腸球菌を除く) にも強い抗菌作用を示すβ-ラクタム系抗生物質である。 特に, 一部のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) にも抗菌力を示し, 既存の各種セフェム系抗生物質に比べ, より強い抗菌力を有する。又, ほとんどのβ-ラクタマーゼに対しても安定で, β-ラクタマーゼ産生の耐性菌に優れた抗菌力を示す。
    本邦において, 昭和59年から全国規模の研究会を組織し, 基礎的・臨床的検討が開始され, その成績は第34回日本化学療法学会総会において新薬シンポジウムとして発表された18)。
    以下に, その後の臨床成績も含め, FMOXの概要を述べる。
  • 松田 静治, 岡田 弘二, 二宮 敬宇, 清水 哲也, 野田 克已, 出口 浩一
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1822-1840
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    注射用Oxacephem系抗生物質Flomoxef (略号FMOX, 治験 No.6315-S) について産婦人科感染症研究班を組織し, 産婦人科領域における基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1.子宮内容物及び骨盤死腔滲出液から得たグラム陽性球菌に対する本剤のMICは0.20μg/mlにPeakがあり, グラム陰性桿菌及び嫌気性菌にもLatamoxefと同等ないしはより良い成績であった。
    2.FMOX 1~2gを静注又は点滴静注した際の本剤の子宮及び子宮付属器組織への移行も良好で1g静注時の各組織のCmaxは22.3μg/gから44.6μg/gであった。 2g投与時にも明らかなDose responseを示した高い移行であった。 又, 骨盤死腔滲出液中濃度も良好で1g静注及び1g点滴静注時のTmaxは2.41時間及び2.36時問, Cmaxは19.0μg/ml及び16.1μg/mlであつた。
    3. 総投与例226例中, 評価可能例222例の各種産婦入科感染症に対する本剤の臨床効果は著効41例, 有効159例の90.1%の高率であった。
    細菌学的効果は評価可能例124例で86.3%の菌消失率であった。
    副作用及び臨床検査値異常は5例(2.2%)及び17例(7.5%)と少なく, いずれも軽度であった。
    以上の成績から, 本剤は産婦人科領域感染症にも有用な薬剤であると考えられた。
  • 高本 正祗, 原田 進, 原田 泰子, 北原 義也, 石橋 凡雄, 篠田 厚
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1841-1846
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症15例にSultamicillin (SBTPC) 細粒 (1包中にSultamiciilin tosilateをSultamicillinとして375mgを含有) を1回1包あて, 1日3回の投与を行い, 著効4例, 有効8例, やや有効1例, 無効2例で有効以上の有効率は80%であり, SBTPC錠と同等の臨床成績を得た。
    1例に細粒のため服用困難の訴えがみられたものの副作用及び本剤によると思われる臨床検査値の異常は全例に認められなかった。 小児や高齢者で錠剤が服用し難い症例には有用な薬剤と考えられた。
  • 目黒 英典, 有益 修, 比留間 藤昭, 杉江 信之, 西村 修一, 阿部 敏明, 藤井 良知, 益子 仁, 長尾 芳朗, 岡本 義明
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1847-1854
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    16例の小児細菌感染症にSultamicillin (SBTPC) 細粒を使用し, 有効率93.3%であつた。β-Lactamase非産生菌に対するSBTPC及びAmpicillin (ABPC) のMIC (106cells/ml) はほぼ同等で≤0.05~1.56μg/mlの範囲に分布したが, β-Lactamase高度産生菌に対するMICでは, SBTPCがABPCより2~4管優れた。
    副作用として16例中4例 (25%) に軽度の下痢又は軟便などを認めたが, 重篤な副作用はなかつた。
    体重1g当たり10mgを単回投与した時のABPC及びSulbactamの最高血中濃度はそれぞれ3.41μg)ml, 2.43μg/ml, 最高血中濃度到達時間は共に0.6時間, 血中濃度半減期 (β相) はそれぞれ1.79時間, 1.00時間であつた。
  • 佐藤 肇, 成田 章, 松本 貴美子, 中澤 進一, 鈴木 博之, 中西 好子, 新納 憲司, 中澤 進
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1855-1862
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域におけるSultamicillin (SBTPC) 細粒に関する一連の検討を行い, 以下の成績を収めることができた。
    1. SBTPC細粒5-15mg/kg内服後の血清中濃度のPeakはAmpicillin (ABPC), Sulbactam (SBT) 共に投与後1時間目にあつてABPCでは1.18~3.26μg/ml, SBTでは0.97~3.05μg/ml, 以後漸減し, 6時間目では測定不能, T1/2 (β) はABPCでは0.83-1.83時間, SBTでは0.94~1.71時間でABPC, SBTともDose responseがみられ, 両者の血清中濃度は1~6時間までほぼ類似の成績であった。
    2.本剤5~15mg/kg内服6時間までの尿中回収率はABPCでは33.9~64.8%, SBTでは38.1~76.6%であった。
    3.治療疾患6種類, 計14例でSBTPC細粒の1日投与量は30mg/kg前後が多く, 3回分割経口投与し, 著効11例, 有効3例と全症例に明らかな臨床効果を認めることができた (有効率100%)。
    4. 治療各種症例から分離された細菌は6種類, 計14株であり, 培養による菌消失率は85.7%であつた。 β-Lactamase陽性, ABPC耐性株分離症例でSBTPCによって著効の得られた症例を経験した。
    5. 副作用として下痢1例を認めたが, 臨床検査値の異常はなかった。
  • 佐藤 吉壮, 石川 和夫, 岩田 敏, 秋田 博伸, 砂川 慶介
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1863-1873
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sultamicillin (SBTPC) 細粒の臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1. 小児細菌感染症30例に対してSBTPC細粒を使用し, 著効24例, 有効5例と有効率は 96.7%と高い値を示した。
    2. 起因菌と思われる26株に対する細菌学的効果では, グラム陽性球菌14株での消失率は 91.7%, グラム陰性桿菌12株での消失率は66.7%であった。
    3. 副作用としては, 下痢が12.9%に, 軟便が16.1%に, 好酸球増加が3.2%に認められた。以上の結果から, 本薬剤は小児科領域において有効性の高い薬剤であると考えられる。
  • 中村 はるひ, 宮津 光伸, 笠井 啓子, 岩井 直一, 種田 陽一
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1874-1894
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域におけるSultamicillinの基礎的, 臨床的検討を行った。
    1. 吸収, 排泄
    5~15歳の小児11例に本剤10mg/kgを食前30分と食後30分に, 又, 8~15歳の小児6 例に10mg/kgと20mg/kgを食後30分に投与し, その際の血清中濃度と尿中排泄をCrossover 法にて検討した。
    10mg/kgを食前30分, 食後30分に投与した検討では, Ampicillin (ABPC) の平均血清中濃度推移は, 前者では1時間値の4.75±1.97μg/mlがピークで, その後0.81±0.18時間の半減期をもつて漸減し, 6時間値は0.06±0.07μg/mlであった。又, 後者においてもピークは1 時間にみられ, その値は2.95±0.79μg/mlで, 半減期は1.35±0.43時間, 6時間値は0.22± 0.13μg/mlであった。一方, 6時間までの尿中排泄は前者, 後者で各々平均54.5±17.6%, 63.2±14.3%であった。これらの成績から, 小児では, 食後投与において吸収が若干遅れる傾向にあり, 食事による影響が示唆された。
    次に, 10mg/kg, 20mg/kgを食後30分に投与した検討では, 前者におけるABPCの平均血清中濃度の1時間値は3.10±0.72μg/ml, 半減期は1.22±0.32時間, 6時間値は0.22±0.12μg/mlであり, 後者では各々6.46±1.57μg/ml, 1.48±0.51時間, 0.55±0.40μg/mlであった。
    又, 6時間までの尿中回収率は前者, 後者で各々平均50.4±10.2%, 57.7±11.4%であった。
    なお, 両者の血清中濃度推移には, 明らかなDose responseが認められた。
    なお, Sulbactamの血清中濃度推移はABPCに比べ若干低1値をとりながら, ABPCと同様の推移を示した。又, 尿中回収率については, ABPCとほぼ同等もしくは若干低い回収率であった。
    2. 臨床
    6カ月~11歳までの小児38例に本剤を投与し, 臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討した。
    臨床効果の判定対象となった急性咽頭炎1例, 急性化膿性扁桃炎8例, 急性肺炎22例, 急性化膿性中耳炎1例, 急性化膿性耳下腺炎1例, 膿痂疹1例, 計34例に対する臨床効果は, 著効 28例, 有効6例であり, 有効率は100.0%であった。なお, β-Lactamase産生菌による5症例に対しても, すべて有効以上の成績が得られた。
    又, 原因菌と推定されたStapkylococcus aureus2株 (β-Lactamase産生株), Streptococcus pyogenes3株, Streptococcus pneumoniae2株, β-Streptococcus2株, Haemopkilus influenzae9 株 (β-Lactamase産生株2株, 非産生株7株), Haemopkilus parainfuenzae1株 (β-Lactamase産生株) に対する細菌学的効果は, S. aureus1株 (β-Lactamase産生株) が減少, β-Streptococcus1株が存続, H. influenzae1株 (β-Lactamase非産生株) が減少であった以外はすべて消失であり, 全株でみた除菌率は84.2%であった。
    更に, 副作用は臨床上では下痢が1例, 臨床検査値異常としては好酸球増多が3例, 血小板増多が1例, GOT上昇が1例に認められただけであつた。
    以上の成績から, 本剤が小児期の感染症において, β-Lactamase産生菌に対しても非産生菌の場合と同様に優れた有効性が得られ, しかも安全性においても問題のない薬剤であることが確認された。
  • 石川 秀樹, 竹内 秀俊, 木村 宏, 早川 文雄, 山本 直樹, 中尾 吉邦, 久野 邦義
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1895-1905
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sultamicillin (SBTPC) 細粒の小児科領域における臨床効果並びに安全性について検討した。
    1. Haemophilus influenzae, Haemophilus parainfluenzae, Streptococcus pneumoniae, Streptococcus pyogenes, Staphylococcus aureus, Streptococcus agalactiae, Branhamella catarrhalis 及びEscherichia coliの臨床分離株に対するSBTPCの抗菌力をAmpicillin (ABPC) と比較した。SBTPCの抗菌力はβ-Lactamase産生H. influenzae, E coli, S. aureus及びB. catarrhalisに対してABPCに比べ特に優れていた。
    2. SBTPC細粒10mg/kg投与時の血中濃度及び尿中排泄について検討した。Sulbactam (SBT) 及びABPCの血中濃度半減期はそれぞれ, 1.33時間及び1.61時間であつた。投与後6時間までの尿中排泄率はSBT58.7%, ABPC49.6%であつた。
    3. SBTPC細粒を20例の小児患者 (肺炎8例, 気管支炎2例, 咽頭炎2例, 扁桃炎4例, 皮下膿瘍1例, 尿路感染症3例) に投与した。臨床効果は全例有効以上で, 有効率100%であり, 細菌学的消失率は75%であつた。
    4. 副作用は軟便1例であり, 臨床検査値異常は認められなかつた。以上のことから, SBTPC細粒は小児の細菌感染症に対して有用であると考えられる。
  • 井口 光正, 神谷 齊, 櫻井 實, 清水 信, 西 英明, 川口 寛, 吉住 完, 井上 正和, 小島 當三
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1906-1913
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sultamicillin (SBTPC) はSulbactam (SBT) とAmpicillin (ABPC) が1:1にエステル結合している。SBTは新しい半合成β-Lactamase阻害剤であるため, ABPCの抗菌スペクトルを拡げ, 耐性菌に対しても抗菌力を持たせる。
    SBTPC細粒を小児感染症患者26名に投与して, 23名について臨床効果を検討した。臨床的有効率は95.7%であり, 本剤は小児科領域の感染症に対して高い有効性を持つものと評価された。
    又, SBTPC細粒は安全で耐薬性もみられた。SBTPC細粒は小児科領域の感染症に対して有効な抗生物質である。
  • 伊藤 節子, 真弓 光文, 三河 春樹
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1914-1922
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ファイザー社で開発されたSulbactam (SBT) とAmpicillin (ABPC) とをエステル結合させた経口抗生剤Sultamicillin (SBTPC) 細粒の有効性と安全性について, 生後6カ月から10歳 4カ月の男児16例, 女児15例の計31例を対象として検討し, 次のような結論を得た。
    1. 本剤10mg/kgを食後1回経口投与した吸収, 排泄試験では, 血清中濃度のPeakは投与後1時間にあり, ABPCは3.94μg/ml, SBTは4.08μg/mlであつた。血中濃度半減期は ABPCが64.8分, SBTが63.6分, 尿中回収率は6時間でABPCが66.2%, SBTが60.4% であつた。
    2. 気管支炎1例, 気管支肺炎9例, 扁桃炎7例, 猩紅熱4例, 咽・喉頭炎1例, 中耳炎 1例, 化膿性耳下腺炎1例, 伝染性膿痂疹3例, 膿疱症1例, 頭部痴1例, 臀部膿瘍1例, 尿路感染症1例の計31例に対し, 本剤を1日投与量として, 26.1~31.6mg/kgを3~4回に分割して経口投与した。臨床効果は著効20例, 有効10例, 無効1例で, 有効率は96.8% であつた。
    3. 臨床的副作用として1例に下痢が認められたが, 検査値異常は認められなかつた。
    4. 本剤のβ-Lactamase高度産生株に対するMIC分布はStaphylococcus aureus 4株に対して1.56μg/ml2株, 3.13μg/ml1株, 12.5μg/ml1株, Escherichia coli及びKlebsiella pneumoniae各1株に対するMICはそれぞれ0.78μg/ml, 3.13μg/mlであつた。
    5. 本剤は小児科領域の細菌感染症に対して, 広い適用範囲を持っABPCの特性にSBTのβ-Lactamase阻害作用を合せ持つことにより優れた抗菌力を示し, しかも安全性も高く, 有用な薬剤であると考える。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 青木 繁幸, 高木 道生
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1923-1939
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sultamicillin (SBTPC) 細粒の小児科領域における基礎的並びに臨床的検討を行い, 下記の成績を得た。
    基礎的検討として, SBTPC細粒投与時のAmpicillin (ABPC), Sulbactam (SBT) の血清中濃度及び尿中排泄率を検討した。
    SBTPC 5mg/kg投与時の血清中濃度推移は2例で検討した。平均濃度ピークは投与後1時間にあり, ABPC平均1.91±1.34μg/ml, SBT平均2.06±1.06μg/ml, 半減期はABPC平均 0.80±0.10時間, SBT平均0.98±0.46μg/ml時間であつた。SBTPC 10mg/kg投与の3例では濃度ピークは投与後1時間にあり, ABPC平均2.43±0.68μg/ml, SBT2.96±0.77μg/ml で半減期はABPC平均1.57±0.57時間, SBT平均2.01±0.70時間であつた。SBTPC 15mg/kg投与の2例では, 濃度ピークは投与後30分にあり, ABPC平均6.55±1.63μg/ml, SBT平均6.00±1.00μg/mlで, 半減期はABPC平均0.90±0.13時間, SBT平均0.82± 0.16時間であつた。SBTPC 20mg/kg投与は1例で検討したが投与後1時間に濃度ピークがあり, ABPC 11.3μg/ml, SBT 8.64μg/mlで, 半減期はABPC 0.87時間, SBT 0.92時間であつた。尿中排泄率は投与後6時間までを検討し, SBTPC 5mg/kg, 10mg/kg, 15mg/kg投与時の平均尿中排泄率は各々ABPC/SBTでは38.4±2.7%/34.6±4.7%, 43.0±3.6%/41.6± 5.8%, 47.7±5.2%/51.6±3.5%, 20mg/kg投与では投与後8時間までに66.1%/59.2%であつた。
    臨床的検討は咽頭炎2例, 扁桃炎19例, 気管支炎2例, 肺炎1例, 猩紅熱1例, 伝染性膿痂疹3例, ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群2例, 尿路感染症4例の計34例について行い, 臨床効果は著効20例, 有効13例, 無効1例で, 有効以上の症例は34例中33例 (97.1%) であつた。又, 細菌学的効果はStaphylococcus aureus, Streptococcus pyogenes, Haemophilus influenzaeなど34株が検出され, うち26株が消失, 4株が減少, 3株が不変で, 1株は不明であつた。なお, β-Lactamase高度産生株はS. aureus 6株, H. influenzae 3株, Klebsiella pneumoniae及びCitrobacter diversus各々1株にみられ, H. influenzae以外は全株消失した。臨床症状及び検査値の異常については軟便をきたしたもの3例, 好酸球増多をきたしたもの1例で重篤なものはなかつた。
  • 岡崎 仁志, 北村 直行, 平林 洋一, 東野 博彦, 小林 陽之助
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1940-1946
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域におけるSultamicillin細粒の体内動態, 臨床的効果を検討した。
    1. 血清中濃度において, 5mg/kg投与では2時間後にピークを示し, Ampicillin (ABPC) 0.85μg/ml, Sulbactam (SBT) 0.38μg/mlでその半減期は4.07時間及び3.45時間であつた。10mg/kg投与では1.5時間後にピークを示し, 3.74μg/ml, 3.79μg/mlでその半減期はいずれも0.84時間であつた。
    2. 尿中濃度はABPC, SBTとも投与量に関係なく2~4時間に最高濃度を示し, 投与後6 時間までの尿中排泄率はABPCで43.5~58.1%, SBTで33.6~53.6%であつた。
    3. 細菌学的効果は起炎菌と判定された9株中効果判定不明1株を除いた8株でその消失率は62.5%であつた。又, 1株ではあるがABPC耐性株についても菌の消失をみた。
    4.20症例での臨床効果は有効以上18例で, 有効率90.0%であつた。
    5. 副作用は下痢2例, 軟便1例に認められたがいずれも軽度で, 継続投与可能であつた。臨床検査値の異常変動を示したものは1例で好酸球増多が認められた。
  • 春田 恒和, 黒木 茂一, 山本 初実, 大倉 完悦, 筒井 孟, 小林 裕
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1947-1953
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児細菌感染症18例にSultamicillin細粒1回7.3~10mg/kgを1日3~4回経口投与し, 以下の成績を得た。
    1. 扁桃炎16例では著効13例, 有効2例, やや有効1例, 気管支炎, 肺炎各1例ではいずれも有効で, 計18例での有効率は94.4%であつた。
    2. 細菌学的効果は, Staphylococcus aureus 5株中4株消失, 1株不変, Haemophilus influenzae 7株中3株消失, 1株減少, 3株不変, Streptococcus pyogenes 2株とHaemophilus parainfluenzae 3株はすべて消失し, 計17株での消失率は70.6%であつた。この中にはβ-Lactamase産生株が4株, その疑いのあるものが3株含まれ, うち5株は消失した。
    3. 副作用として, 下痢, 軟便を各2例に認め, 下痢は本剤と関連ありと考えられた。臨床検査値異常としては, 1例に軽度のGOT上昇をみただけであつた。
    4. 本剤の味と匂いは小児に受入れられやすいものと考えられた。
  • 岡田 要, 川上 浩一郎, 武田 英二
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1954-1958
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ampicillinとβ-Lactamase阻害剤であるSulbactamをエステル結合したSultamicillin細粒を小児の感染症19例に使用し, 臨床的検討を行つた。
    対象は11カ月から13歳までの男児9例, 女児10例で, 投与量は15.4~40.8mg/kg/日, 投与期間は3~12日間であつた。
    臨床効果は著効2例, 有効13例, やや有効3例, 不明1例で, 有効率は83.3%であつた。
    副作用として軟便, 下痢が各々1例みられたが, 対症療法あるいは服薬中止により速やかに消失した。本剤投与による検査成績異常は認められなかつた。
  • 関口 隆憲, 宮崎 雅仁, 西森 緑, 幸山 洋子, 大原 克明, 岡本 喬
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1959-1964
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sultamicillin (SBTPC) を急性咽頭炎4例, 急性扁桃炎5例, 急性気管支炎, 尿路感染症各 2例, 急性肺炎, 頸部化膿性リンパ節炎各1例, 計15例に使用した。
    臨床効果は全例有効以上であつた。細菌学的効果では起炎菌は全例消失した。
    副作用については1例に軟便がみられた。
    以上の成績から, SBTPC細粒は各種の小児感染症に対し有用な薬剤と考えられた。
  • 石川 純一, 貴田 嘉一, 松田 博, 村瀬 光春
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1965-1971
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sultamicillin tosilate (SBTPC) 細粒の小児科領域における有効性と安全性を明らかにする目的で17名の小児で体内動態, 臨床的有効性, 細菌学的有効性及び副作用について検討し以下の結果を得た。
    1. SBTPC細粒 (10mg/kg) を経口投与した時のAmpicillin (ABPC) の半減期(T 1/2)は1.38±0.14時間, SulbactamのT 1/2は0.93±0.26時間であつた。
    2. 扁桃炎7例, 咽頭炎2例, 気管支炎2例, 膀胱炎1例, 猩紅熱1例, 蜂窩織炎1例の計14例でSBTPC細粒24.4~42.6mg/kg/日の経口投与による臨床的有効率は100% (14例/14例)であつた。
    3. 起因菌の同定された5症例 (staphylococcus aureus3株, staphylococcus pyogenes1株, Escherchia coli1株, Proteus mirabilis1株) における細菌消失率は100% (6株/6株) であつた。SBTPCはABPC耐性S. aureus2株に対して抗菌力を示し, Cephalexin, Cefaclorの抗菌力と同等以上であつた。
    4. 2症例で好酸球増多が認められた以外には副作用は認められなかった。
    以上の結果から, SBTPC細粒は小児科領域の細菌感染症に対して有効且つ安全な第1選択薬剤になり得るものと考えられた。
  • 森田 英雄, 久川 浩章, 岡田 泰助, 川久保 敬一, 久保田 晴郎, 浜田 文彦, 友田 隆士, 荒木 久美子, 利根 洋一, 脇口 宏 ...
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1973-1979
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域におけるSultamicillin (SBTPC) 細粒の体内動態及び臨床的検討を行い, 下記の成績を得た。
    1. SBTPC細粒5.0mg/kg (力価) の1回投与時の血清中濃度のピークはAmpicillin, Sulbactamとも投与後1時間後に認め, それぞれのピーク値は1.92μg/ml, 1.85μg/mlであり, 半減期は1.04時間, 0.76時間であつた。投与後0~2, 2~4, 4~6時間の排泄率はABPCでは8.8, 20.4, 5.5%, SBTでは7.7, 16.4, 4.4%であり, ABPC, SBTはほぼ平行に増減した。
    2. 臨床成績検討は扁桃炎4例, 咽頭炎5例, 気管支炎2例, 膀胱炎2例, 尿路感染症2例の計15例を対象に行つた。SBTPC細粒6.7~18.2mg/kg, 1日3~4回投与にて5~10日間投与し著効6例, 有効9例と有効率100%の成績を得た。
    3. 副作用症状は下痢を1例で認めた。臨床検査所見では本剤によると考えられる異常変動は認められなかつた。
    以上の成績から, SBTPC細粒は小児科領域における細菌感染症治療に大いに期待される薬剤である。
  • 本廣 孝, 阪田 保隆, 荒巻 雅史, 織田 慶子, 川上 晃, 田中 耕一, 古賀 達彦, 藤本 保, 山下 文雄, 高城 信彦, 山田 ...
    1988 年 41 巻 12 号 p. 1980-2000
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sultamicillin (SBTPC) はAmpicillin (ABPC) とβ-Lactamase阻害剤のSulbactam (SBT) をエステル結合させTosyl塩とした薬剤で, 同一分子中にABPCとSBTを当量ずつ含有し, 本邦ではその経口錠剤が1987年7月から発売され, その後, 小児用製剤として細粒が開発された。
    そこで, 8歳5カ月から11歳5カ月の男児6例中各3例に本剤の細粒それぞれ10, 15mg/kgを食直後に経口投与し, 血漿中濃度, 尿中濃度及び回収率を測定した。又, 臨床効果の判定できなかった2例を除いた咽頭炎5例, 扁桃炎5例, 喉頭炎1例, 気管支炎1例, 肺炎8例, 猩紅熱1例, 腸チフス1例, 膿痂疹16例, 節2例, 膿瘍6例, リンパ節炎1例, 尿路感染症10例, 計57例に10平均投与量27.1mg/kg, 分2~4 (分2は1例, 分3は53例, 分4は3例) で, 平均9日間投与し, その臨床効果, 細菌学的効果をみると共に, 皮膚・軟部組織感染症から分離されたStaphylococcus aureus22株中12株のβ-Lactamase産生能と接種菌量108, 106CFU/mlにおけるSBTPC, ABPC, SBT, Methicillin (DMPPC), Cloxacillin(MCIPC), Cephalexin, Cefaclorの7剤のMICを測定, 脱落症例を加えての副作用及び臨床検査値への影響を検討したところ, 次のような結果を得た。
    1. 10, 15mg/kg投与群におけるABPCとSBTの平均血漿中濃度はいずれも投与1時間後に最高濃度を示し, 各投与量群の同時間でのABPC濃度は各々2.34, 5.57μg/ml, SBTではそれぞれ1.87, 4.66μg/mlで, いずれの投与群でもABPCに比較し, SBTの濃度はやや低く, 症例ごとにみても同様で, 両投与群間にDoseresPonseがみられ, 濃度曲線下面積でみても同様であった。両投与群におけるABPCの平均半減期は各々1.93, 1.12時間, SBTではそれぞれ1.97, 1.22時間で, 各投与群でのABPCとSBTの平均半減期は類似し, 症例ごとにみても同様の傾向を示したが, 10mg/kg投与群は15mg/kg投与群よりABPCとSBT共に平均半減期は延長した。
    2. 血漿中濃度を測定した同一症例での尿中濃度ではABPC及びSBTが最高濃度を示した時間は2~4時間が多く, 10, 15mg/kg投与群の投与後6時間までの平均回収率はABPCでは各々62.4, 72.0%, SBTではそれぞれ57.8, 65.4%で, 両投与群共にABPCがSBTの回収率に比較し, やや高かった。
    3. 臨床効果は57例中50例が有効以上で, 有効率は87.7%と良好であった。
    4. 細菌学的効果は35株中30株が消失し, 消失率は85.7%で, 臨床効果に類似した。
    5. S. aureus12株のβ-Lactamase産生能ではすべてにその産生がみられ, 5株41.7%がLow producer, 7株58.3%がHigh producerであつた。同じ12株の接種菌量108, 106CFU/mlにおける薬剤感受性では, いずれの接種菌量でもSBTPCのMICはABPCと類似か小の傾向を示し, MCIPC, DMPPCに次ぐかDMPPCと類似のMICを示した。
    6. 副作用は発疹と下痢が1例, 下痢だけが2例に出現した。なお, 本剤の服用を嫌う症例はなかった。
    7. 臨床検査値では好酸球増多が23例中2例8.7%に出現した。
  • 柳島 正博, 楊井 正紀, 柳 忠道, 辻 芳郎, 今村 甲, 中山 紀男, 林 克敏
    1988 年 41 巻 12 号 p. 2001-2011
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sultamicillin (SBTPC) はAmpicillin (ABPC) とβ-Lactamase inhibitorであるSulbactam (SBT) を結合させた半合成経口β-Lactam系抗生物質である。我々は小児科領域におけるSBTPC 10%細粒の基礎的, 臨床的検討を行つた。
    1. 基礎的検討
    SBTPC 10mg/kg食後30分投与を行つた。平均血清中濃度のピークは投与後1時間で, CmaxはABPC 3.83±0.27μg/ml, SBT2.73±0.30μg/mlであった。半減期の平均はABPC 1.52±0.25時間, SBT 1.13±0.09時間であつた。投与後6時間までの尿中排泄率はABPC 58.2±4.9%, SBT 59.7±6.4%であった。
    2. 臨床的検討
    対象疾患は扁桃炎12例, 咽頭炎6例, 気管支炎1例, 尿路感染症5例, サルモネラ胃腸炎1例, 不明熱1例の計26例である。臨床効果は著効15例, 有効8例, やや有効2例, 無効1例で有効率は88.5%であつた。細菌学的効果では, 分離菌14株に対し, 消失11株, 減少1株, 不変2株で菌消失率は78.6%であつた。副作用として26例中1例 (3.8%) に下痢, 臨床検査値異常として18例中3例 (16.7%) に好球増多を認めた。
  • 岩田 敏, 山田 健一朗, 金 慶彰, 横田 隆夫, 楠本 裕, 佐藤 吉壮, 秋田 博伸, 南里 清一郎, 老川 忠雄, 砂川 慶介, 市 ...
    1988 年 41 巻 12 号 p. 2012-2034
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しい経口β-Lactam系抗生物質であるSultamicillin (SBTPC) について, 4種感染マウス及び小児臨床例の腸内細菌叢に及ぼす影響を検討した。Escherichia coli, Enterococcus faecalis, Bacteroides fragilis, Bifidobacterium breveの4菌種を腸管内に定着させた4種感染マウスに, SBTPC 100mg/kgを1日1回, 連続5目間経口投与した結果, 糞便中の生菌数は4菌種いずれも投与開始後4~5日目に明らかな減少が認められた。小児臨床例における検討は感染症の小児5例 (男児4例, 女児1例, 年齢1歳3カ月~10歳8カ月, 体重11.8~35.0kg) に対し, 原則としてSBTPC細粒1回10mg/kgを1日3~4回, 4~7日間経口投与を行つた。SBTPC細粒投与中の糞便中細菌叢の変化は症例により若干のばらつきが認められたが, いずれの症例においてもEnterobacteriaceae, Enterococcus, Bacteroides, Bifidobacteriumなどの主要な好気性菌及び嫌気性菌が著明に減少する傾向が認められた。この傾向は嫌気性菌群においてより顕著で, 全症例において嫌気性菌総菌数の著明な減少が認められた。又, ブドウ糖非醗酵性グラム陰性桿菌や真菌はSBTPC細粒の投与に伴い増加する傾向が認められた。こうした変動はほとんどの症例においてSBTPC細粒の投与終了後に回復する傾向が認められたが, 長期間投薬を続けるような場合には, 下痢や菌交代, 出血傾向に対する注意が必要と考えられる。SBTPC細粒投与中の糞便中薬剤濃度は糞便中β-Lactamase活性が高値を示した1検体を除き, Ampicillin, Sulbactam共に比較的高い値を示した。この点に関しては, 吸収された薬剤が胆汁中に排泄される可能性, SBTPCがpHの変化により腸管内で加水分解される可能性などが考えられる。又, 糞便中の薬剤濃度とβ-Lactamase活性の間には密接な関係のあることが示唆された。
  • 徳田 安章, 河島 岳史, 井上 康子
    1988 年 41 巻 12 号 p. 2035-2043
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sultamicillin(SBTPC)細粒を伝染性膿痂疹21例, 丹毒1例に使用してその有効性, 安全性を検討した。投与方法は10~30mg/kg/日の経口投与を原則とした。
    臨床効果は伝染性膿痂疹では20例(95%)が著効, やや有効1例で有効率は95%であつた。丹毒は1例であるが有効が得られた。
    病巣から採取した, Staphylococcus aureus 19株中β-Lactamase高度産生株は, 17株でAmpicillinに比べてSBTPCへの感受性増加は2~32倍であり, うち14株が4~8倍であつた。
    副作用は軽度下痢が2例に認められたが特別の処置を講ずることなく3~4日で治癒した。
  • 荒川 創一, 高木 伸介, 前田 浩志, 柯 昭仁, I.C. SIA, 守殿 貞夫, 広岡 九兵衛, 島谷 昇, 井上 隆朗, 田中 宏和 ...
    1988 年 41 巻 12 号 p. 2044-2058
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ampicillinとβ-Lactamase阻害剤Sulbactamとのエステル結合体である経口用抗生物質Sultamicillin(SBTPC)の細粒製剤の急性単純性膀胱炎及び複雑性尿路感染症に対する臨床的検討を行い, 以下の知見を得た.
    1. 急性単純性膀胱炎6例に本剤1回187.5mgを1日2~3回, 5~7日間投与し, UTI薬効評価基準に準じて薬効を判定した.その結果, 著効5例, 有効1例で総合有効率は100%であった.細菌学的効果は7株すべてが除菌された.
    2. 複雑性尿路感染症17例に本剤1回187.5mg又は375mgを1日3回, 5~7日間投与し, UTI薬効評価基準により薬効を判定した結果, 著効8例, 有効4例, 無効5例で総合有効率は70.6%であった.細菌学的効果は17株中14株82.4%の除菌率であった.
    3. 主治医判定の行われた31例で検討された安全性については, 1例で舌の荒れ, 下痢, 咽頭発赤がみられたが, 軽度且つ一過性であった.臨床検査値上, 異常変動は認められなかった.
    以上の成績から, SBTPC細粒は尿路感染症に対し有用と考えられた.
  • 大石 正夫, 宮尾 益也
    1988 年 41 巻 12 号 p. 2059-2064
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sultamicillin(SBTPC)細粒を瞼板腺炎10症例に経口投与して, 臨床効果と安全性にっき検討した。1回375mg(力価)を1日3回, 食後に内服させて, 有効7例, やや有効2例, 無効1例の結果が得られ, 有効率70.0%であつた。副作用は1例にも認められなかつた。検出菌はStaphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Coagulase(-)Staphylococcus, Streptococcus sanguisのグラム陽性球菌, 及びAlcaligenes denitrificans subsp. denitrificans, Alcaligenes denitrifzcans subsp. xylosoxidans, Xanthomonas maltophilia, Acinetobacter lwoffiiなどグラム陰性桿菌であつた。細菌学的検査では, SBTPCのMICはいずれもAmpicillin(ABPC)のMICより低値を示して, より強い抗菌力を現した。臨床効果にもこのことが反映されて, ABPC, Cefaclorに中等度, 高度耐性菌の症例に有効に作用した。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 中根 豊, 深山 成美, 西村 由紀子, 小田 清次, 田中 節子, 加藤 三枝子, 佐藤 久美 ...
    1988 年 41 巻 12 号 p. 2065-2074
    発行日: 1988/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    著者らは本テーマの第1報1)において, 急性上気道感染症由来株(300株)に対するSultamicillin(SBTPC)の抗菌力をβ-Lactamase産生株, 非産生株ごとにMIC値を測定した成績を報告したが, 本第2報ではAmpicillin(ABPC), SBTPCの抗菌力をMICと共に1濃度ディスク法にて検討した。
    一方, β-Lactamase産生能はアシドメトリーディスク法を用いて検討したが, それらの試験をすすめる際のβ-Lactamase産生能定性試験における手順に関する追試も行つた。
    1. アシドメトリーディスク法は, 主にPenicillinase(PCase)を産生する菌種であるStaphylococcus aureus, Branhamella catarrhalis, Haemophilus influenzae, Neisseria spp.などではコロニーを直接(基質を含有する)ディスクに塗布しても判定が可能であるが, 主にCephalosporinaseを産生する菌種ではβ-Lactamaseの酵素誘導試験を行つた後の株を使用しないと, 反応が弱かった。そして, Klebsiella Spp.のようなムコイド状のコロニーを形成する菌種の場合は, 菌体表面の巨大なカプセルの影響を少なくする培地上のコロニーを用いることによって, 反応が鮮明となることが判明した。
    2. ABPC, SBTPCの1濃度ディスク法によって得られた発育阻止帯(Inhibitory zone)の大きさは, MIC値をよく反映した。すなわち, β-Lactamase産生株(主にPCase産生株)に対してはABPCではMIC値が大きくなるのに反比例してディスク発育阻止帯が小さくなった。一方, SBTPCではβ-Lactamase産生株に対しても小さなMIC値を示し, MIC値を反映する大きな発育阻止帯を形成した。すなわちSBTPCに含まれるSulbactamのβ-Lactamase阻害効果は, ディスク感受性試験においても十分に発揮されることを確認した。
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